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予備試験短答試験に合格することで得られる「最大のメリット」

 この絵にピンときた人は同志。

 こんにちは!しまだです。
 
 予備試験関連で受けた質問への回答をシェアします。
 今日紹介する質問は下記の通りです。
・試験勉強開始1年目で受験に臨むが、今年の最終合格は難しそう。このような状況において、以下のいずれの方針を採るべきか?
 ①7月まで短答に全振りしてまず論文に進むことを目指す
 ②今から短答論文の両方目配せをして論文突破までを目指す

 私の回答は、①の短答全振りです。以下理由をつらつらと。

 第1の理由:短答はマジで侮れない。

 一部の合格者の中では「論文の勉強をしていれば短答は直近1か月で詰めて受かるよ!」とおっしゃる方もいるかもしれません。
 この情報に気を付けるべきことはこの合格者の「属性」と「合格年度」です。もしこの方が受験強者のような大学を卒業されている場合には、問題演習力や論理的思考力の高さなどから上記方針でも問題がないかもしれません。一般教養というチートもありますしね。しかし例えば私のような凡人レベルの人間に再現できるのか?この点は一考どころかどんだけーーー!考えても足りないくらいです(※当記事は夜中に書いています)。
 また、短答の合格ラインは年度によって変わります。そのためその合格者の方は本当に上記アドバイス通りに通ったかもしれませんが、これまたそれが本年度の受験生に再現できるかも微妙です。

 実は私はまさに上記アドバイスに従って落ちた人間です。真に受けて令和4年の予備試験は直近1か月しか短答専念期を設けず撃沈しました。
 (何の自慢にもならないけど)一応本試験の短答で足切られたことがない人間がですよ?それくらい短答は侮れないということです。

 そして侮れないことは、1回受かった後にも同様です。優秀な受験生の中でも1年目短答合格し論文に進んだが2年目は短答に足元をすくわれるという事例が毎年あります。
 この事象について思うのは、実は1年目の短答合格が少し運に味方された趣があり、そのために「毎年短答に受かる実力」まではないままに2年目に論文を重視した結果、相対的に短答の実力が伸びなかったことによるのではないか?とみています。慢心という言葉で片付けてはいけない、予備試験の難しさの一つです。

 それならば、受験1回目の準備段階たる今の時期から「毎年短答に受かる実力」をつける、またはそれをつけるくらいの意気込みで短答をやり込みませんか?(最低限インプット講義的なものは1周した人が)ここで短答を白目が向くほどやっておけば、見えてくるものがあります。「この問題よく出るなあ」とか「3周目なのに毎回これ間違う」とか。そういった試験で押さえるべき勘所と自分の足りない部分の補い方を身につけるには、ある程度の時間と労力が必要です。そのために一旦この時期は短答全振りしませんか?そしてそこまでやり込んでおくと、「毎年短答に受かる実力」には届かなくとも、2回目の受験前に短答全振りする時期が少し短くできます(※1か月前は非推奨です)。そうすることで2回目の受験前に論文力を高めて試験会場に行くことができるため、最終合格への確率を上げることができます。

 また実は「短答全振り」というのはロー生がマジョリティを占める本試験受験生には取りえない手段です。7月の試験で短答論文を一挙にやらなければいけない彼らには短答論文の勉強バランスを変えることができたとしても、直前期にどちらか一方を捨てるという方策は取りにくいように思います。一方、予備試験は短答が7月、論文が9月、魔の口述が1月と、それぞれの試験形式に対する対策時期の「区切り」がつけやすいです。そのため予備ルートのみの受験生が当たり前に考えているこの「全振り」も、実は立派な戦略であり、活かさない手はないのです(この点は第3の理由のネタバレになってしまっています)。

第2の理由「短答合格者」というステータス

 その昔、旧司法試験なるものありしときには、「短答合格」というだけで受験業界では一定のステータスとなっていたようです(信用性の低い伝聞情報ですが、何かしらの就職手段においても考慮されたという)。

 現在においても、例えば短答合格者として論文受験生となった方は、某塾から一定限度の無料特典をいただけたりします。それだけでなく、短答合格者というだけで勉強段階の進みが遅い(学部時代の私のような)人からは一目置かれたりします。
 
 また、資格試験においては「勝ち癖」「負け癖」というものも存在します。1回試験に落ちると2回目受験に際して気持ちが下向きになり上手くいかないスパイラルに陥るというのが後者です。この点からいっても短答合格しておくだけで完全な「負け」とはならないですから、勝ち癖を持ったまま2回目以降の受験に挑むことができますよね(当然慢心厳禁!)
 私の場合は、この点が大きかったかもしれません。本試験に受かったことがなく、予備1回目も短答落ち。。。2回目の短答もぜんぜん自信が持てませんでした。短答終わって帰っていても、東京タワーが白黒に見えたくらいでした。

実際試験後に写真に撮っておきました。こんなに赤いのにね。

ただ、駅についてスマホ片手にやりだした自己採点でおそらく落ちないだろう点数であることが分かり、そこから血の気が戻ってきました。そしてその勢いのままに今に至ります。

 さらに地味に侮れないのが、本番の受験会場の「雰囲気」を味わい場慣れし、そして六法しか見れない状況で自己の弱点をさらけ出すことができ、おまけに試験用六法を持って帰ることができることです。2万弱の受験料に(かろうじて)見合った内容です。※そんなわけでヘッダーの画像は「ベルサール汐留」の試験室前です。

 以上のように短答合格したというだけで得るものがいくつもあります。また目に見えないふんわりした「実感」という形でその利益を享受しうるかもしれません。

第3の理由:「論文前の55日間」の伸びを享受できる

 私が考える最大のメリットはこれです。

 短答が終了した7月中旬から論文が始まるまでの9月上旬まで、この期間が約55日間なので上記のように呼んでいます。

 過去問起案を全力でやってもいい、直前答練を受けてもいい、模試を複数受けてもいい、直前は知識不足の点を補うために論証暗記にいそしんでもいい。これらの有効な勉強方法を、論文直前という一番勢いに乗った状態ですることができます。短答で知識がブクブクに入った状態でこれらを行えば何をしても伸びます。 
 個人的には、試験を会場に受けに行くことよりもこの55日間を体験することの方がメリットが大きいものと考えています。

 ただしこの「勢い」を得るためには必要な条件が一つあります。
 それは、短答を自己採点したときに「これならいかなる年度の不合格点にも引っかからないくらいの点数だ」という点を取っておくことです。これをした人としない人とでは、その後7月に短答採点サービスを見る量が5倍くらい変わります(勝手な意見です)。そして次に進めるか判然としない点数で次に集中できるほど人間は強くないはずです(たまに「自己採点をしないで封印して論文集中!」という方も見かけますが、尊敬するほどの意志力だなと思います)。

 論文前の55日に人生で体験したことのないほどの伸びを感じて勉強に邁進する、そのために短答をしっかりやり切ることが1回目受験生に対するオススメの方策です。
 

 短答の肢音が聞こえる時期です。ぜひこの時期を有効に使い、来るべき時の「最終合格」を一緒に掴みませんか?

 以上で本記事は終わります。気に入ったら「スキ」推してくらさい!



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