忍殺TRPGソロリプレイ【レッツゴー! ブラインド・エクスペディション!】前編
◇前置き◇
ドーモ。しかなです。当記事はしかながソロシナリオを遊んだ結果をテキストカラテとしてまとめた、おそらくはリプレイと呼ばれる感じのものとなります。気楽に読めるよ。
今回挑戦させていただいたのは海中劣=サンの【ニンジャの探検隊】です。
UMAを求めてジャングルに突入! そのようなシナリオとなっています。
成長したニンジャ一人、または成長の壁を超えていないニンジャ二人を想定して書かれたということなので、二名で挑戦させていただきました。オープニングで発表するよ。
ではやってみよう。よろしくおねがいします。
◇オープニングな◇
『ネオサイタマ西部、森林地帯!この鬱蒼としたジャングルの中で発見された新生物とは!』
タダオーン!
『皆様にはこちらの映像を見ていただきたい』
映し出される焦点のブレた動画。その片隅に映る不鮮明な棒状の影!
『一体この物体は何なのか!?』
力のはいるナレーション!
『もしや、伝説のUMA、スカイフィッシュなのでは!?』
タダオーン!
◇◆◇◆◇
扇状的テロップの踊る携帯IRC端末から、桃色の髪の少女が顔を上げた。すぐ近くにアイマスクをつけた女の顔。
「……それでこのスカイフィッシュを調査したいんだよ!」
「成る程」
興奮気味のアイマスク女……ブラインドに、桃色髪の少女……オーキッドは無表情に頷いた。微笑ましい世間話と捉える読者も多かろう。だがここはトコロザワ・ピラーの休憩スペース。一般ネオサイタマ市民の入り込めない場所である。
これが意味することはただ一つ……彼女らはネオサイタマを牛耳るヤクザ組織、ソウカイヤの一員であるということ。それもただの構成員ではない。両名ともにニンジャなのだ!
ニンジャ名:ブラインド
【性別】:女
【カラテ】:4 【体力】:4/4
【ニューロン】:10 【精神力】:11/11
【ワザマエ】:5 【脚力】:3
【ジツ】:0 【万札】:0
ハッキングダイス:16
【アイテム】:スゴイテック社製LAN直結攻撃用ケーブル:
『特殊近接武器』、『ダメージ0』、『戦闘スタイル:直結攻撃』
【サイバネ】:▶▶生体LAN端子+【ニューロン】判定時にダイス+2個、ハッキング時にさらに+4個
▷無線LAN攻撃用ユニットLAN直結を行うことなく「生体LAN端子」持ちの敵に対し遠隔ハッキング攻撃を仕掛けられる。
【装備品】 :パーソナルメンポ:【精神力】+1
:*キーボード・オブ・ザ・ゴールデン・エイジ*:
【スキル】:『時間差』『マルチターゲット』
◉『挑発』◉『翻弄』
ニンジャ名:オーキッド
【カラテ】:4 【体力】:4/4
【ニューロン】:6 【精神力】:5/6
【ワザマエ】:6 【脚力】:3
【ジツ】:3(ヘンゲヨーカイ) 【万札】:4
近接攻撃ダイス:4
遠隔攻撃ダイス:6
回避ダイス:6
【特筆事項】:
【名声】2
トイレなしレンタルアジト使用により【精神力】-1でスタート
【装備品】:
ヒートダガー
ショットガン
【スキル】:
○元危険生物ハンター
「番組じゃ最後まで見つからなかったけど絶対いるよ!」
「……ウン。この番組ではほとんど調査もできてないみたいだし」
オーキッドは小さく頷いた。ブラインドが見せたスカム番組『ネオサイタマ・アーバン・レジェンズ』はどちらかといえば視聴者の興味関心を惹きつけるための演出面に力を入れた番組であり、UMA探索および実在検証そのものよりはそれを探し出すレポーターが重点されている。
「だから手伝って!」
畳み掛けるように差し出される探検帽! 見ればブラインドも既に同じデザインの帽子を着用済み。オーキッドは……眉根を寄せてその帽子を睨む。
「どしたの? もしかして忙しい?」
「そんなことはない。ただ」
「ただ?」
「……番組を見る限り、標的は小型で素早い。潜んでいる場所を考えると、私たちだけじゃ見落とす可能性がある」
「成る程!」
ブラインドは納得! その間にもオーキッドは脳内でイマジナリー・ハントを繰り広げていた。あれだけの飛行速度を持つ小型バイオ生物となると、バイオスパローが近いか。しかしアレとは違いターゲットはジャングルの中、木々に紛れて飛行している。難易度の高い狩りとなるだろう。
ナムアミダブツ。オーキッドは『ネオサイタマ・アーバン・レジェンズ』の趣旨……ひいてはブラインドの依頼内容と自分の思考の食い違いを理解していない。彼女にとって見つけ出した獲物はハントするのが当然なのだ!
