忍殺TRPGソロリプレイ【ミスフォーチュンズ・ネヴァー・カム・シングリィ】

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はしかながニンジャスレイヤーTRPGのソロシナリオを遊んだ結果を元に書き上げたテキストカラテ(二次創作)……いわゆるリプレイとなります。気楽に読めるよ。

 今回挑戦する……というかテストプレイになってしまうのですが、とにかくやったのは自作のソロシナリオ。【クリーニング・イン・ザ・レイン】です。

 モータルハントの拡大版めいたソロシナリオとなっている。最後にちょっとしたサプライズというか、当方のあるニンジャがいろいろ暗躍し始めるきっかけとなるシーンがあるためやってみる格好だ。

 挑戦者は……以前(まだディスグレイスとかがアパート暮らししていた時分)にちょろっと名前だけ出したこのニンジャ。

ニンジャ名:クークーベイビー
【カラテ】:2                【体力】:2/2
【ニューロン】:6           【精神力】:6/6
【ワザマエ】:3           【脚力】:2
【ジツ】:3(マインドブラスト)  【万札】:10
近接攻撃ダイス:2
遠隔攻撃ダイス:3
回避ダイス:6

【アイテム】:
 『ZBRアドレナリン注射器』

【スキル】:
 ○実家のカネ

【説明】
 ニンジャとなって得た強力な精神干渉能力を悪用し、カチグミ家庭に侵入しては
 その一員として振る舞いカネを搾り取ってきた悪徳ニンジャ。
 強力なジツを振るう反面、そのカラテは頼りない。

 わかりやすいくらいにジツ偏重。かつ『○実家のカネ』という生い立ちのおかげですっきりと背景が作れたため、いつか出してみたいニンジャとしてストックしていたうちの一人となる。

 さて、実際にはどう動いてくれるか。やってみよう。よろしくおねがいします。



◇オープニングな◇

「ハァ……」

 トコロザワ・ピラー。スカウト部門オフィスからトボトボと退出してきた小柄なニンジャは、沈痛なため息をついた。任務の報告をあの恐ろしい上司にしなければならないことを思うと、いつも気が重くなる。

 ふと目の前の窓を見やる。ネオン輝くネオサイタマの夜景。そして窓にうっすらと映り込む、小綺麗な服装の自分。メンポ代わりのマフラーを巻いても、『カチグミ家庭の子供』めいたアトモスフィアは損なわれない。

 なぜこんなことをしているのだろう。彼は再度ため息をつき、ソウカイヤにあたえられたあのカンオケめいたアジトへ戻ろうと

「クークーベイビー=サン!」

「ウワァッ!?」

 したところへ声をかけられ文字どおり飛び上がった。いや、ただ声をかけられただけならばこんな反応はしない。問題は。この声の主が、自分をこの望まぬ境遇に放り込んだ張本人だということ……!

 慌てて振り向き青ざめる。いつの間にいたのか。ほとんどワン・インチ距離に立っているのは。朗らかな笑みを浮かべるセーラー服姿の少女。その脚はオモチ・シリコンのカバーすらない剥き出しのサイバネティクスだ。

「ドドド、ドーモ、シャープキラー=サン……!」

「アッハ! そんな怖がらなくてもいいのに。とって食おうってんじゃないんだからさ」

 思わず後ずさりするクークーベイビーと間合いを保ちながらも、その少女……ソウカイ・ニンジャのセンパイ、シャープキラーは愛想よく言葉を投げかける。

 一方のクークーベイビーは気が気ではない。相手は決して自分の敵わない相手。なにしろ手の内はすでに把握されており、それ抜きのカラテではあきらかに上回っている。そして容赦がない。初遭遇時に嫌という程思い知らされていた。

 もともとクークーベイビーは、己のジツを使ってカチグミ家庭に取り入り、そこからカネを搾り取ってささやかな暮らしを送っていたニンジャだ。そこに暴力はなかった。誰だって『己の子供』には優しくする。そうした傾向のない『親』に対してはジツで干渉すればよい。

 だがその生活もついに終わりを迎えた。次なるターゲットを探して辿り着いたマンション『せなまし』。その一室に潜り込もうとしていた彼は、その部屋の住人だったシャープキラーに逆に目をつけられ、ソウカイヤに引きずり込まれたのである。もしあのとき首を縦に振っていなければ、この少女は容赦なく自分を爆発四散させていただろう。

