忍殺TRPGソロリプレイ間話【ワン・デイ・イン・ニンジャ・マンション】
◇前置き◇
ドーモ。しかなです。当記事はしかなが遊んだニンジャスレイヤーTRPGをテキストカラテナイズドしたリプレイ……の、間話です。つまりこのパートでは以下ソロリプレイ後の余暇などを描く。
まあとりあえずやってみよう。よろしくおねがいします。
◇登場ニンジャたち◇
・ディスグレイス
今回出てくるニンジャたちの中ではリーダー格。右腕に置換したバイオ触手とカナシバリ・ジツで縛るのが好き。女の子はもっと好き。
(画像はななメーカーにて作成したイメージです)
ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:5
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:4
【ジツ】:3(カナシバリ・ジツ)
【体力】:6
【精神力】:4
【脚力】:3
【万札】:5
【名声】:5
持ち物など:
オーガニック・スシ
▲バイオサイバネ腕(片腕)
▽吸血バイオ器官
○信心深い
・キールバック
ディスグレイスの舎弟その1。彼女によく懐いている。カナシバリ・ジツの使い手。
(画像はななメーカーで作成したイメージです)
ニンジャ名:キールバック
【カラテ】:2
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:6
【ジツ】:1(カナシバリ)
【体力】:2
【精神力】:5
【脚力】:3
【DKK】:0
【万札】:13
装備:
・ウイルス入りフロッピー
▲バイオサイバネヘッド(軽度)
○信心深い
・フィアーレス
ディスグレイスの舎弟その2。今は無きアサシン養育施設『アシサノ私塾』で教育を受けていた元アサシン。ヘンゲヨーカイ・ジツの使い手。
(ななメーカーで作成したイメージです)
ニンジャ名:フィアーレス
【カラテ】:3
【ニューロン】:3(-1)
【ワザマエ】:4(+1)
【ジツ】:3(ヘンゲヨーカイ)
【体力】:3
【精神力】:2
【脚力】:3
【万札】:4
持ち物など:
▲バイオサイバネ頭部(軽度)
○キラーマシーン教育
・チャカガン2挺
・シャープキラー
自称ディスグレイスの舎弟その3。当のディスグレイスからは大いに警戒されている。フィアーレスと同じ『アシサノ私塾』で教育を受けたアサシンであり、暗躍が大好き。
ニンジャ名:シャープキラー
【カラテ】:5(+1)
【ニューロン】: 4(-1)
【ワザマエ】:3(+1)
【ジツ】:1(カラテミサイル)
【体力】:6
【精神力】:3
【脚力】:4
【万札】:0
【名声】:3
持ち物など:
・カタナ
▶︎ヒキャク
▷ブースターカラテ・ユニット
○キラーマシーン教育
◇余暇前:報酬分配と模様替えタイム◇
マンション「さなまし」413号室にて。
「はい、ドーゾ」
ぽん、と手渡されたカネに、シャープキラーは目を瞬かせた。渡された理由は明確だ。前回自分が引き受けてきた細々としたミッションの数々……それの報酬の一部だろう。だが。
「私にもくれるんだ?」
仏頂面のディスグレイスを前に、思わず素直な感想が飛び出た。然り。そもそもそのミッション群を(ディスグレイスにちょっとしたサプライズ・プレゼントを送るためとはいえ)デッドラインギリギリまで溜め込み、チームに迷惑をかけたのは他でもない自分である。正直なところ、報酬なしと考えていた。
ディスグレイスが腰に手を当て、シャープキラーを睨む。そのバストは豊満である。
「わたくしにもキールバック=サンにも臨時収入がありました。先の依頼でそうしたものがないのはあなたとフィアーレス=サンだけですもの。公平に分配します」
