世界の国々シリーズ(8) ルクセンブルク
世界の国々を知っていくマガジン
ニュースに触れても世界の国々のことやその歴史を知らないでいるとほとんど理解できません。なのでまずは世界の国々のことを少しずつ調べていき、このマガジンにおさめていきます。世界には196カ国もあるみたいです。
ルクセンブルク
ルクセンブルク大公国(Luxembourg)、通称ルクセンブルクは、西ヨーロッパに位置する立憲君主制国家です。議院内閣制の大公国。首都はルクセンブルク市。
南はフランス、西と北はベルギー、東はドイツに隣接しています。また、ベルギー、オランダの2か国とあわせてベネルクス(Benelux)とも呼ばれます。
大公国
大公国(たいこうこく)は、君主制国家の一形態であり、大公(英語ではgrand duke, grand princeまたはarchdukeの3種類がある)によって治められている国を指します。君主がgrand dukeであれば英語ではgrand duchyと表記されます。現存する大公国はルクセンブルク大公国のみ。
どこ?
正式名称
国旗
ルクセンブルクの国旗(Flag of Luxembourg)は、赤・白・水色の三色旗。1845年から1848年の間に初めて使用され、公式には1972年6月23日に制定さました。
1830年のベルギー独立革命の際、初めてこれらの三色が使用され、1845年6月12日に水平三色旗のデザインが定着しました。ただし法律で国旗が規定されるのは前述の通り1972年になってから。同じくベネルクスに属するオランダの国旗と似たデザインですが、オランダは濃い青を使用するのに比べ、ルクセンブルクは明るい水色と法律で規定されました。また、オランダの国旗と比べ縦横の比率も異なっています。
国章
ルクセンブルクの国章は、1972年8月16日に制定されました。ルクセンブルク大公家であるナッサウ=ヴァイルブルク家(ヴァルラム系ナッサウ家)の紋章です。
ルクセンブルク政府は、中紋章を使用する他、大公には個別の紋章が存在します。
構成要素
銀(白)と青の十本の横帯が並んだ地に、金の王冠と爪と舌を持つ赤い二尾の獅子が置かれています。
赤い二尾獅子は通称リンブルグライオンとも呼ばれ、1197年にルクセンブルク女伯エルメシンドがリンブルク公子ヴァルラム(後のヴァルラム3世)と結婚した際に、リンブルクの「銀地に王冠をかぶった赤い二尾獅子」の紋章を採用したことに由来します。
二人の息子ハインリヒ5世はリンブルク公は継承しなかったため、銀地に青い帯を付け加えて独自の紋章にしています。
クラウン:盾の上とローブ・オブ・エステートに付随するものはともにルクセンブルク大公の冠。
サポーター:体の色と舌の色が盾の中のライオンと逆転した二頭の二尾獅子。盾の獅子がランパント(左を向いて立ちあがる)なのに対して、盾持ちの獅子は盾を抱え振り返る姿勢です。
盾を囲む勲章はオーククラウン勲章(Order of the Oak Crown)という騎士団勲章です。外国人にも与えられることがあります。
建国
フランス帝国より 1815年6月9日
ベルギーに編入 1830年10月16日
オランダより独立 1839年4月19日
オランダと同君連合 1867年5月11日
オランダとの同君連合解消 1890年11月23日
通貨
ユーロ
政体
国家元首はナッサウ=ヴァイルブルク家が世襲するルクセンブルク大公。2022年現在、世界で唯一の大公国。
議会は代議院による一院制。全60議席、任期5年。議員は、直接選挙で選出される。また、議会に対して助言をする国務院(コンセイユ・デタ)がある。メンバーは全21名で、首相の推薦に基づき、大公が任命します。
新自由主義的な経済政策を志向していますが、伝統的に労使関係が良好でストライキは少ない。また企業への税負担が極めて低く抑えられていることから、外国資本による大規模な投資を呼び込むことに成功してきした。
新自由主義
新自由主義とは、政治や経済の分野で「新しい自由主義」を意味する思想や概念。なお日本では以下の複数の用語の日本語訳として使われています。
ネオリベラリズム(neoliberalism):1930年以降、社会的市場経済に対して個人の自由や市場原理を再評価し、政府による個人や市場への介入を最低限とすべきと提唱する経済学上の思想。1970年以降の日本では主にこの意味で使用される場合が多い。
ニューリベラリズム(social liberalism):初期の個人主義的で自由放任主義的な古典的自由主義に対して、より社会的公正を重視し、自由な個人や市場の実現のためには政府による介入も必要と考え、社会保障などを提唱するもの。
ルクセンブルク大公
公用語
ルクセンブルク語は、ルクセンブルクの国語、公用語のひとつ。
ルクセンブルク語は、もともと西ゲルマン語群に分類されるドイツ語(高地ドイツ語)のうち、中部ドイツ語に属するモーゼル・フランケン方言の一方言でアルす。
