忍殺TRPGソロリプレイ【ウェルカム! アンディザイアード・ゲスト】その4
ドーモ。しかなです。当記事はとあるソロシナリオをプレイした記録をテキストカラテナイズした読み物……いわゆるリプレイというやつだ。難しいことは考えなくても気楽に読めるよ。
ちなみに続きものであり、前回のやつはここから読める。
気が向いたら最初から読んでみるのもいいだろう。
さて、方々で戦っていたニンジャたちがようやく再結集するところからである。終わりは近い。早速行ってみよう。よろしくおねがいします。
◇座敷にて◇
「あ、アイエエエ!?」
高級座敷にヂオハイの悲鳴が木霊する。壁際に追い詰められた彼は今、ビホルダーの車椅子の後ろに隠れるようにしてうずくまっていた。海外マフィアの重鎮らしからぬ醜態である。
だがビホルダーはそれを責める気など毛頭ない。なぜといって彼はモータルに過ぎないからだ。部屋の中央で二刀のカタナを構える刺客ニンジャから殺気を向けられれば、ニンジャ・リアリティ・ショックの発症もやむなし。
既にアイサツは済ませている。刺客ニンジャ……ソードモンガーは、平型編笠の陰からカタナめいて鋭い視線をビホルダーに向けた。ビホルダーは穏やかな笑みを浮かべ、真っ向から受ける。
「フゥーム……実に鮮やかな手つきだ。周囲で騒いでいたのは君の友人かね?」
「答える必要もあるまい。そこを退け」
「なんたるシツレイ。所詮は招かれざる客か」
ビホルダーは含み笑いをし、不意に両腕を大きく広げた。ソードモンガーが警戒、わずかに後ずさる。
「だが、敢えてこう言おう……ウェルカム! ソードモンガー=サン! ソウカイヤは君のような客をもてなす術を持っている!」
「イヤーッ!」
スターン! ソードモンガー右手側のフスマが開くと同時、赤く長い手が迫る!「イヤーッ!」ソードモンガーはこれを受け流し、アンブッシュ者を睨んだ。
救援か。安堵したヂオハイはビホルダーの陰から顔を覗かせ「アイエエエ!?」窮屈そうに右手側フスマをくぐり抜けてきた、7フィート超えの赤い異形ニンジャを目撃し絶叫! ナムアミダブツ!
「フフ! ご心配なく、ヂオハイ=サン。あれも私の手の者です。……ディスグレイス=サンに言われて来たのかな、ブラッディリリー=サン?」
「ドーモ、ビホルダー=サン! ママじゃなくてブレードブレイカー=サンに言われて来たの! ダメだった?」
「なに、構わない。力のある部下がいると楽ができる」
満面の笑みを浮かべたブラッディリリーが、ソードモンガーへと向き直る。その背後、影めいてエントリーしたブレードブレイカーがビホルダーのすぐ横に移動。
ソードモンガーはアイサツしようとし「イヤーッ!」背後から吹きつける殺気に対しイアイで迎撃! 水滴スリケンが弾け、飛沫をあげた!
「やれやれ、どうにか間に合ったようだ! それにしてもキールバック=サン、君らしく奥ゆかしいスリケンだ。ワビサビがある!」
「嫌味ですか!? いいから自分の仕事をしにいってください!」
新たなエントリー者……ロイコクロリディウムは大仰に肩を竦め、怯えるヂオハイの元へ。忌々しげにその背中を睨んでいたキールバックは、刺客ニンジャへ向き直ってオジギを繰り出そうとし……思いとどまった。
彼女の肩を叩き、愛おしげに頭を撫でてからその前へ出たのは、改造ミコー装束のニンジャである。彼女はブラッディリリーを、そしてビホルダーを見遣ってからアイサツを繰り出した。
「ドーモ。ディスグレイスです。こちらはキールバック=サン。そしてそちらはブラッディリリー=サン」「ドーモ」「ゴキゲンヨ!」
「ドーモ。ソードモンガーです。……成る程、他の連中はしくじりおったか」
ソードモンガーは低く呟く。彼の目はディスグレイスの肩越し、虚ろな目で佇むブレザー制服のニンジャを捉えていた。その首根を掴んでいたミニ丈ワンピースの女が小さく手を振る。
ディスグレイスは微笑し、進み出る。その目に妖しげな光が灯った。
「だとしたら、どうします? 尻尾を巻いて逃げ帰りますか?」
