HALO PMS 魔法少女ストーリー 時女静香

>時女一族は本編では突然現れる追加戦士のような形で登場。
>P-Ⅱ部隊が危機に陥ったところに旭の狙撃と共に現れる。
>読者が彼らの背景が気になり始めたところで語られる。
>プロットが完成した時点で原作の時女静香の魔法少女ストーリーを確認する。

はじまり

人類が当たり前のように宇宙に進出して植民地を築いている時代、時女一族の使命や〈巫〉の存在もつい最近まで既に過去のものとなっていた。

しかし、時女一心流の技や「世の為、人のため」という利他行の精神は残っていた。

時女静香は特殊な背景や歴史のある家で育ったことを除けば普通の中学生だった。一方で他の生徒と異なり、コヴナントに追い詰められていく人類の現状に危機感を持ち卒業後はUNSCの士官学校に入ろうと考えていた。


里の大人たちも、巫や願いを叶える神様の言い伝えをただのおとぎ話だと思い誰も信じていなかった。

しかし、静香は別だった。願いを叶えてくれる小さな神様に出会い、その神様から巫たちの伝説を実際に教えられたのだから。

彼女が神様ーー久兵衛と出会ったのは幼い頃だった。もはや誰も手入れをしなくなり朽ち果てつつあった、久兵衛様を奉っていた神社。そこは静香にとっての遊び場だった。

21世紀から進む少子化で子供の数は日本において非常に少ない、里に居る唯一の子供だった彼女はいつものように一人で遊んでいた。
しかし、そんな彼女に声をかける者があった。

驚いて誰だろう?と周囲を見回してみる。
声からして男の子の様。人気のない場所で声をかけられた怖さより、自分の他にも子供がいるかもしれないことがうれしくなった。
やがて声の主が現れた。

白い体毛にくるまれた小さな体に赤い瞳。猫ともウサギともつかない耳とフェレットみたいな尻尾。見たことも無いその生き物は彼女の頭の中に話しかけてきた。
動物に話しかけられたことに再び驚く静香。その白い生き物はキュゥべぇと名乗った。
彼(?)は自分の素性を彼女に話した。

 出会いから数年の時が過ぎた。キュゥべぇと静香は寝食を共にしながら、彼は静香に様々なことを話した。自分や過去の魔法少女たちの事。

自分たちの役目やかつての巫たちとの関係。人類の現状。幼い静香には分かり難い話もあったが、単純に色々なお話をしてくれるのがうれしかった。

しかし、成長と共に今までぼんやりとしか分からなかった人類の窮状や、今まで枕もとで彼が聞かせてくれる、おとぎ話も程度でしかなかった言葉も人類が如何に追い詰められ、絶望的な状況に置かれているかという深刻な物であることを理解していった。その内容が出会った時以上に深刻さを増していることも。

時が過ぎるごとに彼の言葉は深刻さを帯びてきた。

『静香、人類にはもう猶予が無い!人類の置かれている現状は、君が思っている以上に深刻だ。このままでは、コヴナントは人類をこの宇宙から跡形もなく消し去ってしまうだろう』

やがて彼女は自分が契約し人類を護るために立ち上がらなければならないと考えるようになる。

静香はキュゥべぇと出会ってからの4年間、ひたすら迷い悩んでいた。
「人類を救うために立ち上がらなくてはいけないのは分かる。でも、その為に私は何を願えばいいのだろう?」、と。

聡明で賢い彼女は、幼いながらも、ただ自分が巫=魔法少女(#マギレコ)になるだけで人類をコヴナントの脅威から救うことは出ないと悟っていた。その結果、14歳(数え年で15)になるまで、彼女は契約することなく大志と使命感を宿した少女として過ごすことになる。

