忍殺TRPGソロリプレイ【ハウス・オブ・イーヴィル・スピリッツ】#3

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はしかながニンジャスレイヤーTRPGを遊んだ結果をもとに作成したテキストカラテ……いわゆるリプレイと呼ばれるものとなります。気楽に読めるよ。

 そして続き物でもある。前回の話はこちら。

 リビングで現れた謎の羽虫の群れ。そして二階に待ち受けていたアンタイブディズム・ブラックメタリストと囚われの女子大生! そういうところで終わっていた。今回はどうなるか? やってみるとしよう。よろしくおねがいします。



◇イクサ:1ターン目◇

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「イヤーッ!」

 廊下でカラテを構えるエスコートの頭上を飛び越えたディスグレイスは、彼の視線の先を見て眉をひそめた。

「ミコー……?」「ブッダの徒……!」

 眼前に立ち並ぶのはフランベルジュやグレートソードで武装したアンタイブディズム・ブラックメタリストたちだ。ただでさえ剣呑な表情がディスグレイスを見た途端さらに歪む。

 だがそれは彼女にとってどうでもいい。注意を振り向けるべきは、ブラックメタリストたちのさらに後方で腕組みする影だ。ボディスーツめいた黒のニンジャ装束にヤギの頭蓋骨めいたフルフェイスメンポ。すなわち。

「ここにもニンジャ? ドーモ。はじめまして。ディスグレイスです」「エスコートです」

「ドーモ。ディスグレイス=サン、エスコート=サン。ジゴクマサカーです」

◆ブラックメタリスト (種別:モータル)「A」
カラテ		2	体力		2
ニューロン    	2	精神力		2
ワザマエ		2	脚力		2
ジツ		ー	万札		1
							
◇装備や特記事項
 フランベルジュ:『近接武器』、『ダメージ2』、『基本攻撃難易度:HARD』、【カラテ】値の半分で攻撃判定する
 
 『血の狂乱』:
  体力が1になった場合、そのブラックメタリストは狂乱し、『突撃』を使用可能となる。

 『儀式的自傷』:
  自らの胸などにナイフで逆さ鳥居や魔法陣などのパターンを刻み、異常興奮状態に入る。
  手番中に「その他の行動」として自分自身に1ダメージを与えることができる(自動的に成功する)。
◆ジゴクマサカー (種別:ニンジャ)「AL」
カラテ 4 体力 6
ニューロン 6 精神力 6
ワザマエ 4 脚力 2
ジツ 4 万札 5
							
◇装備や特記事項
 トゲ付きメイス(ノダチ読み替え)
 フルフェイス・メンポ
 タクティカルニンジャスーツ

 『★アクマヘンゲ・ジツ』:
 難易度:HARD。発動成功時、一時的に以下のルールを得る
 【カラテ】+3、【ワザマエ】+2、【脚力】+2
 『近接攻撃』ダメージ+1(バイオサイバネ、カタナなどのダメージボーナス合算不可)
 『連続側転』使用不可

 『◉邪悪なサディスト』
 『◉突撃』

 ジゴクマサカーはヤギドクロ・フルフェイスメンポの奥から怒りの眼差しをディスグレイスへと向ける。

「貴様……我が義妹、クロミに何をした」

 ディスグレイスは納得する。どうやらこのニンジャ、先ほどドアで吹き飛ばしたアンタイブディズム・ブラックメタリスト少女の悲鳴をそのニンジャ聴力で捉えていたらしい。それでおっとりガタナで駆けつけたというわけだ。

 ともかくジゴクマサカーの問いかけに、彼女はただ肩を竦めるだけで答えた。経験上、この手の相手に会話は成立しない。カラテでわからせてやる必要がある。

……コロセー!」「「「アアアダブ!」」」

「イヤーッ!」

 ジゴクマサカーの号令に雄叫びをあげるブラックメタリストたちへ、ディスグレイスは無造作に接近! バイオ触手を振るう!

