忍殺TRPGソロリプレイ【ケージ・イン・カースド・チェイン】

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はニンジャスレイヤーTRPGのソロシナリオを遊んだ結果をテキストカラテナイズした読み物……すなわちリプレイ記事と呼ばれるやつです。気軽に読めるよ。

 今回挑戦させていただくソロシナリオは、海中劣=サンの【ニンジャの呪い】です。いつもお世話になっております。


 このソロシナリオは作成直後のニンジャでは難しい難易度というわけで、誰に挑戦してもらおうか悩んでいたのですが……ちょっとシツレイをして、彼女に挑んでもらうことになりました。

ニンジャ名:インヨカ
【カラテ】:6         【体力】:11/11
【ニューロン】:5       【精神力】:11/11
【ワザマエ】:6(+1)       【脚力】:4
【ジツ】:4(カゴ)        【万札】:0
回避ダイス:8

【装備品】:
・ミニバイオアナコンダ×2
 『専用装備(バイオアニマル)』『連続攻撃+1』『近接攻撃リーチ+1』『多腕の拘束』
 『特殊装備スロット4占有』『維持費:万札6』
・パーソナルメンポ(生成)
 【精神力】+4
・伝統的ニンジャ装束(生成)
 【精神力】+3、『回避ダイス』+1

【スキル】:
◉邪悪なサディスト:
『サツバツ!』によってモータル/ニンジャを殺害したとき、【精神力】1回復

★★★半神的存在:
このニンジャの【体力】は【カラテ】+【ニューロン】となる

★★★共振装束生成

 本来は拙作のあるソロシナリオでボス役を務めていたニンジャなのですが……ソロシナリオ後にはソウカイヤに加入したこととなっているため、こうしたミッションを受けることもあるのでしょう。そういうことにしておいてほしい。

 あと、ジツの「カゴ」については自作プラグインのこれを参照ください。


 さて、では行ってみよう。よろしくおねがいします。



◇オープニング◇


 トコロザワ・ピラー。スカウト部門オフィス、執務室。そこには二人のニンジャが向かい合っていた。一人は金糸装束の男。専用デスクに肘をつき、腰を下ろす椅子は高級だ。しかしその機嫌は……こめかみに浮かんだ青筋を見ればわかるように……最悪であった。

 もう一人は特徴の薄い少女。民族風のスカートが目を引くといえば目を引くか。質素な椅子におとなしく座る彼女はしかし、眼前のニンジャの怒りをものともしていないようにも見える。

「こいつらの始末が今回のミッションだ」

 不意に、男が写真を取り出す。三枚だ。少女は目を細め、それぞれに映された人物を見やる。どれも男。どれもニンジャ装束を着用。すなわち、ニンジャ。男、という時点で興味を失いかけていた少女はしかし、写真の中のニンジャ装束にクロスカタナのエンブレムが刻まれていることを見逃しはしなかった。

「……その人たちはソウカイニンジャではないのですか? ソニックブーム=サン」

「だった、だ。先日まではな。……わかるか、インヨカ=サン。エエッ?」

 その言葉、そして視線。籠められた怒気が高まった。金糸装束のニンジャ……ソウカイヤのスカウト部門筆頭、ソニックブームは続けた。抑えたような低い声で。

「このサンシタども、三人まとめて仲良くヌケニンしやがった。しかもふざけたことに、それぞれ別ルートでキョート入りしようとしていやがる。……これの、意味が、わかるか。インヨカ=サン」

「……ええと……ザイバツ、でしたっけ」

「ああそうだ!」

 鈍い音が室内に響き、専用デスクの上の書類やユノミ、そして椅子に座った少女すらもが小さく跳ね上がった。もはや怒りを抑えられなくなったソニックブームが、デスクに拳を打ち付けたのである!