学校からの帰り道、静香はいつも通り、彼の話を聞いていた。

せかすような彼に思わず静香は問いかけた。


「でも今はスパルタンたちが戦っているんじゃ?」

『彼らのほとんどはすでに死んでしまっている』

「そんな!?ニュースでは行方不明になっただけだと....」

『それは真実じゃない。君たちの士気を折らないようにあえて事実と違う情報を流してるんだ』

そして、彼女の様々な疑問にも答えた。

モノレールの駅、自分の住む里につながる路線の無人車両に乗り、発車ボタンを押して席に座った時。

ふと静香は疑問に思った。

「久兵衛様。どうしてコヴナントは私たち人類を侵略するんですか?」

『全ての原因は彼らの信じる神にある。静香、コヴナントが最初に人類の前に現れた時の宣戦布告の内容は覚えているかい?』

「もちろんです。何度も報道されてますし、確か”Your destruction is the will of the gods. And We are their instrument"(汝らの滅亡は神の御意思。そして、我らは神の使徒なり)ですね」

『その通りだ』

「まさか、本当に彼らの神様が人類を?」

「いや、そうじゃない。彼らの神が選んだのは彼らではなく、君たち人類だったという事さ、コヴナントは人類を遥かに上まわる科学力を有しているけれど実はそれらは彼らが自前で開発したものじゃない、全て彼らが模倣したものだ。彼らが神と崇める存在の文明の遺産をね」

どういうことなのか分からないという様子の彼女をみて、キュゥべぇは静香のこめかみに触手を当てた。

『見せてあげよう。彼らの言う《神》と人類のかかわりを』

静香はキュゥべぇが何をしようとしているのか分かった。自分に彼の《力》でイメージを頭の中に直接投影してくれるのだ。

彼がかつての巫たちの物語を語って聞かせてくれる時に、一緒に見せてくれたので初めてではない。

彼は、この銀河で起きた壮大な歴史を簡潔に彼女に見せてくれた。

今から10万年前、この銀河には高度な科学力を持った種族が存在した。

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彼らの名は『フォアランナー』、彼らの文明は繁栄を極め銀河全域を支配していた。

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しかし、ある時彼らは突然の不幸に襲われた。〈フラッド〉の侵略だ。

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寄生生物である彼らは知的生命体に取り付き意識や知識を奪って身体を異形の姿に変貌させる。時間が経つと寄生した生物の肉体を床苗にしてさらに増殖するんだ。


フォアランナーはこの生物を撃退しようと戦った。

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しかし、フラッドの繁殖と侵蝕の速さは彼らの対応能力を上回っていた。

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彼らは自分たちの滅亡が近いと悟ると、全てを破壊することを選択した。


フラッドは知的生命体を餌にしその体を苗床にして繁殖する。ならば、その元を断てばいい。彼らは銀河全域の生命体を絶滅させることで感染の元を絶とうとした。

彼らは最終手段として強力な兵器を創り上げた。それが”HALO”だ。

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直径と円周が地球のそれとほぼ同等の巨大なリング型人口惑星。

一度起動すると強力なエネルギーの波動が発生し、半径2万5000光年の知的生命体をフラッドと共に絶滅させることが出来る。このリングは全てで7基建造された。リングで発生した波動は連鎖反応で増幅され、銀河全域をカバーできる破壊力があった。当初の予定道理14基建造されていたら、銀河の遥外側まで影響が及んだだろう。

そこまで聞いて静香思わず口をはさんでしまった。

「でも!そんなことをしてしまったら元も子も......」

『心配することは無い。彼らはその点もしっかり考えていた』

キュゥべぇのイメージと解説は続いた。


HALOが完成し、起動する直前。フォアランナーたちは銀河に住む全種類の知的生命体を一定数確保して、保護し、箱舟に乗せて”HALO”の射程圏外にある人工惑星《アーク》に避難させた。

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そして、この時フォアランナーたちは後継者選びを行った。


自分たちの亡きあと、銀河に遺された自分たちの文明の遺産とマントルーー彼らの信じる「優れた力を持つ者が銀河の秩序を守る使命」を受け継ぐ者を......。

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この時、選ばれたのが君たちの先祖たちだった。フォアランナーは人類に自分たちの遺産を与え、そして人類からいずれ生まれるリクレイマーにマントルの使命を託すと決めた。

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(このイメージは、久兵衛様!?)