「そういかんのがこの稼業の辛いところでな。貴様らの首級をいくらか頂き、インセンティブ交渉に臨まねばならん」
答えるソードモンガーに動揺の兆しなし。ディスグレイスはカラテを構える。ビホルダーの意は汲み取っている……彼自身の警備にはブレードブレイカー。ヂオハイのカバーにはロイコクロリディウム。そして手土産の少女にはプリンセスビー。万全に動ける手勢でこのニンジャを仕留める。
ジリ。タタミを踏みしめる音は誰のものか。張り詰めた空気が今、動き出そうとしていた。
ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:6(+1)
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:4
【ジツ】:4(カナシバリ・ジツ)
【体力】:12
【精神力】:1
【脚力】:4
【万札】:8
【名声】:5
【余暇】:2
持ち物など:
『★カナシバリ・マスタリー』
『★★★半神的存在』
『★★★不滅』
『ニンジャソウルの闇:ソウルの悲鳴』
オーガニック・スシ
▲バイオサイバネ腕(片腕)
▽吸血バイオ器官
○信心深い
ニンジャ名:キールバック
【カラテ】:3
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:6
【ジツ】:1(カナシバリ)
【体力】:3
【精神力】:5
【脚力】:3
【DKK】:0
【万札】:7
装備:
・ウイルス入りフロッピー
▲バイオサイバネヘッド(軽度)
▽生体弾
○信心深い
ニンジャ名:ブラッディリリー
【カラテ】: 7
【ニューロン】 :6
【ワザマエ】:3
【ジツ】:0
【体力】:11
【精神力】:5
【脚力】:3
『ネクロカラテ』
『ゾンビーニンジャ』
『●連続攻撃2』
◆ソードモンガー(種別:ニンジャ)
カラテ 7 体力 7
ニューロン 5 精神力 5
ワザマエ 9 脚力 6
ジツ 2 万札 10
◇武器収納:ジツの数だけ「近接武器スロット」が増加する。
◇装備や特記事項
【装備品】:カタナ×2:『近接武器』、『二刀流』、『連続攻撃+1』、『ダメージ1』、
『射撃不可』、『連続側転難易度+2』、
『戦闘スタイル:強攻撃/精密攻撃/防御構え/フェイント』
:七支刀:『近接武器』、『連続攻撃-1』、『ダメージ2』、『攻撃基本難易度:HARD』、
『射撃基本難易度:HARD』、『連続側転難易度+1』、
『戦闘スタイル:強攻撃/防御構え』
『戦闘スタイル:強攻撃/防御構え選択時、近接攻撃ダイス+1』
:サイ×2:『近接武器』、『二刀流』、『連続攻撃+1』、『ダメージ1』、
『射撃不可』、『連続側転難易度+2』、
『戦闘スタイル:精密攻撃/フェイント』
『戦闘スタイル:精密攻撃/フェイント選択時、近接攻撃ダイス+1』
:ナギナタ:『近接武器』、『射撃基本難易度:HARD』、『連続側転難易度+1』
『戦闘スタイル:強攻撃/精密攻撃/防御構え/フェイント』、
『近接攻撃リーチ+1』:敵も『近接攻撃リーチ+1』を持っていない限り、
敵はこの攻撃に対して『カウンターカラテ』を行えない。
【スキル】:『連続攻撃2』
『連射2』『疾駆』
◉『ツジギリ』
◉『タツジン(イアイドー)』
ディスグレイス・キールバック・ブラッディリリーでイクサ開始。行動順はブラッディリリー→ソードモンガー→キールバック→ディスグレイス。
◇第三のイクサな◇
「イヤーッ!」
真っ先に動いたのはブラッディリリー! 身を沈めて仮足を広げ、重心移動でソードモンガーのワン・インチ距離に!「イヤーッ!」大ぶりな右腕のカラテを、ソードモンガーは左のカタナで受け流す。右のカタナで仕掛けようとした彼は「イヤーッ!」「! チィッ!」巻きつくような軌道でやってきた追撃をかろうじて受け止め、吹き飛ぶ! 半ばで折られた刃がタタミに突き刺さった。
SPIT! 「イヤーッ!」マントから取り出した七支刀で、キールバックの放った水滴スリケンを迎撃!「イヤーッ!」迫り来るディスグレイスの眼光を、編笠の鍔を避けガードする!
