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忍殺TRPG非公式プラグイン:NPCデータパック【タイヨウ・クミアイ】

◇はじめに:これはなに?◇

 当記事はニンジャスレイヤーTRPGのシカナオリジナルのNPCニンジャたちを詰め合わせたデータパックです。主に下記シナリオに端を発した『タイヨウ・クミアイ』という組織に所属するニンジャたちとなります。

 例えば「湾岸警備は何度も楽しめるけど、使いたいニンジャが育ってこのボス敵だと物足りない!」という場合はこのデータパックを適用してみましょう。程よくデッドリーにできます。

 あるいはこのタイヨウ・クミアイを敵に据えたシナリオないしキャンペイグンを作成しても構いません(その場合はシカナに一声かけていただけると助かります。嬉しいので)

 ではいってみよう。よろしくおねがいします。

当データに付随するスレイトは、2020/11/2から2020/12/3にかけてKasumi=サンの鯖にて開催された、対タイヨウ・クミアイセッションを元に作成されています。以下に記す方々は、セッションに参加されたニンジャたちです。この場を借りて御礼申し上げます。(PCは敬称略とさせていただきます)

Kasumi=サン:クロックハンズ、モノクローム、トリダンクナ、ベリードボーンズ
クランデスティン=サン:カミカゼ
しゅう=サン:ヴィンディクティヴ
Feno2=サン:スタードリーム、ジュリエザ
ほのぽっぽ=サン:ラファエル
ICBlues=サン:フローライト
古矢沢=サン:ヒヅメステッブ、ピクセルトーチ
ねこぞう=サン:シャドウサーペント、オボロヅキ
まいぜお=サン:サニーシック
ハトぽっぽ=サン:フレッシュイーター
避雷針=サン:アメジストモール
ふらっく=サン:トラブルシューター
ふるあかり=サン:ラフィングキャット


◇風味書:タイヨウ・クミアイとは◇

 ネオサイタマ沿岸に出没し、バイオ海産物を指揮して浜辺や海沿い工業地帯を襲撃するニンジャの一団……それがタイヨウ・クミアイである。

 「海は我らのもの」「次は陸を我らが手に」と息巻く構成員もいるものの、基本的にはそうした者たちは下級のニンジャたち、ないし遊び半分の上級戦闘員と見てよい。幹部や彼らを統べる「クミアイ長」はネオサイタマの海に潜み、滅多なことでは姿を表さない。

 ……少なくとも、今は。


◇オプション:戦略的撤退◇
 『楽しい湾岸警備』が繰り返し重点であったことを鑑みると、以下のクミアイ員たちとも何度もイクサしたいとなる場面もあるだろう。その場合、タイヨウ・クミアイのニンジャたちが体力が0になったときは爆発四散でなく撤退したとみなしてマップから取り除いてよい。無論、ストーリーに差し支えるのであれば遠慮なく爆発四散させてしまってもよい。自由だ。


●上級戦闘員:ウルフパック

【メディシカルの魔術的研究所】
「フン、フン、フーン♪ よぉし、いいぞ! いい感じに仕上がってるぞ、ウルフパック!」

 小さな手が異形の甲殻を撫で、叩く。数多の海産物を混ぜ合わせたような悍ましい外見のそれを、有翼の魔女は恐れる様子もない。
 当然ではあった。ソウルによってもたらされた異形化のジツに適応できなかった自身を拾い上げ、謎めいた術式と投薬で安定させたのはこの魔女……メディシカルの所業である。
 自分より遥かに小柄な魔女を見下ろし、目を細める。なんと小さく、華奢であることか。

「さあ早速お披露目だ! 今、海の方に生意気な船が来ているからね! キミのカラテを見せてやるんだ!」

 ウルフパックは頷き、メディシカルの後へと続く。守らねばならない。その意思を強くしながら。


 ウルフパックはタイヨウ・クミアイの幹部、メディシカルの代理戦士とも言える上級戦闘員だ。ソウルによってもたらされた、雑多な海産物を寄せ集めたような外殻とオオカミめいた牙を持つ触手器官で容赦なく敵を攻め立てる。

 メディシカルのジツに巻き込まれても戦意を失うどころかむしろ高揚し、彼女が傷つけられたら暴れ狂う。切っても切れない関係があるのだ。


「GRRRRR……」/「メディシカル=サン、を、よくも!」
◆ウルフパック(種別:ニンジャ)
カラテ     14  体力  30/2x
ニューロン   6  精神力  7
ワザマエ    8  脚力   7
ジツ      6  万札   0
近接ダイス:20 遠隔ダイス:14 回避ダイス:15
スキル:『頑強な肉体』『不屈の精神』
『メディシカル印の調整』『愛憎(対象:メディシカル)』
『大甲殻』

『メディシカル印の調整』:
 このニンジャは仲間から特殊なジツを用いた調整を受けている。
『大怪物化』した状態で戦闘を開始し、【体力】値が2倍となる。

『愛憎(対象:メディシカル)』
このニンジャは[対象]に特殊な感情を抱いている。
[対象]と同じマップにいる間、自身の能動的行動の難易度が-1され、
【精神力】ダメージを無効化する。
また[対象]が第三者からダメージを受けたとき、
サイバネ狂気と同等の『獣化(軽度)』と『狂戦士化(中等度)』を発動させる。

『大甲殻』:
 このニンジャは毎ターン開始時に[戦闘に参加しているPCの人数×2]の【装甲】を得る。
【装甲】値が残っている状態でダメージを受けた場合、そのキャラは【体力】より先にまず【装甲】値を減らす。
【装甲】値をすでに持つ状態で、新たに【装甲】を得るような効果が発生した場合、より高い値のみを採用し、
低い方の【装甲】は失われる。
【装甲】値を持つ間、このニンジャは回避を行わないが、
「近接攻撃」を受けた時に「ダメージ2」「回避難易度NORMAL」の
特殊なカウンターカラテを発動させる。

◇進化状態:
『近接攻撃』『遠隔攻撃』の判定ダイスが【ジツ】値と同数上昇し
装備スロットが『ヘンゲ←→ヘンゲ』『スリケン←→スリケン』となる。
このジツによるダイスの増加は最大で3個まで。
また『ヘンゲ』による『近接攻撃』の判定に出目6が含まれていたなら
そのダメージを+1する。

◇大怪物化◇
・ダイス増加の上限が3から6となる。
・自身の『ヘンゲ』に『基礎ダメージ2』『連続攻撃+1』が適用される。
・あらゆる『回避判定』の難易度が+1される。
・移動系効果が宣言不可となる。

装 備:『パーソナルメンポ』『伝統的ニンジャ装束』

ジ ツ:
★怪物の牙:
 術者は『ヘンゲ』状態の武器スロットで『近接攻撃』を行う際にのみ有効な『肉体破壊』を得る。

★狂気への誘い:
 戦闘開始時に自動的に発動(ウルフパックは大怪物化した状態で出現するため)。
 術者を中心とした『15×15』マスにいる敵全員へ
 直ちに『精神力ダメージ1』『回避ダイスダメージ1』を与える。
 術者を中心とした『5×5』マスではダメージが
 『精神力ダメージ2』『回避ダイスダメージ2』へと強化される。
 『ボス級の敵』は【ニューロン】判定U-HARDでこのジツのダメージを
 無効化することが可能であり、このジツからダメージを受けた『モータル』は
 次の手番で行動不能となる。
 このジツの効果は『モータル』または『ニンジャ』にのみ有効。
 
 ★★鋼鉄の表皮:
  術者は『ダメージ軽減』と同様のサツバツ!耐性を得る。
  このサツバツ!耐性は『装甲貫通』を持つ敵にも有効。
  加えて術者は『●頑強なる肉体』を自動獲得する。
  
  ソウル:『ヒュドラ・ニンジャクラン(グレーター)』


●上級戦闘員:スケルトンアイズ


【『カクシゴ級』ステルス艦:オナタカミ三機士】
ZZZZGGGGM!「アイエエエーエエエ!?」「エマージェント!エマージェントな!」「モウダメダー!」

 凄まじい振動が船を揺らし、モータル乗組員たちの悲鳴があちこちで響き渡る。ブガーブガーブガー!けたたましい警報音と明滅する赤いライトの下、クローンヤクザを引き連れ振動源へ急ぐニンジャが三人。

「水面下からの襲撃だと?」「バイオダツか?」「バカな!オナタカミの最新艦がたかがシーライフに敗れるものか」

 アクアブレード、アクアエッジ、アクアサーベル……水中戦を得意とするが故にタイダルガードの指揮下に置かれたオナタカミの戦士たちは言葉を交わしながらも歩みを早める。単なるシーライフでないのならば、ニンジャに違いない。となれば、彼らオナタカミ三機士の出番であった。

「敵は何人いる?」「さあな」「何人いようと同じこと!オナタカミのテックあればどのような相手だろうと、」BEEEAM!