「連れてきたよ!」
「ウン……ウン?」
ブラインドの声に、オーキッドはようやくイマジナリー・ハンティングを終了させた。見ると第三者が増えている。育ちの良さを感じさせるゴシックドレスめいたニンジャ装束を着込んだ、気弱そうな少女。
オーキッドは数秒間思考し、状況判断した。その少女へオジギする。
「ドーモ。オーキッドです」
「ど、ドーモ……チェインドッグです。あ、あの、なんで私連れてこられたんですか……?」
困惑しつつアイサツを返した第三のニンジャは、おろおろと周囲を見やる。偶然近場を通りがかっていた彼女は、突然話しかけてきたブラインドに面食らった。その隙にこの休憩スペースへと連れ込まれたのである!
ニンジャ名:チェインドッグ
【カラテ】:2 【体力】:2/2
【ニューロン】:4 【精神力】:4/4
【ワザマエ】:6 【脚力】:3
【ジツ】:3(キネシス) 【万札】:7
近接攻撃ダイス:3
遠隔攻撃ダイス:7
回避ダイス:6
【特筆事項】:
【名声】:4
【装備品】:
▲バイオサイバネヘッド(軽度)
▽バイオ散弾
【スキル】:
○実家のカネ
ブラインドは胸を張り、自身の携帯IRC端末をチェインドッグへ突き付けた。彼女のバストは平坦である。『ネオサイタマ西部、森林地帯!この鬱蒼としたジャングルの中で発見された新生物とは!』再生されるスカム番組! 目を丸くして画面に見入るチェインドッグを他所目に、オーキッドは渡された冒険帽を被った。ニンジャが三人もいるならば、狩りもやりやすくなるだろう。
……かくして、勢いのままに急造UMA探索ニンジャチームが結成されることとなったのだ!
◇本編な◇
場所は移り、ネオサイタマ南西部のジャングル! 発案者兼探検隊リーダーのブラインドは颯爽とサイバーカリブー(真っ赤に光る鼻とイルミネーションに彩られたツノがチャームポイントだ)に跨り、隊員であるオーキッドとチェインドッグを先導していた!
「フゴー……」
「あ、あのう……ブラインド=サン、寝てません……?」
「問題ない」
「GUOOO」
隊長のいびきとサイバーカリブーの鳴き声が生み出す不協和音。そして寡黙なオーキッドの放つ緊張感にチェインドッグ隊員の心に不安を生んだ。それはまるで、これから訪れる苦難を予言しているようではないか!
◇第一住民発見!◇
そのとき!
「GUUUU!」「フゴー……ンアー? あ、村だ」
ブラインド隊長が発見したのは、レンガを積み上げて作ったような簡素な家々! 隣にはバイオダイコンの畑やニワトリ小屋! チェインドッグ隊員が足を止め、信じられない様子で目を丸くする!
「……こんなところにも人が住んでいるんですね」
「意外といる。私もハンターだったころはこんな感じだった」
「へぇー……」
「スミマセーン! 誰かいますかー!?」
隊員たちの動揺を振り払うかのように、ブラインド隊長がずかずかと敷地内に踏み入る! なんたる待ち受けているかもしれない危険を恐れぬ勇敢さか!
「アア? 何だ、アンタらは」
それを出迎えたのは中年女性! 着用するピンクのシャツには『紫式部』のプリント! 警戒心と不信感を隠そうともせず、ブラインド探検隊の面々を睨みつける! その眼光の奥にはこの女性が抱えているなんらかの秘密が隠されているのだろうか!?
「ドーモ、ブラインドです! スカイフィッシュ探しに来ました! なんか教えてください!」
「なんかってなんだい、なんかって! こちとら忙しいんだよ!」
誠意を持ったブラインド隊長の聞き込みにも、中年女性は応じない。ナムサン、情報が得られず万事休すか? そのときである! ぶかぶかのミリタリーコートを着込んだオーキッド隊員が進み出たではないか!
オーキッド:【精神力】判定
2, 4, 5, 5, 6 成功4
「ドーモ、はじめまして。オーキッドです。……私たちはスカイフィッシュと呼ばれる生物の調査にきました。飛行する棒状の生き物です。目撃情報、被害……細かなことでいいので、情報をお持ちでしたらいただけませんか。それ以上の時間は取らせません」
なんたる丁寧な聞き込み! 背後で震えていたチェインドッグ隊員も驚きに目を見張った。道中の会話ではあんなに無愛想だったオーキッド隊員が、これほどまでに雄弁に物事を語ろうとは!