ディスグレイス:バイオサイバネ→A5
(1,5,5,6) A5【体力】2→0 死亡!
ディスグレイス:バイオサイバネ→A6
(1,1,4,4) A6【体力】2→0 死亡!

「「アバーッ!?」」

 最前列ブラックメタリスト二名が荒れ狂う触手に吹き飛ばされ左右壁に激突! そのまま死亡! ジゴクマサカーは低く唸り……その両腕を高く掲げた。

アクマ!」

ジゴクマサカー:アクマヘンゲ・ジツ
【精神力】6→5
(1,1,2,2,2,3,3,3,4,5) なんでこんなギリギリなんだよお前
【カラテ】4→7
【ワザマエ】4→6
【脚力】2→4

 おお、ナムサン……! わずかに露出した手先が青黒く染まり、ナイフめいて鋭い爪が伸びる! さらにその背後から身をもたげたのはヤリめいた形状の長大な尻尾!「イヤーッ!」仲間を飛び越え、ディスグレイスへとジャンプパンチ!

ジゴクマサカー:ヘンゲ
(1,3,4,4,4,5,6) 
ディスグレイス回避
(2,3,3,3,4,6)

「イヤーッ!」

 しかしディスグレイスは慌てずこのカラテを捌く。剣を構え援護の姿勢を見せた生き残りアンタイブディズム・ブラックメタリストへ「イヤーッ!」エスコートがスリケンを投擲!

エスコート:スリケン投擲→A7
(1,2,6,6) A7【体力】2→1

「グワーッ!? おのれブッダの手先!」

 肩にスリケンを受けた生き残りアンタイブディズム・ブラックメタリストは、その血を使って己の額に逆さトリイのブードゥーを描いた。そして「アアアダブ!」エスコートめがけ猛然と突進!

A7:●突撃後フランベルジュ→エスコート
(1) 失敗!
A8:移動後フランベルジュ→ディスグレイス
(6)​ディスグレイス回避
(4,4) カウンター! A8【体力】2→1

 大振りな斬撃はしかし虚しく宙を切る。フランベルジュの扱いは難しい!「ウオオーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!?」もう一人のブラックメタリストを反撃の触手が襲う!

「チィーッ! やる!」

「貴方がたのカラテがなっていないだけです」

 メンポの奥より緑色の眼光を向けるジゴクマサカーへ、ディスグレイスが平然と返した。


◇2ターン目◇

画像2

「さて。そこの貴方」

 ディスグレイスは何気ない様子で自身に斬りつけてきたABBMを眺めやる。敵意の視線を返してきた相手が見たのは、妖しく金色に輝き始めるニンジャの目……!

ディスグレイス:カナシバリマスタリー→A8
(1,1,1,2,2,2,3,4,4,5,5,6,6,6) 成功
A7, A8 【精神力】2→1
A8抵抗
(1,5) 失敗。操り人形状態!
ジゴクマサカー回避
(6) 

「イヤーッ!」「「グワーッ!?」」

 廊下を満たすニンジャの眼光にABBM二名が苦悶の声! 咄嗟に顔を覆ったジゴクマサカーは無事!

「チィーッ! コシャク……」

「イヤーッ!」

ディスグレイス:バイオサイバネ→AL
(2,3,4,6)(1,3,4,5)
AL回避
(1,6)(4,6)

「何ッ!? イヤッ! イヤーッ!」

 触手の強襲に動揺しつつも異形のニンジャはこれを辛うじて捌く! 死角から忍び寄るバイオ触手は己の尻尾で防御!

