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クラシックギターの調弦考察,その2

さて、基本的な話はその1でも紹介させて貰ったので、今回は実用的な話と
あるギタリストはこんな事を調弦で工夫していたというお話を。

レ弦にする時、ミ弦に戻すときのコツ

まず、クラシックギターで一番頻繁に調弦を変えるのはやはり⑥弦でしょう。⑥=Dにしたり⑥=Eに戻したりとこの度にしばらくは調弦の微調整が必要なのも事実です。私は生徒や大学のクラブでこの所謂ミ弦からレ弦にする時には物理の慣性で必ず元のピッチに戻りたがる傾向があるから、チューナーの目盛りで1~2目盛りを低めにする。こうすると弦のピッチが上がって来ても少しは安心。逆に良くないのはレ弦に落として目いっぱい高めにチューニングをしてしまう。その時には気持ちよくても曲の最後ではうんと上がっていてガッカリ!なんてことも。
今度はレ弦からミ弦に戻すときには必ず少し下がるので、少し高めに調弦しておくと曲の最後まで何とか凌げます。

調弦自体を上げて止めるか?下げて止めるか?

これは⑥だけに限らずすべての弦に当てはまりますが、糸巻きを巻いて
その丁度良い音程の場所で上げて止めるか、?行きすぎたら少し下げて止めるか?これは私個人は弦楽器すべての人で下げて止める人は見たことがありません。ギターの愛好家ですとたまにいますね。という訳で正解は勿論
必要な音程の高さには必ず上げて行きあったら止めます。行き過ぎて高くなりすぎたら、必ず少し低めにしてから、もう一度上げて行き合わせて止めます。これは糸巻きの構造上も言える事で、巻き上げてジャストそこで止まる構造ですので、下げて止める事はあまりお勧めできません。

調弦の小技集

ギタリストによっては下がった状態に慣れさせるために弦を右手でつかんで
少し引っ張る方もよく見かけます。ただし、これはミ弦~レ弦は多少有効なようですが、レ弦からミ弦に上げる時には何度も行っていると(その都度ピッチが下がるので)楽器も心配になります。
その他の面白い調弦の小技は少しピッチを上げたいときに、糸巻きとナットの間の弦を押して調弦を上げる、または落ち着かせる方もいます。
またあるギタリストは③弦の調弦が難しいので微調整の為にヴァイオリンのアジャスターを糸巻きの蔵の間の3弦に付けて操作している方もいました。

一般的なヴァイオリンのアジャスター

もっと面白い方法は弦を変える時に普通は糸巻きを通したら少し引っ張って弦をねじって巻き込んで上げて行きますが、弦の長さ目いっぱいにゆるゆるに巻いて(糸蔵の中がいっぱいになるほど)こうすると調弦が狂いにくいと力説している方も。勿論これにはエビデンスはありませんが(糸巻きの中の長さより張られている弦の安定は、適度に演奏するのが一般的です)面白い考え方ですね。
③弦は熱に弱く直ぐに音程が上がりやすい話は前にも書きましたが、
弦を掴んで摩擦熱が起きるようにこすると確かに少しすぐに上がります。
でも、温度が戻ればすぐ元に戻りますよね(笑)

低音弦を全て新しく変えて演奏したい方は

発表会の前に弦を新しくしておきたいが、当日の調弦の安定が不安な方。(流石に近々に①②③弦は変えないでしょうが)④⑤⑥弦を新しく
良い音で弾きたいし、調弦が落ち着くように1週間前に弦交換して毎日弾いてたらボロボロになってしまった!という方は面倒くさいでしょうが、サブのギターに新しい弦を張りこちらでは練習せずに、毎日調弦だけして保存状態に。そして前の晩に本番用のギターに張り替えると新しくて割と落ち着いた弦で弾けます。
でも、近年は持ちの良い状態が続く弦も多く発売されていますので、この問題は大分解消された気もします。
「ハナバッハ・エクスクルシーブ」「サバレス・カンティガプレミアム」など皆様も是非お試しください。




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