忍殺TRPGソロリプレイ【ナイス・クッキング? アット・トレーラーハウス】後編

◇簡単な前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はしかながソロシナリオを遊んだ結果を元に作成したテキストカラテとなります。一般的にはリプレイと呼ばれるものだ。

 で、続き物でもある。前回のはこれ。

 行方不明事件の原因調査! 地道なトレーラーハウス探索中、仲間のカラテシャウトが響く! 急げ! ロングカッター! 急げ!

 というわけでやってみよう。よろしくおねがいします。



◇再開な◇

「イヤーッ!」「グワーッ!?」「イヤーッ!」「グワーッ!?」「イヤーッ!」「グワーッ!?」

 カラテシャウトの響くトレーラーハウスに踏み込んだロングカッターは、思わずその場で硬直した。視界に飛び込んできたのはカラテを振るうオーキッド! そして……それを受ける異形のニンジャだ。頭からタコを被ったような、と形容するのがいいだろうか? 髪がわりに生えた触手を動かし、オーキッドのカラテを辛うじて捌いている。その瞳も皮膚もあからさまに人間のものではない。

「イヤーッ!」「グワーッ!?」「イヤーッ!」「グワーッ!? ま、マッタ……」「イヤーッ!」「グワーッ!?」

(……ンン?)

 この調子では出る幕もない……そう判断しマグロ切り大型包丁を下ろそうとしたロングカッターはふと訝しんだ。異形ニンジャのほうがなにやら言いたげだ。それに、もはやイクサを続ける気がないように思える。

 ……タコは賢い生き物だ。ひょっとすれば行方不明事件についてなにか知っているかもしれない。ロングカッターはオーキッドが攻撃をやめた一瞬を見計らい「い、イヤーッ!」インターラプトのため飛び蹴りを放つ!

「グワーッ!?」

 吹き飛ばされ、壁に張りつく異形ニンジャ! ロングカッターは謝罪と説得を行おうとし……凍りついた。

SHHH……!

 おお、ナムアミダブツ……! 心臓の弱い読者は目を背けれたし! 蹲ったオーキッドのミリタリーコートを、肩口から生えた大きな鎌が払い除ける。顕になった肌はすぐに薄桃色の甲殻に覆われ、そのシルエットが巨大化! ハナカマキリと人間とを無理やりに混ぜ込んだかのような異形! これぞオーキッドの誇るヘンゲヨーカイ・ジツである!

「あ、アイエ……」

 ロングカッターは竦み上がった。震える身体に、埋め込まれた心臓サイバネの規則正しい鼓動がやけに冷たい。オーキッドは顔を上げざま……その鎌を……「SHHHHH!」振るう!

【回避】判定(難易度HARD)
5d6 → 1, 3, 4, 4, 6 成功!

「い、イヤーッ!」

 ガキィン! 反射的に掲げたマグロ切り包丁が、オーキッドの鎌とぶつかり合い火花を立てる。ロングカッターの背筋に冷たいものが流れた。下手をすれば包丁が折れていてもおかしくない威力。否、もし反応が遅れていれば、折れていたのは……

 オーキッドの昆虫めいた無機質な目がロングカッターを捉える。「す、す」とっさに口にしようとした言葉は喉に絡まった。小首を傾げたハナカマキリめいた怪物は数歩下がる。下がるごとにその身体は萎んでいき、立ち止まる頃には普段のオーキッドの姿へと戻っていた。

「す、す、すすす……」

「……なんで邪魔したの」

「す、スンマセン!」

 変わらぬ無表情で……だが、言葉とアトモスフィアに滲む不機嫌さから、相当に怒っていることは伝わってくる……呟いたオーキッドに、ロングカッターは勢いよく頭を下げる!

 ドゲザしようと膝をつく彼女を手振りで押し留めたオーキッドは、床に落ちたミリタリーコートを拾う。そしてチューブトップにスパッツという軽装の上に羽織り、普段の様相へと居住まいを整えた。

「私は。なんで。邪魔したのか。聞いてる」

「すすす、スンマセン……! ででででもですよ! そこのタコのやつ、なにか知ってそうな素振りだったんで!」

 ロングカッターは慌てて床に張りついたままのタコニンジャを指さした。オーキッドに睨まれたその者は怯えたようにこくこくと頷く。すなわちロングカッターへの同意である!