「このクズども、よりによって全員がザイバツに寝返ろうって腹づもりだ! やることはわかってるな、エエッ!? 一人! 残らず! 殺してこい! とっとと行けゴラー!」

「……ハイ、ヨロコンデー」

 インヨカは立ち上がり、深くオジギ。そのまま執務室を後にする。ザイバツ……ザイバツ・シャドーギルドはキョートを本拠とするニンジャ組織であり、ソウカイヤの最大敵対勢力だ。例の三人もスカウトされてソウカイヤ入りした以上、ソニックブームの怒りも頷けようというもの。

 だが、インヨカはそれ以上の関心を持たなかった。ターゲットは所詮男であり、殺せばよい。それでカネと少しばかりの評判が稼げる。それで充分だった。



◇本編開始:一人目◇


『キョート行KR3182便は、定刻通り2時間後に発車ドスエ。パスポートとチケットをお忘れなく9番ゲートまで……』

 ネオサイタマ・ステイション。アナウンス・オイランの声をうっとりと聞きながら、インヨカは構内へ侵入を果たしていた。獲物の一人がシンカンセンを利用しようとする情報があったからである。

 インヨカはぐるりと構内を見渡す。辺りには一面のモータル。時々美味しそうな女に目を奪われそうになりながらも彼女は自制した。昔ならいざ知らず、ソウカイヤに入れられた今そのようなことにうつつを抜かしては後々不利になる。

 インヨカはしめやかにモータルの波へと足を踏み入れた。それだけで彼女の姿は雑踏に溶けこみ、隠れていく。これもまたフーリンカザンである。

選択肢3:【ワザマエ】で地道に探す(難易度NORMAL)
7d6 → 1, 2, 2, 4, 5, 6, 6 成功

 執念深く目を光らせていたインヨカの口角が小さく釣りあがった。たった今、トイレから出てきた小男。襤褸切れめいたニンジャ装束。写真の中で見た男だ。名前はたしか、ノットビリーブ。

 インヨカは雑踏に紛れ、しめやかに接近。こそこそとシンカンセンに乗り込もうとしていた彼の背後に即座に追いつき、その肩を掴んだ。

「スミマセン。行き先が間違っていますよ」

「……エッ? いや、そんなはずは」

「あなたの行き先はジゴクです。ドーモ、ノットビリーブ=サン。ソウカイヤのインヨカです」

「アイエッ!?」

 ノットビリーブはインヨカの手を振り払おうとする。できない。インヨカは静かに彼と立ち位置を入れ替え、シンカンセンの入り口から遠ざけた。ノットビリーブの目に絶望の影が広がる。

「ド、ドーモ。ノットビリーブです。……オ、オタッシャデー!」

 アイサツ終了コンマ5秒後! ノットビリーブは渾身のカラテを振るってインヨカの手を振り払い逃亡開始! インヨカは眉根を寄せた。弱敵。「イヤーッ!」そのまま追跡に移行!

 色つきの風が二筋、ネオサイタマ・ステイションを飛び出していく。それに気づかなかったネオサイタマ市民は幸運であった。ウカツにニンジャのイクサにまきこまれなかったのだから。


◇◆◇◆◇


 ……その数分後。ひと気のない路地裏にて、二人のニンジャの追跡劇は終わった。もはや逃げられぬと覚ったノットビリーブはドゲザし、インヨカの足に縋りつく。

「……み、見逃してくれ! 頼む! 逃げた先からアンタが望むだけのカネを送る!」

 インヨカは答えない。冷たい目で小男を見下ろした彼女はチョップを構え、この吐き気を催すニンジャをカイシャクせんとした。そもそも、殺すべきニンジャはまだ二人いるのだ。

「い、いいのか!? そんなことをして!」

 その哀願のアトモスフィアがやや変わった。そのように感じたインヨカは手を止め、ノットビリーブに視線で先を促した。彼は我が意を得たりとばかりに言葉を並べる!

「俺を殺すと…大変なことになるぞ! お前にとって都合の悪いことになる! だから俺を見逃して」「イヤーッ!」「アバーッ!?」

 一瞬であった。蹴り飛ばされたノットビリーブは路地裏奥の壁に大の字状態で張りつけられ、直後ワン・インチ距離に到達したインヨカに心臓を貫かれたのである!