怪訝な目でオーキッドを見下ろした紫式部シャツ女性は、小さく舌打ちしてからその重い口を開く!
「ンな生き物なんざ見たことねえ。スカイフィッシュ? そういやこの前来たテレビとかいう連中もそんなこと聞いてたきたな」
「成る程。このあたりには空を飛ぶ生物は?」
「バイオコウモリだな。昼夜かまわず飛んどる。それと見間違えたんだろどうせ」
オーキッド隊員は小さく頷く。元危険生物ハンターという経歴の持ち主である彼女は、バイオコウモリという生き物の危険性を充分に知っていた。その情報を心に刻んだ上で聞き込みを続行! その背後、サイバーカリブーにまたがってチェインドッグ隊員の元まで戻ったブラインド隊長は爆睡! 来たる探検に向け鋭意を養う!
「ありがとうございます。バイオコウモリはジャングルの深部から飛んでくるのですか?」
「まあ、そうだな。……なんでそんなことを?」
「あれが家畜に及ぼす害はよく知っています。調査のついでに狩りたいと」
「なんだい、狩人かアンタ? そりゃ助かるが……ああ、でも奥に行くんなら気をつけな。この間若いモンがトラバサミに足ィ挟まれたっつってたから。どうせ密猟者とかが仕掛けたんだろうが迷惑な話だよ」
密林に仕掛けられた、罠! 暗躍する密猟者の影! これは探検隊の面々が想像するよりはるかにディープな事態! しかしオーキッド隊員は動揺の様子を見せず、淡々と聞き込みを続行する。その背後ではチェインドッグ隊員が恐々とサイバーカリブーの頭を撫でる! 交流!
「密猟者。心当たりが?」
「心当たりっつうか……ウチの子がよ。変な男を見たっつうんだよ。ベトナム? いや、サイ……サイチャム? なんだか忘れたがよ。頭のイカれた奴がいるかもしれねえって話さ」
密林に潜む狂気の男! 果たして探し求めるスカイフィッシュと何か関係があるのだろうか!? オーキッド隊員は頷き、丁重にオジギ。これで情報は充分だと判断したのだ!
「アリガトゴザイマシタ。私たちはこれでシツレイします。よき営みを」
「よき営み、ねぇ……」
何気ない呟きに含みを感じ取ったオーキッド隊員が足を止める。紫式部女性はやりきれないような表情を浮かべていた。
「……アンタらに言っても仕方ねえがよ。ウチらメガコーポの連中に立ち退き要求されてんだ。タンク……何とかっつう奴によ。行くとこなんざねえってのに」
オーキッド隊員はじっと紫式部を眺める。紫式部は我に返ったかのように苦笑した。そして入り口近くでサイバーカリブーと戯れるチェインドッグ隊員を見やる。
「辛気臭えこと言っちまったな。後ろの子、アンタの連れだろ? あんな子連れてジャングルの奥に行くなんざ大変だろ。ほれ、コイツをやるからとっと帰んな」
言葉とともに差し出されたのはタッパー入りのダイコン・スシだ。自給自足したダイコンで作ったものだろうか。オーキッド隊員は頭を下げ、丁重にそれを受け取るとブラインド隊長らの元へと帰還する。暗黒メガコーポの介入。いったいこの密林でなにが起こっているというのか!?
◇襲い来るジャングルの洗礼!◇
紫式部宅を後にしたブラインド探検隊は、密林の奥を目指し調査を再開していた。ネオサイタマ都心から離れた場所であるため、病んだ太陽が空に浮かぶ。しかし分厚く茂った植物の枝葉がその日差しを覆い隠し、さながら夜のような闇をもたらしていた。「GUUUU」ブラインド隊長の駆るサイバーカリブーのイルミネイション角が唯一の道標だ。
「姿勢を低くして歩いて。このあたりにはバイオコウモリがいるらしいから」
「あ、アッハイ……」
オーキッド隊員のアドバイスをチェインドッグ隊員が受け入れた、そのとき!
「キィキィキィキィ!」バサバサバサ! ブラインド探検隊にまとわりつくように、いくつもの小さな影が飛び回る!「ンアーッ!?」サイバーカリブー騎乗のブラインド隊長が顔を覆って悲鳴! 紫式部より情報提供のあったバイオコウモリに相違なし!
これがスカイフィッシュの正体なのだろうか? 隊員たちの心に疑念が走る!「キィキィキィ!」「ンアーッ! ンアーッ!」だがその間にもバイオコウモリは数を増し、圧倒的多数を持ってブラインド隊長を襲う! なんたる卑劣!
