忍殺TRPGソロシナリオ間話【ルック・アット・ユアセルフ】

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はニンジャスレイヤーTRPGにてソロシナリオを遊んだときの結果……から得られた余暇とかを描く、変則的なリプレイ記事となっております。気軽に読めるのではないか。

 今回は下記シナリオで得た余暇の様子を描きます。

 リアルニンジャのなんらかの陰謀に巻き込まれ、強力なニンジャとの一騎打ちを繰り広げた結果、相当なリターンを得た格好だ。

 で、余暇を描かれるニンジャはこいつです。

画像1

ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:8(+1)       【体力】:15/15
【ニューロン】:6       【精神力】:5/5
【ワザマエ】:4         【脚力】:5
【ジツ】:5(カナシバリ)   【万札】:47
近接攻撃ダイス:9
遠隔攻撃ダイス:4
回避ダイス:9

【特筆事項】:
【名声】:10
【余暇】:5
『ニンジャソウルの闇:ソウルの悲鳴』

【アイテム】
*グレーター・マキモノ・オブ・カラテ・アーツ*

【装備品】:
▲バイオサイバネ腕(片腕)
▽吸血バイオ器官

【スキル】:
●連続攻撃2
★カナシバリ・マスタリー
★★コブラ・ゲン・ジツ
★★★半神的存在:
このニンジャの【体力】は【カラテ】+【ニューロン】となる
★★★不滅
○信心深い

 最近出ずっぱりのディスグレイスだ。育成の方向も定まってきており、今回の余暇もそちらの方面に費やされることとなる。

 ではいってみよう。よろしくおねがいします。



◇余暇1日目◇

 早朝。起床しようとしたディスグレイスは、澄んだ空気の冷たさにのそのそと安らぎフートンの中に戻っていく。リー先生に世話を焼かれてからというもの、こうした寒さが身に染みるようになった気がする。カドゥル・ニンジャとやらも寒さに弱かったのだろうか。

「ン、ン……」

 同じフートンの中から聞こえる苦しげな呻きに、ディスグレイスはくすりと微笑を漏らす。そして遠慮なく呻きの主を抱きしめた。直接伝わってくる温もりが心地よい。

 昨夜はずいぶんと……楽しませてもらった。もとよりジツで弱らせていたとはいえスパルガヌムもやはり油断ならぬニンジャ。夜になって抵抗の兆しを見せたので、念入りに『掃除』をしてしまった。自我を損なわぬように相手を従順にするのは、やはり相当にニューロンを酷使する。

 とはいえディスグレイスとしては自我を破壊する乱暴なやり方は避けたかった。そんなことをしてしまえばせっかくのカラテが損なわれ、ものの役にも立たなくなる。なにより……つまらない。彼女の趣味の一つは、こうしたじゃじゃ馬を屈服させて従わせることなのだ。

(違約分としては充分。しばらくは楽しませてもらいましょう)

 額に口付けし、ディスグレイスは改めて起きあがる。そのバストは豊満であった。彼女は大きく伸びをしてから、傍らに畳んであったユカタを着込む。

「起きなさい、スパルガヌム=サン? 散歩に行きますよ」

 優しく告げる彼女の瞳は、薄暗い部屋の中でもうっすらと輝いていた。


◇◆◇◆◇


SHHHH!」「アイエエエエエエ!?」

 口からヘンゲ器官を伸ばすスパルガヌムを見た男が悲鳴をあげ、へたり込んで失禁! ディスグレイスは周囲に気絶しているテクノ・ピューリタン狙いの強盗たちから手際よくカネを回収していく。

 スパルガヌムを連れたディスグレイスは、「マサシの悟り」にて収集した情報から付近に潜む山賊たちの位置を割り当てた。そして乗り込み、モンド・ムヨーで蹂躙したのだ。スパルガヌムに施した『調律』の確認のために。

「SHHHH……どうする、ディスグレイス=サン。殺すか?」

「ンー……」

 質問を投げかけてくるスパルガヌムの目を、ディスグレイスは静かに見つめる。その目に浮かぶのは命を奪うことに対する執着などではなく、圧倒的な無関心だ。殺すことになろうが、見逃すことになろうが、どちらでもいいのだろう。