「そ、そそそ、それで! どういうご用件ですか!?」

「アッハ! 面白い顔するね。私とちょっといいことしない? って誘いに来たんだけど」

「いいこと……?」

 クークーベイビーは訝しむ。いかにも匂わせてくるが、彼女が自分に対してその手の誘いをしてくることはまずないだろう。案の定、シャープキラーがあっさりとネタばらしをしてきた。

「最近、アタバキ・ディストリクトにヤンク・チームができてさ。結構好き勝手やってカネを溜め込んでるらしいんだよね」

「……ああ。そういう? 大丈夫なんですか、そんなことして」

 思わず問い返してしまう。おおよそ話の流れは掴めた。そのモータルたちからカネを頂戴しようという寸法なのだろう。しかし、ソウカイヤとしてあまり無軌道な行動は目をつけられるのではないか。そういう不安があった。

「少しくらいなら平気、平気。だいたいそこのヤンク連中、不用心な女子高生を前後目的で誘拐するようなクズ揃いだもの。ささっと掃除してバイト代としてもらっちゃおうってワケ」

「はぁ……けど、その。シャープキラー=サン一人でもいけるんじゃないですか? それくらい」

「エー? コワイじゃん! 私だって見た目女子高生だよ? 一人で行ったら舐められちゃう」

「……ボクがついていっても変わらないと思うんですけど」

 苦い声が漏れた。有り体に言って、クークーベイビーは幼い。外見的に、だ。ニンジャとなってからというもの成長が止まったとみえ、彼は依然として子供じみた容貌のままなのである。幸い、彼の顔は良い。中性的といってもいい。それがカチグミ家庭侵入の一助ともなっていた。

「アハハ! そんな暗い顔しない! だいたい、今の貴方なら欲しいでしょ? カネ」

「……まあ、それは」

「よし、決まり! じゃあ早速行ってみよう!」

 一方的に宣言し、シャープキラーはクークーベイビーの腕をとってぐいぐいと引きずっていく。クークーベイビーは諦めきった顔でそれに従った。



◇本編な◇

 しとしとと重金属酸性雨が降りしきるアタバキ・ディストリクト。クークーベイビーは慎重な足取りでその裏路地を進んでいた。

「次を右ね」

 背後からシャープキラーが指示を飛ばす。クークーベイビーは従う。……なぜ彼女は前へ出ようとしないのか。複雑に入り組み、狭く、暗くなっていく道よりもそちらの方が気になってくる。いい加減、その意図を問いただそうとした瞬間。

「オイオイ、オイオイ」

「アッヘ! 迷子が来たぜ!」

 道を塞ぐように前方の陰から現れたのは二人のヨタモノ。その手に握られるチャカ・ガンを見てクークーベイビーはわずかに身を強張らせた。彼はたしかにニンジャではあるが、荒事に慣れているわけではない。

 一方のヨタモノからすれば、クークーベイビーは格好の獲物と移ったに違いない。その片割れが脅すように銃口を向ける。

「道案内してやるからカネを出アバーッ!?

「「……エ?」」

 血飛沫があがる。クークーベイビーはヨタモノと一緒に声を漏らしていた。何が起こった? 銃を向けたヨタモノが、綺麗に両断され左右に分かれて倒れる。シャープキラーが立ち上がり、カタナの血を無造作に振るった。

 自分を飛び越えてその勢いでイアイを? ふと、彼女がこちらを向く。その目が雄弁に『やれ』と語っていた。

「イ……イヤーッ!」

クークーベイビー:【カラテ】判定(難易度KIDS)
(5,5) 成功
【万札】10 → 11

 弾かれたようにクークーベイビーは跳んだ。そして棒立ちになっていた生き残りヨタモノの首にボトルネックカットチョップを繰り出す!「アバーッ!?」ヨタモノ即死! 倒れこんだ身体から流れる血は、すぐに重金属酸性雨で洗い流されていく。

「オミゴト! 思わぬところで臨時収入だね。これから先でもっとボーナス重点!」

 拍手の振りすらしてみせるシャープキラーに、クークーベイビーはぞっとするような視線を向けた。ある程度注意を払っていたにも関わらず、このニンジャは殺気の片鱗すら見せていなかった。ニンジャとしての場数の違いか、それとも。