AL:集中ヘンゲ→ディスグレイス
(2,3,4,5,6,6,6)
ディスグレイス回避
(1,1,4,4,4,5,6,6)

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 怒りに燃えた目でジゴクマサカーはディスグレイスの心臓を狙う! しかしバイオ触手がそれを阻み無力化! その横を風が駆け抜けた。

「イヤーッ!」

エスコート:カラテ→A7
(5,5,6,6) サツバツ!
サツバツ判定
(2) 頭部への強烈なカラテ! A7【体力】1→0 死亡!
残虐ボーナス 1d3→3 【万札】3獲得

 その間にエスコートはふらついていたABBMの頭部へ強烈なカラテチョップ突きを繰り出す!「アバーッ!?」脳天が裂ける!「おっと。すまないね」ザンシンとともに懐から取り出したハンカチーフで手を拭いつつ、老ニンジャは笑った。

 ディスグレイスは残るABBMを見た。その目が輝く……「う……ウオオーッ!?」ABBMが武器を振るう! ジゴクマサカーへ向けて!

A8(操り人形):攻撃集中フランベルジュ→AL
(2)失敗!

「ヌゥーッ!」

 ジゴクマサカーは唸りつつ体を傾ける。抵抗のためか、フランベルジュは虚しく宙を切った。ディスグレイスは微笑する。

「あら、惜しい。もっとよく狙いなさいな」

「おのれ……卑劣なり、ブッダの徒!」

「その立場はニンジャになった折に返上いたしました。不快ですね、貴女」

 ディスグレイスがわずかに眉根を寄せる。


◇3ターン目◇

画像3

ディスグレイス:カナシバリマスタリー→A8
(1,2,2,2,2,3,4,6,6,6,6,6,6,6) 成功
A8【精神力】1→0
抵抗
(1,5) 操り人形!
AL回避
(2) 【精神力】5→4

「イヤーッ!」「「グワーッ!?」」

 ジツの充填を終えたディスグレイスが再度カナシバリを放つ! ここまでの連発を予期していなかったか、今回の悲鳴にはジゴクマサカーも加わることとなった。ディスグレイスはそこへ踏み込む。

ディスグレイス:集中バイオサイバネ
(3,5,6,6)(1,2,3,3)
AL回避
(2,3,5)(2) 【体力】6→4

「イヤーッ!」「い、イヤーッ!」

 お返しとばかりに心臓を狙った一撃を、ジゴクマサカーは寸前のところで防御。だが!「イヤーッ!」「グワーッ!?」横薙ぎに振るわれた触手がその頭部に直撃!怒りに目をぎらつかせたジゴクマサカーは「イヤーッ!」尻尾のカラテを解き放つ!

ALヘンゲ→ディスグレイス
(1,1,2,2,3,5,6)
ディスグレイス回避
(1,1,2,2,3,3,4,5)

「チィッ……イヤーッ!」

 ディスグレイスは舌打ちともにこれを跳躍回避。自在に動くあの尻尾は厄介だ。やはりヘンゲヨーカイの使い手は油断ならぬ。脳裏に岡山県でイクサを交わしたニンジャの影が過ぎる。

「イヤーッ!」

 そこへエスコートが加勢!

エスコート:移動後カラテ→AL
(2,4,4,5)
AL回避
(4)

「ヌゥーッ!」

 繰り出されたセイケン・ヅキをジゴクマサカーは片手で捌く。その視線は既に味方へ……否、操られた生き人形へと向けられる!「ウワーッ!?」

A8:集中フランベルジュ→AL
(4)
AL回避
(2) 【体力】4→2

「グワーッ!?」

 ボディスーツニンジャ装束が裂け、青黒く変化した血がしぶいた。ナムアミダブツ! 常態であれば難なく避けられた一撃でも、イクサに疲弊していた今のジゴクマサカーには致命的だ!

「す、スマナイ! ジゴクマサカー=サン!」

「いい。気にするな……! すべてはこのブッダの徒の策略なれば!」

「いい加減わたくしをブッダと紐づけるのはやめなさいというに」


◇4ターン目◇

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ディスグレイス:カナシバリマスタリー→AL
(2,2,3,3,3,3,4,4,5,5,6,6,6,6)
A8【精神力】0→-1 死亡!
AL回避
(2) 【精神力】4→3
抵抗
(1.2,4,4,6,6) 成功

