忍殺TRPGソロリプレイ【ディグ・アップ・トレジャー!】

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はしかながソロシナリオを遊んだ結果を元に書き上げたテキストカラテ……一般的にリプレイと呼ばれる類のものです。気楽に読めるよ。

 今回挑戦させていただいたのはくりーむ=サンの【ネオサイタマ財宝伝説】です。

 人々から情報収集し、DKKを貯めつつ埋蔵金を探す! そのようなソロシナリオだ。

 挑戦者はこいつ。ニンジャダイアリーで名前だけ出したニュービーの一人だ。

ニンジャ名:サイバンブー
【カラテ】:3        【体力】:3/3
【ニューロン】:4      【精神力】:4/4
【ワザマエ】:1       【脚力】:2
【ジツ】:3(ドドン)    【万札】:0
近接攻撃ダイス:3
遠隔攻撃ダイス:1
回避ダイス:4

【アイテム】:
 ZBRアドレナリン注射器

【サイバネ】:
 ▶︎生体LAN端子
 ▷無線LAN攻撃用ユニット

【スキル】:
 ○サイバーゴス

【説明】
 過剰搭載満員電車により圧縮死しかかったサイバーゴスにニンジャソウルが憑依。
 ニンジャとなった経緯のため人の集まる場所が苦手であり、もっぱら土中で過ごす。
 地面から無線LANユニットのみ伸ばしている様子からそのニンジャネームをつけられた。

 ドトン使いなので埋蔵金掘り出しも楽々だ。見つかればね。

 ではやってみよう。よろしくおねがいします。



◇オープニングな◇

 暗闇の中、サイバンブーは頭を悩ませていた。彼女はニンジャであり、泣く子も黙るソウカイヤの末端構成員の一人である。だがそれは今、自分が迎えている困難に立ち向かうための助けにはならない。

 整理しよう。抱えている問題は二つである。まず一つはローンだ。生体LAN端子を埋め込んだ際に組んだローンの返済期限が迫っている。彼女がカネを借りたのはネコソギ・ファンド系列のふわふわローン。すなわちソウカイヤの息がかかった企業。ソウカイヤ構成員がローンを組むのは簡単だが、返済できなかった場合はたとえニンジャであっても容赦なく『回収』されてしまう。

 そしてもう一つ。ローンの返済のためにはカネが必要であり、そのカネを稼ぐにはソウカイヤからミッションを受領する必要がある。あるのだが……彼女はいまだにそれができていない。人間の多いところに行くのに忌避感が強いのだ。満員電車で押しつぶされたことをきっかけにニンジャになればそうもなろう。

 幸い、糸口はないでもない。自分をソウカイヤにスカウトしたニンジャが最近ヤクザクランを立ち上げたのだという。スカウト部門のオフィスに比べ、まだ人数も少ないはずだ。あそこまでいけば、なんとか。

 だがそうなると問題が増える。手ぶらでいったところでヤクザクランに入れることはできるのだろうか? 結局はなにか持参金がいるのでは? こうなるとまた堂々巡りになってしまう。

 なにか。なにかないか。アンテナめいて伸ばした無線LANユニットから電波を受信し、サイバンブーは情報収集する。その中に、『ネオサイタマ・アーバン・レジェンズ』の番組情報が紛れ込んだ。今回の題材は、こうだ。


「トクガワ埋蔵金伝説」


「イヤーッ!」

 これだ! そう思ったときには身体が動いていた。サイバンブーは急浮上! 地面から飛び出した彼女は回転しバンブー林の中に着地! 埋蔵金! これならば人混みの中を駆け回らずともカネが稼げる! それに自分はドトンが使える。うってつけではないか!?

 ローンの返済期限はあと一週間。四日で情報収集し三日で掘り当てれば間に合う計算だ。「イヤーッ!」無線LANで情報収集しつつサイバンブーは走る!



◇情報収集な◇

 ある日の午後。ネオサイタマ大学、ストリ研究室にて。ストリ教授は静かにチャを飲み、歴史資料の整理をどのように行ったものか考えていた。ひとまず個人的な趣味である埋蔵金伝説関連の資料は棚の奥にしまい、取材が来た時の悪影響とならないよう注意するべきか。

 ……そのとき!

イヤーッ!」「アイエエエーエエエ!?

 目の前の床が突如破裂! 舞い散る土煙と破片の中から飛び出したのは、サイバーゴス装束のニンジャなのだ! 突然の出現に失禁するストリ教授の前で、そのニンジャは威圧的アイサツを繰り出した!

