サラリーマン人生の成果評価と昇格レースについて思うこと-2-

かなり間が空いてしまいましたが、前回の「成果評価」に続いて「昇格レース」について書こうと思います。会社員のキャリア形成としてよく言われてきた「一般社員から管理職への昇格」という価値観は、今の時代相当希薄になって来たとは言え、会社という組織に属しているとまだまだ意識されていると感じます。特に新卒採用の場合、横並びで入った同期の中で昇格する人が出てくる頃になると、なっていない人は焦り始めるケースもよく見かけます。

もちろん同じ時間働くのだったら、金銭的におトクな事も多いし、昔の価値観のままの人は、昇格しているかどうかで人物評価をしてきたりもするので(あれはどうかと思いますが)、未昇格の人が「昇格したい!」と言うのもわかります。でも昔のような「社歴順に」とか「あいつは頑張ってるから」で昇格者を選ぶ時代はもうとっくに終わってると思います。

僕が所属している会社では、昇格する場合は「昇格試験」というものを受けます。そしてそのテストを受けるための資格は、直近2年の成績で一定条件を満たすことです。つまり成果評価と連動していて、上位何人かの中から、所属部署的に「次に昇格させよう」と候補者を選びます。そして成果を評価する時も昇格試験の受験条件を満たす成績をつけるのです。「昇格したいです」と言い続けてる人がいたとしても、評価会議のメンバーの同意が集められないと、その人にはポイントが集まらず候補者にはなれません。

では、その候補者はどのような基準で選んでいるかというと…
1. 管理職としての適性
「優秀かどうか」ではなくまずは「管理ができるかどうか」です。だって「管理する業務」をやることになるんですから当たり前です。業務と勤務の管理、コンプライアンス管理などなど、今の時代「上手くやっておいて」では終われない事が多すぎます。ただその中には「チームのメンバーを束ねられるか」という能力も入ってくるので、そこを「優秀さ」でカバーする人も居れば、「人徳」で置き換える人もいて、何かしらの「得意技」がないと難しいとは思います。(ちなみに「仕事は出来るけどダメ人間すぎて周りが放っておけない」で上手くやっている人もいて、このタイプは全部長の憧れですが、このポジションをゲットできる人はなかなかいません)

2. 昇格させた方が、部署にとってメリットがある
職種によって「何がメリットか」は違うと思うのですが、組織というのはやっぱり打算的です。「太いクライアントをがっちりと握っているか」「広告賞をバンバン取って、社の広告塔になってくれるか」などなどビジネスに直結するものがもちろんその筆頭です。他にも「他の社員に『自分も!』と思わせてモチベーションアップが狙えるケース」や「交渉相手と同等の地位にして優位に進めたい」「女性の比率を上げないといけないから、この2人の力が平等なら女性」みたいのもあるかもしれません。他にも「責任を取らせるための昇格」というものあります。

僕の場合は完全にこの「責任を取らせる」ルートだったように思います。時代と合わなくなっていたあるプロジェクトの大改革案を求められて、いつもの気楽な気持ちで企画書を出して通ったまではよかったのですが、その改革を実行するために昇格するハメになりました。「え、僕は企画が専門なので、実装はもちろんお手伝いはしますけど、もっと実行力のある人がいるのでは…」と完全に逃げ腰だったのですが、取り囲まれて逃げ道を潰された形になりました。これも「部署にとってのメリット」のひとつですね。

思うに、大体の昇格候補はこの2つの総合的な判断で選ばれているように感じています。「昇格の有無」は100%イコールで「優秀さ」とは言い切れないし、「タイミング」や「部署の状況」「会社がその時求めているもの」…そしてやっぱり「適正と合った業務をしているか」なのではないでしょうか。

昇格するのがいいのかどうかは、もう人によって180度答えが逆になると思いますが、「昇格したい! したいのになれていない!」という方は、会社や部署が「昇格者に何を求めているのか」を分析してみるのが良いと思います。こういう事って、一般社員の時には法則が実感としてわからない事が多いので、評価と同様に、やはり戦略が必要だと思います。(目指す人、頑張ってください)そして、昇格を機にメンタルを壊す人が多いというのも、よくある話みたいです。僕は大丈夫でしたが、それはそれでわかる気がしますね。

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