「……ふーん」
「なにか文句でも?」
「まさか! ウン、大事にする。アリガトネ」
満面の笑みとともに礼を言う。ディスグレイスが小さく舌打ちしてそっぽを向いた。その頬がわずかに赤らんでいるのを見て取って、シャープキラーは愉快になる。つけこむ隙は充分にある。少なくとも、ディスグレイスがあの元危険生物ハンターの少女を籠絡するよりはるかに可能性があるだろう。
報酬分配
フィアーレス:【万札】4 → 14
シャープキラー:【万札】0 → 10
「あ、そういやさ。キールバック=サンとフィアーレス=サンはどうしたの?」
「買い物です。そろそろ戻ってくる頃合だと……」
ディスグレイスが不意に言葉を切り、玄関を見やる。ほぼ同時「ただいま戻りました!」「……タダイマ」扉を開けて上がりこんできたのは2人の少女だ。小柄な方がキールバック。長身の方がフィアーレス。どちらもディスグレイスらと同じくソウカイニンジャである。
小走りにディスグレイスの元に駆け寄ったキールバックは、どこか嬉しそうに手に持った品を掲げて見せた。
「確かに預かってきましたよ、お姉様。立派なショドーです! お代は私が立て替えておきました」
「ありがとう、キールバック=サン」
ディスグレイスは微笑し、キールバックの頭を撫でる。キールバックが持ち帰ったのはトレーニングルームに飾るためのショドーだ。幸いにもショドーに優れた知り合いを持っていたディスグレイスが、正式に依頼をして書き下ろしてもらったのである。
一方のフィアーレスは、いそいそと電算機室に向かっていった。その手にあるのはカケジク。ディスグレイスは目を丸くする。
「あら、フィアーレス=サン? それは……」
「ああ、どうも気に入ったらしくて。自腹を切って買ったんですよ。あいつにもああいう感性があったんですね」
小声で囁いてくるキールバックに、ディスグレイスは頷き返す。普段はミッションのことしか口にしないような子なので意外ではあった。まあ、本人が納得して買っているなら何も言うまい。
ディスグレイスはふと背後の気配に気づく。いつの間にかシャープキラーがショドーを覗き込んでいる。
「なにか?」
「……いや? なかなか個性的なショドーだなと思って」
「そうですか? ハーフペーパー=サンのワザマエは確かで……アッ」
シャープキラーの皮肉げな笑みに少し苛立ちを覚えつつも、ディスグレイスは改めて注文したショドーを眺め……気づく。達筆なので見逃していたものの、その文面はこうであった。
『少女これが大好き』
「お姉様? これ、早速トレーニングルームのほうに飾ってもよろしいですか?」
「エッ……エート……そ、そうですね……」
模様替えタイム
『偉大なるショドー』『見事なカケジク』購入
キールバック:【万札】13 → 3
フィアーレス:【万札】14 → 4
◇余暇1日目◇
「イヤーッ!」
1人留守番を買って出たシャープキラーは、トレーニングルームにて汗を流していた。らしくないなぁ、などと頭の片隅で考えつつ、木人を前にイアイの練習。ディスグレイスは他のミッションを探しに行き、キールバックらはこの近所で『小遣い稼ぎ』だ。
ふと壁に貼られたショドーを見やる。一見厳かなアトモスフィアを醸し出しているあのショドーも、説いている内容はディスグレイスの性的嗜好だ。いったい何をどうしてこうなったのか。いつかそのハーフペーパーなるニンジャの元を訪れてみよう……口元を緩ませつつ、シャープキラーは再び木人にイアイを打ち込む。
シャープキラー:ワザマエトレーニング
【万札】10 → 7
1回目:1D6 → 3 失敗
2回目;1D6 → 6 成功!
