忍殺TRPGソロリプレイ間話【シェイディング・ソウル】
◇前置き◇
ドーモ。しかなです。当記事はニンジャスレイヤーTRPGのソロリプレイ……と微妙に関係があるかもしれないテキストとなります。要はダイス産ニンジャたちを取り上げたテキストカラテだ。
今回の主役は、ちょっと前にゾンビーニンジャの育児をしていたディスグレイスです。
ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:5
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:4
【ジツ】:4(カナシバリ・ジツ)
【体力】:6
【精神力】:4
【脚力】:3
【万札】:15
【名声】:5
【余暇】:5
持ち物など:
『★カナシバリ・マスタリー』
オーガニック・スシ
▲バイオサイバネ腕(片腕)
▽吸血バイオ器官
○信心深い
気楽に行ってみよう。よろしくおねがいします。
◇本編な◇
朝! マンション「せなまし」413号室は、久しぶりに活気を取り戻していた。
「ご飯だよー! ご飯だよー!」
「ア、アイエエエ……」
「ちょっと! ブラッディリリー=サン! チェインドッグ=サンのダンボールハウスを叩かないでください!」
7フィートを優に超える真紅のニンジャに、小柄な少女が注意する。妹分……キールバックの物怖じしない様子に、ディスグレイスは目を細めた。どうやらチェインドッグともある程度親しくなっているらしい。よいことだ。
フィアーレスが煎れたチャを啜りながら、ディスグレイスは今日の予定を考える。なにしろ前回の仕事は長期戦だった……挙げ句の果てに同居人が増えたが、まあこれには目を瞑るとしよう。ブラッディリリーのカラテは他の者の模範にもなりうる。
ピポロピポロピロペペー。そんな折、携帯IRCに着信あり。何気ない様子で画面を覗いたディスグレイスは「……げ」思わず渋面を浮かべていた。一通のメッセージ。送り主は……リー先生だった。
◇◆◇◆◇
同日! リー先生の秘密ラボ! 再びこの忌まわしき建物に足を踏み入れることとなったディスグレイスは、出迎えのフブキ・ナハタ女史に案内されラボの深部へと向かっていた。
「こんなすぐに呼びたてるとは……またぞろ実験と選択ですか」
「そう仰らないでくださいな。リー先生がここまで目をかけることなど滅多にありませんのよ」
艶っぽく笑いかけてくるフブキからディスグレイスは視線を逸らす。「ヤメロー! ヤメロー!」スモトリ作業員二人に捕らえられ、どこかに連行されていくソウカイニンジャと目が合いそうになり、慌てて前方へと向き直った。
その視界に見慣れた手術台が飛び込んできたため、彼女は大いにげんなりとした。「ドーゾ!」フブキが笑顔でそれを指し示す。どうやらまた横になれ、ということらしい。
「先生! ディスグレイス=サンがいらっしゃいましたわ」
「やっとかねェ!」
慌ただしくやってきたリー先生にまたげんなりとする。その白衣はいつものようになんらかの薬品と鮮血で濡れていた。手術台の上に寝転がったディスグレイスに手慣れた手つきで装置を取り付けていくフブキに頷きつつ、リー先生はUNIXを起動させる。
「さてディスグレイス=サン! 今回は追加調査に付き合ってもらう!」
「調査? この状況で、ですか」
「ニンジャソウルの鑑定には細心の注意が求められるのだ! いいですか、今回はずばり君のニンジャソウルの格! これを検証する!」
なんとも胡乱なワードが出てきた。どちらにせよもはや身動きの取れなくなったディスグレイスの周囲を、リー先生はぐるぐると回りながら説明を続行!