「ほ、ほら! そそ、それにですね! そいつ、元からイクサする気もなかったみてェですし……! さっきのヨタモノならともかく、戦う気のない相手を一方的に、その、殺しにかかるのはどうかなと……!」

 あわあわと言葉を並べ立てるロングカッターを見上げ、オーキッドは眉間にしわを寄せていた。しばらくの間無言でタコニンジャを睨んでいたオーキッドは……至極不満そうな様子で抜きかけていたショットガンから手を離す。

 トレーラーハウス内に、心底ほっとした様子のため息が二つ唱和した。


◇◆◇◆◇


「ええと、ドーモ。はじめまして。わたし、ハーミットクルークといいます」

ニンジャ名:ハーミットクルーク
【カラテ】:1        【体力】:5/5
【ニューロン】:6       【精神力】:6/6
【ワザマエ】:6       【脚力】:3
【ジツ】:3(マインドブラスト) 【万札】:0
近接攻撃ダイス:2
遠隔攻撃ダイス:7
回避ダイス:6

【サイバネ】:
▲バイオサイバネヘッド(軽度)
▽バイオ拡散弾
▲バイオサイバネ胴体
▽生体毒分泌器官

【狂気】
・バイオインゴット依存(軽度)
 アイテムによる【体力】と【精神力】の回復が-1される
 
【スキル】:
○培養バイオニンジャ

「オラはロングカッターです。ドーモ」

 向き合って床に座った両者は改まった様子でオジギする。ロングカッターはタコニンジャ……ハーミットクルークを観察する。よく見ればそのバストは豊満である。頭部から垂れ下がる触手の吸盤の配列を見てもメスで間違い無いらしい。

 ハーミットクルークは落ち着かぬ様子で身じろぎしている。背後に立つオーキッドに警戒しているのだろう。ひやひやとセンパイの様子を窺いつつ、ロングカッターは言葉を選ぶ。

「ええと……その、ハーミットクルーク=サンはなんでこんなとこに」「最近の行方不明事件、お前の仕業?」

 自分の質問を遮って投げ込まれたオーキッドの言葉にロングカッターは震えた。相手の返答次第では容赦なくカイシャクせんとするセンパイの決断的殺意を感じ取ったからだ。

 目を丸くしていたハーミットクルークは慌てて振り返り、首を激しく横に振る!

「ち、違います! わたしじゃありません!」

「……ここにも住人がいたはず。そいつはどうしたの」

「わ、わたしはなにもしてませんよお! ここにいた人間はわたしを見た途端悲鳴を上げてどっか行っちゃいました! ……まあ、そこをあいつにやられたのかもしれないですけど……」

「あいつ?」

 ロングカッターは思わず声を上げる。あからさまにほっとした様子で彼女へ向き直ったハーミットクルークは、こくこくと頷いてみせた。

「ここに不法投棄されたヨロシサンのバイオ生体兵器です。……ええと、まずあなたの質問にお答えしますねロングカッター=サン。わたしはそのバイオ生体兵器と一緒にここにやってきました」

「つまり、仲間」

違います! あんな下等生物と一緒にしないでください!

 オーキッドの冷淡な呟きに、タコニンジャは全身を朱に染めて反論! が、すぐに自分を見下ろす冷たい視線に震えがって元に戻った。

「……そもそも生まれが違うんです。生まれが。わたしはソラン先生の元で誕生した純粋なるバイオニンジャ。向こうは所詮、品種改良されたバイオ生物です。わたしと違って、あいつ話なんて通じないですよ」

「その、ソランせんせい? っつーのは何者かね?」

「ソラン・イゾセ。ヨロシサンの研究員で、わたしの生みの親です。いい人なんですけど、すっごい過保護なんですよね……わたしみたいなバイオニンジャを作って可愛がるのが趣味みたいで。そんなの退屈じゃないですか? だからこうしてちょっと外に出てみたんです」

「……お前、フォレスト・サワタリって知ってる?」

「誰です? それ」

 きょとんと見上げるハーミットクルークに、オーキッドは小さく溜息をついた。そして目を瞬かせるロングカッターを見て肩を竦める。

「納得した。こいつは事件と無関係」

「さ、最初からそう言ってるじゃないですか!? そもそもあなたが最初から話を聞いてくれれば」

「黙れ。……で、そのバイオ生体兵器ってなに。今どこにいるの」

「……えっと、ベンダーミミックってご存知ですか?」

 聞き慣れぬ名前にロングカッターは眉根を寄せる。一方のオーキッドは違った……彼女にしては珍しく表情を動かしたのだ。嫌悪に。

「やっぱりお前の仲間なんじゃない」

「それ、あなた方ヒトとサルを一緒くたに扱うような愚行ですからね!? とにかく、あいつは品種改良されたベンダーミミックです。ここに捨てられてもなお生きていた奴は、すぐさまここの人間を喰らって強大になっていきました」

