忍殺TRPGソロリプレイ【カシマシ・ニンジャズ・ゴー・ダウン・エンシェント・トレイル】その2

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はしかながソロシナリオを遊んだ結果をテキストカラテナイズした、リプレイと呼ばれる類の読み物です。気楽に読めるよ。

 そして続き物でもある。前回はこれです。

 挑戦メンバーも決まり、いよいよ本格的に古代遺跡探索が始まる……! ではやってみよう。よろしくおねがいします。


◇遺跡探索な◇

 ……休憩を終え、数時間後! キールバックらはネオサイタマ郊外のヤマ山地を訪れていた。アベレージから提供された情報によれば、この付近に目的の遺跡が眠っているのだという。

「まさか遺跡自体を探す必要があるとは……」

「アハハ! まあ場所がわかってたんなら先に誰かが入ってるかもしれないもんね。仕方ない仕方ない」

「アイエエエ……」

 鬱蒼としげる木々の中を、三人の少女たちが進む。先頭にシャープキラー、最後尾にキールバック。彼女たちに挟まれるように、おっかなびっくりで進むチェインドッグ。襲撃にあった際、経験の薄いチェインドッグをフォローするための陣形だ。もっとも、ここに来るまで他の遺跡探索者はおろかバイオアニマルにも遭遇してはいないのだが。

「ンー、どっち行こうか。チェインドッグ=サンはどう思う?」

「アイエッ!? え、エット、エット……あ、あっち……?」

 突如話しかけられたチェインドッグは、おそるおそる右手方向を指差す。ニンジャ第六感が働いたのか、それとも単なる思いつきか。いずれにせよ、足を動かさねば見つけられるものも見つけられない。キールバックは溜息をついた。夜までには発見したいものだ。

【ニューロン】判定(難易度KIDS)
キールバック
1, 1, 2, 3, 5 成功
チェインドッグ
4, 5, 6, 6 成功
シャープキラー
3, 4, 5, 6 成功
無事発見な

「あ、あれかな……」「あれだね」「あれでしょうね」

 そしてその数分後! 三人のニンジャたちはついに黄金オニギリめいた形状の遺跡を発見したというわけなのだ! 緊張の故か胸を抑えているチェインドッグを横目に、シャープキラーとキールバックはどこか冷静に遺跡を見上げる。

「思ったより簡単に見つかったな……ちょっと拍子抜けだね」

「見つからないですごすご帰る羽目になるよりはずっとマシです。それともシャープキラー=サン、他にまだ見ぬ遺跡があるか探します? 一人で」

「アハハ! 今の私は二人のヨージンボだからね。しないしない」

 キールバックの嫌味をものともせず、シャープキラーが笑いながら遺跡に足を踏み入れる。慌てた様子で追いかけていくチェインドッグを眺め、一つ大きな溜息をついてからキールバックも後に続いた。いろいろと不安だが、ここからが本番だ。


◇第一の試練◇

「バカな……行き止まりとは……!」

「なんです急に」

「ン? お約束みたいなもんだよ。気にしないで」

 入り口から突き進み、古びた石造りの広間まで到達した三人のニンジャたち。やけに驚いたフリをするシャープキラーに呆れの一瞥を送ってから、キールバックは広間の中を見回した。レリックはおろか別の部屋に繋がるような出入り口もない。ここまでは一本道。どこかに隠し通路?

 まあ、それを確認するよりも。と、キールバックは視線を部屋の奥の壁へと向けた。「アレ」を調べてみるのが先だろう。

「あ、あの。奥の、その……壁、に! ちょっと、違和感が……!」

「ああ、チェインドッグ=サンも気づいてましたか。そうですね。まずはアレを調べましょう」

 シャープキラーに異論がないことを見て取り、キールバックは率先して奥の壁へ。そこには巨大スイッチめいて突出した円形の石パーツ。その上部には水晶玉めいた部品が三つ埋め込まれている。

『汝らのカラテを示せ……』

「アイエッ!?」

 前に立った途端にどこからともなく響いた声に、チェインドッグが驚いてキールバックにひっついた。キールバックは眉をひそめるのみで注意しない。装束越しにそのバストが豊満であることがわかり、なんとも言えない気分だった。

 それはともかく。

「……つまり、ここを叩けばいいんですね。イヤーッ!

キールバック:【カラテ】判定
2, 4, 6 成功数1

 ゴウン。石造りの円形パーツがやや壁の中に減り込みかけ、すぐに戻る。ザンシンするキールバックは、パーツ上部の水晶玉の一つに光が灯ったことを見てとった。どうやら、あれをすべて光らせればカラテを示したことになるらしい。

「……汝『ら』と指定してされてましたし、全員やるんでしょうね。ほら、チェインドッグ=サンも」

「アイエッ……い、イヤーッ!

チェインドッグ:【カラテ】判定
2, 3 失敗

 チェインドッグが渾身のカラテ・ストレートを放つ。が、現実は非情であった。円形パーツはピクリとも動かず、水晶玉も一つ点灯したきりだ。「アイエエエ……」チェインドッグは自らの拳を抑え(痛かったのだろう)、涙目でキールバックを振り返る。

 キールバックは溜息をついた。

「人には向き不向きがありますよ。チェインドッグ=サン。気にしなくていいです。だいたいこういうときのために、」「イヤーッ!

シャープキラー:【カラテ】判定
3, 4, 4, 6, 6, 6 成功3 クリア!