「なにしてんの? 早くいこ」

「ア……アッハイ」

 声をかけられたクークーベイビーは、慌ててシャープキラーの後を追った。


◇◆◇◆◇


「ハイ、到着!」

 シャープキラーが朗らかな声を上げた。眼前にそびえ立つのは、もはや使われなくなってから久しいと思われる廃倉庫だ。入り口には十人近くのヤンクがたむろし、イカを焼いたり、下世話なスラングを飛ばして笑いあったりしている。

 そのいずれもがこちらの来訪に気づいていない。しばしヤンクたちの様子を観察していたらしいシャープキラーが、不意に悪戯っぽい笑みをクークーベイビーに向けた。

「クークーベイビー=サン、ジツ使えたよね。ちょっと脅かしてやってくれない?」

「……まあ、それくらいならいいですけど」

 不承不承に頷きつつも、クークーベイビーはヤンクたちを凝視した。ただでさえ大きな目をさらに大きく見開く。その瞳に小さく波紋が走った。

クークーベイビー:【ジツ】判定
【精神力】6 → 5
(2,2,2,2,3,4,5,6,6) 成功

「でよ……? アバッ!? アバババーッ!?

「どうしアバババババーッ!?

 次の瞬間、ドラム缶コンロでイカを焼いていたヤンク二名が突如として絶叫! 口から白い泡を吐き、倒れる! うち一人はドラム缶に上半身から倒れこみイカと同じ運命を辿ることとなった。しかし、痛みは感じなかったろう。すでに即死していた故に。

 クークーベイビーは眉間にしわを寄せ、別の標的へ目をつける。彼がニンジャとなって得たマインドブラスト・ジツは強力なものだ。カチグミ家庭の一員になりすます時は擬似的な保護愛を刺激する程度で済ませていたものの、本気で攻撃転用すればこうなる。あのヤンク二名は突如として痛覚を刺激され一瞬にして絶命したのだ。

「さっすが! じゃ、始めようか! イヤッハー!

 突然の仲間の異常に駆け寄るヤンクの首を、飛び出したシャープキラーが一息に刎ねた。「アイエエエ!?」「ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」混乱に陥るヤンクたち!

 一息ついていたクークーベイビーは、震える手でスリケンを握る。シャープキラーのことだ。自分が必要な分は自分でやる、ということを前提にしているに違いない。つまり。

【ワザマエ】三分割判定
(4)(4)(6) 成功2, 大成功1
【ジツ】ボーナスと加えて【万札】1 → 7

「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」

「アバーッ!?」「アバーッ!?」「アババーッ!?」

 殺さなければ収穫はない。クークーベイビーはスリケンを三連続投擲! 逃げ回っていたヤンク三名を無慈悲にスリケン殺! ポイント三倍点!

 クークーベイビーがザンシンを決めたときには、倉庫前は既にブラッドバスめいた有様となっていた。カタナの血を振るい落としていたシャープキラーが笑いかける。凄惨な有様に似合わぬ、朗らかな笑みだった。

「よし、掃除終わり。こいつらのアジトにもなにかあるかもしれないし、探してみよっか」

「……デスネー」

 陰鬱に頷いたクークーベイビーは、シャープキラーとともに廃倉庫へ踏み込んだ。


◆◇◆◇◆


 倉庫の中には饐えた空気と静寂が広がっていた。壁には「バカ」「アブナイ」「スラムダンク」などのグラフィティー・アートを気取った稚拙な落書き。クークーベイビーはニューロンを研ぎ澄ませ、周囲を探る。

「……おっかしいな。前下見に来た時はもう少しヤンクがいたと思ったんだけど」

「あいつらも一応学生でしょう? 居残り勉強でもさせられてるんじゃ」

「ンー、そういうものかな……」

 不思議そうに首を傾げるシャープキラーに適当に返事をしつつ、倉庫内の物色を続ける。仮に生き残りがいたとしても、こちらはニンジャ二人。余程のことがなければ脅威にもなるまい。

「アイエエエ……助けて……」

「……ン」

 ニンジャ聴力がか細い少女の声を聞きつける。クークーベイビーはしめやかに声の方向まで移動。すぐに目に入ったのは、鎖に繋がれた女子高生の姿だ。その左頬がわずかに腫れ上がっている。ヤンクたちに甚振られたか。