オーキッド隊員が背中からショットガンを抜く! これで威嚇射撃しバイオコウモリを追い払おうという算段なのだ。だがそのとき!
チェインドッグ:【ワザマエ】判定
1, 2, 3, 4, 6, 6 成功
「スゥー……」
チェインドッグ隊員が進み出る。めいいっぱいに息を吸い込んだ彼女になんらかの危険サインを認めたオーキッド隊員は無言で側転退避! 直後!
「……イィィィィヤァァァァーーッ!」
凄まじい絶叫が密林の木々を揺らす!「キィキィアバーッ!?」「アバーッ!?」「アババーッ!?」バイオコウモリたちが墜落、あるいは破裂!「ンアーッ!?」バイオコウモリの血を浴びブラインド隊長が悲鳴! ナムアミダブツ!
いったい何が起こったというのか? バイオ技術に詳しいヨロシ読者がいたのならばそのカラクリを見抜いていたかもしれない。チェインドッグ隊員が口内に仕込んでいたバイオサイバネには特殊な超音波機構が仕込まれており、カラテを込めることによって散弾にも似た破壊力を生じさせることを! なんたる素晴らしきバイオ・テック!
「……ケホッ、ケホッ。喉痛い……」
「チェインドッグ=サン。次それやるときはあらかじめ言って」
ショットガンを背負ったオーキッド隊員がサイバーカリブー騎乗のブラインド隊長を見やる。しばしくらくらしたように身体を揺らしていたブラインド隊長だったが、不意にその動きを止めた。
「……ンンー?」
怪訝な声を上げた隊長はサイバーカリブーを降り、近くの地面からなにかを拾い上げた。それを目撃した隊員たちに驚愕が走る! タダオーン!
それは長い棒状の身体にヒレを持つ謎めいた生物の死骸である。先ほどのチェインドッグ隊員のバイオ超音波に巻き込まれたものだろうか? これは紛れもなく……スカイフィッシュ! ブラインド探検隊はついにUMA実在の決定的証拠を掴んだのである!
「ワオー! やっぱマジでいたんだ!」
「……獣というより昆虫。食べれるのかなこれ」
「や、やめておきましょうよお……」
興奮するブラインド隊長の後ろ、冷静な推測と議論を繰り広げる両隊員! 隊長は彼女らを振り返り熱弁!
「ヨッシャ! この先に行こう! きっと生きたスカイフィッシュがいるよ!」「GUUU!」
サイバーカリブーも同意!「ハイヨー!」騎乗したブラインド隊長が木々の間を駆け抜ける! オーキッド隊員とチェインドッグ隊員は顔を見合わせ、しめやかにその後を追うのだった!
◇待ち受ける罠!◇
「ファイア・ピル♪ きのうからねつがさがらないよ♪」「GUUUUU」
ブラインド隊長とサイバーカリブーのデュエットが密林の静寂を緩やかに破っていく。チェインドッグ隊員は恐々と周囲を見渡し、オーキッド隊員は静かにカラテ警戒。周囲にはスカイフィッシュはおろか小動物の姿さえない。
「気をつけて」
「え、エット……スカイフィッシュに、ですか?」
「それもある。けど、ここまで森が静かなのはおかしい。村で聞いた密猟者が近くに潜んでるかも」
オーキッド隊員の冷静だが恐ろしい推論にチェインドッグ隊員が震えた。そのとき!
「ンンー? 何かそこに糸があるよ?」
見よ! ブラインド隊長が指差したその先、木々の間に張られているのはワイヤーだ。明らかに人為的! 誰が!? 何のために!?
「転ぶとアブナイだからね。迂回していこうね」「GUUUU」
ブラインド隊長の的確な状況判断が光る! サイバーカリブーのツノを撫でた彼女はそのままワイヤーを迂回しようとした。チェインドッグ隊員もそれに続こうとする。だがその時!
オーキッド:【ニューロン】判定
2, 3, 3, 3, 5, 6 成功
「止まって」
「アイエッ?」「ンンー? どうしたの」
オーキッド隊員が両名を静止! 素直に指示に従った両名の間を掻い潜り、彼女は進行方向の足元を調べ始めたではないか。そして……見出したのは巧妙に隠蔽されたトラバサミ!
「やっぱり。ワイヤーは囮。本命は迂回先に仕掛けたこっち」
「オオー! オーキッド=サン、スゴーイ!」
パイパチパチ! ブラインド隊長が拍手とともに称賛! だがオーキッド隊員の表情はいまだ険しい! なにか懸念事項があるというのだろうか!?