「……それ、食う前に止められんかったんです?」

「え、エット……わたしは優秀なバイオニンジャではありますが、カラテはちょっと不得手で……な、なんとかしようとは思ってたんですよ!? ただあいつの成長速度が予想以上にハヤイだったんです!」

 おずおずと尋ねるロングカッターに、ハーミットクルークは慌てた様子でまくし立てる。呆れの一瞥を向けたオーキッドが口を開いた。

「質問に最後まで答えろ。どこにいるの?」

「……たぶん、このトレーラーハウス地帯から移動し始めてると思います。いい『殻』を見つけてたみたいなので、もっと人の多い地域に移ろうとしているのかと」

「わかった。狩る」

 オーキッドは頷き、ロングカッターを見やった。ロングカッターは即座にその眼差しの意味を汲み取る。すなわち『キミも来るよね?』だ。表情を強張らせつつも頷き返す。

 少し満足げな様子となったオーキッドは踵を……返す前に、座り込んだままのハーミットクルークの背中を軽く蹴飛ばす。

「痛ッ! なにするんですか!?」

「お前も来い」

「エッ……」

「なんとかする気があると聞いた。なら、今なんとかして」

「……エット、お手伝いしてくれるとありがたいです」

 ロングカッターは申し訳なさそうに補足する。ハーミットクルークは泣きそうな顔で二人を交互に見やり……諦めたように首を縦に振った。


◆◇◆◇◆


「……たぶん、アレです」

 トレーラーハウスを後にし、先頭を歩かされていたハーミットクルークが指さしたのは別のトレーラーハウス。密集地帯からやや離れた場所にある。

 目を凝らし異常を探すロングカッター。その横、オーキッドが一歩を踏み出した。

「イクサの準備」

「エッ?」

イヤーッ!

 聞き返す暇もない。わずかな助走でトップスピードに到達したオーキッドが、疑惑トレーラーハウスへ飛び蹴りを叩き込む! 直後!

シュシュシューッ!

 その入り口から! 窓から! 何本ものバイオ触手が飛び出す!「イヤーッ!」連続バック転で毒液を滴らせる触手から退避したオーキッドは慌ててマグロ包丁を構えるロングカッターの横に着地。状況判断しコートの袖の中から一振りのダガーを取り出した!

「やるよ」「は、ハイ!」「あーもー……! 三人もいれば大丈夫ですよね!?」

 ロングカッターが答え、ハーミットクルークがややデスパレートな様子でカラテを構えた!


◇ハント開始◇

◆トレーラーミミック (種別:バイオ生物、大型2×2)
【カラテ】:10    【体力】:20
【ニューロン】:5  【精神力】:5
【ワザマエ】:12  【脚力】:0
【ジツ】:ー	【万札】: 20
							
◇装備や特記事項									
装備なし、移動不能、回避不能

『麻痺触手攻撃』
 これは射程2マスの特殊な『遠隔武器』とみなす(隣接する相手にも射撃可能)。
 射程内であれば、最大で3体までの相手に同時に攻撃できる(1体の相手に2回攻撃してもよい)。
 『麻痺触手攻撃』の回避に失敗した相手は、【体力】と【精神力】を1ずつ失う。
 また触手が絡みつくため、回避に失敗した相手は次のターンの『回避ダイス』数が半分(端数切上)となる。
 触手攻撃の回避に失敗したターン、および次のターンの間、その相手の【脚力】は一時的に1になる

『トレーラー外殻】
トレーラーミミックは射撃に対してのみ有効な『ダメージ軽減1』を持つとみなす。

『炎への恐怖』:
 火炎ダメージを1以上受けた場合、
 トレーラーミミックはそのダメージに対して『ダメージ軽減』を使用できず、
 またそのフェイズの終わりに【精神力】を1失ってしまう。

『異質な精神』:
 このルールを持つバイオ生物には、「カナシバリ・ジツ」などの精神攻撃は作用しない
 (毒などによる物理的な【精神力】ダメージは例外である)。
手番順
オーキッド→ハーミットクルーク→トレーラーミミック→ロングカッター

「イヤーッ!」「シューッ!?」

 真っ先に飛び込んだのはオーキッド! 取り出したダガーで触手の一つを斬りつける! 巨大なバイオ生体兵器……トレーラーミミックとでも呼称すべきそれはその斬撃を受け大仰に触手をくねらせた。それは刃に宿る熱がためだ。加熱機構を刃に備えたヒートダガーなのである!