「「イヤーッ!」」アクアエッジとアクアブレードは咄嗟にブリッジ回避!それが彼らの命を救った。「ア」コンマ数秒遅れたアクアサーベルの頭は、悲鳴をあげるより早く焼失する。壁向こうの海中から放たれた光に撃たれたのだ。

「な、」「何ーッ!?」二人のオナタカミニンジャは反射的に飛び退く!引き連れたクローンヤクザ部隊を見やったアクアエッジが低く呻いた。引き連れたその全てが頭部を消失させ、緑の血液を撒き散らしている。海中を泳ぎ、こちらの位置を察知してなんらかのジツで攻撃を仕掛けた……そうとしか思えぬ!

「ドーモ」

 流れ込む海水とともに侵入してきた、深海めいた黒いコート姿のニンジャがオジギする。その目は奇怪に輝いている……!

「タイヨウ・クミアイ。スケルトンアイズです」
「ど、ドーモ。スケルトンアイズ=サン。アクアエッジです」「アクアブレードです」
「そこのお前。わかっているの?」

 指さされたアクアブレードが反射的に身構え「イヤーッ!」「アバーッ!?サヨナラ!」背後の壁を突き破って現れた三叉のヤリに貫かれ爆発四散!

「わかってなかった。そこにいたらアブナイってこと」
「な、な……!?」
「お前はいつも一言足りないんだよな、スケルトンアイズ=サン」

 メキメキと亀裂を広げ、エントリーしたのはクジラめいた肉体を持つ偉丈夫であった。スケルトンアイズは腕組みし、頷く。

「わかっている」
「なにがだよ? ……ま、いいか。そこのニンジャは任せるぞ」

 悠々とその場を後にする新手のニンジャ。しかしアクアエッジはその背を負えぬ。腕組みを保ったまま、スケルトンアイズが彼を凝視している……!


 スケルトンアイズは深海探偵である。具体的に深海探偵がなんなのかは彼女自身にしかわからないものの、深海めいた黒いコートと煌々と輝く両眼は見るものを威圧し、恐れさせるだろう。ソウカイヤでいうスカウト、ザイバツでいう懲戒騎士めいた立ち位置にあるようだ。

 戦闘においてはその両眼から放つヒカリ・ジツで敵を淡々と焼き払う。そのジツは極度に高められており、直撃したらただでは済むまい。

「わかっているの?」/「わかっている」/「わかっていることにする」
◆スケルトンアイズ(種別:ニンジャ/深海探偵)
カラテ     8  体力   15
ニューロン   15  精神力  15
ワザマエ    8  脚力   4
ジツ      6  万札   30
近接ダイス:8 遠隔ダイス:8 回避ダイス:15
スキル:『連続攻撃2』『臨機応変』『時間差』
『マルチターゲット』『頑強なる肉体』
『痛覚遮断』『グレーター・ツジギリ』

『煌々と輝く瞳』:
 深海には解明されざる謎が沢山ある。
 このニンジャは『☆ヒカリ・ジツ』を1ターンに2回発動可能。
 さらに遠隔攻撃に対して「ダメージ2(回避難易度NORMAL)」の
 特殊なカウンターカラテを発動可能。

『ロックオン』:
 このニンジャは事前に標的を宣言することで、
 その敵に対して発動した「☆ヒカリ・ジツ」にのみ有効な
 「回避パターン解析+」を持つ。

装 備:
 「フルヘルムメンポ」「タクティカルニンジャスーツ」

ジ ツ:
 「☆ヒカリ・ジツLv6(ダメージ3、射程距離12マス、回避難易度HARD)」
 「★ヒカリ・マスタリー」「★ヒカリ貫通光線」
 「★ヒカリ殺人光線」「★★原子分解光線」

★ヒカリ・マスタリー
このニンジャはヒカリを自在に操る。
「☆ヒカリ・ジツLv3」を【精神力】やジツ発動判定なく使用可能となる。
また、ヒカリ系のあらゆるジツが味方キャラクターを巻き込まなくなる。

★ヒカリ貫通光線
 ヒカリ・ジツの貫通性能を向上する。
「☆ヒカリ・ジツ」「★★グレーター・ヒカリ・ジツ」を使用する際、
「装甲貫通1」が追加(もともと持っている場合更に+1)され、
 またジツのダメージが+1される。

★ヒカリ殺人光線
ヒカリ・ジツの狙いが緻密になり、敵の首や両腕を切断するようになる。
「☆ヒカリ・ジツ」「★★グレーター・ヒカリ・ジツ」を使用する際、
ジツ発動判定で「出目6・6・6」が出た場合、その攻撃に「サツバツ!」効果が追加される。
このサツバツで「出目1:弾き飛ばし」が出た場合、単純にダメージ+1の効果に変更される。

★★原子分解光線
肉体を完全に分解する恐るべき殺人光線を発射する。発動には長いニンジャサインが必要となることが欠点。
【精神力】4と回避ダイス4、「その他の行動」を消費することで「タメ」を行うことが可能。
「タメ」を行った次のターン、移動を行わなかった場合、手番の「攻撃フェイズ」に回避ダイス4個を消費し、
「難易度:U-Hard」のジツ発動判定に成功することで射撃の代わりに「原子分解光線」を宣言できる。
宣言した場合、射線の通っている敵1体を対象に原子分解光線が放たれ、「ダメージ4D6」を与える。
回避難易度は「難易度:U-Hard」。
この射撃攻撃に対しては特別に「カウンターカラテ」が使用可能であり、
カウンターカラテに成功した場合相手に反射された原子分解光線を術者自身が受ける(回避難易度:U-Hard)。

ソウル:タイヨウ・ニンジャクラン(グレーター級)


●上級戦闘員:エレキトレイル

バイオサイバネティカ実験船:エレキトレイル

「アバッ」

 エレキトレイルが自我を取り戻した時、最初に目にしたのは事切れたニンジャであった。不穏に目を輝かせ、それを覗き込んでいたアルビノめいた少女がぱっと振り向く。

「あら!ひょっとして上手くいったのかしら、メディシカル=サン!」
「当然だろー!私のジツを甘く見てるんじゃないだろうね、ハーヴグーヴァ=サン?」
「な、なにをしているエレキトレイル=サン!?援護をアバーッ!?

 悲鳴に振り向くと、もう一人いたらしいニンジャが海から伸びた長大な触手に叩き潰されたところ。「おお」エレキトレイルは目を丸くした。
 周囲は既にツキジめいた情景。武装したモータルたちはいずれも顔に恐怖の色を浮かべて絶命している。
 が、エレキトレイルにはどうでもよかった。「ひゃほー!」本能のままに眼前に広がる海へと飛び込む!SPLAAAASH!

「よかった、元気そうだわ!けどお母さん……じゃない、クミアイ長の他にも離れた場所にいるニンジャとお話しできる人がいるのね。興味深いわ」
「いやー、ジツの仕組みを見るにそんな生温いもんじゃないな。一方的な支配、洗脳に近い。とはいえ感謝していいよそこのキミ!なにしろこの私がいたんだからね!」

 突然話しかけられたことを察したエレキトレイルは、きょとんと鎌首をもたげた。宙に浮かぶ有翼の女ニンジャがなにやら自慢げに胸を張っている。
 くすくすとアルビノめいた少女が笑った。その背には長大な触手がいくつも蠢いている。

「ええと、そこのお姉さんがあなたを助けてくれたのよ。カワイイなウナギ=サン。そして今日から貴方もタイヨウ・クミアイの一員ね!」
「え? いや、その辺はエナリオス=サンと話をしてからだね……」
「おおお!」
「ウワッ」

 辟易したように身を引いた有翼のニンジャに構わず、エレキトレイルは頷く。理解したのだ。この眼前の小さいのが、自分を海へ解き放ってくれたことを。


 エレキトレイルは元ヨロシ・バイオサイバネティカのバイオニンジャだ。ウミヘビめいて巨大なウナギめいた外観を持つ。本来はヨロシ・ジツの影響下に置かれてもおかしくない存在ではあるものの、メディシカルのスポイル・ヘンゲ・ジツによってその支配から脱し、ジツの届かぬ大海に飛び出した。

 戦闘においては発達した生体電気発生器官から放たれる雷撃を放ち、とにかく暴れ回る。図体がでかい分カラテも当てやすいだろうが、下手に触れたら痺れるので要注意だ。


「うおおお!」/「やるぜ!やるぜ!おれはやるぜ!」
◆エレキトレイル(種別:ニンジャ)
カラテ     8  体力   40
ニューロン   12  精神力  12
ワザマエ    10  脚力   9
ジツ      0  万札   20
近接ダイス:9 遠隔ダイス:11 回避ダイス:6
スキル:
 『連続攻撃2』『連射2』『時間差』
 『マルチターゲット』『不屈の精神』
 『タイヨウの証(MoS読替え)』
 『ツジギリ』『タクティカル移動射撃』
 『キリングマシーン』

『愛憎(対象:メディシカル)』
 このニンジャは[対象]に特殊な感情を抱いている。
 [対象]と同じマップにいる間、自身の能動的行動の難易度が-1される。
 また[対象]が第三者からダメージを受けたとき、
 自身の持つ『獣化(軽度)』と『狂戦士化(中等度)』を即座に発動させる。

『発電防御』:
 このニンジャは攻撃回避時にカウンターを行わない代わりに、
 ダメージを受けた時に攻撃相手へ「電磁ダメージ1」「回避ダイスダメージ1」の
 特殊なカウンターカラテを行う(回避難易度NORMAL固定)

装 備:
 「パーソナルメンポ」「伝統的ニンジャ装束」「メディシカルの羽根(ブードゥー)」

ソウル:不明(レッサー)

サイバネギア:
▲バイオサイバネヘッド(軽度)+▽生体弾
▲▲▲▲サーペントフレーム:
 海蛇伝説の正体として伝わる巨大ウナギをバイオ技術により再現したもの。
 このバイオサイバネは「△△生体電気発生器官」「△△バイオテイル」「△△バイオ拡散弾+」を内包する。
 【体力】を【カラテ】の5倍で算出し、『脚力+4』『ダメージ軽減1所有時と同等のサツバツ耐性』
 『敵からの「近接攻撃」の回避難易度-1』を得る代わりに「連続側転不可」となり、回避ダイスが半減する。
 
 狂気:
 「薬物依存/バイオインゴット欠乏症(軽度)」
 「狂戦士化/過剰戦闘衝動(中程度)」
 「獣化/黒い復讐心(軽度)」


●上級戦闘員:アルバコア

【海:アルバコア】

「ウォーッ!」「アバーッ!?」

 海中を弾丸めいて影が過ぎる!たまたま進行経路を横切ろうとしていたバイオガザミが破裂して死!