「……この罠、対人間を想定してる」「スゴーイ!」パチパチパチ!「ワイヤーは進行方向を定めるためのもの」「スゴーイ!」パチパチパチ!「そしてその先の本命がトラバサミ。人を仕留めるには不足」「スゴーイ!」パチパチパチ!「つまり、イヤーッ!」ヒュバウン!
オーキッド:【回避】判定
6d6 → 1, 2, 3, 3, 5, 5 成功
どこからともなく飛来した一筋の矢を、オーキッド隊員は寸前で掴み取り破壊! ワザマエ!「スゴーイ!」パチパチパチ!「それは、もういい」「アッハイ」ブラインド隊長は拍手をやめる!
「トドメは自分で刺すタイプみたい。気をつけて。近くにいる」
立ち上がったオーキッド隊員はカラテを構える! サイバーカリブー騎乗でキョロキョロと周囲を見回すブラインド隊長! 慌てて両脚ホルスターからスリケンを取り出すチェインドッグ隊員!
ガサガサ……木々の葉擦れの音が響く! 一同の視線がそちらに向いた次の瞬間!
チェインドッグ:【回避】判定
(1, 1, 5)(5, 6, 6) 二連続回避成功な
「ジェロニモーッ!」奇妙なカラテシャウトはその反対側から降ってきた!「サイゴン! サイゴン!」「い、イヤーッ!? イヤーッ!」チェインドッグ隊員は自身を狙う凶刃を危うく回避! そのまま連続バック転でオーキッド隊員の背後まで退避!
オーキッド隊員はアンブッシュ者にショットガンを向けた。円錐形の編笠、迷彩色のニンジャ装束! ニンジャ装束? 然り! すなわちニンジャなのだ! その者は先手を打ってアイサツを繰り出す!
「ドーモ! サヴァイヴァー・ドージョーのフォレスト・サワタリです!」
「ドーモ。ブラインドです」「オーキッドです」「ち、チェインドッグです」
探検隊の面々もアイサツを返す。その中でチェインドッグ隊員の顔色が青くなった。先ほどのアンブッシュの恐怖からか? 否! 彼女は最近受けたソウカイヤのニンジャ講習のことを思い出していたのだ。
サヴァイヴァー・ドージョー! ヨロシサン製薬より脱走したバイオニンジャによって結成された危険戦闘集団! そしてその脱走を主導しカイシャを退職した元ヨロシ研究員の名こそフォレスト・サワタリ。すなわち眼前の男こそサヴァイヴァー・ドージョーの大将なのだ!
マチェーテとククリナイフを構えたフォレスト・サワタリは、暗い目でブラインド探検隊の面々を見据える。
「ベトコン共め……ナパーム掃討作戦は断固阻止する。スカイフィッシュ=サンの元へは行かせんぞ」
「エッ? ベトコン? 何? ナパーム……何?」
「スカイフィッシュ=サン……?」
ブラインド隊長とオーキッド隊員は揃って首を傾げる。元よりソウカイヤから受けたニンジャ講習のことなど覚えていない二人ではあるが、知っていたとしてもこのサワタリの言葉を理解することはできなかっただろう。
そんな中、チェインドッグ隊員が勇敢に一歩を踏み出す!
「そ、その! 誤解です! 私たちは、エット、ユーマ? とか、そういうのを探しにきただけで……!」
「成る程」
フォレスト・サワタリは暗い目のままに頷いた。
チェインドッグ:交渉
自動失敗。ナムアミダブツ!
「つまり貴様らはベトコンのナパーム掃討作戦前の先遣隊ということだな。単独行動が仇となったか……」
「……ねえ、さっきからあの人なに言ってるの?」「知らない」「GUUU」
「アイエエエ……」
困ったように顔を見合わせるブラインド隊長とオーキッド隊員。その横、チェインドッグ隊員はいよいよもってその顔を青ざめさせた。彼女は理解してしまったのだ。フォレスト・サワタリは狂気に呑まれている。説得は不可能だ。
もはやイクサは避けられぬか? 空気が張り詰めた、その時!
「マテ……サワタリ=サン……」
突如として密林に響く声! ヒュヒュヒュヒュヒュ……! 木々の間を縫うように飛来するのは夥しい数のスカイフィッシュ! 凄まじい速度でブラインド探検隊の周囲を旋回し始める!
そして枝葉を踏みしてエントリーする影あり! 果たしてその正体は!? ブラインド探検隊はいったいなにを目撃したというのだろうか!?
【レッツゴー! ブラインド・エクスペディション!】前編終わり。後半へ続く
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