「ドーモ。サイバンブーです。お前がストリ教授だな!」

「アイエエエ!? ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」

「騒ぐな! インタビューに誠実に答えれば命までは取らない!」

 ニンジャ・リアリティ・ショックに陥る教授へ、サイバンブーは無慈悲に宣言する。へたりこんだ教授は絶望的にニンジャを見上げた。いったいどのような無理難題が投げかけられるのか。まるで予想がつかないからだ。

 サイバンブーは呼吸を整え、厳かに言い放った。

「お前はトクガワ埋蔵金の調査を私的に行っているな」

「は……ハイ? ええ、その……趣味で……」

「よし。ならばその調査結果を私によこせ」

 ストリ教授は目を丸くした。空転していたニューロンがなんとか元の働きを戻し始める。唇を舐めた彼女は、勇気を振り絞って言った。

「わ、私としてもいくつかの仮説を立てていますが……それを説明するにはある程度の時間が……!」

「なら今日わかる分でいい。早急にまとめあげ、三日程度で説明が住むようまとめるべし!」

「アッハイ、わかりました」

 なんだかおかしなことになってしまった。震えながら立ち上がりつつ、ストリ教授は本棚へ向かう。ひとまず今わかっている分を渡して、このニンジャにお帰りいただこう。

一日目:1d6 → 2 情報収集
【ジツ】値*2 で判定
(2, 3, 3, 4, 5, 5)
情報ダイス1 → 3
【DKK】0 → 1

 ……翌日! ネオサイタマ大学、ストリ研究室にて! ストリ教授は静かにチャを飲み、トクガワ埋蔵金の情報整理をどのように行ったものか考えていた。まさか他人に披露することになるとは思わなかったため、乱雑なのだ。

 しかしあのニンジャ、今度は一体どこからくるのだろう。突貫工事で穴を塞いだばかりの床を見て、ストリ教授は恐々とした。今度はせめてドアから入ってきてくれれば心の準備が……

イヤーッ!」「アイエエエーエエエ!?

 そのとき! 突如として椅子のバランスが崩れストリ教授は成す術なく転倒! その真下から床を突き破り土煙とともに現れたのはサイバンブーだ! 着地したニンジャは倒れこんだ教授を見やり、わずかに慌てた様子を見せた。

「ム……スマン。目測を誤った」

「アイエエエ……」

「生きてはいるな。ならばよし! では今日のトクガワ埋蔵金の情報を寄越せ!」

「アッハイ……そ、その。仮説を説明するにはある程度前提となる歴史を紐解く必要があり……」

「なんでもいい。必要ならばそれもせよ!」

「アッハイ」

 こうして、ニンジャ相手の特別歴史講座が始まったのだった。

二日目:1d6 → 1
【ジツ】値*2 で判定
(2,2,3,5,5,6)
情報ダイス: 3 → 6
【DKK】:1  → 3

 ……さらに翌日! ネオサイタマ大学、ストリ研究室にて! ストリ教授は静かにチャを飲み、精神統一を行っていた。来るとわかっていれば冷静に対処できる。なにより、そこらの大学生よりあのニンジャはよほどマジメに自分の即席講座に聞き入っていた。奥ゆかしさを忘れなければ……

イヤーッ!

 目の前の床が突如破裂! 舞い散る土煙と破片の中から飛び出したのは、サイバーゴス装束のニンジャなのだ! 居住まいを正すストリ教授の前で、そのニンジャは威圧的アイサツを繰り出した!

「ドーモ。サイバンブーです。今日の講義を受けに来たぞ、ストリ=サン」

「ドーモ。……トクガワ埋蔵金の仮説について、私が教えられることはあと少ししかありません」

「……フン! 問題はない。私はニンジャだ。お前から得た情報があればなんとでもなる」

 サイバンブーは胸を張る。彼女のバストは豊満であった。ストリ教授はその様子に少しばかりの虚勢を見いだしたが……奥ゆかしく、それを指摘することは避けたのだった。

三日目:1d6 → 2
【ジツ】値*2 で判定
(1,1,3,3,4,5)
情報ダイス:6 → 7
【DKK】:3 → 4

 ……そのさらに翌日!「イヤーッ!」サイバンブーは華麗なドドン・エントリーを決めた。しかし今回の出現地点はストリ研究室ではない。IRCで流れていたトクガワ埋蔵金探索の熱狂的フリークの住居である。

「フム……フム!」

 彼女が出現したのはそのフリークの自室。部屋中になにやらわからぬメモ書きや異様なまでに書き込みを入れられた地図が張り巡らされている。その様子にやや圧倒されつつも、サイバンブーはそのうちのいくつかを記憶した。

 必要・不必要の判別は問題がない。彼女はストリ教授の即席歴史講座を受講完了していたのだから。信ぴょう性の高いものだけピックアップすればいいのだ。

四日目:1d6 → 6
突入! 熱狂的フリークの自宅!
情報ダイス:7 → 10



◇財宝探索な◇

 サイバンブーは深呼吸し、騒めくニューロンを鎮める。大丈夫だ。なんの問題もない。この四日間、実にスムーズに情報収集ができた。あとはしらみ潰しに探していくだけだ。きっと見つかる。問題ない。自分に言い聞かせる。

 彼女がまず訪れたのは四方をビルで囲まれた竹林地帯だ。ドトンがあればこのような場所の立ち入りも容易。ひとまずネオサイタマ市内にあるこの場所から探索を始め、徐々に郊外へと場所を移していく。猶予期間は少ないが、すでにスポットは絞り込めている。あとはニューロンを総動員するだけだ。

 無慈悲に降り注ぐ重金属酸性雨の中、サイバンブーはわずかに震えながら血走った目で竹藪の中を探す。そして……

五日目:
(2,2,3,5,5,5,6,6,6,6) ゴウランガ!