「アバッ」

 ニンジャの一瞥を受けたABBM最後の一人が吐血し、倒れる。三度のカナシバリ・ジツ。モータルの身では耐えられぬニューロン過剰負荷。

 ディスグレイスは無関心な一瞥を死骸へと送り、すぐにジゴクマサカーへ笑みを向けた。

「さて。これで貴女一人。いかがいたします? まだ抵抗しますか?」

「グ……」

「もし仲間がいるようでしたら呼んでも構いません。同じように殺します。二、三分生きながらえるためには過ぎた対価かと思いますよ」

 ディスグレイスが踏み出す。ジゴクマサカーは間合いを保つ。ディスグレイスの横ではエスコートが油断なくカラテを構え、相手のデスパレートな行動に対処する準備を済ませていた。

 戦意を衰えさせぬジゴクマサカーを愉しげに見つめていたディスグレイスはふと思い出したように声を上げる。

「……ああ、そうそう。クロミ=サンでしたか? あの魔法陣の部屋で見張りをしていたあの子。断っておきますが、まだ生きていますよ」

「……何?」

「ついうっかりドアで弾き飛ばしてしまっただけですから。拘束はさせてもらっていますけれど、今は無事です。ただ……」

 すぅ、と。ディスグレイスの目が細められる。嗜虐的に。

「貴女が抵抗するというのでしたら、そうですね。貴女を片付けた後にわたくしのオモチャにしてもいい」

「……貴様!」

「ウッフフ! 申し訳ありませんね。そういう趣味なのです! さて、どうされます?」

ディスグレイス:【精神力】判定(難易度HARD)
(1,1,2,3,4,4,5,6,6) 成功

 ジゴクマサカーの瞳が、射殺さんばかりに緑に燃える。だが……やがてニンジャはヘンゲを解き、諦めたように得物のメイスを廊下へ放り出した。

「……わかった。同時に非礼を詫びる」

「ほう?」

「貴様はブッダの徒ではない。ブッダに属するものがそのような邪悪な行いをするはずもなし。……つまり同志だったのだな」

「いえ、そこで一緒くたにされるのも困るのですけど」

 憮然としてディスグレイスが呟く。その横、エスコートが小さく吹き出した。いずれにせよ、これでイクサはオヒラキというわけだ。

◇ドロップな◇
A×4:【万札】3→7


◇再び魔法陣の部屋にて◇

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 逆さトリイの部屋に関係者を集めたディスグレイスは、全員を見渡した。奥ゆかしく控えるエスコート。状況のわからぬ様子のABBM少女……クロミ・ハイトというらしい……の肩を抱き寄せるジゴクマサカー。そして囚われの身であったリクヨ・キヌタだ。

「まず貴女です。ジゴクマサカー=サン。そこの彼女を捕らえて何をするつもりだったのですか?」

「生贄の儀式だ。清らかな乙女を捧げ、この地の悪霊を鎮めようと考えていた」

 あっさりと返ってきた言葉にディスグレイスは額を抑える。アンタイブディズム・ブラックメタリストのブードゥー嗜好はこれだから! その横で、エスコートがさりげない様子で質問を重ねていく。

「悪霊……ということは、ジゴクマサカー=サンも例の怪奇現象に遭遇したのですかな?」

「あの虫どものことだな? そうだ。一階に降り立った途端、どこからともなく湧いてきた。私一人ならどうとでもなったが、仲間たちがな……」

「……ええと。今、怪我が酷い仲間がゲストルームのほうで寝てるの」

 おずおずとした様子でクロミが付け加えた。ディスグレイスは眉をひそめ、エスコートと視線を交わす。

「……そこまでしつこかったですか? あの虫たち。一度蹴散らしたらそのままどこかへ消えていきませんでした?」

「そんなことはない! 散らしても散らしてもすぐ元どおりになり、何度となく我々に襲いかかってきたのだ!」

 ジゴクマサカーの反論に、ディスグレイスはいよいよ眉間にシワを寄せた。自分たちが遭遇したときとは様子が異なるというのか?