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『そうさ、HALOの起動と銀河の知的生命体避難計画ー〈大いなる旅立ち〉の直前、彼らの一人ライブラリアンに助言を求められてね。彼女は君たち魔法少女について僕に尋ねた。彼女は奇跡と希望の力を持つ君たち魔法少女を後継者に選んだんだよ』

静香は何とも言えない胸の高鳴りを覚えた。

幼い頃からずっと一緒にいた、この小さくて可愛らしい神様が。気の遠くなる様なはるか昔に、遠い銀河の彼方で壮大な物語にかかわっていたなんて......。

「やっぱり、久兵衛様はすごいんですね」

『?......やがて、フォアランナーはHALOを起動した。銀河全域に影響が及んだよ』

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『銀河系からフラッドとその餌となる生物が一掃された後、アークに避難させらえていた生物たちは故郷に戻された。一方で、フォアランナーたちは戻らなかった。彼らは君たち人類にすべてを託し、永遠の眠りについたのさ.......』

壮大な物語に言葉の無い静香、しかし、直後に話の本流を思い出す。

コヴナントが人類を狙う理由のところだ。

静香が言葉を発する前に、キュゥべぇは話をつづけた。

『フォアランナーが君たちに残した膨大な遺産ーー彼らの持つテクノロジーや文明の遺物は今でも銀河のどこかに眠っている。もちろん”HALO”もね』

『それらは新たな主人に見つけられるのを待っているはずだった。でも、それを、この星で言う紀元前に先に発見した者たちが居た。それが、サンシューム。君たちがプロフェットと呼ぶ種族だ』

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 静香も聞いたことがあった。実際には見たことが無いが、コヴナントの中でもおそらく政治や文化てにな部門を担う種族とされている。目撃例は非常に少ないもののある星系でUNSCの特殊部隊に暗殺されたケースがある。

『彼らは母星に眠っていたフォアランナーの遺跡を発掘し、それを〈神の恵み〉と思い込んだ。彼らはその技術をコピーすることで発展し、いつしか自分たちが「神」に近づけると思い込んだ。やがて宇宙に進出した彼らは、その盗作と言っても良いテクノロジーによって得た軍事力で多くの種族を支配下に置いた。

 こうして出来たのが宗教連合『コヴナント』だ。

 彼らーープロフェット、そのトップである3人の預言者たちは自分たちこそが神の後継者であり、自分たちに随う限り永遠の命やこの世界における全ての苦痛からの〈救済〉を約束した。

 でも、ある時彼らは気づいてしまったんだ、自分たちが神の後継者ではないことに。

 本当の後継者が誰なのか.......。

 真実が知られればすべてを失う。だから、彼らは消し去ろうとしているんだ、本当の後継者を〈神を冒涜せし者〉ーー彼らの言う『異端者」に仕立て上げてね。

「全てはプロフェット、その予言者たちのエゴのため......。私たちは滅ぼされようとしている?」

憤怒とも、呆れともつかない表情の静香。やがて、哀愁をはらんだ顔になった。

「じゃあ、コヴナントの兵士たちは......騙されて戦っているだけ?」

『意図的に異なる情報を与えて、認識の相違を誘発させる行動を「騙す」と言うならそれで間違いないね。でも、事態はもっと悪い。プロフェットたち自身もその認識の相違や誤りを犯している。彼らは”HALO”の起動こそが本当にすべての生物を救済すると信じ、探している』

「!?と、言うことは.....」

『彼らを放っておけば、人類どころか銀河からすべての生物が消滅してしまう。いった通り、時間がないんだ!なるべく早く願いを決めてほしい』

そうしているうちに、モノレールは里の無人駅に着いていた。


 キュゥべぇの話を聞きながら帰宅。その後、母と一族に伝わる古流剣術《時女一心流》の鍛錬を行う。
しかし、キュゥべぇから聞いた話や自分は何を願うべきなのか?と言ったことに悩むあまり練習には身が入らない。

