世界市場ポートフォリオMSCIとFTSEの違い
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世界市場ポートフォリオ
世界全体の市場をまるっと擬似的に捉えるのが、世界市場ポートフォリオです。インデックスファンドとETFが商品としてあります。それらの商品がベンチマークしている2つの指標を比較してみます。ひとつがMSCIでもうひとつFTSE。
MSCI
MSCI(Morgan Stanley Capital International, Inc.):モルガン・スタンレーとキャピタル・グループが株主として1968年に設立。現在は、モルガン・スタンレーは所有している株式を売却し、MSCI, Inc.として独立しています。アメリカのニューヨークに本拠を置いているニューヨーク証券取引所上場企業です。MSCIは、株式、債券、不動産インデックス、マルチアセット・ポートフォリオ分析ツール、ESG(環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉)および気候関連商品を提供する世界的な企業。MSCIワールド、MSCIオールカントリーワールドインデックス(ACWI)、MSCIエマージングマーケットインデックスを運営しています。本社は米国ニューヨーク市マンハッタンの7ワールド・トレード・センター。
MSCI Worldは、先進国23カ国(後述)の約1500の大型・中型企業のパフォーマンスを追跡するグローバル株式市場指数です。
この指数には、MSCIが定義する世界のすべての先進国市場の株式が含まれていますが、新興経済国やフロンティア経済国の銘柄を除外しているため、その名前が示すほど世界的なものではありません。関連指数のMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)は、先進国と新興国の両方を組み入れています。MSCIはまた、別の31市場を含むフロンティア・マーケット・インデックスも作成しています。
MSCIワールド・インデックスは1969年から算出されており、配当なし(プライス・インデックス)、ネットまたはグロス配当再投資あり(ネットおよびグロス・インデックス)、米ドル建て、ユーロ建て、現地通貨建てなど、さまざまな形態があります。
MSCI Worldには、以下の国・地域の企業が含まれています
オーストラリア
オーストリア
ベルギー
カナダ
デンマーク
フィンランド
フランス
ドイツ
香港
アイルランド
イスラエル
イタリア
日本
オランダ
ニュージーランド
ノルウェー
ポルトガル
シンガポール
スペイン
スウェーデン
スイス
イギリス
アメリカ
FTSE
FTSE Russellとして取引される FTSE International Limited は、ロンドン証券取引所(LSE)が100%所有し、カナリー・ワーフに所在する株式市場指数および関連データ・サービスを提供する英国企業です。
よく知られた英国のFTSE100指数だけでなく、その他数多くの指数を運営しています。
FTSEはFinancial Times Stock Exchangeの略。
The FTSE Global All Cap Index
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは、時価総額加重型のインデックスで、世界の大型株、中型株、小型株のパフォーマンスを表しています。このインデックスは先進国市場と新興国市場をカバーしており、ファンド、デリバティブ、上場投資信託などの投資商品のベースとして適しています。
その違い
対象の企業
MSCIは投資対象の企業としては、大型企業と中型企業を対象としていますが、FTSEは大型・中型・小型企業が対象となっています。そのため、時価総額のカバー率がFTSEの方が高くなっています。MSCIが世界の時価総額のうちの約85%をカバーしているのに対して、FTSEは世界の時価総額のうちの約98%をカバーしています。
共通点としては、両方のインデックスが時価総額を加重平均したものを計算に利用しています。
2つのインデックス・プロバイダー間の最大の相違点は、特定の国を先進国市場としてカウントするか、新興国市場としてカウントするかです。例えば、韓国はMSCIでは新興国に分類されているが、FTSEでは先進国に昇格しています。したがって、韓国はFTSEの先進国市場指数には含まれていますが、新興国市場指数には含まれていません。一方、ポーランドは2018年にFTSEによって先進国に格上げされましたが、MSCIはまだポーランドは今のところ(2023年)新興市場のままにしています。
もう一つの違いは、中国株の扱い方に見られます: 2018年6月以降、MSCIはH株とB株に加えてA株も新興市場指数に組み入れました。組み入れ比率は時価総額の20%で、外国人投資家が購入できる銘柄に限定されています。