ルクセンブルクではドイツ語系の言語が話される一方でフランス語の使用地域にも近く、法令などの公文書には主にフランス語が使われ、日常語としてはドイツ語が一般に使われています。このルクセンブルクで使用される「ドイツ語方言」を、「国語」として整備したのが「ルクセンブルク語」です。1984年にルクセンブルクの公用語として採用されました。
しかしルクセンブルク語はドイツ語の単なる一方言ではなく、語彙などが異なっています。フランス語由来の外来語を多く含むのがその理由の一つ。通常のドイツ語を会話する者がルクセンブルク語を理解することは比較的簡単ですが、フランス語の影響のため、それを適切に話すのは難しい。
ベルギーのリュクサンブール州アルロン行政区とリエージュ州ブルク=ロイラントおよびザンクト・フィート周辺地域、フランスロレーヌ地域圏モゼル県北西部、ドイツラインラント=プファルツ州西部のビットブルク、トリーア周辺地域で使用されるほか、米国やルーマニアのトランシルバニア地方においても、これらの地域からの移民によって使用されます。話者は全世界で30万人。
首都
ルクセンブルク市は、ルクセンブルク大公国の首都。人口は90,000人(2009年)。周囲のコミューンを含めた都市圏人口は、103,973人。同じ名称の国名と区別するため、各国の言語で「市」に相当する単語を付けて呼ばれることが多い。
アルデンヌの高地にあり、標高はおよそ500m。ペトリュス川がモーゼル川の支流のアルゼット川に合流する所に位置しています。ブリュッセルから188km、ケルンからは190km。
世界屈指の金融市場を有する富裕な都市の1つですが、市内には高層ビルも富裕層が買い物をする高級ショップ街もありません。
旧市街にはノートルダム大聖堂および市庁舎がある。副都心のキルヒベルクには欧州司法裁判所、欧州投資銀行等の欧州連合の機関、ルクセンブルク大学、ラジオ・ルクセンブルクなどが存在する。
国土面積
2,586km2/世界168位
※日本は世界61位で377,975.21km2
人口
626,000人/世界86位(2020年)
※日本は、126,860,300人/世界11位(2020年)
宗教
Christianity(73.2% )
Catholicism(63.8%)
Other Christian(9.4%)
No religion (23.4%)
Others (3.2%)
通貨
ユーロ
GDP(MER)
870億ドル(出典:IMF)(※2)
一人当たりGDP(MER)
13.2万ドル(2023年)(出典:IMF) (※2)
経済成長率
1.26%(2024年、IMF)
ジニ係数
0.28(*10)
インフレ率
2.54%(2024年、IMF)
失業率
4.8%(2020年、IMF)
合計特殊出生率(2021年)
1.38
※日本は1.30
合計特殊出生率(英:total fertility rate、TFR)とは、人口統計上の指標で、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に産むとしたときの子供の人数に相当します。この指標によって、異なる時代、異なる集団間の出生による人口の自然増減を比較・評価することができます。
ジェンダーギャップ指数
Score:0.725(世界51位)
※日本は0.652で121位
順位は高いほど男女差が少ない。1位はアイスランド。
ジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)とは、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が公表する、各国における男女格差を測る指数(※5)
民主主義指数
Score: 8.81 =(世界11位)(2023年)
※日本は8.66で世界16位
民主主義指数とは雑誌『エコノミスト』が算出する民主主義の度数を示すもの。毎年更新。
Full democracies score 8.01–10
Flawed democracies 6.01–8
Hybrid regimes 4.01–6
Authoritarian regimes 0–4
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E6%8C%87%E6%95%B0
幸福度ランキング
スコア:7.238(世界10位)(2022年)
※日本は、5.871で世界62位(2022年)
自殺率
10万人につき自殺する数:8.62人(2020年)(88位)
※日本は、15.3人
軍事力
予算 3.8億ユーロ(2023年)
兵役 志願制
兵力 総兵力1,128人(陸軍1,128人、海軍0人、空軍0人)
(出典:2023年、ルクセンブルク防衛局)
(*2)
略史
963年 ルクセンブルク領の誕生
1354年 ルクセンブルク公国に昇格。その後、他国による統治
1815年 大公国として自治を回復
1839年 領土が現在のルクセンブルク大公国とベルギー領リュクサンブール州に二分される(ロンドン条約)
1867年 永世中立国
1940年 ドイツによる侵攻(1944年解放)
