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【書評】日本歯科評論増刊 『歯周外科のベーシック&アドバンス―フラップ手術の基本とマイクロサージェリーをマスターする!―』

月刊『日本歯科評論』では,当社発刊本の書評を随時掲載しております.2023年1月号に掲載する「HYORON Book Review」を発刊に先がけて全文公開いたします.(編集部)

関根 聡/埼玉県北本市・関根歯科医院

土岡弘明先生,吉野宏幸先生をはじめ,本書の執筆者として名前を連ねている先生方とは,学会やスタディーグループでご一緒させていただく機会が多く,日頃から先生方の歯科治療に対する情熱や行動力に大変感銘を受けている.

本書では,歯周治療分野のトップランナーである先生方が日常臨床で行っていることを惜しみなく解説されており,基本の確認はもちろんのこと,歯周外科の経験が豊富な先生方にとっても多くのことが学べる内容となっている.

歯周治療に必須の歯周外科

歯周治療においては歯肉縁上のプラークコントロールの徹底が何より重要であるが,歯根面に付着した感染性沈着物を除去し歯周炎の進行を停止させるために,歯周外科治療は欠かすことのできないオプションである.
歯周外科治療の目的は感染のコントロールにとどまらず,歯周環境の改善のために行うこともあり,清掃性や審美性の向上のためにも大変有用な治療法である.評者自身も日々の臨床の中で歯周外科を用いて問題解決を図るケースは少なくない.

ビギナーにも経験者にもお奨め


本書は,前半のベーシック編と後半のアドバンス編に大きく分かれている.ベーシック編では切開と縫合の基本から始まり,フラップ手術の基本手技,ウィドマン改良フラップ手術と歯肉弁根尖側移動術,歯周組織再生療法の各術式について豊富なイラストや臨床ケースが提示されており,歯周外科をこれから始めようという先生から,術式や適応症をもう一度整理し,さらにブラッシュアップしたい先生まで,多くの先生方にとって有用な情報が盛り込まれている.

Ⅰ章では,歯周外科の位置づけとその必要性について文献的な情報も踏まえ確認することができる.Ⅱ章では,切開・縫合から実際に使用する器具や材料の確認,症例提示や長期経過の供覧など,歯周外科を実践するために必要なすべての情報が含まれている.Ⅲ章のアドバンス編では,歯周外科の質をさらに向上させたい先生方のために,マイクロサージェリーの有用性や活用法についてまとめられている.

評者の知る限り,術者,アシスタントのポジショニングから実際の視野まで,ここまで詳細に歯周外科におけるマイクロサージェリーの実践について解説されている書籍は他に目にしたことがない.昨今,拡大視野での施術の有効性は多くの報告があり,これからマスターしていきたいと考えている先生方にはぜひ目を通していただきたい.

歯周外科を手がける全ての先生に

冒頭でも述べたが,執筆者である先生方とは歯科医師になって間もない頃から共に学ばせていただき,いろいろな場面でご指導,アドバイスをいただいてきた.本書を読むと常日頃,学会や研修会で後進の指導,教育に尽力されている先生方の姿がよみがえる.

本書は,読者の先生方にもその熱が伝わる一冊となっており,歯周外科を手がける多くの先生方に手に取っていただきたい.


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