自分史的なクリッピング史料

最近覚えた言葉(単語?)がある。PFOS、PFASだ。世が世だけに、環境問題というのは自ずと目がいく。石牟礼道子の『苦海浄土』も以前読んだけど所謂工業化と共に、世界においても、環境問題が今になって大きくクローズアップされてくる。

2024年6月17日 朝日  大阪でPFAS最高値  正確な情報集め  不安拭う説明を
2024年6月22日 朝日 ひもとく 沖縄基地と環境

前者は記者解説で後者は書籍の紹介のシリーズコラムのひとつ「ひもとく」の中で、PFASが紹介されている。一体これは何か?というのは前者の記者の記事を読むと分かる。まず、PFASとは化学物質で有機フッ素化合物の総称で代表的なものがPFOSとPFASだそう。自然界でほぼ分解されず健康への影響が懸念されるとあるので、知識の片隅には入れておきたいと思う言葉。全国の河川や地下水などから検出されていて、最も高い値を示したのが、大阪府摂津市の地点だと。

これは環境省が2022年度調査結果を3月に公表し、全国1258地点のうち16都道府県の111地点で、国が定めた「暫定目標値」を超えたとある。この暫定値は、PFOSとPFASの合計が1㍑あたり50㌨グラム(㌨は10億分の1)。摂津市の地下水は2万1千㌨グラム、河川は2200㌨グラムだった。大阪府は汚染の大部分に関係しているとみているのが調査地点の近くにあるダイキン工業の淀川製作所。ダイキン工業はフッ素樹脂やゴム製品の製造のために1960年代からPFOAを取り扱っていた。ダイキン側でもPFASの規制の流れを受けて淀川製作所では2012年にはPFOAの製造、使用を中止したとしている。

ダイキン側も原因の一つであるとは考えているらしく、工場内にとどまるPFAOを河川や地下水に流出しないように対策を強化している様子。ただし、ダイキンが使用していなかった、PFOSも高い値で検出されていることから、「ダイキン以外の工場が原因である可能性は否定できない」とも主張している様子。摂津市によれば、周辺地下水は飲用の水としては使用されてはいないので、市の水道水は暫定目標値を下回っているとのこと。

PFASは、コレステロール値の上昇やがんとの関連などが指摘されている。但しどの程度の量が身体に入ると影響が出るのかについては明確でないとのこと。2020年に定めた暫定目標値は、体重50㌔の人が1日2㍑、一生飲み続けても悪影響がない水準だという。何だかこの基準値も信用していいのか悪いのか、少々市民レベルでは理解が "スっと" 入ってくる訳ではないような気もする。環境省では、摂津市を含め、この目標値を超えたところでの健康被害はないという立場だそう。でも京大の先生が調べたところ、摂津市の市民はほかの地域の住民よりも統計上有意にPFAS濃度が高かったという。健康への影響を直ちに示すものではないけど確かに行政による詳細疫学調査が必要なのかも知れない。

PFASは世界的に規制が強まっていて、米国では今年の4月に飲み水に法的拘束力のある基準を設定しているし、日本でも目標値の引き上げが検討されているらしいけど、相変わらず時間がかかりそうだとの記者コメント。やはり地域ごとの行政側から、正確な情報開示が必要だと結ばれているけど、ほんとその通りだと思う。

次に後者の記事。専修大学の先生は沖縄の基地と環境という括りで4冊の本を紹介している。その内の2冊、『米軍基地と環境汚染 ベトナム戦争、そして沖縄の基地汚染と環境管理』、『永遠の化学物質 水のPFAS汚染』でPFAS問題を取り上げている。要は米軍基地内では各種の化学物質が使用・運搬されていて、在日米軍基地の環境管理については取り決めがないために、運用レベルでの対応となっていたと記されていて、事実、基地周辺では、ダイオキシン、PCB含有汚泥、タール、重金属、燃料、赤土、放射性物質などの流出や汚染が観測され問題となってきたので、2015年に漸く環境補足協定が締結されたものの、日本側の態度は受け身で仮に返還時にあっても米軍側には原状回復義務はないという不平等も相変わらず存在していると。

そして米軍基地内のPFASがいよいよ問題視されてきれいて規制の対象になりつつあると。2016年には嘉手納基地に近い北谷浄水場の水源から高濃度のPFOS(有害物質)が発見され、日本全国の基地周辺や工場にも広域汚染があるとも指摘している。

沖縄の問題はこうした環境問題のみならず、高度に政治的な問題や、経済的な問題など、米軍にまつわる問題はあげたらきりがない。でも環境は取返しのつかないことになりかねないことは間違いない。住民にとっても死活問題だと言っても言い過ぎではない。こうしたトピックスにも少なからず反応ができるようでないとダメだなぁと自省しながら。

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