ウォーッ!」「「「アバーッ!?」」」

 海中を弾丸めいて影が過ぎる!たまたまその前を突っ切り船に攻撃を仕掛けようとしていたバイオダツの群がバラバラに吹き飛ばされ死!
 
「ウォーッ!」

 海中を弾丸めいて影が過ぎる!それはバイオダツが通るはずだった経路を、バイオダツの三倍以上の速度で辿った。そして!「ウォーッ!」SPLAAAASH!

「な」「ウォーッ!」「アバーッ!?」
「アイエエエ!?」「マグロ!?マグロナンデ!?」「こっち来アバーッ!?

 空中を弾丸めいて影が過ぎる!それは弾丸ではなしえぬ複雑怪奇な軌道を描き、たまたま通りがかっていた船の乗組員たちを次々に破裂死させる!

「ウォーッ!」

 SPLAAAASH! それは再び海へと飛び込み、弾丸めいた速度からさらに加速!そのまま最近目覚めたタイヨウ・クミアイ幹部の元へと急行したのだ!


 アルバコアはニンジャの知性マグロである。ただの知性マグロではなく、ソウルによって得たキネシスの力で空中遊泳を実現させている。水中から加速して放たれるその突進は、魚雷に匹敵するほどの威力を持つだろう。

 知性マグロ特有のニューロン速度を持つ彼は、幹部フォルネウスと行動を共にしていることが多い。


「ウォーッ!」/「ギョギョーッ!」
◆アルバコア(種別:ニンジャ/素晴らしき知性マグロ)
カラテ     15  体力   30
ニューロン  18(24)  精神力  31
ワザマエ    7  脚力   10
ジツ      3  万札   50
近接ダイス:20 遠隔ダイス:- 回避ダイス:18
スキル:
 『連続攻撃3』『臨機応変』『水棲』
 『マーク・オブ・タイヨウ』『翻弄』
 『スローモーション回避』

『高速水中射出』:
 「水中マス」から移動を開始したときのみ有効な
 『連続攻撃+1』『ダメージ+1』を得る。

『フィッシュ突撃』:
 突撃と同様だが、以下の違いがある。
・【精神力】を1消費する。水上マスでは判定不要だが、陸上では【ワザマエ】判定(難易度U-HARD)を行うこと。
・他のキャラ(敵味方問わず)がいる場所を通過しながら移動できる。
・通過された敵全ては自動的ダメージを1D6受ける(回避は『HARD』で可能)。
・『フィッシュ突撃』後に『近接攻撃』を繰り出す場合、そのダメージは全て+3される。
・その他(使用者は次の手番まで回避不能、など)は『突撃』と同様。

『弱点:マグロ』:
 このニンジャは知性があるとはいえマグロである。
 移動フェイズに移動を行わなかった場合、
 手番終了時に【体力】と【精神力】へD3ダメージを受ける。
 また移動終了時に「水中マス」上にいなかった場合、
 手番終了時に【体力】と【精神力】に2D3ダメージを受ける。

ジ ツ:
「☆キネシス・ムーブメント」:
 このニンジャはキネシスにより浮遊し、魚雷めいた速度で敵を襲う。
 手番開始時に【精神力】を1消費して難易度NORMALで発動。
 成功した場合、術者はその手番中【脚力】の2倍で移動可能となる。
 ナナメ移動も可能であり、敵マス上も通過可能。
 敵を通過した場合、自動的に[【ジツ】値-1]のダメージを与える(回避難易度HARD)。
 さらにこれによってダメージを受けた敵は体勢を崩し
 続く術者の攻撃に対して回避難易度が+1される。
 手番終了時にD6を振って出目4以上が出た場合、このニンジャは再移動が可能となる。

『★★グレーター・マグロ・ウェポン』:
 『グレーター・ムテキ・ウェポン』読み替えとなるが、以下の違いがある。
 ・「武器破壊」は使用不可(いかにニンジャのマグロといえど、カラテの込められた武器は砕けない)
 ・このジツを使用中、このニンジャは「非移動」状態とみなされ『弱点:マグロ』の効果を受ける。  さらに使用者が陸上にいる場合、自身も陸上にいるものとしてみなされる。

ソウル:タナカ・ニンジャクラン(レッサー級)

サイバネギア:
 「▲▲▲▲知性マグロフレーム」:
 【体力】+15、【精神力】+15、【脚力】+3
 『近接攻撃ダイス』+5、常時『☆ニューロン・ブースト」発動
  近接装備スロットがすべてバイオサイバネになり、遠隔攻撃不可に」


●幹部:メディシカル

【『ケジメをした指を愛おしく撫でるお前』号甲板:カミカゼ】
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「Arrrrgh!」

 熾烈なカラテ、カラテ、カラテ応酬! 巨体を誇るウルフパックが放った異形のカラテを、ラファエルは連続バック転回避。それと入れ替わるように前に出たヨロシ研究員ニンジャのカミカゼは、両腕の高変形性バイオメタル™を刃状に変化させる。そして忌々しげに空を見上げた。
 そこから降りつけるのはバイオサイバネすら蝕む毒の雨。そして離れた位置に浮かぶのは、非バイオサイバネの翼を生やす女ニンジャ。この厄介極まりない状況を作り出した張本人。メディシカル。
 長い腕に朱漆塗のヤリを構えたバイオニンジャ、ヴィンディクティヴが嘲りの声を上げた。
 
「ヒヒッ! 偉そうに出てきて、テメェは文字どおり高みの見物ってかァ?」
「フン! 君らにとってはそっちのほうがありがたいんじゃないのかい?」
「違いねえ! じゃあそこで指をくわえてテメェの怪物が爆発四散するとこを眺めてるんだな! イヤーッ!」

 驚くべき敏捷性をもって、ヴィンディクティヴが動こうとした。狙いはウルフパック! カミカゼはフォローに入ろうとし……気づく。額にわずかに青筋を浮かべたメディシカルが、杖を構えている。そして

カワリ・タマエ!

 カミカゼの警告より早く。放たれた光弾がヴィンディクティヴを直撃した。BON! 謎めいた煙が彼の姿を包み込む!「ヴィンティクティヴ=サン!?」ラファエルが動揺の声を上げる中、その煙が晴れ……

「な……んだこりゃあ!? 俺の体になにしやがったァ!!」

 現れたヴィンティクティヴの姿に、カミカゼは目を剥いた。
 ラファエルも驚きに口を押さえ、ビットを展開し援護射撃の準備を行っていたスタードリームは二度見し、オイランドロイドたるクロックハンズすらその状況判断に一瞬の時間を要した。
 何故といって今のヴィンディクティヴの姿は……ナムアミダブツ! 人間大のチワワとなっているからだ!

「散々キャンキャン言ってたんだからちょうどいいだろう!? ……アッ、大きさ小さくするの忘れてた……」

 なんと無残な姿に。バイオ技術の結晶たるバイオニンジャがこのような姿に貶められたことに、カミカゼは心中で涙すら流した。魔女の言葉を聞き流しつつ、彼女は思う。このイクサが終わったらヴィンディクティヴ=サンをヨロシ研究所に持ち帰り、全身を高変形性バイオメタル™に置換する手術の日取りを決めなければ……!


