消えない生活の気配

実家で暮らしている。家にいても気持ちが落ち着かず、夜もふと目覚めては寝付けなくなるので、精神的にも実家が良い様だ。実際によく眠れている。

いつ呼び出しが来るのか?そればかりを考えていた。だから気持ちが落ち着くのは病院まで歩いても行ける実家が良い。

父は骨と皮ばかりになってしまった。
血圧は低め。103-72。酸素は勢いよく出ていて数値は100だけど、呼吸は浅い。もうそれほど肺が機能してないのではないだろうか。

実家でやる事は目に付いたモノゴトをとりあえず片付けること。草むしりやら、ゴミ捨てやら。

昨日は玄関を、今日はキッチンを。父と母の靴を捨てた。「この靴履いてどこ行ったのかな?」とか「どこでどんな気分で選んだんだろう」とか考えてみたり。でも全く何も浮かばない。

父の靴は2足残した。ボロボロだけどいつも履いてたイメージのあるサンダル。あと、ちょっとカッコいいシューズ。たぶん脱ぎ履きがしにくかったのだと思う。あまり使われた感じもなくてちょっともったいないな。

キッチンはなんとなく勢いで片手鍋やフライパンなども捨てた。収納の中は手付かずで、目に見える場所は「来客時のお茶を出す程度」が出来るレベルで全て捨てている。

目に見える場所にある約8割が無くなったのに、そこに父の生活の気配が見えた。人が一人生きているってことは、こういう事なんだななんて、そんな事思ってしばらくボーッと眺めていた。

姉が夕飯を持ってきてくれた。でも食べずに色々な事を話した。「見るたびに痛々しくなる姿を見るのが辛い」という気持ちは同じ。
でも、そんな話から全然関係ない話までたくさん話した。ちょっと笑ったりして、楽しかった。

頂いたお金は両親の病院へ通う交通費などに活用させて頂いております。感謝いたします。