 そしてそれはディスグレイスとしても同じである。とはいえ仮にも彼女はソウカイヤに所属するニンジャ。不要にモータルを消費することはないだろう。

「放っておいていいですよ。殺してもカネがもらえるわけじゃなし」

「わかった。SHHH!」「グワーッ!?」

 ヘンゲ器官が男の首に巻きつき、締め落とす。ディスグレイスは笑みを含めた。今回の調整も上々だ。以前のトリプルファイブのように、カラテを損なわずして命令に従わせることができる。こうしたところでも自分のジツの向上を感じるというもの!

「ウフフ……おいで、スパルガヌム=サン」

 その言葉に、スパルガヌムはわずかにためらった。が、結局はヘンゲ器官を口内にしまいこみディスグレイスの元に歩み寄る。ディスグレイスは愛おしげに彼女を見つめた。

「アリガトゴザイマス。わたくしのために……ところで、一つ聞いても?」

「…………なんだ」

「まだ、キセイ・ニンジャ=サンの元に戻りたいですか?」

 少しだけ喉に引っかかる錯覚を覚えながらも、ディスグレイスはなんとかそのニンジャの名を……スパルガヌムが仕えていたあの化け物を口にする。そして目に見えて煩悶する彼女を見守った。楽しさ半分、不安半分で。

「……わ……わからない。あのお方はも、もう……私を必要としていては……」

「……興味本位で聞くのですけれど、どうやってあれと知り合ったのです? 元から探索に勤しんでいたわけでもないでしょうに」

「呼ばれたのだ。夢で……」

 要領を得ない言葉が返ってくる。ディスグレイスは思案した。スパルガヌムに宿るニンジャソウルが、あの化け物に連なるものだったということなのだろうか。……リー先生に話を聞いてみるべきか、と考えた彼女はすぐにその思考を振り払う。面倒ごとしか待っていないのが目に見えていたからだ。

「まあ、あれがあなたを必要としていなくとも……わたくしがいます。ね?」

「ウ、ウム……」

 やや恐れを含んだ視線が返ってくる。ディスグレイスは微笑した。ジツの成果は上々。もう数日もあればもっと従順にできるだろう。そうでなくとも……連れて歩くには充分そうだ。

1日目:モータルハント
【ワザマエ】+【ジツ】=9
1d6 → 4
【万札】9 - 4 = 5獲得
【万札】47 → 52


◇余暇2日目以降◇

 「マサシの悟り」にてオンセンを楽しみ、フートンを同じくしたディスグレイスとスパルガヌムは今ラマの背に揺られていた。川や谷を越え、人の手の入らぬ秘境へと分け入って行く。

 最終的に彼女たちはとある山の頂にテントを張った。然り、テント。買いこんだ食料やハーブの類を見て、ディスグレイスの表情が真剣みを帯びる。一歩のスパルガヌムは訝しげだ。

「……山籠りでもする気か?」

「ええ。その通りです。自然というのはいいものですね。最近になって良さがわかってきた気がします」

 微笑みまじりに返す。冗談と受け止めたのか、スパルガヌムの顔がさらに怪訝になった。目を細めて山頂からの景色を眺めたあと、ディスグレイスは彼女へ向き直る。

「せっかく岡山県まで足を運びましたので、自分と向き合おうかと思っていまして」

「そう、か。それに私が付き合う理由はあったのか……?」

「ありますよ? もしものときのボディーガード。それにジツの実験台。あと気晴らしの相手」

 ディスグレイスの言葉が後半に行けば行くほど、スパルガヌムの顔がなんともいえないものへとなっていく。ディスグレイスはその様を楽しんでいた。抵抗感はあるが、抵抗はできない。そのようにしている。

