フライヤーはもちろんアウトドアスポーツをする人必読?| SCW の機能強化!

パラグライダーやハングライダーのフライヤー、登山やヨットをする人や、スキー・スノーボードでパウダーを当てたい人等、アウトドアスポーツをする為に日本の気象の数値予測を知りたい方にはおなじみの、気象庁の予測モデルによる日本の天気の数値予測を無料で見られる高解像度の天気予報サイト「SCW / GPV」。

本日、仕事合間の現実逃避に X(旧 Twitter)をパラパラと ROM していたら、 公式アカウントが、サラリと気になる情報をポストしていました。

当方は、パラグライダーのスクール・フライトサイトの管理者です。管理者の立場として、安全運行や業務のオペレーションや予約ハンドリングの判断を目的に、SCW / GPV での気象予測の情報取得とコンディション予想を日々の業務プロセスにルーティンとして組み込んでいます。

この note の文章は、パラグライダーのいちフライヤーとしての立場ではなく、この業務プロセスを変更する必要があるのかを判断するためのフライトサイトの管理者の立場での情報整理を目的として記載していますが、フライヤーをはじめアウトドアスポーツをする方にとって有用な情報となれば幸いだし、気象情報を基にしたコンディション判断の深い議論につながったれしたら嬉しい限りで公開いたします。

なお、SCW / GPV については触ったことがあり、ある程度知っている方に向けた情報という前提で以下の記載をします。

(1) アップデートの概要について

ということで、アナウンスはまだしていないけど、昨年 12月に下記 3つのアップデートがあったらしいのです。

①【広域モデルのアップデート】
②【波浪予報のアップデート】
③【観測値のアップデート】

各内容はリンクした先の公式アカウントの情報をご覧いただくとして、パラグライダーのフライヤーとしては一番気になる ①【広域モデルのアップデート】について、やや深堀りをしたいと思います。

ご存じの通り、SCW では「観測情報」と「予測情報」をグラフィカルに閲覧することがでできます。

「予測情報」については、元々、予測時間の範囲毎に予測モデルを切り替えることができ、それぞれ下記の表にまとめた更新頻度と予測時間の間隔の仕様となっていました(詳しくは SCW の「説明」に記載があります)。で、業務プロセスのなかで、それぞれの気象モデルを同表記載のコンディション予想の用途で使用しています。

$$
\begin{array}{l:l:l:l:l}
番号&予測モデル名&更新頻度&予測時間・間隔&コンディション予想での主な用途\\ \hline
1&広域 264&1回/1日&264時間(11日)先まで1時間間隔&週間予想\\
2&広域&4回/1日&84時間(3.5日)先まで3時間間隔&あまり使用しない\\
3&詳細78&2回/1日&78時間(3.25日)先まで1時間間隔&水曜日~金曜日時点での週末予想\\
4&詳細&8回/1日&39時間(1.625日)先まで1時間間隔&翌日~翌々日の予想(最も使用)\\
5&局地&24回/1日&10時間(0.41日)先まで30分間隔&あまり使用しない(が当日予測)\\
\end{array}
$$

今回、今まで弊社ではあまり使用していなかった、この「2.広域モデル」が、高解像度(解像度が4倍)となり1時間間隔での予測とアップデートされ、アップデートを公開する前の令和3年にアップデート版とその前の予測誤差の検証をしたところ、改善が見られたということのようです。

※ パラグライダーで必要とする気象情報の収集が目的なので SCW のなかで主に「雨量・雲量」と「気圧・風速」の予測を見る訳ですが、SCW の場合、あくまでも地表面の「気圧・風速」予測となるため、重要な上空の「気圧・風速」については GPV 含めて他の予測情報で補完します。

※今回のアップデート内容のうち、ぱっと見「高解像度」というのが咀嚼できなかったのですが(「予測のメッシュ範囲のこと?」と思いましたが)、画面上表示する日本地図と予測のグラフィックの解像度ということのようです

※「5.局地モデル」で 10時間先までの予測を見るには、有料会員となる必要があります

(2)コンディション予測の業務プロセスの変更は必要か?(このアップデート、何かに生かせるのか?)

うーん、予測間隔が3時間から 1時間になり予測精度があがっても、コンディション予測の業務プロセスの変更は必要ないし、となると、これまで同様にあまり使用しないので高解像度化も弊社では活用用途がないような気がいたします。「3.詳細 78」をみてしまうような。

が、強いて言うと、週半ばの水曜日~金曜日により広いスケールでグラフィカルにみて週末の全体トレンドを把握したい場合には有用なのかもしれません。

けど、気象予報士的な知識がない素人には咀嚼が難しくなるので全体トレンドの把握はそもそも SCW を使わず短期予報解説資料や府県天気予報のテキストでの解説を重視するし、SCW はあくまでも地表面の予測だからなぁという感覚でございます…

こうやって使っている、こう使えそうという方がいればお聞きしてみたい限りです。と、そもそも管理者の立場・フライヤーの立場に限らず、競技に関わらず気象情報からのコンディション予測をどのように行っているか抜本的な議論がしてみたい。先日、某日本のパラグライダーのレジェンドパイロットの方に「B/S比こうやって使っていて、故に鉛直P速はこういう理解をしている」的な趣旨のお話を聞けて、目からウロコがぽろぽろ楽しかったです。

(3) その他

これまであまり意識をしたことがありませんでしたが、SCW の「観測情報」って有料会員だと 7日前から最新情報まで見ることができるのですね。(無料だと 9時間~3時間前までに制限)

今回の ③【観測値のアップデート】は下記の通り。

管理者の立場でみると、スクール・エリアとしてログが取得できる気象観測機器を備えていない場合、リスク管理の観点で、インシデント発生時の気象判断や実体を証明することのできる情報の 1つとして覚えておいてよいような気がします。

取得できるのは、「運形」「雲量」「風向・風速」「気温」と「衛星画像」。

「あくまでも 30分間隔」で「あくまでも地表面」だし、「実測ではなく、気象庁の観測所の気象計測機器で計測したアメダス・プロファイラ情報を初期値として補正をしており、観測所から遠くなるほど実体からの誤差は大きくなる」ということにますが、今回のアップデートにより「風向・風速」と 「気温」は 30分間隔の表示となり、解像度が約 6倍向上したようです。

気象庁の観測所が近くにない場合や、仮に近くにあっても、気象庁 HP での観測所のアメダス・プロファイラ情報は原則 1時間単位での情報掲示なので、これよりはインシデント発生時間に近い、比較的には場所・時間ともに有用性の高いログであり、なにより、有料会員となった場合でも自前でログ取得可能な気象観測機器を備えるよりコストは段違いに安価ですみます。

と、1フライヤーの立場で考えると、特に「運形」「雲量」、と「風向・風速」はフライトを振り返る際の情報として有用な気がいたします。

今回は、以上です。はい、タイトルほど大した内容ではございませんでした。スミマセヌ。

パラグライダーに係る立場だと、SCW の「予測情報」のなかでは「5.局地モデル」が 24時間先までの予測にアップデートしてくれるととってもう嬉しいんだろうなぁとユーザーデマンドを予測いたします。

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