 強大なキルケー・ニンジャのソウルを宿す有翼の女ニンジャ。それがタイヨウ・クミアイ幹部が一人、メディシカルだ。毒の雨を降らせ、敵を小動物へとヘンゲさせる強力なジツの使い手である。

 反面、そのカラテは幹部の中でも一歩劣る。その点は本人も自覚しており、単独で前線に出てくることはほとんどない。ウルフパックを始めとした上級戦闘員を引き連れ、その支援を行うのが彼女の戦闘スタイルだ。

 不利と見れば臆面もなく逃げを打ち、イクサ中に狼狽えることも多い彼女ではあるが……そのジツを活かしたニンジャ・ピル作成や憑依ニンジャたちのスカウトなども小器用にこなす、タイヨウ・クミアイになくてはならない存在とも言える。


「ふふん、私に任せたまえ!その程度指先一つで……」/「アイエエエ!?普通そうはならないだろう!?」/「ああもう仕方ない!もう少し付き合ってもらうよ!」
◆メディシカル(種別:ニンジャ)
カラテ    5  体力   37
ニューロン   14  精神力  27
ワザマエ    5  脚力   3
ジツ      8  万札   50
近接ダイス:5 遠隔ダイス:14 回避ダイス:15
スキル:
『半神的存在』『不滅』『共振装束生成』『非力』
『時間差』『マルチターゲット』『臨機応変』

『非力』:
 メディシカルはニンジャにしては非力なほうであり、『サツバツ!』を発生させられない。

『臆病』:
 このニンジャは常に仲間とともに出現し、
 仲間が撃破された時点で撤退する。

『有翼』:
 このニンジャは超自然の翼を備える。
 「飛行移動」が可能となり、水上マスのデメリットを受けなくなる。

装 備:
『パーソナルメンポ(生成)』『伝統的ニンジャ装束(生成)』
『**タイヨウ・ロッド**』:
 遠隔武器、連射3、時間差、ダメージ1、装甲貫通1、回避難易度HARD、『スイダン』
『スイダン』:
 攻撃フェイズ時に【精神力】1を消費することで、【ニューロン】値による射撃が可能となる。
 
ジ ツ:
『★カナシバリ・マスタリー』『★毒物無効』

『★★スポイル・ヘンゲ・ジツ』
相手をブタや犬などにヘンゲさせカラテを失わせる非道のジツ。
自身の攻撃フェイズに【精神力】2を消費して発動可能(難易度HARD)。
成功した場合、射線の通る敵一体に『ダメージ0』の特殊な遠隔攻撃を行う(回避難易度U-HARD)。
これを受けた敵は即座に『ヘンゲヨーカイ・ジツ』を使用した状態となるが、
本来のボーナスを受けることができず【カラテ】値が-3されてしまう(最低1、累積なし)
このジツの効果は3ターン持続する。

『★★キルケー・ベノムサメ・ジツ』:
 自身の攻撃フェイズに【精神力】2を消費して発動可能(難易度HARD)。
 成功した場合、射線の通っている20マス以内の地点に対して毒の雨雲を呼び出し、
 『5×5マス』の範囲に毒の雨を降らせ、この範囲内にいるキャラクターへ
 敵味方問わず毒による『ダメージ1』『回避ダイスダメージ4』を与える(回避難易度HARD)。
 術者は次ターン以降も毒の雨雲を維持を宣言し、
 中心点を【ニューロン】値の半分だけ移動させることができる(移動後に再度毒ダメージが発生する)。
 このジツの維持中、術者が使用するジツの発動難易度は+1される。

ソウル:『キルケー・ニンジャ(アーチ級)』


●幹部:エナリオス

『クジラを一旦根絶やしにしてから養殖して我がものとするお前』号甲板:ジュリエザ

ZZZZZGMMMMM!
 『クジラを一旦根絶やしにしてから養殖して我がものとするお前』号が揺れた。その甲板に陣取り、恐るべきタイヨウ・クミアイのニンジャを迎え撃っていたニンジャたちもたたらを踏む。それは海に慣れぬ故か、それともニンジャ平衡感覚の不足故か? どちらも否。甲板を濡らす海水すら渦を巻き、彼らの動きを妨げているためだ。

「イヤーッ!」「まだまだァーッ!」

 ネオン・ジャケットを羽織ったバイオニンジャ、フローライトが退避。チャイナドレスめいた装束のモノクロームはあえてこれを受けて立ち、耐える。軽やかな蹄の音とともに距離をとったヒヅメステップとユミを構えるシャドウサーペントは、このジツの重点範囲内から外れている格好だ。
 そんな仲間を横目に、ジュリエザは揺らがない。彼女の脚は金属めいた光沢と重量を帯びている。ムテキ・アティチュード。歴戦のソウカイスカウトである彼女のジツは鍛え上げられていた。
 そこへ、クジラめいた偉丈夫が踏み込む。三叉の大槍を構えたこの男こそエナリオス。恐るべき海の男であり、今回襲撃してきたタイヨウ・クミアイの首領格。

「イヤーッ!」「ウラーッ!」

 ジュリエザは全身を硬化させ、襲い来る攻撃に備えた。先の立会いで理解している。このニンジャのカラテを凄まじい威力を誇るが、決してムテキで防げぬ威力では、

「こいつは」

 ……衝突寸前、大槍が渦巻いた。否、錯覚である。エナリオスがカラテを込め、大槍を手元で回転させたのだ。三叉の穂先がまるでひとつの大きな穂先に見えんばかりの速度で。

「ムテキで耐えられるか」

 ジュリエザは己の失策を悟った。だが、もはやどうしようもない。えぐりこむような刺突の一撃は、瞬間的なカラテ圧によってカラテ爆発を引き起こし、硬質化した彼女の体を過重金属疲労めいて破壊したのである!

「アバーッ!」

 世界が吹き飛ぶような感覚。甲板端まで弾き飛ばされた彼女は血を吐いた。激痛がニューロンを満たす。フローライトがなにか叫んでいる。シャドウサーペントの額に焦りの汗が滲んでいるのが見える。ヒヅメステップがハープーンカノンに取り付き、エナリオスへ照準を合わせているのがわかる。
 そんな中、モノクロームの言葉がやけに『目についた』。聞き取れるほど回復したわけではない。だが、わかる。彼女はこう言ったのだ。

『立てる!?』
「……ハァーッ」

 もちろんだとも。震えながらも、ジュリエザは立ち上がる。ソウカイヤのスカウトで、これよりひどい窮地などいくつもくぐり抜けてきた。
『なら、やれるね!』モノクロームの叫びに頷き返し、ジュリエザはまっすぐにエナリオスを睨みつけた。悠然と三叉の大槍を構える海の男を。

『やってくれたな、くそったれ』

 ロシア語の罵倒が彼に届いたかどうか。知ったことか。ジュリエザは猛然と突進した。


 エナリオスは海の男である。半ばクジラと融合したような肉体を持つ偉丈夫であり、三叉の槍を持ってイクサに臨む。正々堂々とした勝負を臨む武人肌であり、強者を求めるイクサ好きでもある。イクサにおいては大渦を巻き起こすアラシオ・ジツと恐るべきメイルストロム・ツキで着実に敵を討ち取りにかかるだろう。

 反面、陸に対しての侵攻には興味を示さぬ穏健派。彼が沿岸まで出張ってくるとすれば、陸の強者の噂を聞きつけたときとなる。

 そのカイデンネームはグラウコス・ニンジャ。すなわち彼はリアルニンジャである。


「よう!なかなか腕が立つんだってな!やろうぜ?」/「おぉ、こりゃ予想を超えたな!」/「つまり本気でやっていいことだろ、オイ!」
◆エナリオス(種別:ニンジャ/海の男)
カラテ     18  体力   54
ニューロン   13  精神力  20
ワザマエ    15  脚力   9
ジツ      4  万札   50
近接ダイス:20 遠隔ダイス:15 回避ダイス:19

スキル:
『連続攻撃3』『臨機応変』『時間差』
『マルチターゲット』『連射3』『疾駆』『タツジン(ヤリ・ドー)』

『トライデント投擲』:
 このニンジャはスリケンではなくトライデントを投擲し、敵を滅ぼす。
 『マルチターゲット』を宣言しない時、スリケンの性能が
 「爆発(3×3)」「中心地点のダメージD6(回避難易度HARD)」「周囲のダメージD3(回避難易度NORMAL)」となる。

『歴戦の将』:
 幾度ものイクサを経たこのニンジャは、敵の動きから攻撃を先読みする。
 同じ敵から2ターン以上続けて同じ攻撃(「近接攻撃」「遠隔攻撃」「ジツ」)を受けたとき、
 その回避難易度を-1する。
 このニンジャのカウンターカラテは「ダメージ2(回避難易度HARD)」に強化される。

『ヒサツ・ワザ:メイルストロム・ツキ』
 螺旋回転を伴った刺突により、敵を防御ごと捻り切り破壊する非情なるヒサツ・ワザ。
『ヤリ』による近接攻撃の出目に出目6が三つ以上あった場合、サツバツの代わりに宣言可能。
 宣言した場合、範囲内にいる相手全員に追加で3D3ダメージ(『装甲貫通2を伴う』)を与える(回避難易度HARD固定)。
 また敵の回避ダイスに出目6が含まれなかった場合、自動的にD3ダメージを与える。
 このヒサツ・ワザは「戦闘スタイル:串刺し攻撃」を選択した時には「6,6,5」の出目で発動可能。

装 備:
『パーソナルメンポ(生成)』『伝統的ニンジャ装束(生成)』
『**トライデント・オブ・アラナミ**』:
「ヤリ(特殊近接武器)」「ダメージ3」「近距離攻撃リーチ+1」
「密着時の不利」「迎撃」「三叉」「串刺し巻き込みダメージ2」

三叉:
この武器の穂先は三叉に分かれ、敵を逃がさない。
この武器による攻撃による【回避】判定に出目6が含まれない場合、
回避に成功したとしても自動的に「ダメージ1」を与える。

ジ ツ:「★アラシオ・ジツ」「★★★海の覇者」「★★★共振装束生成」

★アラシオ・ジツ:
 自身を中心に大渦巻きを生み出し、敵を呑み込む。
 自身の移動フェイズ、移動の代わりに【精神力】1を消費して
「難易度:HARD」で判定。
 成功した場合、自身を中心とした5×5マスに回避不能の「回避ダイスダメージ2」を与え、
 さらにダメージD3(回避難易度HARD)を与える。
 このダメージを受けたニンジャは次の手番にあらゆる能動的行動の難易度が+1される。

★★★海の覇者:
 このニンジャの体力は【カラテ】値の3倍で算出され、
 さらにダメージ軽減1を持っているのと同様のサツバツ!耐性を持つ。
 このニンジャは「水上マス」のデメリットを受けず、「水上マス」にいる場合のみ回避ダイス+2のボーナスを得る。
 なぜならこのニンジャは海の男だからだ。お前も彼に続け。タフになれ。

ソウル:???