「……あ、あの。わ、私のときも、そこまでしつこくは……」

 そこでおずおずと上がった声に、一同の視線が集まる。声の主……リクヨ・キヌタがびくりと震え、身を縮こまらせた。

 エスコートが首を傾げる。

「そういえば貴女の立場がわからぬな、お嬢さん。そこなアンタイブディズム・ブラックメタリストたちはまだわからないでもないが……なぜ貴女はここに?」

「……ここ、私の友達の持ち家だったんです」

「ああ、その友達がユタンポ=サンとやらですか」

 ディスグレイスの言葉に頷いてから、リクヨは数度深呼吸を繰り返す。そして決断したかのように言葉を続けた。

「……私は。彼女に頼まれて、ここに除霊に来たことがあるんです」

「除霊?」

「あ、いえ。その……私、オカルトが好きで。その噂が変に広がっちゃっただけなんですけど。そ、そうじゃなくて……これより前に噂があったときの話で。その、騒霊騒ぎの」

 ディスグレイスは合点する。ミノタがここの購入を決めるより前に起こっていた心霊現象とやらのことか。妙なところで関係者が出てくるものだ。

「そのときは、えっと……いろいろあって。騒ぎの原因もなんとかできて、ユタンポ=サンもここを手放してなんとかなったと思ったんです。でも……」

「また怪奇現象がぶり返した?」

「そう、なんです。ユタンポ=サン、先方のクレームに参っちゃったみたいで……様子を見に行くって、一人でここに。それから、連絡がつかなくなって……私、心配で」

(ミノタ=サン)

 ディスグレイスは眉間を押さえ、あの相談者の顔を思い出す。なぜこうも事態を引っ掻き回してくれるのか。ニンジャといえど我慢できる限界がある。

 いつかグレアリング・オロチが勢力を拡大した暁には……と思考が逸れかけたところで、ディスグレイスはふと気がついた。

「騒ぎの原因をなんとかした、と言いましたね。どうやって?」

「……私たちがどうにかできたわけじゃないんです。あれはニンジャのジツでした。ボルダーガイスト、っていう」

 ニンジャ。その言葉にディスグレイスは目を細めた。エスコートが奥ゆかしく言葉を挟む。

「そのポルダーガイスト=サンとやらをどうにかして追い出したのかね?」

「……いえ。もう、死んだんだと思います。ニンジャって、死体が残らないんですよね?」

 思わぬ展開にディスグレイスは思わず口をつぐみ、黙って頷く。エスコートは目を丸くしていた。

「死んだ、と。なにがあって?」

「……別のニンジャが。赤黒の……」

「ニンジャスレイヤー……!?」

「そう! そういえばそんな風に名乗ってました!」

 どこか興奮した様子のリクヨを他所に、ディスグレイスは背筋を冷やしていた。ニンジャスレイヤー。ニンジャ殺しの狂人。単独でソウカイヤに挑み、何人ものソウカイニンジャを爆発四散せしめている恐るべきカラテ強者。

 単なる噂と一笑に付す者もいる。が、ディスグレイスはその実在を信じていた。彼女の妹分であるキールバックが遭遇したからだ。あの少女がそんなくだらない嘘を自分につくはずもない。

「……あの? どうか、しましたか?」

「ああ、いえ。……コホン! 事情はわかりました。しかしそのボルダーガイストとやら、なぜここに潜んでいたのでしょうね?」

 自分でも苦しいと思える話題転換。しかし、リクヨは考えるそぶりを見せてから呟いた。

「……そいつが言ってました。この地は自分のジツと波長が合うとか、なんとか」

「成る程。特定のニンジャがジツを使いやすい場所というのはあるやもしれんな。……となれば、ディスグレイス=サン」

「……ええ、そうですね」

 エスコートの意図を察し、ディスグレイスは頷いてみせる。もしこの地になにか特別な力があるというのであれば。ポルダーガイストとやらと同じように、ここを狙うニンジャが忍び込んでいるのではないだろうか。


【ハウス・オブ・イーヴィル・スピリッツ】#3終わり。#4へ続く

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