「アッ!?」

 笹の葉に埋もれるようにして放置されていたボストンバッグを見つけ、思わず声をあげていた。慌ててそれを回収! 抱きかかえるようにしてその中を確かめ……目を丸くする。中に収められていたのは大量の株券! あきらかに埋蔵金ではないが、それでも価値のある品にはちがいない!

 サイバンブーは無線LANユニットをアンテナめいて伸ばし、この企業の情報を調べ始める。もしこれがメガコーポの株券であれば……埋蔵金と呼んで差し支えないほどの巨万の富!

「……アア……」

 だが漏れたのは落胆の声。この株券はテギレ産業のもの。テギレ産業は斜陽の真っ只中にあり、明日を迎えるかも怪しい弱小企業だ。

 だが、だが! サイバンブーは無線LANユニットを介し、眼前の株券を売りに出す! そのような企業の株券でも、これからの元手となるカネにはなる!

株券売却判定
(1,1,1,3,5,5,5,5,5,6)
【万札】37獲得!

 キャバァーン! 軽快な電子音とともに、自分の口座にカネが振り込まれるのを確認してサイバンブーは安堵の笑みを浮かべた。ローン返済はもちろん、それを差し引いても余りある量のカネ。あの四日間は決して無駄ではなかったのだ。

 ……先ほどの株売買によりテギレ産業が倒産したニュースを頭から追いやったサイバンブーは、再び土中へと消えた。


◇エンディングな◇

 後日。サイバンブーはツチノコ・ストリートを訪れていた。人混みを避けるためビルを飛び渡り、たどり着いたのは「グレアリング・オロチ・ヤクザクラン」事務所である。

「あら! ドーモ。サイバンブー=サン。ディスグレイスです」

「ド、ドーモ。ディスグレイス=サン。サイバンブーです」

 その女オヤブン……かつてサイバンブーをスカウトしたミコー装束ニンジャ、ディスグレイスは快く彼女を迎え入れた。緊張した面持ちのサイバンブーへ微笑を向けてから首を傾げる。

「貴女が直接ここに来るとは。なにかありましたか?」

「あ、あ、あの! これ!」

 震える手で差し出したのは茶封筒! ふわふわローン返済分を差し引いた、『埋蔵金』探索で得たカネ全てが入っている。ディスグレイスが訝しんでいるのを直感したサイバンブーは、もつれる舌で説明を試みた。

「そ、その、おね、オネエサンの、や、ヤクザクランに! これで! 入れていただきたく!」

「…………? ああ、そういうことですか。どうやら情報のすれ違いがあったようですね、サイバンブー=サン」

「エッ?」

 予想していなかった回答にサイバンブーは顔を上げる。ディスグレイスは微笑を浮かべたまま、そっと茶封筒をサイバンブーの元に突き返した。

「元より、あなたはこのクランの一員として加える計画でした。ローンの返済期限が近いのも承知です。そろそろ迎えに行って、ミッションを受けてもらおうかと考えていたのですよ」

「ア……」

「なので、そのカネは自分で使いなさい。ミッションに参加することを考えて、しっかり準備しておくように」

「……は、ハイ! ヨロコンデー!」

 キョトンとディスグレイスを凝視していたサイバンブーは120度オジギ!

 結局のところ、彼女の過ごした五日間は意味のないものだったのかもしれない。しかし、サイバンブーに確かな自信とカネだけは残してくれたのだった。


【ディグ・アップ・トレジャー!】終わり


◇あとがきな◇

 サイバンブー、まさかの最速財宝発見。ふわふわローンも返済できたしよかったよかった。

 最終的な彼女の能力はこうなります。いや、能力は変わらないのだけれど。

ニンジャ名:サイバンブー
【カラテ】:3        【体力】:3/3
【ニューロン】:4      【精神力】:4/4
【ワザマエ】:1       【脚力】:2
【ジツ】:3(ドドン)    【万札】:27
近接攻撃ダイス:3
遠隔攻撃ダイス:1
回避ダイス:4

【特筆事項】:
 【DKK】:4

【アイテム】:
 ZBRアドレナリン注射器

【サイバネ】:
 ▶︎生体LAN端子
 ▷無線LAN攻撃用ユニット

【スキル】:
 ○サイバーゴス

【説明】
 過剰搭載満員電車により圧縮死しかかったサイバーゴスにニンジャソウルが憑依。
 ニンジャとなった経緯のため人の集まる場所が苦手であり、もっぱら土中で過ごす。
 地面から無線LANユニットのみ伸ばしている様子からそのニンジャネームをつけられた。

 DKKの高まりを感じているのが不安要素ではあるものの、まあこれから頑張ってもらうとしよう。

 ここまで読んでくださった皆様、そして楽しいシナリオを書いてくださったくりーむ=サン! ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!

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