●幹部:ハーヴグーヴァ


【『海に沈んだ俺を数分後には釣り上げてくれるお前】号甲板:ピクセルトーチ】
 フラッシュバックするオキナワでのイクサ。否、イクサと呼んでいいのかさえわからない胡乱な経験。過去に戻っていたピクセルトーチの意識は、すぐに現実に引き戻される。

「キラキラ光ってるお姉さん! 私と遊んでくれるかしら!」
「……遊ばないって言っても来るんでしょ? さあ来い!」

 無邪気な少女の言葉を受けて立ったそのコンマ数秒後。飛来した四つのスリケンを「イィーヤヤヤ!」ピクセルトーチは手元に生成したタント・ダガーで斬り払う! 緑の炎が投影されたディスプレイ・メンポの奥で、彼女は不快感を露わにした。一発は確実に急所を狙ったもの。アブナイところだった。
 その様に、スリケン投擲主……病的な白い肌に黒い帽子をかぶった少女、ハーヴグーヴァは拍手を送る。その背から伸びた触手すらも打ち鳴らしている。この触手こそがこのニンジャのカラテの精密さと威力を両立させているのだ。
 そして、それだけではない!

「ンアーッ!?」

 悲鳴が上がる。側面の海から伸びた長大な触手が、ホタルめいた燐光をまとうフローライトを襲ったのだ。彼女とて手練のバイオニンジャだが、あのカラテを避けるにはあまりにも敵のフーリンカザンが整いすぎていたといえる。この触手もまたハーヴクーヴァの一部!

「なんでまたこんな目に! 二回目よ!?」
「だってキラキラしているのはお姉さんも同じだもの!」

 触手に拘束されもがくフローライトに、ハーヴグーヴァが笑顔を向ける。カミカゼが即座にカバーに向かう。
 厄介なのは文字どおり敵の手数。触手を持ってしてこちらをカバーするハーヴグーヴァのみならず、タイヨウ・クミアイに奪われたバイオニンジャ『エレキトレイル』がこちらの仲間であるサニーシックの動きを封じている。
 幸いなのは、ハーヴグーヴァ自身が未だ遊びの気分が抜けていない点だろうか。今の彼女はシャコガイめいたバイオ甲殻の内側から援護を行っていたトリダンクナに興味を奪われている。
 さて、どうするか。

 

 病的に白い肌と黒い帽子。そして背から生えた長大な触手がハーヴグーヴァのトレードマークである。見た目としては年端もいかぬ少女であり、その精神年齢も見た目相応であり、そのニンジャ感受性を持って深海で眠る『クミアイ長』と交信を行う、ミコーめいた立ち位置にある。

 だがそのカラテはタイヨウ・クミアイ幹部に相応しいものだ。イクサにおいては自身の触手を展開し、文字通り『手数』で攻め立てる。陸のニンジャとのイクサで体得してきたカラテスタイルを使い分け、とにかく翻弄するのだ。

 が、これは遊び好きで移り気な彼女の性格の表れでもある。とかく様々なことを試したがり、相手が真新しい行動をすればすぐに目を奪われる。そこがつけいる隙となるだろう。


「ねぇ、遊んでくれるかしら!たっぷり遊べるわよ!」/「ンアーッ!一応感覚は繋がってるのに!」/「もう怒ったわ!満足するまで遊んでもらうんだから!」
◆ハーヴグーヴァ(種別:ニンジャ/海産物?)
カラテ     6  体力   38
ニューロン   12  精神力  27
ワザマエ    18  脚力   10
ジツ      8  万札   50
近接ダイス:22(精密攻撃)/5回 遠隔ダイス:18/4回 回避ダイス:20
スキル:
 「連射3」「時間差」「マルチターゲット」
 「翻弄」「不屈の精神」「カラテ拘束」「タツジン(ボックス・カラテ)」
 「スリケン急所破壊」

「正気喪失」:
 このスキルの習得者は『自我希薄化(重度)』『虚無衝動(重度)』を
 自動獲得する。

「狂気の力」:
 このニンジャは狂気から力を得る。
 現在効果を発揮している狂気の合計数だけ、自身の「近接攻撃ダイス」が増加する。

「深淵から伸びる触手」:
 このニンジャは水底から己の異形を伸ばしカラテを仕掛ける。
 戦闘開始時、好きな「水中マス」に[PC数-1]体のミニオン『触手』を配置する。
 また『触手』の数が二体以下となった時、手番開始時に【体力】を3消費することで新たな『触手』を配置可能。

「移り気」:
 このニンジャは優れた技巧を誇るが飽き性である。
 「連射」が+1される代わりに2ターン続けて同じ攻撃(「近接攻撃」「遠隔攻撃」「イビルアイ」)を放つことができない。

「好奇心旺盛」:
 このニンジャは隙あらば陸のニンジャたちのアーツを学ぼうと目を光らせている。
 咄嗟の機転で不意もつけるだろう。
 同じ敵ニンジャが前ターンとは違う攻撃(「近接攻撃」「遠隔攻撃」「ジツ」)を仕掛けてきたとき、
 回避前に「回避ダイスダメージ2」を受ける。

装 備:
 「パーソナルメンポ(生成)」「伝統的ニンジャ装束(生成)」「タイヨウのお守り(ブードゥー)」

ジ ツ:
 「★★★半神的存在」「★★★共振装束生成」「★★★不滅」

『☆深淵の髄』:
 このニンジャの肉体と精神の繋がりは奇妙に捻じれている。
 [手番終了時]、【体力】もしくは【精神力】を2の倍数の数値消費して発動を宣言できる(最大6)。
 発動に成功した場合、【体力】または【精神力】を消費した数値の半分回復する。

「★肉体変質(触手)」:
 腕が触手めいた形状に変質したり、精密に動かせる機敏な触手が生えてくる。
 このジツの習得者は『素手』装備時『近接攻撃リーチ+1』『戦闘スタイル:精密攻撃』を得る。
 この『精密攻撃』は『タツジン(イアイドー)』の物に等しい(ただし「ヒサツ・ワザ」の条件は軽減されない)。

「★マインドフレイ・バインド」:
 拘束した相手の精神を啜り、己の糧とする恐るべきジツ。
 『拘束』の効果で与えるダメージに『精神ダメージ1』『回避ダイスダメージ2』が追加される。
 この効果によって相手の『精神力』減少が発生した場合、
 術者の【ニューロン】は+2される(重複せず、また【精神力】やイニシアチブには影響しない)。
 また、術者の【ニューロン】が7以上の時、『拘束』の脱出に必要な出目が「6,6」となり、
 13以上の時「6,6,6」となる。この出目は『事前ポートスキャン』のように累計する。

「★★軟質の肉体+」:
 腕だけに留まらず、全身が軟体動物めいた異形に変異する。
 常時発動。2マス移動できる特殊な『特殊近接ステップ』を自動獲得し、
 【体力】が【ジツ】値分上昇する。
 またこのニンジャは「ダメージ軽減1」に等しいサツバツ耐性を持つ。

★★深淵の魔眼:
 このニンジャの精神構造は人間とはかけ離れたモノとなっており、その瞳には底知れぬ狂気が宿る。
 『★★イビルアイ』を使用可能となり、『カウンターカラテ』発生時、それをキャンセルすることで
 攻撃してきた敵に『★★イビルアイ』を発動できる(1ターンに1回のみ)。
 また、このジツを持つニンジャに対して『カナシバリ』『イビルアイ』と名の付くジツを使用したキャラは
 【精神力】にD3+1ダメージを受ける(回避難易度:HARD)。
 加えてこのニンジャは『自我崩壊(重篤)』を獲得。

「★★大いなる交信?」:
 仄暗い海の底に眠るクミアイ長との交信を行う。
 『ジツ』に類するスキルの抵抗/回避時、【精神力】を1消費して発動を宣言できる(判定難易度:HARD)。
 判定に成功した場合、そのジツの抵抗/回避難易度は-1される。
 また、このニンジャは『狂気の中の真実(重篤)』を獲得する。

ソウル:アビス・ニンジャクラン(高位グレーター級)

狂気:『自我希薄化(重度)』『虚無衝動(重度)』『自我崩壊(重度)』『狂気の中の真実(重篤)』


◆触手(種別:海産物)
カラテ   10 体力  10
ニューロン 12 精神力 -
ワザマエ  10 脚力  5
ジツ    - 万札  -

近接ダイス:10 遠隔ダイス:- 回避ダイス:-

◇装備や特記事項
『連続攻撃2』
『怪力』:
 このキャラはサツバツを発生させる。
 さらに近接攻撃が命中した時、「サツバツ!」出目1と同じ弾き飛ばし効果か
 「拘束」効果を与える。つよいぞ。
 
 『伸縮自在』:
  このキャラは「水上マス」しか移動できない。しかし「近距離攻撃リーチ+1」を持つ。
  りくにあがれないけどのばせるからもんだいない。
  
  『カラテ・ミミクリー』:
   大元たるハーヴグーヴァはかつて戦ったニンジャたちのカラテを触手を通して再現している。
   このキャラは「タツジン(殺人カンフー:八極)」「タツジン(コッポドー)」「タツジン(ビッグカラテ、ノヅチ読替え)」「タツジン(ムチ・ドー)」のいずれかを持つ。
   同名のキャラが存在する場合、重複するタツジンスキルは習得できない。
   たくさんうでがあればいろんなカラテができる。かしこい!
  