「……あなた、餌にする価値もないです。とっとと死ね」

「アバッ……フ、フフハハハ。フハハハハハ!」

 血を吐いたノットビリーブが不意に笑い出す。そのアトモスフィアの変化をインヨカは訝しんだ。死にゆくニンジャは凄まじい形相で少女を凝視!

「信じなかったな! 俺を殺したな! 俺を信じなかった! お前はもうオシマイだ! ノロイ! サヨナラ!」

 直後、彼は爆発四散! インヨカは小さく顔を歪めた。ノットビリーブの言葉にではない。爆発四散と同時、自分に降りかかった濁った水に対してだ。嫌悪感も露わに顔をぬぐった彼女は、そのまま路地裏を後にする。殺すべきは、あと二人残っている。

 ……その途中、足がもつれた。彼女は訝しみ、首を振る。自分が予想以上に疲れていることを自覚したからだ。大きく息を吐いてから、インヨカは次なるターゲットの元へと向かった。


◇二人目◇

 

 ネオナリタ空港。シンカンセン以外でキョートに行こうとするならば空路しかありえない。つまり、どちらかのニンジャはここに潜んでいるはず……またも雑踏の中に紛れて探索を行っていたインヨカはそう結論付けた。

 彼女は眉をひそめる。空港は広く、モータルの数もより多い。だからであろうか。先ほどから妙に体が重い。

選択肢3:【ワザマエ】で地道に探す(難易度HARD)
1, 1, 3, 4, 4, 6, 6 成功

 途中、何人か疲れを癒すのに最適な女に目を奪われつつも、インヨカはどうにかターゲットを発見することができた。ラウンジにてコーヒーを飲む、宍色ニンジャ装束の男。追われているとは思えぬ落ち着き払った態度が癪に障った。

「……ドーモ。ペインウェーブ=サン。ソウカイヤのインヨカです」

「おや……ドーモ。インヨカ=サン。ペインウェーブです。その状態……フム、私は二人目と。ツイてないですね」

 アイサツを交わしても、その冷静さは消えなかった。コーヒーを飲み干した彼は、不意にどこかへと歩き始める。インヨカは訝しんだ。逃走のそぶりでない。誘いか。

「三人目に選んでくれれば楽が出来たんですがね。まあ贅沢は言ってられませんか」

 謎めいた呟きとともに空港の外へ。インヨカは一定の距離を保ち、用心深く追跡する。そしてその歩みがひと気のないエプロンに達したそのとき、ペインウェーブは振り返り、無言でカラテを構えたのである!

イクサ開始
【ニューロン】同値のためダイスで順番決定
インヨカ:1d6 → 4
ペインウェーブ:1d6 → 2
先攻インヨカ、後攻ペインウェーブ
ニンジャ名:ペインウェーブ
【カラテ】:3         【体力】:3/3
【ニューロン】:5       【精神力】:6/6
【ワザマエ】:4        【脚力】:2
【ジツ】:2          【万札】:5

【アイテム】:ワラニンギョ(レリック):???

【装備品】:パーソナルメンポ:【精神力】+1

【スキル】:マインドブラスト・ジツ:
「攻撃フェイズ」に【精神力】を1消費し、攻撃の代わりに発動を試みられる(発動難易度:NORMAL)。
成功すると、敵の【精神力】と【体力】に対して1ダメージを与える。(回避難易度:NORMAL)

 「イヤーッ!」まず仕掛けたのはインヨカ! スカートの奥から伸びた長大な影が二つ、ペインウェーブに向かい突き進む!「イヤーッ!」ペインウェーブはこれを側転回避!

「これは……! 奇怪なジツを!」

 ペインウェーブは舌打ちする。彼は既に自分を襲ったものの正体を見抜いていた。それは二体のミニバイオアナコンダ! ミニと呼称されているが、それは野に放たれたバイオアナコンダと比較してのことだ。その体長はなおインヨカの背丈を超えている!