翌日、学校が休みだったので朝の鍛錬が終えて、勉強にとりかかろうとした時だった。
里に突然2機のUNSCの輸送機/降下艇TC⁻77ペリカンが降り立った。

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突然の軍用機の来訪に騒然となる里。

輸送機から降りてきたのは情報局所属を意味する

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 黒いUNSC海軍の制服を着た50代手前の男だった。人種は東洋系‐日本人。袖の階級章は金糸の太い帯の上に細帯2本=中将

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静香はそれが誰か知っていた。
神子柴一清。かつて、時女一族の神官を務めたといわれ、現在でもこの里で惰性的に村長を続けている神子柴家の一人息子で、ずっと昔に里を飛び出した男だった。今でも彼の母親が里に住んでいるのだが、がめつくて有名。静香も良い感情を持っていなかった。

輸送機からは彼の取り巻きと思われる情報局の下級将校たちや情報局直轄の黒い迷彩服にUNSC軍制式のボディアーマーとヘルメットを付けM5自動小銃を持った物々しい装いの憲兵たちが降りてきた。

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そこへ、本人の母親がやって来た。

「一清!飛び出して一向に帰って来んと思ったら、何の騒ぎじゃ、いったいこれは!?」

一応村長らしく、食って掛かるが一清は一向に気にした様子は無い。
母親がこれなら子も子と言う事か、一応村の長を相手にしているとは思えない不遜な態度で制服の左右のポケットに手を突っ込み葉巻とジッポライターを取り出すとそれを加えて火をつけ始めた。
一息吸ってから紫煙を吐き、ようやく口を開いた。

「何、ちょっとした調査さ。仕事だよ、仕事」
「調査じゃと?」
「そう、ちょっとここの神社をウチの第3局が調べててね、それで来たんだ」
「何を勝手な!帰れっ!!あそこは神のお使い久兵衛様を奉る神聖な場所じゃ!!よそ者や家を飛び出した親不孝者を入れるのはまかりならん!!」

それを聴いていて静香は思った。
よく言うわよ、今までお金にもならないからってずっとほったらかしてた癖に……。

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 すると、一清は制服のポケットをまさぐり何か取り出した。

 まあまあ、久しぶりに会ったんだしこれでも......。と言って神子柴母にそれを手渡した。ちらりと見えたが、それは電子通貨のカードだった表面に書かれた額はよく見えなかったがゼロの数から見ておそらく数千万円。

 しばらくそれを見ていた神子柴母は、先ほどと一転して表情をほころばせると

「良く帰って来たのぉ、倅”せがれ”よ。そうかお国の為、人類の為なら仕方ないの。こんな田舎のさびれた神社。そんなものでも役に立つならぜひ調べておくれ」

さっきまで「神聖な場所」とか言ってたのをあっさり『寂”さびれ”た田舎神社』と言いやがった。

変わり身の激しさに唖然とする静香と村人一同。

 取り巻きの士官たちに顎で指示し、神社まで行かせた後。神子柴中将は今度は静香と彼女の母親のところにやって来た。

 士官たちが神社を調べる傍らで、神子柴中将は静香の家に上がり込むと、静かに問いかけた。彼は、彼女が卒業後はUNSCの軍事アカデミーに入学しようとしていることを知っていた。そんな彼女に神子柴は「もっと手っ取り早く人類の為に戦う方法がある。それを手伝ってみないか?」と問いかける。

 驚いたことに、この男は静香がキュゥべぇから訊いた魔法少女の話を知っていた。同席していた母は、まさか海軍中将にまでなっている神子柴家の一人息子が迷信を信じていることに驚いていたが、彼は確信していた。そして、静香もそれを否定しなかった。

 