  『弱点:肉体の一部』:
   このキャラはサツバツ!による「両腕破壊」または「脚部破壊」を受けると即死する。
   いたいからやめて。



●幹部:フォルネウス

 フォルネウスは幹部の中でも特に古いニンジャだ。マンタめいた巨体と紋様が特徴的ではあるものの、その身体はすっかり萎びている。意識自体も朦朧としていることが多く、会話もままならないことすらある。

 イクサにおいてはその巨体を活かしたビッグ・カラテを振るう。身体にくっついているコバンザメを飛ばし、動きを奪ってくるので要注意。


「Zzzz……」/「メディシカル=サン、……は、まだかのう……」/「Zzzzz…」
◆フォルネウス(種別:ニンジャ)
カラテ     12  体力   70
ニューロン   8  精神力  28
ワザマエ    8  脚力   8
ジツ      9  万札   50
近接ダイス:12/2回 遠隔ダイス:8(2回) 回避ダイス:3
スキル:
 「連続攻撃2」「時間差」「マルチターゲット」
 「連射2」「疾駆」「頑強な肉体」「痛覚遮断」
 「怪力」「歩く砦」「薙ぎ払い」

「巨体」:
 でかい。それ以外に特に説明は必要ない。
 このニンジャは「即死耐性」「弾き飛ばし耐性」を持ち、
 毎ターン「タツジン(ノヅチ)」または「タツジン(ノダチ)」の
 どちらかを選択できるようになる。
 しかし回避行動を行えなくなり、毎ターン取得できる回避ダイスの上限が[6]個となる。

「ボディプレス」:
 自身の移動フェイズに宣言可能。【精神力】を1消費し発動(判定不要)
 フォルネウスは空高く飛び上がった直後、急降下攻撃を繰り出す。
 マップ内で視界が通っている好きな場所へと、直ちにフォルネウスを移動させること(これを着地点と呼ぶ)。
 着地点と隣接する敵全員は、この移動終了時に、自動的ダメージを1D3受ける(回避は『NORMAL』)。
 フォルネウスは『ボディプレス』終了後に、そのまま通常どおり近接攻撃を繰り出せる。
 このとき、近接攻撃のダメージは+2される。

「???」

「?????」
 

装 備:「フルヘルムメンポ(生成)」「タクティカルニンジャスーツ(生成)」

ジ ツ:「★★★半神的存在」「★★★共振装束生成」
「★コバンザメ・ミサイル」:
 手番開始時に【精神力】1を消費して難易度:HARDで判定。
 成功した場合、射線の通る敵全員に以下の遠隔武器で射撃を行う。
 隣接する相手にも攻撃可能。
 
「ミサイル・コバンザメ」:
「ダメージ0」「連射1」「回避ダイスダメージ3」「次の手番、【脚力】-2」「対ニンジャ仕様」

​ソウル:???

【『ケジメした指から銃口が覗くお前』号甲板:フローライト】

「ハイヤーッ!」
「グワーッ!」

 仲間を援護するためのホタル燐光を放ちながら、フローライトは踏み込みカンフーめいたカラテを放った。巨体が災いしたか、フォルネウスはそれをもろに受ける。並のニンジャであれば爆発四散していてもおかしくない一撃。エイめいたシルエットが震えた。

「よし! 今のは……?」

 バックステップで距離をとったフローライトは訝しむ。霊体を呼び出し、厄介なニンジャマグロのアルバコアを押さえ込んでいたベリードボーンズも、ナギナタを構え追撃を狙っていたアメジストモールも、片腕を大鎌めいた形状にサイバネ展開し解体作業を狙っていたフレッシュイーターも、イアイを構えたオボロヅキも。同様に、その異常を察した。

 ……寝ている者は叩けば起きる。このニンジャが「サツバツ!」または「ヒサツ・ワザ」を受けた時点で、NMは「???」として伏せられていた以下のスキルをPLたちに開示すること。

「目覚め」:
 このニンジャは苛烈なカラテを受けるとその荒々しい本性を徐々に露わにする。
 サツバツ!またはヒサツを受けた時、【体力】と【精神力】を1点ずつ回復し、
 【カラテ】と【ニューロン】を1ずつ上昇させる。
 このスキルになって【カラテ】13を超えたフォルネウスは
 『連続攻撃3』を得る。


【『ケジメした指から銃口が覗くお前』号甲板:オボロヅキ】

「イヤーッ!」
「ンアーッ!? ちょっと、オジイチャン!? おさわり禁止!」
「まあ、そう堅いことを言うでないわ!」

 フォルネウスが獰猛に笑う。その手の中でもがくフローライトが困惑しているのがわかる。何故といって、海に揺蕩っていたあのボケ老人じみた表情ではもはやない。壮年の男のそれにまで『若返っている』からだ。

「よお、エロジジイ」
「ム……?」

 直後であった。凄まじい踏み込みからのイアイが、彼の胴を、そして腕の半ばまでを切り裂いた。涼やかな音を立て、オボロヅキが納刀する。

「握手会は終りだ」
「……グワーッ!? グワーッ! アババババーッ!?」

 次の瞬間、凄まじい量の"濁った血"が噴出した。

「ウェ!? ちょっ……!」

 位置的に血を浴びることとなったフローライトは辟易している。オボロヅキは……それに軽口を返すこともできない。フォルネウスは悶絶し、まるで号泣しているようにさえ見えた。それが、異様であった。

「効いてる様子だ、オボロヅキ=サン! このまま押し込んで……」

 明るい声を上げていたフレッシュイーターが黙り込む。彼のニンジャ第六感もまた悟ったのだろう。この後に及んでもカラテ圧力を衰えさせぬ……否、むしろ増しているフォルネウスに。
 不意に、その動きが止まった。

フゥゥゥゥゥゥゥ〜ッ……
「……いや、フレッシュイーター=サン。悪い」
スッキリしたぜ。数十年の、垢やら何やらが、全部さっぱり流れ落ちた気分だわ
「俺、引き金引いただけみてえだわ……!」
「…………ハハハ。どうやらそのようだね……! 遅い目覚めというところだ……!」

 フレッシュイーターが引きつった笑みを浮かべ、こちらを見やる。見返す自分の顔も、きっと同じ顔をしているだろう。
 そこにいたのは、しなびた老爺めいた存在ではもはやない。鍛え上げられた体躯に、獰猛に眼光を光らせる偉丈夫めいたニンジャであった。

 そしてフォルネウスの【体力】が半分以下になった時、このニンジャはようやくそのカラテの本領と、クミアイきっての過激派の一面を披露するだろう。苛烈なイクサを経るほどに、そのカラテは際限なく凶暴なものとなっていく。

 具体的には以下のようにステータスが改められる。

「フゥ〜〜〜〜、スッキリしたぜ。数十年分の垢や膿が全部出てった気分だ」/「感謝するぜ、若人ども。礼に死をくれてやる」/「メディシカル=サン、沈める船はまだかよ!」
◆フォルネウス(種別:ニンジャ)
カラテ     12+×  体力   70
ニューロン   8+×   精神力  28
ワザマエ    8    脚力   8
ジツ      9    万札   50
近接ダイス:12/3〜4回 遠隔ダイス:8(2回) 回避ダイス:3〜
スキル:
 「連続攻撃2〜3」「時間差」「マルチターゲット」
 「連射2」「疾駆」「頑強な肉体」「痛覚遮断」
 「怪力」「歩く砦」「薙ぎ払い」

「巨体」:
 でかい。それ以外に特に説明は必要ない。
 このニンジャは「即死耐性」「弾き飛ばし耐性」を持ち、
 毎ターン「タツジン(ノヅチ)」または「タツジン(ノダチ)」の
 どちらかを選択できるようになる。
 しかし回避行動を行えなくなり、毎ターン取得できる回避ダイスの上限が[6]個となる。