 クークーベイビーは背中に注がれるシャープキラーの視線を気にしつつ、彼女の元へ。

「君、平気?」

「エ……? もしかして、マッポですか?」

「残念ながら違う。だから、君を助ける義務はないんだ……おカネを融通してくれれば別だけどね」

2. カネを要求したうえで助ける
【万札】3と【DKK】3を獲得

 少女の目に一瞬絶望の色が浮かぶ。が、すぐに彼女はヤバレカバレに叫んだ。

「い、家に帰ったら必ず振り込みます! だから……!」

「わかった。そうだな……これくらいでいいよ」

 クークーベイビーは三本指を立ててみせる。女子高生にとっては、ギリギリ支払えなくもない金額だ。この程度なら請求しても問題あるまい。今までの経験から、彼は冷静にそう判断していた。

「イヤーッ!」カラテで鎖を破壊し、呆然と見上げる女子高生に小柄なニンジャは出口の方角を指し示す。

「今ならヤンクたちもいない。早く行くといい」

「ハ、ハイ……!」

 がくがくと頷いた女子高生は、転がるようにして駆け去っていく。その背を見送ったシャープキラーがけらけらと笑った。

「アッハ、カワイソ! クークーベイビー=サン、なかなかしっかりしてるじゃん」

「……あれくらいの金額だったら負担にもならない。まず払い込んでくれますよ」

「フーン。ま、死んだら終わりだしね。いい勉強代になったんじゃない……」

 興味なさげに呟いた彼女は、なおも倉庫内を見渡す。とはいえ、カネになりそうなものは見当たらない。もう切り上げるべきでは。クークーベイビーが提案しようとしたその矢先!

イヤーッ!」「アバーッ!?」「イヤーッ!」「アバーッ!?」「イヤーッ!」「アバーッ!?

 突如として悲鳴! そしてカラテシャウト! 二人のニンジャは思わず顔を見合わせた。どうやら隣の倉庫で騒ぎが起こっている……「イヤーッ!」「あッ!? ちょっと!」真っ先に窓を蹴破り飛び込んでいくシャープキラー! クークーベイビーはわずかに逡巡し「……イヤーッ!」その後を追う!


◇◆◇◆◇


 隣の倉庫で待ち受けていたのは、三人のヤンクの死体だった。そして壁際にはあられもない姿の女子高生が一人。そして……クークーベイビーは思わず総毛立つ。その女子高生を守るようにして立つ、セーラー服姿の……少女のニンジャ。

 小さく舌打ちの音が聞こえる。シャープキラーだ。盗み見ると、その顔にいつもの笑みはない。

(マズイ。あれ、当たりを引いたやつだ)

(え?)

(アーチ級ソウル憑依者だよ。しかも成り立てで暴走してる……分が悪い。逃げるよ)

 一瞬の判断。あのシャープキラーが逃走を? 目を丸くしたクークーベイビーの耳に「イヤーッ!」カラテシャウトが響いた。振り向く。無数の光球……否、オリガミ?……が迫ってくる。さながら桜吹雪めいて。

クークーベイビー:【回避】判定
【精神力】5 → 4
自動成功・(1,1,5)(1,2) 【体力】2 → 1

 ドクン。クークーベイビーの主観時間が鈍化する。「イヤーッ!」彼は跳躍した。真下で桜色の爆発が巻き起こる。さらに迫りくるオリガミを身を捻って回避! しかし! KABM!

「グワーッ!?」

 クークーベイビーは空中で錐揉み回転! 追尾してきたオリガミ・ミサイルがその身体に突き刺さったのだ! さらに桜色の光が周囲に迫る……!

「イヤーッ!」

 ドウ! そこにシャープキラーが飛び込んだ。クークーベイビーの首根を掴み、サイバネ脚からブースター噴射! 無理やりに軌道転換し桜色の包囲網を突破!