「あんまり前に出られるとやりにくいんだけどなぁ……! あ、ロングカッター=サンはちょっと待っててくださいね」

「エッ? アッハイ」

 わけもわからず頷くロングカッター。ハーミットクルークは彼女に微笑みを残して「イヤーッ!」跳躍! トレーラーハウスを飛び越えた空中、触手を伸ばすトレーラーミミック向け「シュシューッ!」口から真っ黒な液体を噴射! それを浴びた触手が痙攣! その間にハーミットクルークは反対側に着地!

「やっぱり仲間なんじゃない、お前」

「失敬な! こいつは墨なんて吐きませんから!」

「シュ……」

 自らを挟んで言い合いをするニンジャたちに刺激されたか、トレーラーミミックが触手を収縮させた。そして!「シュシュシューッ!」一気にカラテを解放! やや離れた位置で様子見していたロングカッターにまで到達するほど長大な触手が空間を蹂躙する!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「い、イヤーッ!」

 オーキッドとハーミットクルークは危なげなく回避! ロングカッターは内心焦りつつもマグロ解体包丁でこれを弾く! ハーミットクルークが悲鳴を上げた。

「ギャーッ! 交接腕伸ばしてきやがった! だから相手するの嫌だったんですよこの下等生物!」

「集中して」

「してます! もう許さないからなこの前後野郎!」

 オーキッドとハーミットクルークのやりとりを聞き流しつつ、駆け出そうとしたロングカッターは……ふと思い立って足を止める。ニンジャとなって得たあのジツ。こうした相手ならば活かせるのではないか?

 それはほとんど思いつきのような閃きだ。だが、試してみる価値はある!「センパイ! ハーミットクルーク=サン! ジツ行きます! イヤーッ!」宣言し、マグロ解体包丁の切っ先を地面に突き刺す!

 直後、地面が沸き立った。否! 無数の小さな影が地面から這い出し、ミミックの潜むトレーラーハウスへにじり寄りはじめたのだ。それは無数のバイオゴカイである!

「シュシューッ!」

 触手にとりつこうとするバイオゴカイを、トレーラーミミックは無造作に振り払う! その隙をつき「イヤーッ!」「シューッ!?」赤熱刃で斬りつけるオーキッド!「シューッ!」「シュシューッ!?」バイオ墨散弾を吹きつけるハーミットクルーク!

 苛烈な攻撃である。これである程度は弱らせたか? ロングカッターはしかし、自分の考えが甘かったことをすぐに思い知らされることとなる!

「シュシュシューッ!」

 先ほど以上の勢いで荒れ狂う触手! 回避しようとしたオーキッドが「ンアーッ!?」バランスを崩し転倒! その足元に触手の一つが差し込まれたのだ。体勢を整えるより早く「シュシューッ!」「ンアーッ!」別の触手が少女に巻きついた! 触手から分泌される毒性粘液が容赦なくオーキッドを苛む!

「センパイ!? な……なにしてんだテメッコラー!」

 慣れぬヤクザスラングで己を奮いたたせ、ロングカッターはマグロ解体包丁でオーキッドを捉えた触手を斬りつけようとした。しかし寸前で別の触手に阻まれる! 傷つけはしたが、致命傷には程遠い!

「この……イヤーッ!」「ジューッ!?」

 オーキッドが覚束ない様子でヒートダガーを触手に突き刺した。痙攣する触手! しかし離さぬ! 「シューッ!」「シュシューッ!?」ハーミットクルークのバイオ墨に怯むも、なお離さず! 絶対に危険だ!

 オーキッドは顔をしかめる。巻きつく触手の力が徐々に強まっている。普段なら抵抗もできようもの、麻痺毒のせいで力が入らないのだ。このままでは……!「……シュシュッ!?」そのときである! トレーラーミミックが全身をぶるりと震わせた。弱まる拘束!「ンアーッ!?」落下するオーキッド! いったいなにが!?

 上空からの俯瞰が可能な読者は目を凝らされたし。ロングカッターが呼び出し、触手に振り払われ続けていたバイオゴカイ。その一部がついにトレーラーハウスに到達! 内部のトレーラーミミック本体にまとわりつき、軟らかな目玉をはじめとした各所に食いつき始めたのである!「シュシューッ!?」苦悶!