「前回の試験薬投与によって君のジツは高みへと至った! これは疑いようのない事実! つまり君のソウルは少なくともグレーター級ということになる。ここまではいいかネェ!」
「はぁ」
「しかし、しかしここからが重点! かのゾンビーニンジャ育成実験においてあれだけの成果を上げたのであれば、あるいはアーチ級という可能性すらある! もしそうだとすれば君のソウルには伸び代があるのだ! それを放っておくわけにはいかん!」
「先生、準備完了しましたわ」
「ありがとうフブキ君! では精密検査を開始する!」
ウォウンウォウンウォウウウーン……取りつけられた装置が奇妙な音ともに駆動。ディスグレイスは諦念の境地で鑑定結果を待った。
【ニンジャソウル鑑定】
1d6 → 5 なんとアーチ級
「アアーッ! これは!」
UNIX画面に表示された結果に、リー先生が絶叫! すぐさまディスグレイスの枕元まで駆け寄った彼は彼女の顔を覗き込んだ。息がかかるほどに近く!
「なんたる僥倖! 君! ニンジャとなったときのことは覚えていないのかネェ!?」
「ウワッ、お、覚えてないですよそんなの! なんですか急に!」
「覚えていない! それは損失だネェ! 是非とも思い出してもらわねばならん! フブキ君!」
「ハイ! スタートザーマシーンですわ!」
ガチャン。なにかしらのレバーが引き下ろされる音。ワンワワンワワワワン……ディスグレイスの頭に取りつけられた装置から、先ほどとは違う振動音が響く。ディスグレイスはめまいを覚えた。リー先生がその視界を別の装置で覆い隠す。断続的なフラッシュがニューロンを満たしていく。
10011101001001001「……ドーモ……」001010110011010
そのとき、ディスグレイスの脳裏によぎったのはまだモータルだった頃の記憶だった。飛び降り、赤く染まる視界を覗き込んでくる影。嫌だ。ブッダの元に旅立たせて……
ぞろりと長い髪を波打たせたその影は、金色に輝く瞳で死にゆくモータルを凝視し、アイサツした。
0010010110011111「カドゥル・ニンジャです10011011今日から私はお前だ0011011011110000」「ンアーッ!?」
ガタン! ディスグレイスの体が跳ね、いつの間にか体を縛っていた拘束具に阻まれる!「カドゥル……カドゥル・ニンジャ!」「イヒヒィーッ! やはり名有りのアーチ級ニンジャ! なんたるヒョウタンからオハギ!」リー先生の狂笑も、今の彼女の耳には届かない。
フラッシュバックするモータルの記憶に、ディスグレイスは身悶えする。それを止めたのは、無造作に打ち込まれた鎮静剤であった。
「ウ……ウウ……」
「さて、先の実験薬投与で土台が作られているのが幸いだったネェ。フブキ君、すぐにオペの準備を」
「もちろんですわ」
「心配することはないネェ、ディスグレイス=サン! これよりソウルの力をより引き出せるよう調整する! すぐに馴染むだろう、今はゆっくり休みたまえ!」
声が遠ざかっていく。闇に落ちていく視界の中、ディスグレイスはまたあの金色の眼差しを見たように思った。
『ニンジャソウルの闇』獲得
【暗黒カラテ衝動】判定
1d6 → 5 ソウルの悲鳴
【ジツ】値4につきアーチ級スキルを二つ獲得
『★★★半神的存在』
『★★★不滅』
ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:5(+1)
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:4
【ジツ】:4(カナシバリ・ジツ)
【体力】:11
【精神力】:5 (-1)
【脚力】:3
【万札】:15
【名声】:5
【余暇】:5
持ち物など:
『★カナシバリ・マスタリー』
『★★★半神的存在』
『★★★不滅』
『ニンジャソウルの闇:ソウルの悲鳴』
オーガニック・スシ
▲バイオサイバネ腕(片腕)
▽吸血バイオ器官
○信心深い
◇あとがきな◇
というわけで、今回は掌編だ。『ニンジャの育児』挑戦でソウル鑑定も試したところ、なんとアーチ級になったのでその記録を残すためにこのテキストカラテを書いた。
わりかし裏事情だが、ディスグレイスはモータル時代にはあんまりいい思い出がないので今回のカドゥル・ニンジャを思い出したのはわりと辛かったみたいだよ。かわいそうだね!
さて、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!
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