 インヨカも同じく舌打ち。妙な疲労のせいか、コントロールが甘い。彼女に宿るのは強大なヘビミコ・ニンジャのソウル。その力により、インヨカは体内に動物を格納し手足めいて操るジツを得たのだ。今、その集中が乱れている。気に食わなかった。

「ならばそのヘビごと捻じ伏せるまで! イヤーッ!」

 ペインウェーブが両手を突き出す。その目が輝くと同時、唸りを上げて不可視の波が放たれる!「イヤーッ!」インヨカはこれを側転回避!「「SHHH!」」その最中にもミニバイオアナコンダはペインウェーブを襲う!

 「イヤーッ!」ペインウェーブは飛び退き、再度ジツを放つ! インヨカは「イヤーッ!」「SHHH!」ノーモーションで飛んだ!斜め上、ペインウェーブの頭上へと!

「なんだと!?」

 ペインウェーブが初めて動揺の声を漏らす。頭上を仰いだ彼は理解する。インヨカから伸びたミニバイオアナコンダの一頭が格納庫の天井に噛みつき、主人を引きたげたのだ。そして空中で回転するインヨカと目が合う……!「イヤーッ!」「「SHHH!」」「グワーッ!?」

 バイオミニアナコンダがペインウェーブに噛みつき、巻き上げ、絡めとる。その後頭部をインヨカが踏みつけ、そのまま地面へと叩きつけたのだ!「グワーッ……!」ミシミシとペインウェーブの身体が軋む。彼はミニバイオアナコンダの拘束から逃れようとし、それが不可能であることを悟った。

「フ、フフフ。残念残念。やはり運が無い………私も、あなたもね!」

「……戻れ!」

 落ち着き払った言葉に不穏なアトモフスィアを感じ、インヨカは即座に体内へミニバイオアナコンダたちを引き戻す。それと同時、ペインウェーブが最後の力を振り絞り、懐から取り出したドス・ダガーで己の腹をクロスに裂いたのだ。セプクである!

 「サヨナラ!」ペインウェーブは爆発四散! インヨカは顔をしかめた。爆発四散と同時、己に濁った水がかかったのを悟ったからだ。ノットビリーブのときも同じ。偶然とは思えない。

 インヨカは強いて意識を任務に引き戻す。「ウウ」彼女は頭を押さえた。疲労に続き、妙な頭痛がニューロンを苛んでいる。シンカンセンは洗った。空港もこれ以上探しても無駄だろう。では残る一人はどこに? 

 残された時間は少ない。よろめきながらも、インヨカは空港を後にした

『1ターン目』
インヨカ:ミニバイオアナコンダ
(2, 3, 4)(1, 2, 4, 5) 失敗・成功
ペインウェーブ回避
1, 1, 4, 5, 5 成功
ペインウェーブ:マインドブラスト・ジツ
【精神力】6→5
2, 3, 4, 4, 4, 6, 6
インヨカ回避
1, 2, 2, 3, 4, 5, 5

『2ターン目』
インヨカ:ミニバイオアナコンダ
(2, 2, 6)(4, 4, 5, 6)
ペインウェーブ回避
(6, 6)(5, 6, 6)
ペインウェーブ:マインドブラスト・ジツ
【精神力】5→4
2, 2, 2, 3, 5, 6, 6
インヨカ回避
1, 2, 2, 3, 3, 3, 6

アトモフスィア:ハードモード
『3ターン目』
インヨカ:ミニバイオアナコンダ
(1, 1, 5)(1, 1, 5, 5)
ペインウェーブ回避
(2, 3)(1, 2, 3)
回避失敗 【体力】3→1
『拘束』状態へ
ペインウェーブ脱出判定
3, 4, 5
脱出失敗 【体力】1→0 爆発四散!


◇三人目◇


 ネオサイタマ港にたどりついたインヨカは、倉庫に壁によりかかり空を見上げた。重苦しい鈍色の雲の隙間からドクロめいた満月が覗いている。「……ウウ」痛む頭を押さえ、重い身体をなんとか動かす。そうして彼女は最後のターゲット捜索に乗り出した。

 ソウカイヤへの進捗状況報告の際に、海路からのルートの示唆を受けられたのは運が良かった。なんでも一度別の外国に出た後、そこからキョートに入国するのだとか。いわゆる『カッタガエ』と呼ばれる手法であるらしい。