 痛みと衝撃に、クークーベイビーは己の意識を手放した。



◇エンディングな◇

 再び意識が覚醒したとき、目に飛び込んできたのはいかにも清潔そうな天井だ。そこへ覗き込んでくる、朗らかな笑みの少女。

「あ、起きた。オハヨ! 元気そうだね」

「ンン……ここは……」

「ソウカイヤ傘下の病院。一発食らってたから念のためね? あ、この治療費はスカウト部門が出してくれるから心配しないでいいよ」

 クークーベイビーは深く息をつく。実際、数はそこまで深くない。これでカネをかけてしまうようならば、なんとしてでも退院しなければならないところだった。

「にしても災難だったねぇ。あのニンジャのことはソニックブーム=サンに伝えておいたよ」

「……そう、ですか」

 ソニックブーム。スカウト部門の筆頭であり、ソウカイヤ全体から見ても極めて強力な部類に入るニンジャ。いかに強大なソウルを宿していたとしても、彼が出れば問題はあるまい。

「で、休暇をもらっておいたんだ」

「それは……ドーモ。でもボク、もう平気ですよ。あとは家に帰ってゆっくりと」

「あ、それ無理! 事後報告になるけど今日は生体LAN端子の埋め込み手術やるから」

「……は?」

 思わずシャープキラーを見上げる。彼女の笑みは相変わらず朗らかだ。しかしその目には少しも冗談の光がない。クークーベイビーは身震いした。

 しかし、落ち着け。彼は深呼吸し考えをまとめる。

「……ま、まあ。例のヤンクたちからはそれなりに回収しましたし。簡易なものであれば、たしかに今後助かるかも」

「そうそう! ソウカイヤでハッカーニンジャってあんまりいないからね。ダイダロス=サンが一人でなんとかしちゃうってのもあるけどさ。まあ安心していいよ。ニンジャ発見報酬でスカウト部門からボーナスも出てるし」

「ああ、それなら……」

「だからローンも最小限で済むよ! よかったね!」

「…………は?」

 クークーベイビーは再度シャープキラーを見上げる。彼女は満面の笑みとともに、傍に置いていたサイバネカタログのあるページを指さした。そこに写っていたのは最新鋭の生体LAN端子。その値段は……

「……あの! ボクの貯金が全部吹っ飛ぶんですけどこれ!?」

「ンー? 平気平気。ハッキングできるニンジャっていろんなお仕事もらえるもの。私も探してあげるからさ! ガンバロ!」

「いえ、だって」

「あ、ローンはもう組んであるから。キバッテコーネ!」

 取りつく島もなかった。ぐったりとベッドに横たわるクークーベイビー。シャープキラーはけらけらと笑いながらも、携帯IRC端末で連絡を飛ばす。

SK:報告。クークーベイビー=サンに事後承諾とった。ダイダロス=サンにアポお願いします
SB:了承。とっとと仕上げさせろ

 シャープキラーは笑みを深くし、携帯IRC端末を仕舞い込む。そして例の少女ニンジャへ想いを馳せた。あの制服からしておそらくアタバキ・ブシド・ハイスクールの生徒。これは少し追ってみる必要があるか。

 その傍、クークーベイビーはフートンを頭まで被り涙ぐむ。なぜ次から次へと不幸が舞い込んでくるのか。いくら考えても、答えは出てこなかった。


【ミスフォーチュンズ・ネヴァー・カム・シングリィ】終わり


◇後書き◇

 というわけで、まだグレアリング・オロチができる前の時系列。ニンジャの自宅挑戦前にこそこそ嗅ぎ回っていたシャープキラーは、ここから動き始めていたというわけです。

 クークーベイビーも(ひどい扱いを受けつつ)生存。このソロシナリオはクリアすると【万札】10と【余暇】2日がもらえるのですが、それを使用して以下のように成長? しました。

ニンジャ名:クークーベイビー
【カラテ】:2                【体力】:2/2
【ニューロン】:6           【精神力】:5/5
【ワザマエ】:3           【脚力】:2
【ジツ】:3(マインドブラスト)  【万札】:5(ローン12)
近接攻撃ダイス:2
遠隔攻撃ダイス:3
回避ダイス:6
ハッキング:18

【アイテム】:
 『ZBRアドレナリン注射器』

【サイバネ】:
 生体LAN端子+++

【スキル】:
 ○実家のカネ

【説明】
 ニンジャとなって得た強力な精神干渉能力を悪用し、カチグミ家庭に侵入しては
 その一員として振る舞いカネを搾り取ってきた悪徳ニンジャ。
 強力なジツを振るう反面、そのカラテは頼りない。

 シャープキラーのゴリ押しにより、いきなり最新鋭の生体LAN端子が取りつけられました。電子戦ではほぼ無敵だよ! やったね! 彼にはそのうちハッキングで活躍できるシナリオに挑戦してもらいましょう。

 ここまで読んでくださった皆様方、ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!



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