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【プレイヤーズコンベンション千葉2023 トップ8】トカゲヨーグモス調整録

はじめに

ご無沙汰しております。
今回、幕張で開催されたプレイヤーズコンベンション 千葉2023のモダンオープンにて、自身としては初めてのトップ8に残ることが出来ました。筆者は友人と共にチームモダンの大会に参加したり、土日のショップ大会に参加することがある一方で、大きな会場の競技レベルの大会は、2020年のマジックフェスト名古屋のパイオニアの大会(当時は1-4ドロップ)くらいのものでしたので、今回の結果は少ない経験の中で本当に出来すぎたものでした。

今回使用した「ヨーグモスコンボ」について、過去にも書かせていただいたことがあったのですが、今回は大会で結果を残すことが出来た点や、情報共有のために構築の経緯をある程度記録していたこともあり、調整録という形で紹介していけたらと思います。

ヨーグモスコンボ調整録

①トカゲヨーグモスの誕生

大会の3週間ほど前、使用するデッキを検討していた際に、友人の紹介で知り合った有識者の方が、古の放漫トカゲをメインデッキに採用したヨーグモスを使っていることを聞きました。

大怪獣バトル

発売して数日の時に、「これがあれば不利対面の続唱サイに勝てるかもしれない!」と思ってサイドに忍ばせたものの、マナクリーチャーが処理されると途端に召喚できるターンがはるか彼方に遠のくシーンが多く、その後すぐにお蔵入りとなっていたカードでした。
「トカゲほんとに強いんか~?」と思いリストを拝見すると、そこには今までの構築から大幅に変わった点がありました。
樹上の草食獣と、カルニの庭のパッケージです。

マナ加速もする
クリーチャーも並べる

海外の有名プレイヤーも同時期に使っていた草食獣とカルニの組み合わせは知っていましたが、使ってみるとこれがまさに目から鱗でした。
今までの下賤の教主・極楽鳥採用の構築と比べると
・除去されてもマナを伸ばすことが出来る
・レンと6番への体制が上がる
・ラガバンをブロックすることが出来る
・土地セット→草食獣→カルニセットで4マナ分の招集パーツが確保できる
と、今までヨーグモスが抱えていた弱点が大きく解消されているように
思えたのでした。早速自分でも試してみたいと思い、MOのリーグ戦に以下のリストで乗り込みました。

②MOでの調整記録

まずは試したいトカゲを4枚。異界の進化の枠に採用し、ヨーグモスに繋がるカードを減らす代わりにサブプランとして使うことにしました。
草食獣の枚数は3枚からスタートしました。採用に当たって、土地が23枚は欲しいと感じたため、先に土地を23枚採用。
カルニの庭を4枚入れる関係で、黒マナの捻出が以前よりも困難に。黒いカードの手出しのために、下賤の教主は3枚は必要と考えました。
元々ヨーグモスの土地+マナクリーチャーの総数は32~3枚で、根の壁はどう頑張っても減らせない枠だと感じていたので、
土地23+教主3+根の壁4ということで、草食獣は3枚を選択。
土地は初動の緑マナカウントを16枚まで切り詰めて試してみることに。
あまりにも続唱サイがきつすぎるのと、リビングエンドが当時数を増やしていたようなので、サイドに虚空の杯を仕込んでいざリーグへ。

ウルザソプター ×〇〇
ラクドス想起 〇〇
黒緑感染 〇〇
独創力 〇〇
オムナス 〇×〇

なんといきなりの5-0!大枚はたいて買った虚空の杯は使いませんでしたが、商品のチェストが染み渡ります。
全勝したものの、使用感としては以下の部分が気になりました。

・トカゲは早く出せたら1枚目が除去されないし、
ワンパンで致死量に近いので重ね引かなくても強いのでは?
・トカゲが出ない(相手の除去が多い)展開の時は、
少ない枚数で相手に勝てるギミックを採用したい
これらの思惑があり、構築を微調整。

古の放漫トカゲ→毒物の侍臣、ハパチラ
忍耐→異界の進化
サイド:夏の帳→忍耐

トカゲを減らし、ヨーグモスとの2枚コンボで
クリーチャーデッキにイージーウィンが狙えるハパチラを採用。
ヨーグモスの召喚の可能性を底上げするために異界の進化を1枚採用。
枠は同マナ帯の忍耐を譲りました。忍耐はサイドへ流れ、コンボを決めるにしても1回通せば良さそうな夏の帳2枚で挑戦。

