【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】
僕は死にました。
1999年1月17日 23:30頃
キキィーーー!
ドーーーン!!
・・・
「やっちまった…」
カンカンカンカン
踏切が鳴り、相手の行く手を遮る
「こっちに来て助けてくれるかな?」
そんな微かな望みを胸にアスファルトを目の前にしたまま動けずにいた。
カンカンカン………
ブーーーン…
マンガの世界とは違い現実は何とも切ない
一縷の望みは断たれた瞬間だった
助けを呼びたくても声が出せない…
立ち上がりたくても身動き取れない…
精一杯の行動は
真っ暗な空を見上げるために寝返りをうつこと
真っ黒な格好から少しでも明るい色をのぞかせるために手袋を外し手を振ること
この二つだけだった…
・・・・・・
「はっ!ヤバい!!」
一瞬意識を失いかけた
「1月の深夜に意識が飛んだら万が一がある」
ガヤガヤ…ガヤガヤ…
「なんだ?」
気づけば自分の周囲を見渡したらたくさんの人だかりができていた
どうやら一瞬意識を失っただけと思ったが、そうではなかったらしい…背筋が凍る
ウゥーーー!
ピーポーピーポー!!
しばらくしてサイレンの音が耳に入ってくる
いまだに身動きは取れない、呼吸もかなり浅い…
「肋骨が折れて肺に穴が開いたかな?」
軽く考えていたところに救急隊が駆けつける
……やけに慌ただしい……
想像以上の喧騒の中、救急車に乗せられる
「大袈裟だな」
そう思い、救急車の中で身を持ち上げようとしたところを救急隊に一喝される
『死にたいのか!!!!!』
怒鳴られたことに驚きと苛立ちを覚えた
「大したことないのに何でそこまで言われなきゃいけないんだ?」
救急隊の一言が重症を表しているとはこの時まったくわかっていなかった……
つづく
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