 ……俺を信じなかったな……やはり運がない……「ウウ……」耳鳴りがひどい。うずくまりそうになる身体を気力のみで引きずり、インヨカは目を血走らせて最後の一人を探す。これで最後だ。仕事を終わらせたら、適当なオイランでも探して……いや、やっぱりそのままフートンに入ろう。この状態は異常だ。

選択肢3:【ワザマエ】で地道に探す(難易度ULTRA-HARD)
1, 3, 3, 5, 6, 6, 6 成功

 朦朧とし始めた意識の中、インヨカはようやくとある廃倉庫の中へと足を踏み入れた。この付近の埠頭で所属不明の不審船が出港の準備を整えている様子を発見したからだ。つまり、潜伏するのならばここしかない。

 インヨカはその一角を睨みつける。そこに佇む、まだら模様のニンジャ装束を着た男を。

「……ハァー……そこ。そこにいますね。どうしようもないクズ虫……ドーモ。インヨカです」

「フン。無理せず家に帰っておれば良いものを。ドーモ。ニードルテイルです」

 インヨカはカラテを構えようとし……その足をふらつかせた。もはや疲労は虚脱感へと変わり、頭痛は鐘の音めいてニューロンに痛みを響かせる。ニードルテイルが嘲笑した。

「ククク! ノロイが聞いておるようだな。そんな情けない有様ではチョップも打てまい」

「ノロイ……」

 うわごとめいてインヨカは呟く。ノットビリーブの死に際の絶叫。こちらから教えるまでもなく、自分を『二人目』と判断したペインウェーブ。あの濁った水。彼女は顔をしかめた。

「……あなたがたが、そのようなジツを使うとは……ウウ、前情報にありませんでしたね」

「さるお方より授かったノロイ・ジツよ。我々は死してなお敵対者の肉体と魂を縛る枷となり、味方を援護する」

 ニードルテイルは懐から取り出したものをインヨカへと見せつける。それは謎めいたワラニンギョであった。インヨカはぶつぶつと何事か呟く。その言葉に力はなく、もはやニードルテイルにも聞き取れぬ。

 彼はついで両手の指に指輪をはめ込んだ。ただの指輪ではない。それには鋭い刃がつけられている。

「二人の死は無駄ではなかった。貴様はここで死んでもらう」

ニンジャ名:ニードルテイル
【カラテ】:4         【体力】:6/6
【ニューロン】:4       【精神力】:4/4
【ワザマエ】:3        【脚力】:2
【ジツ】:4          【万札】:5
近接攻撃ダイス:7
回避ダイス  :6

【アイテム】:ワラニンギョ(レリック):???

【装備品】:刃付き指輪×2:
『近接武器』、『二刀流』、『連続攻撃+1』、『ダメージ1』、『射撃不可』、『連続側転難易度+2』、
『戦闘スタイル:精密攻撃/フェイント』
『戦闘スタイル:精密攻撃/フェイント選択時、近接攻撃ダイス+1』

【スキル】:

☆カトン・ジツLV2

●頑強なる肉体

●サソリ・ファイティング・スタイル: 
これは『二刀流』装備時にのみ使用可能な、特殊な『●タツジン(イアイドー)』である。

●ヒサツ・ワザ:サソリ・キック(未熟):
敵の『近接攻撃』への『回避判定』で『カウンターカラテ』に成功し、
なおかつその『回避判定』に出目6が2個以上含まれていた場合、
この『ヒサツ・ワザ』の使用を宣言してもよい(他のカウンターカラテ系のスキル効果は乗せられない)。
この宣言は、敵がこの『カウンターカラテ』に対する『回避判定』を行う前にしておくこと。
使用する場合、この『カウンターカラテ』は敵にD3ダメージを与え、
さらに強烈な脳震盪により戦闘終了まで【ニューロン】と【ワザマエ】に2ダメージを与える。
この特殊な『カウンターカラテ』は『回避難易度:ULTRA-HARD』である。
(未熟のため回避難易度はHARDとなる)

 ニードルテイルは腰を落とし、刃付きの指輪を装着した両腕を前方に構えようとした。これ即ちサソリ・ファイティング・スタイル。サソリ・ニンジャクランが編み出した殺人拳!

