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『写真でマスターする リライニング適材適所―新義歯から痛い・外れる・割れた義歯まで』より―「はじめに」

『写真でマスターする リライニング適材適所―新義歯から痛い・外れる・割れた義歯まで』を4月4日に発刊します! 発刊に先がけて「はじめに」をウェブ版として公開します.ぜひ,ご一読ください.(編集部)

本書を書くきっかけになったのは,私の下顎パーシャルデンチャーの内面に食べ物が入るようになったことです.その解決法としてリライニングを行ったところ,その効果に自分でも驚き,以前にも増してリライニングの重要性を伝えたいと思ったのです.

当時の私の欠損は下顎右側1234567,下顎左側123 67であり,下顎左側45に維持を求めたパーシャルデンチャーが入っていました.この状態になったのは2018年3月14日ですが,もっと欠損数が少なかったときはそれほど不具合は感じなかったし,現在の欠損状態になってからも新義歯を作ってしばらくはそれほどの不調は感じませんでした.

しかし,1年半ほどすると義歯内面に食べ物が入るようになってきました.昔から「義歯だとゴマやイチゴのツブが苦手になる」という話は聞いていましたが,自分が義歯を入れるまでは実感が湧かなかったのです.
ところが段々とその感じが強くなり,ある時点からは義歯安定剤を使用しないと食事ができないようになってきてしまいました.

義歯安定剤を使えば食べられるのですが,不便なところもあって「できれば使いたくない」というのが本音です.そこで「リライニングをしてみよう」と思っていたのですが,仕事の忙しさに紛れてついつい安定剤頼りになっていました.

ところが2020年後半にトクヤマデンタルから光重合タイプの新しい裏装材が発売され,これを自分の義歯に使ってみたところ,何とこれが救世主のように具合がよいのです.これをきっかけに下顎の遊離端部の不調和に使いはじめ,さらに私が以前に作製して適合が悪くなった義歯の内面や,破折を起こした義歯の修理時の補強にと多用するようになり,さらには新義歯装着時にも使用するところまで拡大していきました.

リライニングはとても効果的なやり方なのですが,咬合や義歯辺縁形態が不備なままリライニングしてもダメです.また,チェアサイドでの研磨の問題も残っています.
ただ,とにかく効果的なことは間違いありません.
本書では,このリライニングについて“どのような場面で,どのように適用していくのか”を述べてみたいと思います.

本書が義歯臨床に悩む先生方,ひいては義歯の痛みや不適合に苦しむ患者さん方の救いのひとつになれば幸いです.

2022年3月
村岡秀明

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『写真でマスターする リライニング適材適所―新義歯から痛い・外れる・割れた義歯まで』

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