「「イヤーッ!」」
着地ざま、殺到するバイオ触手を弾き返すソードモンガー。そこにまた巨体を滑らせブラッディリリー!「イヤッ! イヤーッ!」装飾腕による連続カラテ! ソードモンガーは敢えて踏み込みこの一撃をほぼ無力化。七支刀を捨てた彼の手がマントの中へと滑った。次の瞬間!
「イヤーッ!」「アバーッ!?」
ソードモンガーの懐から銀光が閃いた。不意を打たれ仰け反るブラッディリリー! その胸を「イヤーッ!」「アバーッ!?」蹴りつけ、ソードモンガーが跳んだ。狙いはディスグレイス!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」
ディスグレイスはかろうじてブリッジ回避! その胸のわずか上を裂いていったのはサイ二刀流による斬撃だ。手元でサイを回転させたソードモンガーは、三又の刃をディスグレイスの喉に突き立てんとす!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」
ディスグレイスはウインドミルめいた回転蹴りでこれを退けた。飛び離れたソードモンガーは懐に手を忍ばせ……自身を睨む小柄な少女の不穏な眼光に気づく!
「カナシバリ・ジツ! イヤーッ!」
「チィーッ! イヤーッ!」
その光はディスグレイスのものと比べればはるかに微弱だった。しかし、だからといって真っ向から受けられるものではない! ソードモンガーは攻撃を諦め連続側転回避!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」
ディスグレイスの放つ強力なカナシバリ・ジツをも側転回避したソードモンガーは、そのまま彼女のワン・インチ距離へ。彼の手はまたマントに隠れ、強烈なイアイを放たんと
「イヤーッ!」「グワーッ!?」
だがナムサン。その身体が枯葉めいて吹き飛ばされた。何が起きたか? 敢えて相手の懐にもぐりこんだディスグレイスは右袖をソードモンガーの胸に密着。そこから全力でバイオ触手を解放したのだ! なんたる変形ワン・インチパンチめいたカラテの威力か!
「ヌゥーッ……イヤーッ!」
空中でソードモンガーはマントの中に両腕を潜り込ませ……一気に解放! サイ、折れたカタナ、スリケン、クナイ! それがまとめて投擲され、追い打ちをかけんとしたブラッディリリーらの足を止める! 刃の雨に晒されたのは彼女たちだけではない。後方のヂオハイにもだ!
「チィーッ!イヤーッ!」「イヤーッ!」「アイエエエエ!?」「イヤーッ!」
ブレードブレイカーが、ロイコクロリディウムが、そしてビホルダーが悲鳴を上げるヂオハイを守り刃を弾く! その間にソードモンガーは空中姿勢制御を終えトライアングルリープ! 天井板の外れた部分へと跳躍、離脱!
「ここは引かせてもらおう。オタッシャデー!」
「アーッ! また逃げられたーッ!」
「どうします、お姉さま。追いますか?」
「不要です。役目は無事に果たせていますから」
悔しげに声を上げるブラッディリリーを横目に、キールバックとディスグレイスは状況判断。同時にビホルダーへと向き直る。彼は笑みを浮かべ、鷹揚に拍手をした。
『1ターン目』
ブラッディリリー:ネクロカラテ
(2, 3, 5, 6)(1, 3, 5)
ソードモンガー回避
(4, 4)(1, 1) 一撃命中、【体力】7 → 5
ソードモンガー:七支刀、防御的構え
防御に専念
キールバック:スリケン
1, 1, 2, 4, 4, 6
ソードモンガー回避
3, 4
ディスグレイス:『★カナシバリ・マスタリー』
1, 1, 2, 2, 3, 3, 3, 6, 6
ソードモンガー回避
3, 4
ディスグレイス:バイオサイバネ
1, 3, 5, 5, 5, 5, 6
ソードモンガー回避
1, 4
『2ターン目』
ブラッディリリー:ネクロカラテ
(2, 3, 3, 5)(1, 5, 5)
ソードモンガー回避
(2, 4)(2, 4)
ソードモンガー:サイ二刀流精密攻撃
(1, 1, 5)(1, 2, 6) → ブラッディリリー
(1, 1, 4, 6) →ディスグレイス
ブラッディリリー回避
(1, 1, 4)(2, 5, 5, 6) 一撃命中、【体力】11 → 10
ディスグレイス回避
(1, 3, 4, 5, 5, 6, 6)
カウンターカラテ発動
ソードモンガー回避
(3, 5)
キールバック:カナシバリ・ジツ
2, 2, 3, 5, 6, 6
ソードモンガー回避
2, 4
ディスグレイス:『★カナシバリ・マスタリー』
2, 2, 3, 4, 5, 5, 6, 6, 6, 6
ソードモンガー回避
6
ディスグレイス:バイオサイバネ
1, 1, 1, 2, 3, 6, 6 サツバツ!