【ワザマエ】:3(+1) → 4(+1)
◇◆◇
ほぼ同時刻。マンション「さなまし」付近の路地裏。1人の少女が壁に寄りかかっていた。まだ幼さの残る風貌。体のラインが浮き出るようなラバースーツめいた装束。やがてヨタモノと思しき男たちが下卑た笑みを浮かべて少女に近づき、二言三言言葉を交わす。
艶めかしく微笑んだ少女は、男たちの伸ばした手を寸前で避けて路地の奥へと逃げていった。追う男たち。数秒後……「「アイエエエーエエエ!?」」
悲鳴。沈黙。数分ののち、路地裏から二つの影が姿を表す。先ほどの小柄な少女と、影も形もなかった長身の少女。それぞれの手には別人のものと思しきサイフがあった。
「うわ、ハズレですねこれ。もうちょっとカネを稼いでから声かけてきてほしいです」
「……こっち、アタリ」
「え? あ、スゴイ! 取り替えましょうよ!」
「やだ」
長身の少女がわずかに口元を歪める。頬を膨らませて追ってくる狩りの相棒の愛らしさがツボに入ったか、それともサイフに入っていた金額のためか。いずれにせよ、少女たちはそのままねぐらへと戻っていった。
キールバック&フィアーレス:モータルハント
キールバック:【ワザマエ】+【ジツ】=7
7- 1D6 = 7 - 5 → 2
【万札】3 → 5
フィアーレス:【ワザマエ】+【ジツ】=8
8-1D6 = 8 - 1 → 7
【万札】4 → 11
◇余暇二日目◇
キールバックは1人外出していた。買い物である。『お姉様』ことディスグレイスが購入したあのアジトはとても居心地がいい。そのかわり、トレーニングルームや電算機室を使われるとやることがなくなるのだ。
彼女としては『お姉様』と甘いひとときが過ごせればそれでいいのだが、当の『お姉様』が忙しい。なんでも他のミッションを探しているのだとか。その熱心さは見習うべきだろう。それはそれとして寂しい。
「懐具合も寂しいですけどねー……まったく、また適当な男でも痛めつけて……」
思わずひとりごちていたキールバックはふと足を止める。ブラックマーケットに並んでいたある商品。違法トミクジだ。財布の中とその値段を見る。ちょうど買える。
「…………まあ、笑い話にはなるでしょう」
キールバックは状況判断し、決断した。数分後、違法トミクジを懐に突っ込んだ彼女は、近くのコケシマートで新聞を立ち読みする。本日の当選番号を確認するためだ。
淡い期待。実際はあのシャープキラーに笑われるのがオチ。そう思っていたが……
「……ブッダ。ありがとうございます」
キールバックは天井を仰ぐ。まさかまさかの当たりくじであった。
キールバック:ブラックマーケット
『違法トミクジ』購入
【万札】5 → 0
『違法トミクジ』使用
1d6 → 6 【万札】10獲得
【万札】0 → 10
◆◇◆
「オツカレ。いい感じ?」
「ん」
電算機室から出てきたシャープキラーは、カラテトレーニングを終えていたらしいフィアーレスの隣に遠慮なく腰を下ろす。フィアーレスは何も言わない。顔を見れば、トレーニングの成果がどうかくらいはわかる。彼女も成果は上々なのだろう。
シャープキラーは朗らかに笑った。
「あー、2人きりになるのって久しぶりか。せっかくだしなんか話す?」
「……いいけど」
「そっか。じゃあさ、キールバック=サンとはうまくやってんの? なんかディスグレイス=サンに焚き付けられてるの見てたんだ、私……ほんと、いい趣味してるよねあの人……」
「ナカヨシにはなってるよ。少なくともあたしのほうはそう思ってる」
「アッハ、マジで!? いいねぇ、もっとネンゴロになっておきなよ! 後々そういうのがさ……」
「シャープキラー=サンは本気でディスグレイス=サンが好きなの?」
その一言が騒々しい様子のシャープキラーを黙らせた。彼女はまじまじとフィアーレスを見て……口の端を歪めてみせる。
「本気だよ、本気。当たり前だろ……なに、暗殺しに来たと思った? アシサノ私塾の同期の仇ー、ッて? 私が?」
「念のための確認」
「ああそう。ならいいよ」
それっきり、シャープキラーは口を閉ざす。フィアーレスは気にしない。沈黙には慣れている。彼女の狙いがどうあれ、今の生活は快適だ。不安要素はなるべく排除しておきたかった。
もっとも、最悪の事態にはならなさそうだが。
フィアーレス:カラテトレーニング
【万札】11 → 8
1回目:1d6 → 6 > 3 成功
【カラテ】3 → 4
【体力】3 → 4
シャープキラー:ザゼントレーニング
【万札】7 → 4
