見出し画像

お食い納め!?

◉2月17日。在宅医療・看護のサービスを併用しながら、少しでも自宅で生活できれば生きる気力も戻るのではないか。そんな風に思っていたものの、この2日間の母の様子を見ていると、ひとり暮らしは厳しそうだと感じた。母が寝ている間に病院へ電話し、「一度診ていただいて、必要そうなら入院等もご検討いただけないでしょうか」と相談。いつでも入院できるようにと備えていた荷物の中身をもう少し補充し、朝食を作る。


家で食べるごはんはもう最後かも知れない。そんなことが脳裏をよぎり、泣きそうになる。食欲がなくても「一口ずつでも食べてみたい」そう思ってもらえるような朝食を意識したら、赤ちゃんのお食い初めみたいになってしまった(苦笑)。

やわらかくたいたおかゆさんは、今日はあえて塩味なし。汁物は、肥後のうまか赤鶏のつみれと天草産のニンジン・ホウレンソウ・スナップエンドウを刻み入れ、牛深の出汁をきかせた具だくさんのお味噌汁。五和のカンナちゃんの卵は、鰹昆布だしのだし巻き卵に。裏に植えてあった虫食いのコマツナはゴマ和えに。球磨に恵みヨーグルトに天草産のイチゴを刻んで、天草町の百花蜜をちょっと足したイチゴヨーグルトも添えてみる。


「ごはん」「味噌汁」「コマツナ」「ごはん」「もう一回、コマツナ」。ベッドに寝たまま、まるで子どもみたいにねだる母。2、3口ずつでも食べてくれたことがうれしかった。子どもの頃のこと。孫たちのこと。思い出話に、花が咲いた。


玄関のインターホンが鳴った。ご夫妻それぞれの携帯番号を書いた紙を差し出し、「何かあったら電話して」とご近所さん。どうやらこの数日の様子をなんとなく感じ取ってくれていたらしい。その目配りと気遣いがありがたすぎて、涙があふれた。

片付けと用意を済ませ、そろそろ病院へ出かけようとしていたら再び、さきほどのご近所さん。「おかあさん、食べないかな?」。その手にはほっかほかで、蜜がたっぷりの焼き芋があった。すぐにでもかぶりつきたかったけれど、車中で母の手をあたためながら行くことに。ほっかほかの愛の塊だ。

画像1



気づけば、車の乗り降りも介助が必要な状態になっていた。病院に着くと、すぐさま主治医がやってきて「つらかったですね。病棟には連絡をしているので、入院しましょうか」と言ってくれた。母と2人で、ホッとした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?