「心配しなくても、命を奪ったり廃人にしたりするような真似はしませんよ」

「……よく言う。わざわざあのような真似に及んでおいて……!」

「ウフフ! 違約分は人生をかけて償ってくださいね。さ、わたくしはザゼンしていますので。しばらくは好きにしていてください」

 言ってディスグレイスはアグラを組む。スパルガヌムは苛立ちの表情を浮かべ、自身のマスクを剥ぎ取り……数分の声なき苦悶ののち、忌々しげに舌打ちしてマスクをつけ直した。彼女のニューロンはもはや徹底的に洗浄済みであった。


◆◇◆◇◆


 その後数日の間、ディスグレイスは大自然の中で己のソウルと向き合おうとした。時にスパルガヌムが狩ってきたバイオパンダを解体し、時に彼女とともに水浴びし、時に気晴らしに野山を駆け、またザゼンに戻る。

 三日目の夜も、いつものようにテントの中でスパルガヌムと身を寄せ合っていた。違うのはテント内に買いこんだハーブを焚いていたことか。

 だからなのだろう。あのような突拍子もないアイディアを思いついたのは。

「……スパルガヌム=サン。わたくしを見てください」

「な……なんだ、急に」

 スパルガヌムが身を引こうとする。わずかに浮かぶ恐怖心は、キセイ・ニンジャ逃走からその翌日に至るまでの出来事が彼女のニューロンに深い傷を残している故か。一方のディスグレイスは真剣な面持ちで彼女を見つめた。

「逃げないでください、生娘じゃあるまいし。……少し試してみたいことがあるので、あなたの目を借ります」

「借り……?」

 スパルガヌムは訝しむ。その両頬を優しく手で包み込み、ディスグレイスは彼女を覗き込んだ。指先からわずかに伝わる緊張を無視し、一心に瞳を覗き込む。正確には、その瞳に映る自分を。

 ディスグレイスのカナシバリ・ジツは強力であり、一種の催眠作用すらもたらす。故に彼女はこう考えたのだ……己を敢えてジツの影響下に置き、持って自らに宿るソウルを覗き込むことができるのでは、と。危険な賭けであった。

「ア、ア……」

 スパルガヌムの呻きも今の彼女の耳には入らない。ディスグレイスは無心に金の妖光を眺めた。映り込む己の瞳を。その奥にある、力の源たるカドゥル・ニンジャのソウルを。

 一瞬、己ならざる瞳と目が合った。そのように彼女は感じた。そこからはやや記憶が曖昧になる。立ちこめるハーブの煙が作用したものか、幻惑的な風景が目に飛び込んでくる。何十ものニンジャを服従させる、鱗の生えた女の幻影。金色の瞳。その目に映る……赤黒の……

 ディスグレイスは額を抑え後ずさった。いくらなんでも無謀な試みに過ぎたか? 頭を振り、スパルガヌムを見やる。彼女は無事か。失うには惜しい。

 ……が、その目に飛び込んできたのは意外な光景であった。まず、スパルガヌムはいる。どこか恍惚とした表情を浮かべていた。が、これはいい。問題は……その顔を覗き込むミコー装束の女。

(あれは……?)

 まさかと思った。が、見間違えるはずもない。あれは自分の装束だ。すなわち、あそこにいるのは自分。では今それを見ている自分はなんだ? ディスグレイスはよろめく。香炉の火を消さなくては。烟る思考の中、彼女は動いた。ハーブが悪影響を及ぼしている気がする。

 ずるり、と。なんとも言えない感覚が全身を襲った。「……?」ディスグレイスは訝しみ、振り返る。そこにはまだ自分の姿があった。視線をずらす。スパルガヌムを抑えている自分がいる。計三人……

「イヤーッ!」

 ディスグレイスはバイオ触手を振るって香炉をテントの外へ弾き飛ばす! 入れ替わりに吹き込んだ冷たい夜風を浴び、その思考と視界がクリアになった。まったく性質の悪い幻覚を見たものだ! ディスグレイスは渋面を作り、テントへと視線を戻す。二人の『ディスグレイス』と目が合った。