ソードモンガー回避
2 命中 【体力】5 → 2
イクサ終了な
◇エンディングな◇
「いやはや、おかげで無事に生き残れました!」
「ご無事で何より。商談はまた後日、今度はトコロザワ・ピラーにて」
「おお! 是非お願いします!」
「美辞樽」入り口前。ビホルダーの手を握り、何度も頭を下げるヂオハイ。オーバーウェルミングとも思えたニンジャ戦力を期せずして目の当たりにしたためか、その態度は非常に友好的だ。商談は中断したが、コネクションそのものは築けたと見ていいだろう。
「では僕たちもお暇するよ。縁があれば是非また会おう! チャオ!」
「ウフ、またねェ」
プリンセスビーが開けたドアからヂオハイが武装ベンツに乗り込む。ロイコクロリディウムはウインクを残し、プリンセスビーはひらひらと手を振ってからあとに続いた。ブロロロ……オジギするブレードブレイカーらを残し、武装ベンツが走り去る。
その車体が見えなくなってから、ビホルダーは不意にディスグレイスへと向き直った。
「さて、ディスグレイス=サン。今回の任務ですが」
「は」
「結果的に、君が推薦したニンジャ戦力が功を奏しましたね。特にブラッディリリー=サン……ゾンビーニンジャを間近で見るのは初めてだが、なかなかどうして結構なカラテだった」
「褒められたー!」「ブラッディリリー=サン!」
両腕を上げて喜ぶブラッディリリーを、キールバックが慌てて黙らせる。ビホルダーは小さく笑い、オジギするディスグレイスを……そして、その横でドゲザするブレザー制服の少女を見やった。
「……そして襲撃者の捕縛。ヂオハイ=サンの手のものと協力してとはいえ、素晴らしい。もはや抵抗の意思もないのですね?」
「は。念入りにニューロンを『キレイ』にしておりますので。もう少し調整の時間をいただければ、ソウカイヤのためにカラテを振るわせることも可能です」
「マーベラス。ラオモト=サンには私から伝えておきましょう」
【リザルトな】
本来は三人合わせてもランクAがせいぜい……なのですが、トリプルファイブ=サンも生捕りにできたので、ランクSの報酬(【万札】40と【余暇】4】を三人で分割する形にしたいと思います。【名声】についてはソードモンガーの2ダメージ以上与えたディスグレイスとブラッディリリーに+2、キールバックが+1とします。
(……オイ、キールバック=サン。テメェのお姉さま、また女引っかけてやがるがよ)
(お姉さまの愛は私一人に留まるほど小さくありませんもの)
(カハッ! ものは言いようだな!)
小さく吹き出したブレードブレイカーは、不意に真剣な表情を浮かべてディスグレイスへ言葉を投げかける。
「オイ、ディスグレイス=サン。実際そこのガキ、どこのテッポダマだったんだ?」
「フリーランスなのは間違いありません。背後関係を割らせるにはもう少し時間が欲しいですね……『洗練』させて、大人しく、もっと従順にすれば……」
「フム。それとは別に、ダイダロス=サンにも調査をお願いするとしましょう。ブレードブレイカー=サン、後で交戦したニンジャのことを報告書にまとめるように」
「私も見た! 私も見たよ、そのニンジャ!」「だーかーらー!」
ぐいぐいとビホルダーに近づこうとするブラッディリリーを、慌ててキールバックが押し返す。ディスグレイスはくすりと笑い、溜息をついた。ザイバツ。イッキ・ウチコワシ。はたまたソウカイヤも知らぬ第三勢力……ネオサイタマの勢力図は混迷としている。ソウカイヤの天下にはまだ遠い。
【ウェルカム! アンディザイアード・ゲスト】終わり
◇後書き◇
というわけで、三人とも無事生還。成長の壁を超えたニンジャの強さがよくわかる結果となった。キールバックもがんばってほしい。
あと今回、ちょっとシナリオを改変させて……というかトリプルファイブ=サンがかわいそうなことになってしまった。ディスグレイスのことなので死ねないと思うが、強く生きてほしい。
さて、報酬の山分けやら余暇の消化やらは別の記事を作ってやりたいと思う。ここまで読んでくださった皆様、そして楽しいソロシナリオを書いてくださった海中劣=サン。ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!
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