兵士になるための訓練


契約して巫となった時女静香。その後、同じ時女一族の血を引く分家の娘 土岐すなお や 広江ちはる、そして三浦旭と合流する。

彼女らはそのまま兵士として必用な教育を受けるために、UNSC地上軍極東方面軍のキャンプ・ナラシノに移動させられる。

彼女らの訓練を担当することになったのは二人のODST隊員(ヘル・ジャンパー)だった。

元パイロットで爆発物のプロであるダッチと、

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少年のような風貌だがかつてアーク惑星群最強の狙撃手と言われ、人類の中でも数少ないプロフェットの殺害戦果を持つオブライエンだ。

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(自分たちが訓練すると言う新兵が全員女子供なのを見て)

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オブライエン
「すみません。ご親族の体験入隊だったら他のとこ当ってくれませんか?俺ら忙しいんで」

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(4人全員を目の前で変身させた上、目の前で体力テスト及びアスレチック。人間離れした身体能力を見せつける)

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神子柴
「驚いたかね?彼女たちは、私が主任を勤めているプロジェクトで進められている、新しいコンセプトの超人兵士たちだ。彼女らはスパルタンに次ぐ新しい人類の希望なのだよ」

「スパルタン......」 

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オブライエンの脳裏にあの時の光景が蘇る。

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(このオッサン。伊達に情報局の中将を名乗ってないな、俺の過去もリサーチ済みか)

「分りました」

「うむ?」

先程の慇懃無礼な態度と打って変わって、オブライエンは直立不動の姿勢をとり敬礼した。

「コナン・オブライエン3等軍曹。これより訓練教官の任に就きます!」

「いいのか?オブライエン‼︎」
ダッチがやや驚きつつも心配そうな様子で訪ねてきた。

「ああ」
それ以上何も答えない。うまく言葉にできないが、彼はかき立てられたのだろう。

「そうかやってくれるか!ぜひ君たちヘル・ジャンパーの技術の全てを叩き込んでくれたまえ‼︎」

当初こそは、「お偉いさんの気まぐれ」と乗り気でなかったダッチとオブライエン。しかし、静香たちの身体能力。そして、彼女たちが「スパルタンに代わる新しい超人兵士」という説明を聞き、何かのスイッチが入った。

オブライエンは若いながらもODSTとして自分が習得した戦闘技術と経験のすべてを彼女たちに叩き込んだ。
そして、何よりも自信の経験則から「後ろには必ず注意しろ!」と教えた。

 彼女らの訓練をしていて面食らうことがたくさんあった。魔法少女の力もそうだが、何より信じられなかったのは訓練のための人員が自分たちを含めて極めて少なかったことだった。教官は自分たち2人だけ、おまけに格闘術の教官と医療スタッフはなんと訓練生の身内=静香と ちはる の母親だった。

オブライエン
「なぁ、ダッチ」

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「何だ?」

「俺たちとんでもなくやばい計画に巻き込まれてるんじゃないか?」

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「今更それを言うか?」

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ちなみに格闘術の教官を引き受けた静香の母親と手合わせした直後は。

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「あのおばさんほんとに普通の人間かよ?」

 彼らが静香たちに施した訓練の内容は海兵隊員がブートキャンプで教える基本的な事柄。例えば敬礼や更新の作法の他、武器の取り扱いに関する訓練――地球軍の制式小銃であるミシュラン兵器工廠製M5アサルトライフルの分解結合やナイフなどの原始的な武器の使い方。