青白コントロール 〇〇
ジェスカイブリーチ 〇×〇
ハンマータイム 〇〇
タメシブルーム ×〇×
バントブリンク ×〇〇

4-1。兼ねてより苦手とするアーキタイプの一つ、
「自分より早いコンボデッキ」に対応出来ず敗北。
ここで更なる試み
・もう1枚くらいトカゲ減らせないかな?
・最近呪文貫き増えてきたから異界の進化に当てられたくないな
・黒マナの供給が足りない気がする
・サイド色々試してみよう

異界の進化→忍耐
古の放漫トカゲ→下賤の教主
ズーラポートの殺し屋→血の芸術家
生命の揺り籠、ヤヴィマヤ→花盛りの湿地
サイド:黙示録、シェオルドレッド→ファイレクシアの変形者

カウンターされるとロスが大きい異界の進化を採用せず、フェアデッキやコンボにもある程度の戦力になれる忍耐を増量。
トカゲを可能なところまで減らし、黒マナソースとなる教主を増量。
ドレイン枠どっちも試すかと考え血の芸術家を採用。
黒マナ確保しつつ、初動緑カウントを減らさないようヤヴィマヤを花盛りの湿地に換装。
黒ダブルが出にくいかつ、シェオルドレッドで勝ちに行く相手の多くはトカゲで勝てるのではないか(※)と考え、独創力に強いファイレクシアの変形者を採用して再度モダンリーグへ。

※この考えは現在では誤りと考えます。シェオルドレッドはドローを伴うコンボや、対バーンなどでの回復力において、トカゲにはない役割も多く存在します。

サヒーリコンボ 〇××
カウンターモンキー 〇〇
赤単サーガ 〇〇
青単トロン 〇×〇
アミュレットタイタン ×〇〇

ここまでの練習を通して分かったこととしては、

・このデッキはあくまでヨーグモスを出す事がコンセプト。トカゲが出せなくても勝つことはあるが、ヨーグモスが出ないことにはなかなか勝たない

・トカゲはサブプランなので2枚でもいけそう

・ハンマータイムの救済の波濤、リビングエンドの神聖の力線、トロンの一つの指輪など、プレイヤーを対象に取れないカードが増えたため、血の芸術家でのコンボの信用度が少し下がっている

・喜ぶハーフリングは強いものの、賛美能力とサイド後の屍呆症をスムーズに唱えるために、下賤の教主は全抜きしたくない

といった内容でした。それらを踏まえ4日前に提出したのが、当日使用した以下のリストです。

下賤の教主→喜ぶハーフリング
下賤の教主→異界の進化
忍耐→異界の進化
血の芸術家→ズーラポートの殺し屋
サイド:虚空の杯2→魂なき看守・忍耐

マナクリーチャーは合計枚数を10枚に戻し、1枚は発売したばかりのハーフリングを採用。
カウンターを構えられたときは、召喚の調べから経由して使い、普段は賛美が強くいつでも色マナが出る教主を優先。
忍耐も改めて1枚減らし、このデッキがヨーグモスを出せる確率を下げすぎることへのリスクを再確認。異界の進化を2枚採用。
対戦相手を対象に取れなくてもコンボが決まるように、血の芸術家ではなくズーラポートの殺し屋を採用。
(一つの指輪と救済の波濤においては、ターンを返せばコンボが決まりますが、除去1枚で崩れるコンボなのでそのターンに勝てるカードであることを評価しました。)

普段ならお前
事情があればお前

サイドボードからは虚空の杯を完全に廃しました。リビングエンド対策は忍耐の方が力線下以外において通りやすく、続唱サイは正直何しても勝てなそうな上に、UR、ハンマー、オムナスが大会で増えるなら、あまり多く当たることはないだろうと考え徹底的に舐めきることにしました。
とは言いつつ空いた枠に召喚の調べからサーチできる続唱対策となる、魂なき看守をお守りとして忍ばせることで、虚空の杯とかいう高いカードを買うことなく1枚で対策できる幅を広げることにしました。

③トカゲヨーグモスの採用カードまとめ

ここまで、大会当日までのデッキ調整について可能な範囲で言語化してみました。冗長にはなりますが、役割別のカード候補と、筆者の採用理由について記載します。

・マナ加速枠

4枚:お前27年前のカードってマジ?
3枚:赤サルを止める緑サル
2枚:ゴブリン・シャーマンは大体信用できる
1枚:お試しで

根の壁は他のマナクリーチャーと違い2マナですが、出たターンから緑マナを出せるので2アクションが取りやすい点、タップしないので召集時にカウントを増やせる点、高いタフネスで除去や攻撃に耐性がある点など、ヨーグモスに必要な要素を最もバランスよく満たしているため4枚採用。
草食獣はカルニの庭の感触が非常によく、カルニの庭を最大枚数採用したい関係上3枚は欲しいと思い採用。
残り3枚は黒マナが出るマナクリーチャーでないと手出しの黒マナが足りなくなると考え、賛美の強い教主が2枚、試す暇があまりなかったハーフリングが1枚採用。