 ゴウン! カラテシャウトと轟音がキールバックの言葉を切り裂き、広間の空気を震撼させた。円形パーツに蹴りを叩き込んだシャープキラーがザンシンしている。その足元には亀裂が入り、踏み込みに籠められたカラテの強烈さを示していた。

『汝らのカラテ。認めたり』

 声が響く。水晶玉が三つすべて点灯すると同時、円形パーツの仕込まれた壁周辺が横にスライド! 下層へと続く階段を曝け出したではないか!

「アッハ! こうやって先に進める仕組みなんだね、この遺跡! タノシイ!」

「……緊張感のない。罠が仕掛けられてるとも限らないんですよ?」

 この場にそぐわぬ朗らかな笑みを浮かべるセーラー服の少女を、キールバックは視線で促す。ひとまず彼女を先頭に進ませる心算なのだ。シャープキラーは小さく肩を竦め、軽い足取りで階段を降りていく。

 キールバックはついでチェインドッグを見上げる(背丈では彼女の方がやや上だ)。びくりと震える彼女に、キールバックはもう一つ溜息をついた。

「まあ、今の我々はチームです。あなたが結果を出せなくても、私たちがフォローしますから。そうビクビクしないでミッションを遂行しなさい」

「……あ、アリガト……」

「ドーモ。ほら、早く進む」

 促されてようやく、チェインドッグはおっかなびっくりな様子で階段を降り始める。キールバックは周囲を見渡し、他に妙な仕掛けが作動していないことを確認してから彼女たちの後に続いた。


◇第二の試練◇

 階段を下った先に待っていたのは通路だった。左右に壁はなく、奈落めいた穴を挟んでニンジャめいた石像が整列していた。その手にはユミが備えられている。

 入り口から顔だけを覗かせて様子見していたシャープキラーが唐突に振り返る。

「で、これ。どう思う? 二人とも」

「エッ? ど、どうって言われても……」「まあ、罠ですよね」「エッ? エッ?」

 チェインドッグがおろおろと二人を交互に見やる。シャープキラーは苦笑した。

「ほら、あのユミ。あれだけ材質が違うでしょ? 確実に動くよ、あれ」

「アイエエエ……!?」

「……試したほうがハヤイでしょうね。先行します。後から来てください」

「オッケー。キオツケテネ!」

 朗らかに送り出すシャープキラーに渋面を作りつつ、キールバックは入り口手前で呼吸を整える。そして!「イヤーッ!

キールバック:【連続側転】判定
1, 2, 2, 2, 3, 6, 6
3, 4, 5, 5, 5, 6, 6
無事成功

 連続側転で通路にエントリー! その瞬間、見よ! ニンジャスタチューらの目に紫色の光が宿り、一斉に矢を放つ! アクマめいた速度!

 しかしもはや色つきの風となったキールバックを傷つけるには遅すぎる。飛び来る矢の合間を縫うようにして、彼女はあっさりと通路を渡り切った。

「あ、アイエエエ……!?」

「アッハハ! さっすがキールバック=サン! じゃ、私たちもいこっか」

「エッ、その、まだ心の準備が「イヤーッ!

 尻込みするチェインドッグに構うことなく、シャープキラーもまた連続側転開始! しばらくおろおろとしていたチェインドッグはしかし、この場に残されるほうが嫌だったのだろう「い、イヤーッ!」意を決した様子で続く!

シャープキラー:【連続側転】判定
1, 2, 2, 5, 6
1, 2, 2, 3, 5
成功
チェインドッグ:【連続側転】判定
1, 3, 5, 5, 6
1, 1, 2, 3, 4
なんとか成功

 さらに下層へ続く階段の前、キールバックはイクサバめいて飛び交う矢の中を突っ切ってくる二筋の風邪を眺めていた。「イヤッハー!」そのうちの一つがキールバックの頭上を飛び越え、着地! キュイイイ……微かなモーター音が響く。

 が、キールバックはそれどころではない!「アイエエエエエエ!?」慣れぬ連続側転で目測を誤ったか、それとも矢に対して過剰反応しすぎたのか。凄まじい勢いでチェインドッグが突っ込んできたからだ。仮に避けたとしてもシャープキラーを巻き込み壁に衝突せん勢い! 危険だ!

「まったくもう……! イヤーッ!」「アイエエエエ!?」

 キールバックは覚悟を決めた。腰を落とした彼女は、飛び込んでくるチェインドッグを真正面から受け止めたのだ。「ととっ……ンアーッ!?」勢いは止められたが、そこで彼女のカラテは限界を迎えた。もとより体格差ではチェインドッグの方が勝るのだ。支えきれず、背中から床に落ちる。

 朗らかな笑みで覗き込んでくるシャープキラーに、キールバックは眉根を寄せて睨み返した。

「アーアー……ダイジョブ? 私が止めてもよかったのに」

「あなたがやるとチェインドッグ=サンが怪我しかねませんから。……ほら、チェインドッグ=サンも! 抱きついてないで離れる!」

「アイエエエエ……こ、怖かったよう……」

 グスグスと涙まじりの声。キールバックはうんざりと彼女の頭を撫でて宥める。この調子だと遺跡のレリックにたどり着くまでに夜が明けてしまいそうだ。

 ……数分後。ようやく泣き止み、落ち着きを取り戻したチェインドッグを中心に三人の少女たちはさらに地下へと向かっていく。その背後、ニンジャスタチューたちが消沈したかのようにその瞳の光を消した。


【カシマシ・ニンジャズ・ゴー・ダウン・エンシェント・トレイル】その2おわり。その3へつづく


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