【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】②
乗っている救急車が止まる
身動き一つ取れない状態のまま病院内に運ばれる
バタバタバタバタ…
慌ただしく走り回る医師たち
病院内は緊張気味なのか
指示出ししてる声は荒い
それはお世辞にも褒められたものではない
「たいへんだなぁ〜」
救急隊に一喝されたことなどどこ吹く風か…
病院内の緊張が自分に向けられてることなど知る由もなかった
看護師から幾度となく
『気分はいかがですか?』と状態の確認をされる
同じ質問の繰り返しに多少苛立ちを覚える
暇とも言える時間がどれくらい経っただろう…
いよいよ我慢ができなくなって
帰っていいか訪ねようとしたら、親の名前や実家の連絡先を聞かれる
何でそんなことを聞かれたかよく理解しないまま回答する
緊急手術をするかもしれない
そのために連絡先を聞かれたことを知ったのは随分後になってからだった…
・・・・・・
ん?
今何時だ?
そもそもここはどこだ?
気づかないうちに寝てしまっていたようだ
少し困惑したが、自分がどこにいるのか理解するのにそう時間はかからなかった
しばらくすると看護師が声をかけてくれた
『おはようございます。気分はいかがですか?』
寝る前まで幾度となく質問された内容に
無愛想に
「大丈夫です」
と、返事をする。
直後に医師が声をかけては早々に一言
『親御さんの同意の元で手術することになりました』
??
突然のことに驚きを隠せないでいると
それを察した看護師が
『大丈夫ですよ、ベテランの先生が手術してくれますから』
他にも何か言われた気もするが全く覚えていない
目の前に突きつけられた現実が衝撃的すぎて
「は、はぁ…」
と、返すのが精一杯だった。
・・・
どれくらい時間が経ったか確かではないが
時間が経つにつれて徐々に受け入れられるようになり、最終的には
「肋骨が肺に刺さってるなら手術しなきゃどうしようもないよな」
など、少し気持ちが前向きに考えられるようになっていった…
『では行きますよ』
看護師にそう言われ
ストレッチャーの上で身動き一つ取れないまま手術室へ向かうことになる
その途中久しぶりに父親に会う
自分 : すまん、やっちまった
父親 : おう…
一言だけ交わし手術室へ向かう
その時の父親の表情は今まで見たことのない冴えない表情だった
「心配してんのかな?そんな心配なんてしなくても大丈夫なのに」
と、呑気に考えていたら手術室に到着した
到着したと同時に手術室の照明が点灯し
『これから手術を始めます』
いよいよ手術が始まる…
つづく