・不死枠

4枚:マナクリ減らせないマッチはお前減らすわ
4枚:お前強くね?減らさんわ

以前の記事でも紹介している枠なので割愛します。以前と違うところは、若き狼をサイドアウトすることが少し増えました。

・ヨーグモス枠

4枚:こっちのイラストが好き
4枚:このデッキ1難しいカードかも
2枚:追放し忘れないように注意

以前の型と比べると、異界の進化の枚数が2枚に減っており、ヨーグモスの実質枚数が減る点を危惧していましたが、カルニの庭の影響で、召喚の調べでヨーグモスが出せる場面が増えているので、そこまで不便は感じませんでした。

・ドレイン枠

1枚:ヨーグモスの横にいられる数少ない人間

1枚採用。上記の理由の通り、対象を取らないドレインを優先しました。

・自由枠

2枚:出すと相手の時が一瞬止まる。次のターンには息の根も止まる。
1枚:こいつの蛇トークンどこに売ってるの?
1枚:パワーカードというだけで十分。実際強い

コンボが決まりにくいデッキに対してサブプランとしてトカゲを2枚採用。カルニの庭、根の壁などを利用して3,4ターン目のキャストを狙います。ハパチラは不死の9枚目のような扱いかつ、ヨーグモスとの2枚コンボで、ライフを犠牲に盤面を取り切って勝勢を決められるので、利点が多く採用。忍耐もできればメインに2枚取りたかったのですが、3マナのカードの中で最もコンボから遠いカードのため他と枠を争った結果1枚になりました。

・グリスト

4枚:大会MVP

コンボパーツでもない。強烈な対策カードでもない。すぐに相手のライフを0に出来る訳でもない。本当に4枚なのかこのカード・・・?

・・・4枚です。おそらくしばらくは減ることはないと思われます。
シンプルなパワーカードなので言語化が難しいのですが、これについては信じてください!コンボに特化できない展開の際は最大限このカードに頼ることになるでしょう。

残りは土地回りを調整しました。ここまで色々なカードについて取り上げてきましたが、カルニの庭はデッキを大きく強化してくれたカードだと認識していますが、タップイン緑マナなので、枚数を増やせば増やすほど
マナトラブルとトレードオフになっていきます。
今回は安定感よりもピーク値を重視したため4枚採用しました。

大会結果

大会結果は覚えている範囲での記載となります。
その時の試合に夢中で、詳しい展開は覚えていないのでご了承ください。

1戦目 VSカウンターモンキー 〇×〇
カードショップで記事を書かれている方と初戦からマッチ。
まだ緊張していましたが、カウンターモンキー対面は事前に練習ができていたのでお相手の不運も重なり勝利。

2戦目 VSオムナス 〇〇
本日何度も戦うオムナス1戦目。2ターン目グリストと4ターン目トカゲに処理が追い付かず勝利。

3戦目 VSヘリオッドカンパニー 〇×-
1戦目はコンボ決めて勝ち。2,3戦目はオーリオックのチャンピオンに対処できるカードがデッキに1枚しかなく、こちらのコンボはチャンピオン及び無限ライフ戦略に対して無力なので、1枚の罪/罰を探して試行錯誤するも見つからず、お相手も攻めあぐねて引き分け。

4戦目 VSオムナス ×〇×
一つの指輪をテフェリーで使いまわされて、こちらのヨーグモスが全て除去されつくして敗北。最速コンボを狙う手札をキープする必要がありましたが、この時まで指輪入りオムナスへの知見がなかったためやむなし。

5戦目 VS白単人間 〇〇
2-1-1で暗雲立ち込めていた5戦目、超有利対面の白単人間に対して、プロテクション人間の医者が敵の盤面を施術し勝利。

6戦目 VSマーフォーク 〇×〇
召集の寝かせ方をミスして召喚の調べを呪詛抑えに打ち消される展開もありましたが、ヨーグモスとハパチラで攻め手をすべて除去して勝利。

7戦目 VS独創力 ×〇〇
メインボードはレン六とアルコンに抑え込まれて負け。
サイド後はヨーグモスでカード枚数差をつけながら
力線を機能不全ダニで弾いて勝利。

8戦目 VSハンマータイム 〇×〇
このマッチアップはある程度セオリー通りの展開で
ヨーグモス出て〇
カルドラの完成体が止まらず×
ヨーグモス出て〇といった形で勝利。