「ボディプレス」:
 自身の移動フェイズに宣言可能。【精神力】を1消費し発動(判定不要)
 フォルネウスは空高く飛び上がった直後、急降下攻撃を繰り出す。
 マップ内で視界が通っている好きな場所へと、直ちにフォルネウスを移動させること(これを着地点と呼ぶ)。
 着地点と隣接する敵全員は、この移動終了時に、自動的ダメージを1D3受ける(回避は『NORMAL』)。
 フォルネウスは『ボディプレス』終了後に、そのまま通常どおり近接攻撃を繰り出せる。
 このとき、近接攻撃のダメージは+2される。

「海魔の怒り」:
 要は『本気』だ。それ以外に語る必要なし。
 【体力】が[30]以下になったとき、このニンジャは下記のスキルを発動する。

・「肉斬骨断」:
 このニンジャの「カウンターカラテ」発生の条件は「自身が近接攻撃を回避できなかった時」へと変化する。
 加えて、自身が行う「カウンターカラテ」のダメージが+1される。

・「気迫の鎧」:
 このニンジャは戦闘中に回避ダイスが0個になった時点で、
 「ダメージ軽減1」を得る。
 これは回避ダイスが1個以上に回復した時点で即座に失われる。

装 備:「フルヘルムメンポ(生成)」「タクティカルニンジャスーツ(生成)」

ジ ツ:
 「★★★半神的存在」「★★★共振装束生成」「★★★即死無効と欠損部位再生」「★★★異形常態化」

ソウル:マンタ・ニンジャクラン(極めて高位)
サイバネギア:バイオサイバネ多腕(生成)



●クミアイ長

【凪の中心点:陸のニンジャたち】

「よう、来たかよ! ドーモ、エナリオスです!」
「ハーヴグーヴァよ! あら、三日前のおじいさん!
「メディシカルで……ウワーッ!? なんだい!? まだ恨んでるのかい!?」

「ヒヒヒャハハハッ! 久しぶりだなァメディシカル=サンよォ!? ……ドーモ。ヴィンディクティヴです」

 奇妙に凪いだ海上、待ち受けていたタイヨウ・クミアイの幹部たち。『俺たちを導くお前』号の甲板でまずアイサツを返したのは、ヴィンディクティヴであった。彼には因縁がある。かの忌々しき魔女のジツの影響は未だ残り、彼のバラクラバ・メンポの奥はチワワの頭部のままとなっているのだ。メディシカルもそれを察した格好だろう。
 続いて、古兵めいた海の男がアイサツ。

「ドーモ。オールドストーンです。一度で諦める海の男などおらん」

 そして彼からもたらされた火急の知らせ……『タイヨウ・クミアイのネオサイタマ侵略』を聞いて集められた、歴戦のニンジャたちもまた。

「ドーモ、タイヨウ・クミアイの皆さん。フローライトよ!」幹部勢とのイクサをいくつもくぐり抜けたバイオニンジャの少女が。
「ドーモ、ラフィングキャットです」INWからの危険極まりないミッションをこなし、その実績を認められた手練のフリーランスが。
「ドーモ、トラブルシューターです」アマクダリからヌケニンし、かつてのカイジュウ退治の実績を買われて派遣されたニンジャのフットボーラーが。
「モノクロームです! ……それで? オーケアニス=サンはどこにいるの?」ゲイトキーパーの護衛を任されるほどにカラテを高めた、チャイナ装束めいた出で立ちの女ニンジャが。

 今、ここに一堂に会しアイサツを繰り出したのだ。
 ヴィンディクティヴの眼光に恐れをなし、背中に隠れているメディシカルを気にした風もなく、エナリオスはモノクロームの問いに答える。

「おう。"ここ"にいるぜ?」

 直後であった。周囲の海水が渦巻く。一斉にカラテ警戒するニンジャたちの前、水面を突き破って姿を現したのは……凄まじい量の水を圧縮した身体を持つ、巨大な海蛇であった。あまりに高密度となった故か、その中身は透けて見えない。
 それは陸のニンジャたちを睥睨し、悠然とオジギした。

『SHHH……ドーモ。オーケアニス……デス……』

 圧縮された海水で作られた肉体を持つ巨大な海蛇。クミアイ長、オーケアニスの姿を簡潔に説明するとそのようになる。そのジツの力は強大であり、船をも飲み込みかねぬ大渦を作り出し、海水で形成された触手で敵を縛りにかかる。

 しかしその真価は圧縮されたカラテ粒子を瞬間的開放して光と高熱を放つヒノデ・ジツだ。ウカツにも至近距離でこのジツを受けてしまえば、爆発四散の前に蒸発させられるだろう。

『SHHH……』/「……成る程」
◆オーケアニス(種別:リアルニンジャ/海の化身)
カラテ     15  体力   150
ニューロン   15  精神力  150
ワザマエ    15  脚力   8
ジツ      9  万札   100
近接ダイス:15 遠隔ダイス:15 回避ダイス:-
スキル:『連続攻撃3』『連射3』『時間差』『マルチターゲット』

ジ ツ:
『★★★母なる海の化身』:
 このニンジャの【体力】は【カラテ】の10倍、【精神力】はニューロンの10倍となる。
 さらに『サツバツ!』を受けた時、出目1〜5を「追加ダメージ3」、出目6を「追加ダメージ6」にそれぞれ変換する。
 この時、残虐ボーナスは「サツバツ時の出目×[5]」万となる。
 ヒサツ・ワザを受けた場合、追加ダメージは「6+[ヒサツ・ワザによる追加ダメージ]」となる。

『★★★タイヨウ・ゲン・ジツ』:
 このニンジャが存在する限り、マップ上の陸地は全てデメリット効果を持たない『水上マス』と見做される。

『★★★アーチ級アラナミ・ジツ』:
 自身の移動フェイズ、【精神力】を[3]消費して移動の代わりに発動可能(判定不要)。
 自身を中心とした13×13マス内にいる敵全員に対して、ダメージ2D3と回避ダイスダメージ4を与える(回避難易度HARD)。

『★★★深海より出ずる手』:
 自身の攻撃フェイズに【精神力】を1消費し、射撃の代わりとして発動(判定不要)。
 マップ上の『水上マス』にいる敵に対し【ジツ】値と等しい数の水の触手を生み出し攻撃を仕掛ける。
 この触手は『マルチターゲット』使用可であり、3回の『時間差』を持つ
 (3,3,3の時間差攻撃を一人の敵に仕掛けたり、1,1,1の時間差攻撃を三人の敵に仕掛けることができる)。
 この触手は『ダメージ2』『回避ダイスダメージ2』『拘束』『回避時を持つ(回避難易度HARD)。
 かつ、回避時に出目6を含まない場合、回避不可の1ダメージを与える。
 
「★★★ヒノデ・ジツ」:
  このジツは戦闘開始から数えて3ターン目に使用可能となる。
  手番終了時、【精神力】を4消費し発動可能(発動難易度U-HARD2)。
  発動した場合、自分を中心とした『13×13』の範囲に高熱を伴う殺人光線を放射する。
  自身を中心とした『5×5マス』内にいる敵に対しては「装甲貫通10」を伴う「ダメージ4D6」を2回(回避難易度U-HARD、まとめて回避不可)、
  それより外側にいる敵に対しては「装甲貫通5」を伴う「ダメージ2D6」(回避難易度HARD)を与える。
  このジツは3ターンに1度しか使用できない。
 


 このニンジャを倒したのなら……おめでとう! 君たちはタイヨウ・クミアイを打ち倒すことに成功したのだ!




………




「あっはっは! いやあミゴト! あたしゃびっくりしたねぇ!」
【『俺達を導くお前』号甲板、ラフィングキャット】

「グ……!」

 片膝をつきつつ、ラフィングキャットは呻く。歴戦のフリーランスたる彼は、即座に敵のカラテの脅威を見て取った。あの掌打。受けていれば致命となったろう。ネガティヴシフト・ジツによる位相転移がなくば、今頃は。

「ハイヤーッ!」
「おっと。ちょいと無理をしてるね、アンタ!」

 インターラプトしたフローライトのカラテを、『彼女』は丁寧に捌いていく。

「ウミホタル・ニンジャクラン……じゃあなさそうだから、分家? ああいや、どっちが分家だっけねェ」
「……無理してでも何でも! ここでアンタを止めなきゃ、夢も何も流れちゃうんでしょうが!」

 フローライトの叫びに、女は一瞬首を傾げ……ニコリと笑って頷いた。
 自らを取り巻くホタルの燐光を感じ、ラフィングキャットは鋭く息を吐きマインドセット。そして……「イヤーッ!」
 ブロック状のノイズとともに女の背後に出現したラフィングキャットは渾身のピストルカラテを放つ。大口径の銃弾が女の体を掠めた。その反動で、彼は鋭いカラテを

「いいカラテしてるねェ、アンタ」

 繰り出すまさにその直前、無造作に腕を掴まれた。目を見開く。なんたる反応速度……!