「……!? スパルガヌム=サン! スパルガヌム=サン! 起きてください!」

「ウ……ア……?」

 口の端から涎を垂らしていたスパルガヌムの目が焦点を取り戻す。そしてテントの中を見渡した彼女は……ギョッとした様子で身を引いた。

「な……な!? 貴様、ブンシン・ジツが使えたのか!?」

「エッ!? これあなたにも見えるんですか!?」

「ハァ!?」

 両者は思わず見つめ合う。その横で、二人の『ディスグレイス』が陽炎めいて揺らめき宙へと消えた。ディスグレイスはようやく、先ほどの現象が自分の幻覚などではないことを自覚する。

 ディスグレイスは深呼吸し、目を瞑る。己の中の妖光を見る。横へ動く。なにか薄皮を脱ぎ去ったような奇妙な感覚。恐る恐る目を開き、自分のいた場所を見やる。そこにはまだ『自分』がいた。

 深呼吸し、『自分』へ手を伸ばす。『自分』もまたこちらへ手を伸ばす。触れようとした瞬間、それは陽炎じみて宙へと溶けた。ディスグレイスは……深く、深く嘆息する。

「……バッドトリップかと思ってました。このようなことができるとは」

「まさか、今できるようになったのか? あの思いつきで?」

「そのようです。なにがきっかけになるかわからないものですね……」

 ディスグレイスは深呼吸する。自分のニューロンが無意識のうちに昂ぶっていたことを知り、彼女は苦笑した。改めてスパルガヌムを見下ろす。少し熱を冷ますために付き合ってもらうとしよう。視線の意味に気付いたスパルガヌムがびくりと震えた。ナムアミダブツ。


◇◆◇◆◇


 翌朝! 二人のニンジャはまたラマの背に揺られ、「マサシの悟り」への道のりを戻っていた。ぐったりした様子のスパルガヌムを見やり、ディスグレイスは微笑する。実に晴れやかな気分だった。

ウオーッ!

 そこへ前触れもなく立ちふさがるバイオパンダ! ディスグレイスは目を細め……「カーッ!」その目から一際強い閃光を放つ!「ウ……」その眼光を受けたバイオパンダは硬直し、そのまま横へどうと倒れた。死んだのだ。

「こちらは、まあ……いつもやっていることの延長線上ですしね」

 どことなく自慢げに呟きながらディスグレイスはラマに先を急がせる。岡山県での山籠りはたしかに効果があった。以前よりももっと、ソウルの力を引き出せるようになったのだ。自分でも予想だにしなかった、あのブンシンを含めて。

 疲れた様子のスパルガヌムを見やってさらに笑みを深め、ディスグレイスは進む。ネオサイタマで待つ妹分たちをまた驚かせられるだろうかと、子供じみた思いを馳せながら。

2日目〜5日目:ジツ修行
【万札】52 → 2
1d6 → 5 成功! ゴウランガ!
【ジツ】5 → 6
『★ブンシン・ジツ』『★レッサー・イビルアイ』取得な

【ルック・アット・ユアセルフ】おわり


◇あとがきな◇

 というわけでディスグレイス、ついに【ジツ】6まで到達。彼女はアーチ級であるため、そのさらに上を目指すことができるというわけだ。すっごいカネがかかるからあれだけど……

 余暇を終えたパラメータはこうです。

ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:8(+1)       【体力】:15/15
【ニューロン】:6       【精神力】:5/5
【ワザマエ】:4         【脚力】:5
【ジツ】:6(カナシバリ)   【万札】:47
近接攻撃ダイス:9
遠隔攻撃ダイス:4
回避ダイス:9

【特筆事項】:
【名声】:10
【余暇】:5
『ニンジャソウルの闇:ソウルの悲鳴』

【アイテム】
*グレーター・マキモノ・オブ・カラテ・アーツ*

【装備品】:
▲バイオサイバネ腕(片腕)
▽吸血バイオ器官

【スキル】:
●連続攻撃2
★カナシバリ・マスタリー
★ブンシン・ジツ(Lv3)
★レッサー・イビルアイ
★★コブラ・ゲン・ジツ
★★★半神的存在:
このニンジャの【体力】は【カラテ】+【ニューロン】となる
★★★不滅
○信心深い

 あと今回はなんか……いろいろと際どくなってしまった気もする。まあ生暖かい目で見て欲しい。それではここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!


 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?