 相手は二重のノロイで充分にカラテも震えぬ。それに対して盤石のサソリ・ファイティング・スタイルで迎え撃とうとするニードルテイルの情況は実際適切であった。彼には今の敵のどのようなカラテにも反撃を叩き込む自信がある。

 ……だが、その敵が尋常ならざるカラテの使い手であることまでには想像が及ばなかったのだ。

「「SHHH!」」「なっ、グワーッ!?」

 長大な影が両腕に衝突! 骨が折れる激痛にニードルテイルは目を見開いた。その間にも影はニードルテイルの胴体に巻きつき、拘束!

「ハァーッ……弱敵」

 インヨカがニードルテイルを睨む。その目はノロイに侵され弱々しい。が、尋常ならざる殺意だけがギラギラと輝いていた。

「あなたのご友人は……ウウ……私の足を引っ張るだけ。あなたになにも教えはしなかった。……無駄です。無駄。あなたは思い上がったゴミ屑にすぎない」

「グワッ、グワーッ!?」

「チョップなど打たなくても、私はあなたを殺せます。殺します。殺す。……殺せ!」「「SHHH!」」

 主人の憤怒に呼応し、ニードルテイルを縛った影……二頭のミニバイオアナコンダが威嚇!「い、イヤーッ!」ニードルテイルは苦し紛れに拳を叩きつけようとするも「SHHH!」「グワーッ!?」反対にその手へ噛みつかれ苦悶!

 インヨカは崩れ落ちそうになる身体を支え、スカートの奥から伸ばしたミニバイオアナコンダの制御に集中する。自身の持つカラテを、体内に棲むこのミニバイオアナコンダたちに注ぎ込む!

 「SHHH!」「い、イヤーッ!」「SHHH!」「グワーッ!」「SHHH!」「グワーッ!」「SHHH!」「あ、アバーッ!」

『1ターン目』
インヨカ:ミニバイオアナコンダ
(3, 6, 6)(2, 3, 5, 5) サツバツ!・成功
ニードルテイル回避
(1, 3, 3)(1, 6, 6) 失敗・成功
サツバツ!判定
1d6 → 5「これで手も足も出まい!」
【体力】6→4 【カラテ】4→2 【ワザマエ】3→1
残虐ボーナス【万札】1d6 / 2 → 3/2 → 2獲得
拘束!
ニードルテイル脱出判定
1, 1 失敗 【体力】4→3
ニードルテイル:フェイント
(1, 3, 3)(1, 3, 5) 失敗・成功
インヨカ回避
3, 3, 3, 4, 5, 6 成功(2)
カウンターカラテ! ニードルテイル【体力】3→2

『2ターン目』
インヨカ:ミニバイオアナコンダ
(3, 3, 5)(4, 5, 6, 6) 成功・サツバツ!
ニードルテイル回避
(1, 5)(2, 4) 
ニードルテイル脱出判定
3, 3 失敗 【体力】2→1
ニードルテイル:フェイント
(1, 3, 3)(1, 3, 5)
インヨカ回避
1, 2, 2, 4, 4, 5 

『3ターン目』
インヨカ:ミニバイオアナコンダ
(4, 5, 6)(3, 5, 6, 6) 成功・サツバツ!
ニードルテイル回避
(1, 5)(1, 4)
ニードルテイル脱出判定
2, 5 失敗 【体力】1→0 爆発四散!

 ボキン。鈍い音が倉庫中に響き渡る。インヨカは即座にミニバイオアナコンダを体内に収納、床に落ちてもがくニードルテイルに向け、よろめきながらもカイシャクのスリケンを構える!

