業務用SaaSプロダクトのプライシングを考える際に整理すべき3つの軸

こんにちは、株式会社オプティマインドCPOの斉東です。
本記事はOPTIMIND x Acompany Advent Calendar 2021の5日目の記事となります。

有難いことに5日が埋まっておりませんでしたので、担当させていただきました。ついでですが、Twitterにてスタートアップ経営、物流、プロダクト開発について呟いてますのでよかったらフォローして下さい。

前置きが長くなりまいたが、今回の記事では、SaaSプロダクトを展開しようとした時に避けては通れないプライシングの考え方について、オプティマインドにおける試行錯誤を通して整理した内容について書きたいと思います。

はじめに

本記事は、ジョブ理論の考え方に大きく影響を受けていますので読んでいない方は良かったら読んでみて下さい。

この本においては、人々が商品やサービスを『雇用』するのは、そこに『片付けるべきジョブ』があり、ジョブを片付けることで『進歩』するためである、と語られている。この記事ではSaaSプロダクトは誰かのなんらかしかのジョブを片付けるために契約されていることを前提とし、そのジョブについて3つの観点で整理したと考えています。

1. ジョブを担っているのは誰(職種、役職)なのか?

2. ジョブの難易度は?

3. ジョブの発生頻度は?

オプティマインドのサービスについて

オプティマインド はLoogiaという、配車というジョブをサポートするSaaSを提供しています。基本的にこの配車業務は配車担当者が担っており、1人の配車担当者が多いと数十台の車両をマネジメントしています。

Loogiaのプライシングを考えるときに非常に苦労したのが、配車というジョブの発生頻度が業種や企業によって大きく異なる、配車というジョブの難易度はマネジメントする車両台数、そして各物流現場の配送オペレーションの複雑度によって大きく異なっているという点です。

さらに、物流のDXやサプライチェーン全体での脱炭素が叫ばれる中で、配車効率化は車両台数の削減に直接的に作用することができるため、物流改革における重要な業務として積極的に投資が行われています。この文脈においても高精度な配車システムは戦略策定やシミュレーションツールとして大きなバリューを生むことができるため、実際に多くのお客様から相談を受けております。ここまで来ると、同じプロダクトで同じ問題を解いていたとしても今までのような配車担当者のジョブではなく、物流事業の責任者が担うべき難易度が非常に高く発生頻度は非常に少ないジョブと呼ぶべきです。

SaaSプロダクトで解決すべきジョブ

物流事業の責任者が担うべき難易度が非常に高く発生頻度は非常に少ないジョブをSaaSプロダクト単体で解決することは割と無謀ではないかと思ってます。

なぜなら、彼らのジョブは企業において非常にインパクトが大きく、1つのジョブに対してコンサルティングファームがプロジェクトとして受注するか、専門ベンダーがPoCとして受注するようなものである。これに対して既製品のプロダクト単体で解決に挑むのは苦しい部分が大きのではと思っています。

また、物流事業責任者はそもそも日本に何人存在しているのか?という点にも着目すると、ZoomやSlackを使う人数と比較するまでもなく非常に限られた人数しかいないということが容易にわかるかと思います。

オプティマインドが、配車担当者が担っている日々の配車業務と物流事業の責任者が担う改革業務は、同じプロダクトを使っていたとしても全く別の料金体系を提案すべきだということに至るのに一定の時間要しました。なのでこの記事を読んでくれたSaaSプロダクトを立ち上げようとしている責任者の方は、自身のプロダクトが解決しているのは誰のジョブなのかをぜひ改めて考えてみて欲しいなと思います。

つまり、限られた人の持つ難易度が高く発生頻度の少ないジョブをSaaSプロダクトで解決しに行くのは難しいです。PoCが上手くいったとしてもその後が続かないという現象に遭遇することが起こります。

続いて、十分に難易度が低く発生頻度の多いジョブに対してどのようなプラシングを考えることができるか整理してみます。

単価設定

プライシングで一番見かけるのが、ユーザーアカウント単位での課金かと思います。Notionは1ドキュメント作るたびに課金するようなことはしないし、Slackも1メッセージ送るごとに課金するようなことはしないし、Zoomもビデオ会議の回数は気にしていないはずです。

ユーザーアカウント単位ではない課金体系を用意している代表的なサービスにクラウドサインが挙げられます。クラウドサインの場合はアカウント作成は無制限、送信した契約書単位での課金となっているので面白いですね。

オプティマインドどうなのかと言うと、ユーザーアカウント単位での課金が困難だと判断し、物流拠点単位課金としつつ、拠点で配送している車両台数に応じて複数のプランを用意する形をとっています。

基本的に物流拠点単位で配車担当者の方が働いていらっしゃるので、物流拠点単位とすることでほぼ配車担当者のユーザーアカウント単位と一致しつつも分業体制をとっている場合など柔軟に対応できるようになります。そして、車両台数に応じて料金を変動させているのはジョブ(配車)の難易度を正しくプライシングに反映するためです。現状はマネジメントしている車両台数のみですが今後は配車の難易度に大きく関係するようなファクターをプライシングに組み込むことがよりフェアなプライシングとなりうる場合は検討したいと思っています。

むりやり結論

1. ジョブを担っているのは誰(職種、役職)なのか?

2. ジョブの難易度は?

3. ジョブの発生頻度は?

を考えるのは大事

最後に

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