 それだけではない。攻撃の瞬間に行われたこのアンブッシュにより、ハーミットクルークを狙った触手が大幅に射線を狂わされた。「イヤーッ!」一方ロングカッターに飛んだ触手もその力を失っている! 斬り払う!

「イヤーッ!」「シュシューッ!?」

 そして根元から切断! 他の触手をくねらせ、トレーラーミミックは苦悶!

「コノヤロ……イヤーッ!」「シュシューッ!?」「今が勝機ですね! シューッ!」「シュシュシューッ!?」

 怒りの反撃を繰り出すオーキッド! ここぞとばかりにトレーラーハウス内部へバイオ墨を吹きかけるハーミットクルーク! 振り払わんとするトレーラーミミックのもがきは、ただハーミットクルークの身体を掠めるにとどまった。

 ロングカッターはカタナを構え……ニューロンに伝わる感覚に気づき、ザンシン。それと同時、もがいていた触手が力なく地面に落ちた。目玉を食い破ったバイオゴカイたちが、ミミック本体の脳を食い破ったのである。

 静寂。同じくザンシンしていたオーキッドが構えを解き、とたとたとロングカッターの元に駆け寄った。

「キル完了。よくやった」

「ア……アリガトゴザイマス!」

「イエーイ」

「い、イエーイ?」

 なぜか流れでハイタッチを求められ、ロングカッターは困惑しつつも応じる。そしてどろどろと融解していくトレーラーミミックの死体を眺めた。タコなら調理したことはある。が、これをその延長線と捉えていいものかどうか。

 やってきたハーミットクルークが、はにかんだ様子で手を挙げた。

「……い、イエーイ」

「なに? ふざけてるの?」

「ひどい!?」

「い、イエーイ! オツカレサマデス! ハーミットクルーク=サン!」

 異様に冷たい目をタコニンジャに向けるオーキッド! 慌ててロングカッターがフォロー! ハーミットクルークがホッとしたように笑った。

 なんにせよ、これでオオヌギ・ジャンク・クラスターヤードの事件は終息したのだ。

『1ターン目』
オーキッド:ヒートダガー精密
1, 1, 3, 4, 6, 6 成功 トレーラーミミック【体力】20 → 18 【精神力】5 → 4
ハーミットクルーク:バイオ散弾
2, 4, 5, 5, 5, 5 成功 トレーラーミミック【体力】 18 → 16
トレーラーミミック:触手
オーキッド→1, 3, 3, 5 成功
ハーミットクルーク → 2, 4, 6, 6 成功
ロングカッター → 1, 4, 4, 5 成功
三名回避判定
オーキッド:1, 3, 5, 5, 6, 6
ハーミットクルーク:1, 2, 4, 5, 6, 6
ロングカッター:1, 3, 4, 5, 6
ロングカッター:スウォーム・ジツ
【精神力】4 → 3
4, 4, 5, 6, 6 発動成功
スウォーム判定 → 5 失敗
『2ターン目』
オーキッド:精密攻撃
1, 3, 4, 5, 5, 6 成功 トレーラーミミック【体力】 16 → 14 【精神力】4 → 3
ハーミットクルーク:バイオ散弾
1, 2, 3, 4, 5, 6 成功 トレーラーミミック【体力】14 → 12
トレーラーミミック:触手
オーキッド→2, 3, 6, 6
ハーミットクルーク→2,3,5,6
ロングカッター→2,3,4,5
三名回避
オーキッド:2, 2, 3, 3, 3, 3  失敗 【体力】4 → 3 【精神力】6 → 5
ハーミットクルーク:1, 2, 2, 3, 4, 4
ロングカッター:1,2,4,6,6
ロングカッター:ジツを維持
スウォーム判定 2 失敗
ロングカッター:通常攻撃
3,3,3,4,5 成功 トレーラーミミック【体力】12 → 11
『3ターン目』
オーキッド:精密攻撃
1, 3, 3, 4, 4, 5 成功 トレーラーミミック【体力】11 → 9 【精神力】3 → 2
ハーミットクルーク:バイオ散弾
1, 1, 1, 4, 6, 6 成功 トレーラーミミック【体力】9 → 7
トレーラーミミック:触手
オーキッド→ 2, 3, 3, 4 失敗(スウォームの働きだ)
ハーミットクルーク→ 1, 2, 3, 3 失敗
ロングカッター→2, 2, 5, 5
ロングカッターのみ回避
2, 3, 5, 5, 5
ロングカッター:ジツ維持
スウォーム判定 6 成功 トレーラーミミック【体力】7 → 6
ロングカッター:通常攻撃
1, 2, 2, 5, 5 成功 トレーラーミミック【体力】6 → 5
『4ターン目』
オーキッド:精密攻撃
1, 1, 3, 4, 5, 5 成功 トレーラーミミック【体力】5 → 3 【精神力】2 → 1
ハーミットクルーク:バイオ散弾
2, 2, 5, 6, 6, 6 成功 トレーラーミミック【体力】3 → 1
トレーラーミミック触手
オーキッド→1, 2, 4, 4 失敗
ハーミットクルーク→1, 4, 4, 6
ロングカッター→ 2, 3, 3, 3 失敗
ハーミットクルークのみ回避
1, 2, 4, 4, 6, 6
ロングカッター:ジツ維持
スウォーム判定 6 成功 トレーラーミミック【体力】1 →0 撃破!
トレーラーミミックの所有万札を山分け
ロングカッター【万札】10獲得