9戦目 VS独創力 ×〇〇
6-1-1という好成績ながら、疲労がすごく、上位成績への意識は飛んでしまっていましたがここで人生初のフィーチャーマッチ。
Youtubeにも動画が上がっておりますのでよろしければご覧ください。

Game1 力線以外で除去されにくいヨーグモスを2回投げるも、いずれも稲妻+レン六ビームの合わせ技で処理されてしまい、独創力が通り負け。

Game2 絡み根・グリスト・トカゲのミッドレンジプランが成就し勝ち。

Game3 お相手にレン六以外の能動的な札がなく、絡み根、ヨーグモスに除去を使わせて屍呆症で独創力を抜いて殴りきりで勝利。

とても緊張しました。あと想像よりテーブルが大きかったです。

10戦目 VSアミュレットタイタン 〇〇
ここでも人生初のデッキチェック。2つのデッキが入るケースを使用していたのですが、「デッキケースのもう一つのデッキは何ですか?」「オースブレイカーです」「オースブレイカー?」
こんなやり取りをすることは今後あるのでしょうか。
戦局は1戦目に最速でコンボ決めて、
2戦目にグリストがグリストを2回めくって盤面埋めながら
活性の力唱えて勝利。今日一番のブン回りをここで引きました。

スイスラウンド終了後、友人に「多分8残ってるよ」と言われるも、過去にない長期戦で体はヘトヘトでした。それでも同成績の中から一人は8に残れないため、少しそわそわしながら休憩していると、何とか8位で滑り込むことが出来ました。

準々決勝 VSオムナス(スイスラウンド1位) ××
ここにきてスイスラウンドで唯一敗北しているオムナスとの対戦。
意気込んではみたものの指輪と孤独の強さを思い知らされ、あれよあれよという間に敗北してしまいました。
今まではファイレクシアの十字軍に頼っていたマッチアップですが、黒黒の捻出への懸念と、ニッサやハーフリングなどのブロッカーも増えたため、完走できるか怪しく不採用としていました。
オムナスに勝つためには、よりコンボに寄せるか、月の大魔術師などのクリティカルなサイドボードを検討すべきだったかもしれません。

こうして1日目のモダンオープンは終了。
2日目は友人と共にチームモダンに参加しました。

チームモダン カード共有の制限なし
トロンおじさん(緑トロン)
筆者(ヨーグモス)
オムナスおじさん(オムナス)

1戦目 ラクドス想起〇〇(チーム勝ち)
2戦目 緑トロン××(チーム負け)
3戦目 クラガンシュート××(チーム負け)
4戦目 続唱サイ××(チーム勝ち)
5戦目 ドメインzoo×〇〇(チーム勝ち)
6戦目 オムナス×〇×(チーム負け)

個人2-4、チーム3-3と大失速。
その後は友人たちとショップのくじ引いたりご飯食べたり。とても楽しかったです。

大会を終えて

そんなこんなで大会を終えて、筆者も色々なものを得られました。
まずは賞金。初めてもらうので、メールや手続きには気を配ろうと思いますが、お金以上にこういった対応の経験も中々出来ることではないのでありがたいですね。

あとはチャンピオンズカップファイナルの出場権利を得ることもできました。いまいちどういった大会なのか良く分からないのですが、今回の調整で知り合った方に「今日会場の向こう側にある檻の中でやってた大会です。勝つとプロツアー行けます」ということを教えていただき、図らずとも次回のプレイヤーズコンベンションでは檻の中に入ることが分かりました。
檻の中ではパイオニアをプレイする玄人が跋扈していることは知っているので、相手プレイヤーやジャッジに迷惑をかけないように、最低限練習をして大会には臨みたいと思います。

改めて、一緒にモダン遊んでくれる友人と、大会前後や対戦した方などに
感謝申し上げます。

おまけ・・・今後のヨーグモスの構築について

この記事を執筆している6/30時点では、既にヨーグモスの新しい構築が、オンラインの大会で結果を残しているようですし、一つの指輪の相場も高騰しているようです。日々新たなことが話題に上がるので、二番煎じになるかもしれませんが、今後のヨーグモスについての雑感をメモに残して置けたらと思います。

①指輪ヨーグモスの登場

https://www.mtggoldfish.com/deck/5697730#paper

ヨーグモスの名手Xerk選手が、指輪物語のカードをふんだんに盛り込んだヨーグモスで、モダンチャレンジを優勝し話題になりました。
それぞれどのカードの枠に採用されているのか見ていきましょう。

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