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Don't Look Back in Madness


『ルックバック』作品内に不適切な表現があるとの指摘を読者の方からいただきまし​た。
熟慮の結果、​作中の描写が偏見や差別の助長につながることは避けたいと考え、​一部修正しました。

少年ジャンプ+編集部 (ツイッターより引用)

ルックバックであるシーンが修正された。殺人おじさんの描写が統合失調症を思わせ、差別を助長するとの名目で。このシーンは俺にとってフックであり、統合失調症患者でかつ表現の自由戦士でもある俺は、これについて語っていく必要があると思っている。統合失調症の患者ではあるが、これは一個人の意見であり、誰かの意見を代表するものでも総意でもないことを留意してほしい。

はじめに 患者としての俺

今から15年以上前の2004年の2月、狂気が暴走し、レストランに駐車している車を叩いて回ったのが急性期の症状、警察に捕まり、精神病院2件で鑑定、即入院した(事件としては不起訴処分)、以来、毎日薬を飲んで定期的に通院している。現在オランザピン5mg一日一錠と少なく、再入院もしていないのでほぼ寛解と言っていいかもしれない。

詳しい急性期の記憶はブログにまとめてあるので、興味ある方は御覧ください。


ハンマーおじさんは誰だったのか

ルックバック劇中に挿入される殺人鬼、ここではハンマーおじさんと呼ぶ。モデルとなった事件は京アニ事件であり、修正前のハンマーおじさんの病症は統合失調症と推測されるがどちらも明言されてないことに留意してほしい。(明言されてない京アニと精神病者をつなげて差別とするのは問題がある)

ハンマーおじさんは成り得た俺だったかもしれない、成り得た藤本タツキの一つの形だったかもしれない。 

おれは統合失調症から運良く社会復帰したが、ひきこもりで、くすぶって、社会を逆恨みしてそしてこんな事件を起こしてもおかしくなかった。

藤本タツキも誰かに盗作されたとか言われてたみたいだが、成功していなかったら彼/彼女自身もそういうことを言ってくすぶっていたかもしれない。

ハンマーおじさんは藤野/京本/タツキの成り得た未来であり俺であり、物語に欠かせない最大のフックの一つである。


統合失調症とは

統合失調症を治すこととは、そういう「俺のことを言ってるかもしれない」から離れることである。誰かが俺のことを言っている、それは幻想で幻覚で幻聴で、それを薬で抑えてなんとか仮初の日常をおくってゆく永遠の試みだ。

狂っている瞬間(急性期)、それはインパクトがあるし統合失調症のイメージとして大きな部分があると思うが、患者はそれよりもずっとずっと長い時間薬を飲んで症状を抑える時間を過ごしている。

上記ツイートにも患者らしきひとがリプライしていたが、そういうひとがいても「急性期」なんだな、とそっとしてほしい。(俺もあなたのそのツイートが差別を助長するんですよといいたかったが #この指止めた #しかしnoteは止まらない)


日本人は差別を隠蔽する

俺は、ルックバックのあの描写が差別を助長するという批判はあっていいと思う、なぜなら話題になれば、京アニ事件の犯人(容疑者)が統合失調症ではないこと、統合失調症急性期の殺人事件はほぼ起きていないこと等、多少なりとも統合失調症への理解、認知が深まるからだ。

だがクレームによって描写が改変/隠蔽されることは歓迎しない。統合失調症は面倒な存在として表現の場から消えてしまったら、統合失調症への理解が深まるだろうか?日本の表現の場はそういう被差別民、用語を隠蔽してきたが、差別はなくなったのだろうか?精神分裂病から統合失調症へ用語は変わったがそんなものでは差別はなくならない。認知、理解されるためには隠蔽されてはならないのだ。「差別はアリだし、差別と戦うのもアリ」、(呉智英の言葉だったかな)そういう社会であってほしい。

8月3日タイトル修正 taitoru gosuperu dattanode teiseishimashita tehepero

8月4日タイトルまだ誤字ってたので修正。この辺が精神病らしい?

関連リンク 


9月5日追記 9月3日に発売された単行本版は初公開版に近い方向に再度修正されていた。初公開版が「問題ある表現だった」というスティグマを与えてしまうものの、一度目の修正版に比べおじさんが誰だったのかという当記事観点で良くなっていると思う。

公開されてない版が、単行本化されているということで一度二度読んだ人にも購買意欲を与えることにもなるし。

発売日までの短い期間での再変更、ありがとうございました。(了)

単行本発売日修正







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