FTSEも2019年6月に中国のA株を時価総額の一部で新興市場に組み入れ、その後、時価総額の25%までシェアを引き上げています。これにより、中国は両新興市場バロメーターにおいて圧倒的に代表的な国となりました。
中国のA株、B株、H株
A株とは、中国国内で上場され、中国A株市場で取引されている株式のことを指しています。正式名称は人民元普通株券。A株の取引は人民元建てで、中国の国内投資家専用の市場となっています。
もう一つのB株とは、上海証券取引所や深セン証券取引所に上場している外貨建ての株式。B株は外貨で取引されますが、株式市場では人民元建てで表記されています。
上海証券取引所では米ドルで取引され、深セン証券取引所では香港ドルで取引されていることも特徴の一つ。B株の位置付けは、A株と比べると規模はかなり小さく、A株市場に上場している会社が資金調達を多様化させるために外貨建てのB株も発行しているというもの。
もともと中国本土の投資家はB株を購入することはできませんでしたが、2001年2月から中国本土の投資家にもB株市場は開放されています。
H株は、中国本土で登記を行い、中国証券監督委員会の承認を得て、香港取引所に上場している本土企業の株です。
企業の登記場所も主要活動拠点も資本も中国本土に置いている企業が、香港市場に上場すると「H株」と呼ばれます。一方、中国国外で登記している中国企業の銘柄は「レッドチップ」と呼ばれています。
H株の売買通貨は香港ドル。香港市場の市況全体を反映する指数であるハンセン指数の構成銘柄にも、H株から選ばれているものがあります。
参照:https://zuuonline.com/archives/79041
加重平均
加重平均法は、学校の授業のほか、統計分析や会計事務所などで使用されるツールです。加重平均は、通常の単純平均を求めるよりも、一連のデータ(データセット)に対する正確な調査を行うのに役立ちます。この方法を使用して得られる数値の正確さは、データセットの特定の変数に与える重みによって決まります。
加重平均とは、特定の数値に対して、他の数値よりも重要度が高いことを加味したデータセットの平均値を指します。加重平均は、統計分析や株式ポートフォリオ、また教師が生徒の成績を評価するための平均値などに一般的に使われます。さらに株価の変動や、データの不均一性および虚偽性を考慮し、類似したデータポイントが示される割合が等しいことを確認する上でも重要なツールです。
加重平均の例
加重平均は、会計士が品目の価格を計算するための手段のひとつです。数量が混在していたり、数量が多すぎて数えられないような業種では、加重平均法が便利です。この数値は、売上原価の計算に使用されます。原価を計算する他の方法には、後入れ先出し(LIFO)や先入れ先出し(FIFO)などがあります。
インデックスファンド
インデックスファンドとは市場全体の動きを表す代表的な指数に連動した成果を目指す投資信託(ファンド:投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品)です。インデックスとは指標、ファンドとは投資信託のことで、パッシブファンド(passive fund: active fundじゃないってこと)とも呼ばれます。
ETF
Echange Traded Funds(上場投資信託)
ETFとは、証券取引所などに上場している投資信託です。特定の指数の動きに連動する運用成果をめざし、運用されるインデックス型と、そのような連動対象指数を定めないアクティブ型のETFがあります。
ETFは特定の指数に連動するインデックス型から始まりました。市場急落時に、売買シェアが上昇し、純資金流入となった銘柄として注目されたのが、ETFでした。市場の上がり下がりでパフォーマンスが容易に把握でき、運用の透明性が高いことが注目されました。
ETFは、“Exchange Traded Funds”の略で、「上場投資信託」と呼ばれています。連動する指数は株式だけでなく、債券、REIT(リート)、通貨、コモディティ(商品)の指数もあります。さらに連動対象指数(平均株価などの指標を対象としない)を定めないアクティブ型のETFも導入されて、ETFの商品ラインナップは拡大しています。
似ている商品として投資信託がありますが、ETFは、その投資信託が金融商品取引所に上場しているようなイメージの金融商品です。投資信託は、1日1回算出される基準価額で、1日1回しか取引できませんが、ETFは、投資家の判断で、金融商品取引所の取引時間内に、株式と同様に相場の動きを見ながら売り買いができるとイメージすると違いがわかりやすいと思います。
(参照:nikko am)
参照
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