 そして行軍やGPSの使えない場合による紙の地図と磁石式のアナログコンパスを使ったナビゲーションと行軍。

 衛生兵がいない状況における応急処置や、食糧調達などのサバイバル(この辺は旭の成績が優秀だった)。

 時女一心流とは異なる軍隊格闘。

 兵士としての技術を磨くことに訓練は重点を置かれ、体力錬成は行われなかった。

 座学は新兵教育専用のAIが行ったが、場合によっては神子柴が直々に執り行うこともあった。

 閑話休題 特別な任務と訓練

ODSTの任務は軌道降下による強襲もしくは敵地後方への浸透、破壊工作や偵察だが他にも意外な任務に就くことがある。
20世紀の後半、第二次大戦以降。戦後も残った各国の特殊部隊は軍事的な作戦以外にも対テロ・反乱作戦として諜報員や工作員、探偵や捜査官の様な任務を担うことが増えた。
世界中の特殊部隊を統合して組織されたODSTは当然こうした任務を遂行する能力を吸収し、かつて反乱軍と討伐が主任務だった頃はONIの指導の下、この手の作戦が頻繁に行われた。
この日、静香たちは今まで毛色の違った訓練を受けることになる。すなわち民間人を装った標的の追跡と情報収集だった。
対象はONI日本支部がマークしている反政府グループのメンバー。一通りレクチャーを受けた後、彼を尾行してその立ち寄り場所や拠点を調べてくるという実践訓練を行わせられる。

初陣 敵もまた......


やがて全ての訓練を終えた時女一族の一同。
魔法少女部隊の本隊が居るという惑星N4に神子柴の引率の下出撃することになった。
この前後で、神子柴からソウルジェムの真実と魔女化について説明される。しかし、それを克服するシステムがN4の研究施設にあることも。
それを完成まで守り、回収するために出撃すると説明された。なお、彼女らの監督や現場指揮の為オブライアンは引き続き同行することになる。N4に向かうため、静香たちは航宙駆逐艦《丹陽》に乗り込んだ。
順調に航行を続ける駆逐艦《丹陽》だったが、N14まであと1歩と言うところで付近を哨戒中だったコヴナント宇宙軍の駆逐艦に捕捉されてしまう。

 当のコヴナント艦の艦長、チャムカ・ヴァダミーはコヴナント宇宙軍でも機影の提督ゼル・ヴァダミーの近縁に当たる将校だった。叔父のゼルと違い、人類の最重要戦略惑星ではなく、辺境に取り残された植民星の攻略に投じられたことを不満に思っていたがそれでも一族の名に恥じぬ働きをしようと務めていた。そんな時、警戒網を抜けて一隻の人間の軍艦がやって来たのだ。 

 チャムカはこの小型艦がどこから来たのか考えた。何にしろこの艦は自分たちのまだ知らない惑星から来たに違いない。もしかすると、それは人間たちの母星かもしれない。ならば、ここでもし拿捕できれば情報を得ることが出来、自分は間違いなく叔父上に劣らない軍功を挙げられる。

チャムカの駆逐艦の存在は、すでに丹陽も気づいていた。レーダーはしっかりと艦影をとらえていたが火器の射程外、最悪なことに敵にとっても条件が同じではなかった。

兵員室区画で、旭は静香に説明した。

「コヴナントのテクノロジーは、われわれ人類の上を行っています。航行技術についても同じです、きわめて正確なスリップスペースジャンプが可能で、その気になれば我らの艦の真後ろや、すぐ目の前に出ることも出来るでしょう」

旭の言葉通り、コヴナント艦は丹陽――彼女のすぐ真後ろに出現した。


「対艦核ミサイル、全弾消耗!」
「MAC(電磁リコイル)ガンの充填まだか?」
「待ってください!もう少し…..」
直後に被弾、艦が激しく揺れる。
「緊急事態!MACガン破損。撃てません‼」
「エンジン大破!出力及び速度低下。光速航行不能‼」
応戦しながら逃げるも性能差で歯が立たず武装をすべて破壊され中破、完全に追いつかれてしまう。艦長のリーシャン中佐はコール・プロトコル――コヴナントに発見された宇宙船は決して地球方面に逃走してはならない。万が一コヴナントに見つかって逃げられないようなら地球の情報を護るために自爆すること――に従いコヴナント艦ともども自沈しようとするが、起爆スイッチを押そうとしたところで神子柴が止めた。「まだ良い手があるぞ、艦長」
コヴナントはまるで古代から近世の海戦のように、敵艦への乗船戦闘を試みる場合が多い。敵はなるべくこの船を無傷で捕えたいはず、ならばそこにつけこめばいい。すなわち敵が船を接舷し兵士を後こませてきたところでこちらから逆襲をかけ白兵戦に持ち込み、逆に敵艦をハイジャックしようというのだ。
「無茶だそんなの!」
当然反対する艦長。
しかし、神子柴は押し切った。最終的には敵を乗船させて、ブリッジまで迫られたところで自爆すればいいということで妥協。作戦を実行に移させる。
 せかく、今まで訓練を積んでいざ実戦と言うときに自爆。こんなことって……。と落胆(?)していた静香たち。しかし、そこへ神子柴から上記の作戦を提案される。
 オブライアンは艦長同様「なんつー無茶な作戦…….」と呆れていたが、神子柴は本気だったし、静香もこんなところで宇宙の塵になるくらいなら。と、賛成した。これを見たオブライエンも半ばやけくそながらも兵士としての本能に従い同意。