「グワーッ!」

 強烈な浮遊感が襲う。ニンジャアドレナリンがもたらす泥めいた時間感覚は、彼に奇妙な余裕を与えていた……驚愕の眼差しでこちらを見上げるトラブルシューターとフローライト。そして敵意ある眼差しを女に向けるヴィンディクティヴ。唖然としていたモノクロームが、慌ててカラテを構え直す瞬間すら見えた。
 そして、こちらにスマイルを見せた後、悠然と甲板上の面々へと向き直る海色の髪の女の姿も。
 これが、タイヨウ・ニンジャ。これが、タイヨウ・クミアイを統べるものか。
 恐るべき速度で海面に叩きつけられたラフィングキャットは、血を吐きつつも極度集中する。この程度は、かすり傷だ。戻れ。まだ仕事はこれからだ。


 君たちのカラテを認めたクミアイ長……タイヨウ・ニンジャは、即座にジツを解除し君たちへカラテを挑んでくるだろう。これがタイヨウ・クミアイ最後のイクサとなる。

 ステータス低減付きのヒサツ・ワザ「シン・カイ」を中心に、守りの「太陽の構え」からは敵を水面に投げ飛ばして殺すイカロス・フォール、攻めの「大洋の構え」からは飛沫を散らして敵を撃つ特殊な歩法「チシブキ」からの恐るべきカラテ・コンビネーション「ハトウ」と、とにかく強烈なカラテで君たちを攻め立てるだろう。

 つまり、カラテだ。カラテあるのみ。


「いやー流石にこれじゃダメだったか!お見事!」/「それじゃこっからが本番!準備はいい?」/「私はできてるよ!イヤーッ!」
◆タイヨウ・ニンジャ(種別:リアルニンジャ/クミアイ長/海の女)
カラテ     15  体力   45
ニューロン   15  精神力  34
ワザマエ    15  脚力   8
ジツ      9  万札   100
近接ダイス:30 遠隔ダイス:15 回避ダイス:32
スキル:『連続攻撃3』『連射3』『時間差』
『マルチターゲット』『マーク・オブ・タイヨウ』

「ヒサツ・ワザ:シン・カイ」:
 掌打を通して敵にカラテ振動を注ぎ込み、内部から破壊するカラテ奥義。
 「素手」による「近接攻撃」時に出目6が3つ以上含まれていた場合、サツバツの代わりに宣言可能。
 宣言した時、追加でダメージ[d6]を与える(回避難易度U-HARD)。
 さらにこれによってダメージを受けた敵の【カラテ】【ニューロン】【ワザマエ】のうち一つを戦闘終了まで-2する(累積可能、最低値1)

『タツジン(タイヨウ・カラテ)』:
 最初の手番開始時、このニンジャは以下の二つのスキルセットのどちらかを選択できる。

・「太陽の構え」
「●太陽の構え」:
 不用意に近づいた敵を落とす守りの構え。
 カウンターカラテが成功数同値でも発動するようになり、カウンターカラテのダメージが+1される。

「●心眼」:
 このニンジャは『遠隔攻撃』に対しても、スリケン投げ返しや銃弾弾きといった形でカウンターカラテを発動させる。

「●ヒサツ・ワザ:イカロス・フォール」:
 「近接攻撃」に対するカウンターカラテ発動時、出目6が2個以上含まれていた場合に宣言可能。
 成功した場合、攻撃相手を自身の5×5マス内の任意の場所へ投げ飛ばし、ダメージD3を与える。(回避難易度U-HARD)。
 敵が回避に失敗した場合、連続攻撃はそこで打ち切られる。投げ飛ばされた場所が「水上マス」だった場合、回避不可避のダメージ2を与える。
 また、同じ敵から連続攻撃[4]以上の「近接攻撃」を受けた時、このニンジャは四度目の「近接攻撃」に対して自動的にこのヒサツ・ワザを発動させる。

・「大洋の構え」
「●大洋の構え」:
 恐るべき圧力を伴うカラテで敵を破壊する攻めの構え。
「素手」によるカラテに「装甲貫通2」を付与し、かつ出目6を含む「近接攻撃」のダメージを+1する。

「●チシブキ」:
 移動フェイズに宣言可能(判定不要)。
 宣言した場合、このニンジャは斜め移動を含む2マスだけしか移動できなくなる代わりに、
 移動を行った直後の攻撃フェイズで『近接攻撃』を行う場合、移動していないとみなして『攻撃集中』したり、
 移動していないことを前提としたスキルの効果を使用できる。
 また移動後のマスが「水上マス」だった場合、隣接する敵全員に1ダメージを与える(回避難易度HARD)。

「●ヒサツ・ワザ:ハトウ」
 戦闘中一回のみの使用。踏み込み、カラテを注ぎ込んで完全に縛りつけた相手を噴き上げる水の刃で切り裂く処刑技。
「攻撃集中時」かつ「連続攻撃」を使用しない「近接攻撃」に出目6が4個含まれていた場合、【精神力】2と「回避ダイス」4個を消費して宣言可能。
 成功した場合、以下の順番で特殊な近接攻撃を行う。

1.「波紋」:「ダメージ2」「回避難易度HARD固定」「被弾時、使用者の攻撃終了まで回避難易度+1」
2.「掌打」:「ダメージ2D3」「装甲貫通2」「回避難易度HARD」
3.「波濤」:「ダメージ4D3」「回避難易度U-HARD」「装甲貫通5」「部位破壊(脚部破壊か両腕破壊のどちらかを宣言可能)」

装備:『パーソナルメンポ(生成)』『伝統的ニンジャ装束(生成)』

ジ ツ:『★★★半神的存在』『★★★共振装束生成』『★★★即死無効と欠損部位即時再生』

『★★★母なる海の化身(カラテ形態)』:
 このニンジャの『素手』による『近接攻撃』は「ダメージ2」「回避難易度+1」を持ち、「近接攻撃ダイス」「回避ダイス」が2倍となる。
 さらにこのニンジャは実際のイニシアチブ値に加え、ターン終了時に再行動する。
 ただし再行動時、本来の手番に近接攻撃を行った相手に対しては近接攻撃を行うことができない。

『★★★タイヨウ・ゲン・ジツ』:
 このニンジャが存在する限り、マップ上の陸地は全てデメリット効果を持たない『水上マス』と見做される。
……死闘が続く。もはやその場にいるニンジャ全員が満身創痍であった。それはタイヨウ・ニンジャですら例外ではない。
 彼女のカラテの構えは既に変化している。近づくものに容赦なき反撃を行う守りの構えから、荒波めいて敵を押し潰し、破壊する攻めの構えへと。事実、あそこから繰り出された恐るべきヒサツ・ワザはモノクロームを爆発四散寸前まで追い込んだのだ。
 だが。ラフィングキャットはタイヨウ・ニンジャを睨み、己のニューロンをフル稼働させる。血涙が溢れるが、些事。フローライトのケイコウ・ジツが効果を発揮している絶好の機会を逃すわけにはいかぬ。

「イヤーッ!」

 仕掛ける。ネガティヴシフトによる位相転移。牽制の蹴り。手応えあり。49口径のリボルバーによる至近距離射撃。空を切る。些事。
 なぜといって、

「イィィィヤァァァァーッ!」
「ム……!」

 ここからが本領だからだ。射撃反動によるカラテ。防ごうとしたタイヨウ・ニンジャの手をすり抜け、頭部を打つ。ネガティヴシフト。
 わずかによろめいた彼女の周囲に影が舞う。なんたる位相単位と射撃反動を織り交ぜた変幻自在のピストル・カラテ!

「……ハッ!こいつは」
「日は、沈むものだ」

 タイヨウ・ニンジャの真正面に出現したラフィングキャットは静かに呟く。この構えでは、あの初撃のような鮮やかな投げ技は不可能。既に理解している。
 故に!

「貴様も、ここで沈んでいけ……! イヤーッ!

 渾身のセイケンヅキ・ポン・パンチは吸い込まれるようにタイヨウ・ニンジャの胴を打ち……「ンアーッ!?」大海原へと吹き飛ばした!


◇付録1:ニンジャ作成に使用したファンメイドプラグイン一覧◇

 タイヨウ・クミアイのニンジャたちを作成するにあたり、以下のファンメイド・プラグインを使用させていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。


・ウルフパック作成に使用


・スケルトンアイズ作成に使用


・ハーヴグーヴァ作成に使用


・ハーヴグーヴァとフォルネウスのスキルに一部引用


◇付録2:上記セッションに用いられたマップ◇

画像1

 上記はKasumi=サンの開催したvsタイヨウ・クミアイ戦にて用いられたマップである(Kasumi=サンの許可を得て掲載させていただいた)。

 上記マップの大元はFreikugel=サンの以下シナリオからの引用となる。この場を借りて御礼申し上げます。

 マップ上には下記モリ・カノンのギミックが追加されている。このギミックは上級戦闘員や幹部相手にも有効な攻撃手段となるだろう。

モリ・カノンのマスに立ったPCは、そこから視線の通る対象に対して、『射撃攻撃判定』『ハッキング判定』で射撃が可能。
 データとしては以下のものとなり、このマスに対して近接攻撃が行われた場合即座に破壊されない。タフだ。
『ハープーン・カノン』:
「射撃武器」「連射2」「時間差(前提:生体LAN)」「ダメージ1d6+1」「対ニンジャ仕様」

 遠洋に出てタイヨウ・クミアイとイクサする! というシチュエーションを行いたい場合、下記リンク先のマップをコピーして使用するといいだろう。


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