無観客配信するために考えたこと

(めんどくさい前置き)
どうも、福岡の裏方です。島田ではありません。
クレジットに島田黒介とあったと思いますが、あれは私としんろくさんの橋渡しをしてたとか多分そういう意味で島田が配信協力したという意味ではあありません。
(めんどくさい前置き終わり)

しんえんの無観客配信、いつもネットラジオのお手伝いをしてる流れでしんろくさんに「俺に手伝えることありますか?」と聞いて無観客配信関連のお話になり、でもしんろくさんいわく配信の知識や「何がどこまでできるのか」という話もわからないとのことなので「私がやれること」の範囲で色々考えていました。

配信ライブとしての最低値と最高値

まず、前提として金も時間もありません。
なので想像しうる最高値である「最高品質の配信・音響・映像機材をそろえて人を配置し、配信する」というのはもちろんできません。

逆に配信する上での最低値はどこだろう、と考えた時は「iPhoneで撮影してiPhoneで配信する」になります。
でもこれって別に馬鹿にならなくて、iPhoneは映像処理技術も音声処理技術もなかなかクオリティの高いところに位置しているので、下手なマイクやカメラでやるよりも快適な配信になります。(最近はAndroidも進化してるのでAndroidも良いよね)

つまり私が協力して得になるクオリティは
・iPhoneより高い音質・画質で届ける
・iPhoneより多くのことができる
となり、それに加えて
・現場の負荷がそれにより高くならない
という前提条件も必要になります。(iPhoneでの撮影配信は楽なので)

まずライブハウスができること、一般的な無観客配信の視点から

今回お世話になったのはクラブシータさんでしたので、そこにある機材と配信ライブの経験などで「どこまで実現できるか」が変わってきます。
一般的な無観客配信はPCを持ち込み、それにスイッチャー(映像切り替え機)を噛ませたビデオカメラを接続し、音をPAさんの機材にオーディオインターフェースで接続し、デジタル信号としてPCに取り込む。
音と映像がPC内に送られるので、それをOBSというソフトでミックスして配信サイトへ配信する、というのが一般的です。

そして使う機材の質による差はあれど、これが一番音質も画質もいい配信となります。
結論から言うとクラブシータさんはこれができました。しかしひとつ問題があります。この方法をするとすれば「配信のモニタリングや各ソフトの設定、カメラスイッチング、配信トラブル時の問題解決」をするスタッフが必要になります。
私が遠隔という特殊な条件があるため、この仕事ができるとすればディスイズしんえんである神無さんなんですが、神無さんはただでさえ忙しいのにそんなことをさせたらしんでしまいます。

というわけで前提条件である「現場の負荷がそれにより高くならない」がクリアできてません。
上記の配信の質を保つ方法を踏襲しつつ、配信モニタリングやカメラスイッチング、トラブル対応は私の方でできるのがベスト、だと考えました。

映像を各端末から送り中継する方法とその他の問題

クラブシータにPCを持ち込み、音声と映像を取り込む、というところまでは一般的なものと同じなのですが、そこから配信サイトへ送るのではなく、裏方のPCに送ってもらういつもの「ネトラジ方式」を採用しようと考えながら、ひとつ懸念がありました。
「クラブシータさんが用意するビデオカメラで撮影するとしたら、しんろくさんが目指す演出は表現できるだろうか」という部分です。
映像はきれいで画質は担保されるのですが、ビデオカメラは有線なのである程度動ける範囲が決まりますし、手振れ補正はものによりまちまちです。

演出プランなどはしんろくさんから一切聞いてませんでしたが、「自由に動けるカメラ」は絶対にあった方がいい、と結論し、クラブシータさんに送ったシステムセッティング図が以下の通りです。

画像1

最初に書きましたがiPhoneの画質はバカにできるものではないので、カメラのみの機能と前提にすれば十分カメラとして機能するため、Wi-Fiで裏方のPCに何らかのアプリを利用して送信すれば、三つの映像を裏方が選びながらスイッチングすることが可能です。
かつiPhoneは手ブレ補正がある程度あるので「動くカメラ」としての適性もあり、三脚もあったので「固定カメラ」として使うのもできる汎用性があります。

結果としてこの判断がとても良かったです。出演者がステージ下に降りたり、必要な画角が変わったり、汎用さが重要な場面が多く、神無の現場オペレーションと撮影に協力してくれた詩屋さんの腕もあり、この汎用性のおかげで映像の楽しさはグンと上がったと思います。

この中継というやり方は問題もあり、送信するアプリによっては高ビットレートでの映像送信ができなかったり、PCとスマホという異なる端末、送信する方法が有線とWi-Fiと異なることで音ズレなど問題が発生するかもしれない、そもそも良画質で撮影してもこの方法を挟むことで画質が低下してしまうこともあります。

しかし少なくとも「iPhoneで撮影し配信」よりは高画質・高音質・やれることが多いという条件をクリアし、オペレーションの多くは裏方が担当できる、という人員の面もクリアしています。

今回の反省点

■オペレーションコストは増やしてないと思ったが、結局やれることが増えてる分、現場の負荷は増えていた。

現場に神無という人間がいたからどうにかなったところが多分にあり、クオリティについても詩屋さんみたいなカメラがわかっている人間がいたからこそ撮影がどうにかなった、という人間頼みの点が多かったです。
やれることが増えてる分、人が必要なのはとても当たり前なのですが、人ひとりPCの前に張り付いてないといけない状況はあまり作りたくありません。

■画質・音質ともにまだ改善の余地があった。

やり方としてベストだったとは思いつつ、もう少し細かいチューンナップで画質と音質はまだ改善できたと思います。
今回は私が思いつくものをただ使っただけなので、もう少し他の環境も考えて比較検討する余地がありました。

■Youtube配信がほぼ機能していなかった

Youtube同時配信をしていたのはより高画質・高音質で配信できるからなのですが、おおむねすべての人がツイキャスで見ていたと思いますし、裏方がやることが予想より多かったこともありYoutubeのモニタリングがおろそかになりました。
やることの大変さに比べて、Youtubeで配信することの意味があまりなく、もう少し目的を持って同時配信をするべきでした。

しんろくさんには相談済みなのですが、画質担保の意味で配信に乗せない録画カメラを別で用意する、などを検討しています。

■カメラスイッチングに対して演出との噛み合いが甘かった

今回の(いつも?)しんえんは即興要素が多かったので事前に演出プランやセトリなど聞けていなかったのですが、カメラスイッチングは演出や曲調に合わせて実行しないと噛み合わないため、事前に出演者や主催ともう少し内容を詰めたいな、と思いました。

全体の演出を決めきるのではなく、スイッチングできることをひとつの武器として捉えて、「この曲をやったらスイッチングで音ハメして奇麗に見せられるよね」という話を出演者たちと共有しておくことだけでも「ここかっこよく魅せたい」と思った時にそれを実行できる選択肢があるだけでも、カメラが複数台あるという武器を活かすことに繋がるかと思います。

さいごに

PCから配信することで音質と画質が向上し、エンドロールを入れ、テロップを入れ、スイッチングすることを楽しいと視聴者の方々に言ってもらい、貢献できたと思いましたし私もとても楽しかったです。
クラブシータさんと事前に打ち合わせしておくことで機材準備のあたりもスムースにいったようですし、当日予測していたトラブルはほとんど起きず、細かなトラブルもすぐカバーできたので個人的には大成功でした。

ただ問題点もまだまだたくさんあると感じたので、どんどん改善してしんえんの武器を増やしていきたいですね。

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