 尤も、御子柴中将の作戦を実行するにはいくつかの手順を踏む必要があり、また敵の動きにかけるところも多かった。
前提として、敵が艦を直接接舷してくれなければならない。

 やはりというべきか、コヴナント艦はまず最初に強襲艇(ゾディアック)を放ってきた。
 幸いにも、丹陽の近接防空火器は生きていたのでこれを迎撃。すると、しばらくして強襲艇は来なかった。
 こちらがまだ余力を残しており強襲艇での乗船戦闘は危険と判断したか、もしくは強襲艇をすべて墜とされたのかも知れない。
ここからだった。
 敵が艦の拿捕をあきらめてさらに攻撃を再開すれば命はない。しかし、それはそれでコール議定書の内容を守ることにつながる。
様子を見ていると、コヴナント艦はこちらに接近してきた。どうやら期待通り接舷して強襲するつもりらしい。

 リーシャン中佐は青い顔をしていたが、神子柴中将と静香たちにとっては期待通りだった。

 コヴナント艦が艦の左舷、脱出艇の射出口にやって来たかと思うと、突然通信を送ってきた。

 内容はこうだった。

『人類よ、無駄な抵抗をやめて降伏せよ』

驚いたことに、降伏を勧告してきた。
 しかし、神子柴も艦長も当然それを信用しなかった。彼らは捕虜を取らない。大方、こちらを油断させてから艦を拿捕し目的がすんだら皆殺しにするつもりだろう。

 艦長は何とか気の聞いた返事を返してやろうと思ったが、神子柴が勝手に通信士を押しのけてコンソール前に座ると、勧告同様に英語で返してやった。

『バカめ、船が欲しけりゃ力づくで奪ってみろ 』

コヴナントは強引に接舷すると、脱出艇の発進ゲートにエアロック通路を延して繫いだ。

 コヴナントがつないだ脱出艇のゲート前に海兵隊と臨検用の武装を整えた水兵たちが集結。敵の強襲部隊第一陣を迎え撃つ彼らの戦列の後ろに完全武装のオブライエンと静香たちが待機した。

コヴナントの乗船戦闘部隊の先鋒は、強力なシールドを装備したウルトラ・クラスのエリートだった。

 エアロックから艦内に飛び込んできた、エリートの上級戦士。かなり分厚いシールドをアーマーに纏っているせいで、海兵隊や水兵たちの銃撃にもひるまず倒せない。
 シールドが消える前に突撃され、海兵隊と水兵の隊列を切り崩した。体制を崩したのを見計らってグラントやジャッカルといった下級種族の戦士が突入してきたが。隊列の背後にいた静香たち魔法少女が前進し食い止めた。」

 静香にとっては初めて本物のコヴナントを間近で見て、対峙した瞬間だった。
 白銀色の鎧をまとったエリート族の戦士は彼女よりはるかに背が高かった。
 (静香が最初に見たエリートの印象)
背が高い、大きい、怖い。

それでも、何とか自分を奮い立たせて斬りかかる。それに巫達も続いた。

エリートの戦士たちは、突然自分たちに挑んできた、今までに見たことがないタイプの人間の戦士に驚いたが、すぐにショックから立ち直りソードを抜いて対峙した。




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