1948年 中立政策を放棄、オランダ、ベルギーとともにベネルクス関税同盟を発足させる。
1949年 NATO(北大西洋条約機構)加盟
1952年 ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)加盟
1958年 EEC(欧州経済共同体、後の欧州連合)・EURATOM(欧州原子力共同体)加盟
1999年 ユーロ導入
世界一の富裕国・ルクセンブルクには、なぜ高級車も高層マンションもないのか
この記事から気になった点を抜粋。
「何があるか」、そしてそれ以上に「本来あるはずなのにないものは何か」を観察した結果……。
単純労働者が作業しているのを見ないし、ホームレスも寝ていない。そうやって「不在」のものを洗い出していくと、「格差を最小化する」ことで金融業と社会秩序を成り立たせてきたこの国特有の知恵が見えてきます。
ルクセンブルクの稼ぎ手は「放牧された金融業」
小さな独立国なので、EUの規制の範囲内とはいえ、ロンドンやフランクフルトがなれないオフショア市場になっている。つまり規制を緩めて怪しい資金も含め大量のお金を呼び込んでいる。いわばドル圏のケイマン諸島みたいなポジション取りをユーロでやっている。スイスにもちょっと似ていますが、スイスは独自通貨なので、ユーロ圏のルクセンブルクの方がEUから資金を集めやすいという強みもあります。
高層マンションも高級車も高級レストランもない……。
格差の大小を示すジニ係数が小さい。移民層もそれなりの水準の所得を得ている。移民が非常に多いのに貧困が表に見えない地域として代表的なのが、シンガポールとカナダとルクセンブルクでしょう。端的にいうと、シンガポールは他宗教排斥や人種差別の言論を封じることで、カナダは福祉国家として移民にも平等に教育機会を与えることで、そしてルクセンブルクは富裕層が富を見せつけない配慮によって、不満が生じにくくしています。それは最良のテロ対策にもなっていることは言うまでもありません。
ルクセンブルク人は、歴史の経緯の中でフランス化したドイツ人です。日常語はドイツの方言、食べ物もドイツ料理ですが、たとえば法律用語はフランス語。フランスにもドイツにもなりきれないという国民意識は、第一次大戦を経て強まり、先の大戦でナチスに蹂躙されてからさらに高まった。でもフランスとドイツが喧嘩をするたびに、どちらかに侵略されてきた歴史があり、単独で安全保障は無理。ではどうしたかというと、ベルギーやオランダと手を結んで、EU形成の中核になるんですね。EUの中にフランスとドイツを収め仲良くさせることで、自国の独立を守り抜いたのです。
学ぶべき点
(ルクセンブルクに)学ぶべき点がいくつもあります。
第一に、製造業中心の堅実な国柄だったのに金融でも稼ぐ国へと変化したこと。得意分野を一つに決めつけないという姿勢。
第二に、非常に強い独立意識がありながら、自国中心主義をやめたこと。
周りの国が平和なほど国の経済が潤う構造は日本も同じです。わ
数字は正直で、アジアが安定するほど日本の国際収支は改善します。2017年の日本の経常収支黒字は20兆円を超え、バブル期の倍以上。一番のお得意様はアメリカで、日本が13兆円の黒字でしたが、2番目の中国(香港含む)からも、5兆3000億円も儲けている。3位は韓国で2兆7000億円の黒字。
周りが繁栄したほうが自分も儲かるというのが、日本とルクセンブルクの共通点です。自力では安全保障のできないルクセンブルクが独自の立場を保ちつつ周辺国の関係を平和へと仕向け、その中で世界1の豊かさを享受していることに、日本はもっと学ぶべきでしょう。
ちなみにシンガポールはまさにルクセンブルクの真似をしていて、ASEANをつくり、その中心に入って、マレーシアとインドネシアを仲良くさせることで安全と経済的繁栄をつくり出しています。もっというと、インドネシアとマレーシアの富裕層にどんどん自国内に不動産投資をさせて家を買わせることによって、シンガポールが攻撃対象にならない構造をつくっている。ルクセンブルクもヨーロッパ中の人が投資しているから、当然攻撃なんてされません。小国ほど国際関係における地政学的な勘が強く、国内格差にも十分に配慮して産業振興を進めている。
ルクセンブルクになくて日本にはあるもの
ルクセンブルクにはなくて日本にあるものはコンテンツ発信力。
記事の藻谷浩介氏の著書のひとつ。
参照
※1:Wikipedia
※2:外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/luxembourg/data.html
※3:Wikipedia (English)
※4:人間開発指数
※5:ジェンダーギャップ指数
https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2020.pdf
*6
*7
*8
*9
*10
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?