1回目:1d6 → 6 > 4 成功
【ニューロン】4(−1) → 5(−1)
【精神力】3 → 4
◇余暇三日目とおまけ◇
ディスグレイスはまだ戻らない。そのまま別のミッションに赴いたのか、それとも依然としてスカウト部門と調整を行っているのか。なんとも言い難い。
「イヤーッ!」
キールバックは雑念を振り払い、木人にカラテを打ち込む。未だ自分のカラテは未熟。フィアーレスやシャープキラーにも及ばない。このままではいざというときに『お姉様』の役に立つことができない。少女は少女なりに必死だった。
結果として、そのトレーニングが身を結んでいるとしても。彼女の中の焦りはまだ消えない。
キールバック:カラテトレーニング
【万札】10 → 7
1回目:1d6 → 3 > 2 成功
【カラテ】2 → 3
【体力】2 → 3
休憩のためリビングルームに行くと、そこには一足先にザゼンを終えたフィアーレスがくつろいでいた。こちらに気づき、片手を上げてアイサツを送ってくる。何気なくアイサツを返したキールバックは顔をしかめた。最初こそ人形めいていたのに、ずいぶんと生き生きしてきたことだ。
「もうザゼンを終えたんですね」
「うん。カケジクのおかげで集中できたから」
「……そういうものですか」
会話が止まる。キールバックはやや離れた位置に座った。あの鼻持ちならないシャープキラーほどではないが、どうにもこの女の相手はやりにくい。
フィアーレス:ザゼントレーニング
【万札】8 → 5
1回目:1d6 → 6 > 3
【ニューロン】:3(-1) → 4(−1)
【精神力】:2 → 3
……バイオスズメの囀りが妙に耳に響く。顔を背けていたキールバックは眉間にしわを寄せた。どうにもフィアーレスの視線が気になる。先ほどからずっと見られている。
我慢ならない。キールバックが抗議しようとしたそのときだ。
「イヤーッ!」「グワーッ!?」
玄関先で剣呑なカラテシャウトが響いた。
◇◆◇
……時はやや遡る!
「フーン、フフーン……フフフーン」
機嫌よく鼻歌を歌いつつ、マンションの廊下を歩くセーラー服の少女あり。スカートから覗くのは剥き出しのサイバネ脚。シャープキラーである。片手で弄ぶ財布は狩りの成果だ。被害者がどのような目に遭ったか……それはここで語るべき事柄ではない。
シャープキラー:モータルハント
【ワザマエ】+【ジツ】 → 6
6 - 1d6 → 6 - 1 → 5
【万札】4 → 9
「フーン、フフーン……うん?」
その足が止まる。413号室の前に先客がいたからだ。
ゴシックなキモノ・ドレス姿の少女……に見える。それはいい。緊張の面持ちで扉を見つめ、深呼吸をして集中しているようだ。それもまあ、いい。
重要なのは、眼前の相手を見た瞬間にシャープキラーのニンジャ第六感がざわめいたという事実である。
(ハハァ)
シャープキラーは状況判断し、笑みを浮かべた。何気ない様子で、だが足音を立てないようにその背後に近づき……軽い調子でその肩に手をかける。
「ドーモ! シャープキラーです!」
「エッ……」
驚いたように相手が振り返る。シャープキラーはたしかに見た。その瞳の奥に光が宿っているのを。超自然の光……気に食わない光だ。もはや迷う必要もなし。
「イヤーッ!」「グワーッ!?」
シャープキラーは躊躇なく少女を背後の壁に叩きつける! 少女の身体が重力に引かれて落ちるより早く、その首を片手で掴み、股下に膝を……正確にはサイバネに仕込んでいた刃を突きつけた。
「ドーモ、ドーモ。アイサツしてよ。ニンジャだよね、きみ?」
「な……な……!?」
「あ、抵抗なんてしないでね。きみが動くより、私がきみをマップタツにするほうがどう考えたってハヤイもの。そうでしょ?」
「あ、アイエ……」
「漏らさないでよ? ボールついてるんだろ……ほら、名前は?」
シャープキラーは笑いかける。目に見えて青ざめた少女……もとい、ゴシック・キモノドレス装束のニンジャは震えながらアイサツを返した。
「ど、ドーモ……クークーベイビーです……」
「ふぅん」
シャープキラーはうっすらと笑う。あの立ち振舞いからして、どう考えても何処の組織に所属するニンジャではあるまい。
これは思わぬ手札を得たか。背後から飛び出てくるキールバックらの気配を感じながら、シャープキラーはクークーベイビーを凝視し続けた。
(終わり)
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