◇エンディングな◇

「成る程。行方不明事件の主犯はベンダーミミックと」

「うん」

 トコロザワ・ピラー。スカウト部門オフィス。報告を受けたディスグレイスは眉間にしわを寄せていたが……しごく真面目な顔でこちらを見つめてくるロングカッターと、その後ろで居心地悪げに佇むタコめいたバイオニンジャを一瞥し、溜息をついた。

「……まあ、証人がいるのならそうなのでしょう。近いうちに報酬が振り込まれるので確認するように」

「は、ハイ!」

 ロングカッターは背筋を伸ばして返事! その様に微笑したミコー装束の女は、迷彩ミリタリーコートの少女を見下ろした。

「それで、どうでした? ロングカッター=サンの働きぶりは。資料とやらを渡す価値はありますか?」

「……問題ない。あのジツには助けられた」

「そう。ならお好きなように。……で」

 オーキッドの言葉が嘘でないことをその瞳から読み取ったディスグレイスは一転、胡乱な眼差しをハーミットクルークへと向ける。タコめいたニンジャは背筋を伸ばした。

「まさかこの目でオーキッド=サンの悪癖を見ることになろうとは思いませんでした。ドーモ。ディスグレイスです」

「ドーモ。ハーミットクルークです。……ディスグレイス=サン? あなたが!?」

「わたくしを知っているのですか?」

「それはもう! お母さん……もとい、ソラン=センセイがお世話になっていると!」

 キラキラとした眼差しで詰め寄るハーミットクルーク。ディスグレイスはあからさまに辟易し、顔をしかめた。

「ソラン=サン、またぞろバイオニンジャを生み出したのですか……! この間、海に逃げられたと言ってしょげかえっていたというのに!」

「あ、シャドウイーター=サンのことですね? 彼女ならこの間帰ってきましたよ」

「いりませんよそんなニュースは! ああもう、また管理できない量のバイオニンジャを!」

「ディスグレイス=サンは立派な触手をお持ちと聞きました。ぜひ拝見したいです!」

 異様に親しい様子を見せるタコバイオニンジャと、なぜかソラン研究員とやらと知り合いだったらしい上司のやりとりをぽかんと眺めていたロングカッターは、困ったようにオーキッドを見やった。

「エット……どうすればいいです?」

「しばらく観察。ところでロングカッター=サン」

「ハイ?」

「住む場所はある? ソウカイヤ支給のカンオケ寮よりは、あのクラスターヤードで適当なトレーラーハウスを見繕ったほうがいい」

「あ、成る程」

「だから、これが終わったら一緒に行こう」

 あっさりと言われ、ロングカッターは面食らう。しかし、すぐに笑顔を取り戻した。

「ハイ、ヨロコンデ!」

リザルト:
【万札】20 【余暇】 3 【名声】 1 獲得
【万札】32 → 22 ローン返済
アジト『トレーラーハウス』獲得

【ナイス・クッキング? アット・トレーラーハウス】終わり


◇あとがき◇

 というわけで、トレーラーミミックの詳細データを作成し、最近よく取り入れているイクサスタイルで戦ってみた。まさかオーキッドがウカツをするとは……

 そして前回のお知らせで発表したトレーラーハウスも実装だ。オーキッドが元イタマエを手放すはずもなく、二人暮らしと相成った。……正確にはもうちょっといたりする。が、それはまた別のソロリプレイで語られるだろう。

 というわけでここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!

  

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