「アバーッ……お、おのれ、おのれーッ!」

 だがそのとき、ニードルテイルが匍匐前進開始! 最後の力を振り絞り、インヨカに迫らんとす! ……その眉間にスリケンが突き立った。

「アバーッ! 俺が死んでも! 貴様は助からん! ツーオクロック=サン! 我らの仇を! 恨みを! どうか! ……サヨナラ!」

 ニードルテイルは爆発四散! それと同時に濁った水が撒き散らされる。膝をついたインヨカにもはやそれを避ける気力なし。頭から水を被ったインヨカは、力なく床に崩れ落ちた。

「ハァーッ……ハァーッ……ウウ」

 彼女は霞む視界と震える指に苦戦しつつも、携帯IRCから任務達成のノーティスと救援要請を送る。ようやく終わった。早く帰らなければ。早く。朦朧とする意識の中、彼女はもはや死体めいて動かなかった。

 ……そのスカートの奥からずるりと1匹のミニバイオアナコンダが這い出す。イクサに慣れた個体とは違い、比較的小型のそれは主人の上にとぐろを巻き、来るだろう迎えを待ち続けた。


◇エンディング◇


 ……インヨカは目覚める。視界に飛び込むのは清潔な白い天井。すぐに自分がベッドに寝かされていること、腕や口に得体の知れぬ器具やチューブが取り付けられているために身動きが取れないことを理解する。

『目が覚めやがったか』

 枕元のスピーカーから男の声。ソニックブーム。インヨカはアイサツしようとしたが、諦めた。口を開けるのさえも億劫だった。スピーカー越しの上司は構う様子もなく、淡々と続ける。

『どうやらノロイにかかったらしいな、エエッ? お前が事前に呼んでたニンジャが丁寧に説明してくれたぜ……ヌケニンのクズどもがノロイを使うなんざ記録になかった。今、そこんとこから情報を洗い直してる最中だ。テメェのノロイをどうにかすんのはそれからになる。……今は大人しく寝てやがれ』

 ブツン。スピーカーの電源とともに、会話が打ち切られる。インヨカは朦朧とする意識の中、ニードルテイルの叫んだ名を思い出す。ツーオクロック。……だが、それを伝えることはできない。彼女は眠りに落ちた。深い眠りに。

 ……ずるり。そのスカートから這い出たのは、例の小柄なミニバイオアナコンダだ。するすると医務室の床に降り立ったそれは、インヨカの枕元にまで這い進むと鎌首をもたげ彼女を覗き込んだ。

 ……感受性の強い読者であれば、そのミニバイオアナコンダの瞳に鎮痛な色と確かな知性を感じ取ったやもしれぬ。ミニバイオアナコンダは何事か決心したかのように頷くと、床を這い進みどこかへと消えた。


【ケージ・イン・カースド・チェイン】おわり


◇後書き◇


 というわけで、インヨカは首尾良くヌケニン三人を惨殺。代わりにノロイに侵されてしまったというわけだ。カワイソ!

 報酬は以下のとおりとなる。

A:ヌケニン三人を倒した:【万札:20】【名声:2】【余暇ストック:2日】

 彼女はミニバイオアナコンダの餌代を支払う必要があるため、最終的にはこんな感じだ。

ニンジャ名:インヨカ
【カラテ】:6         【体力】:11/11
【ニューロン】:5       【精神力】:11/11
【ワザマエ】:6(+1)       【脚力】:4
【ジツ】:4(カゴ)        【万札】:16
回避ダイス:8

【特筆事項】:
【名声】:2
【余暇】:2(ストック)

【装備品】:
・ミニバイオアナコンダ×2
 『専用装備(バイオアニマル)』『連続攻撃+1』『近接攻撃リーチ+1』『多腕の拘束』
 『特殊装備スロット4占有』『維持費:万札6』
・パーソナルメンポ(生成)
 【精神力】+4
・伝統的ニンジャ装束(生成)
 【精神力】+3、『回避ダイス』+1

【スキル】:
◉邪悪なサディスト:
『サツバツ!』によってモータル/ニンジャを殺害したとき、【精神力】1回復

★★★半神的存在:
このニンジャの【体力】は【カラテ】+【ニューロン】となる

★★★共振装束生成

 さて、近いうちにノロイを解くソロシナリオにも挑戦することになるだろう。そのときには不審な動きをしていた小型ミニバイオアナコンダも関わってくるかもしれない。

 ではここまで読んでくださった皆様、そして楽しいシナリオを書いてくださった海中劣=サン。ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!




 

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