見出し画像

【Nightmare】悪夢みたいな女でもいいでしょう【その6】

Halsey - Nightmareをゆっくり味わう(6)

続き。(その5で、ホールジーの「Huricane」という曲について彼女自身が説明したインタビューがあったので、それを抜粋したものを追加しました)

今回はサビ後のコーラス⑴。大サビ前のブリッジ部分⑵も、同じような意味だったので、一緒に取り上げます。


歌詞と訳⑴

I'm no sweet dream, but I'm a hell of a night
That I'm no sweet dream, but I'm a hell of a night

私は夢みたいな女性なんかじゃない 地獄みたいな女性なの
私は理想の女なんかじゃない 最悪な女なの

nightは単純に「夜」だけの意味だと思っていましたが、ジーニアス英和辞典によると、「暗黒・死・冬・悪・女性などの象徴」にもなるそうです。

dreamにも、「眠っているときに見る夢」の意味以外にも、(夢のように)素晴らしい〔美しい〕もの〔人、事〕;欲しくてたまらない物〔事〕という意味もありました。

そう言われてみると、日本語の夢も、⑴眠りの夢 ⑵儚いものの例え ⑶願望 ⑷理想 など、いろんな意味がありますよね。割と英語と日本語で捉え方が似たような単語じゃないでしょうか。


歌詞と訳⑵

Someone like me can be a real nightmare, completely aware
But I'd rather be a real nightmare, than die unaware, yeah
Someone like me can be a real nightmare, completely aware
But I'm glad to be a real nightmare, so save me your prayers

私みたいな人は厄介者って言っても良い 分かってる
でも 本物の悪夢の方だって分かってる方が 知らないで死ぬよりいいでしょう
私みたいな人は厄介者って言っても良い 分かってる
でも 本物の悪夢でよかった さあ 私を救うわ

   レッドカーペットで無愛想に見える態度をとったが故に「悪夢みたいな女」とカメラマンに捉えられてしまったホールジーの話については、その5で紹介しましたが、それに対する答えにもなりそうな歌詞ですね。

(https://justfabzz.com/red-carpet-halsey-at-2018-billboard-music-awards-11837/)

適当に検索をかけて、2018年ビルボード・ミュージック・アワードの時のレッドカーペッドでの写真を取ってきてみましたが、確かに笑顔じゃない。これは歯を見せてる顔。


Geniusのコメント

「Nightmare」でホールジーは手に負えない自分の性格を抱きしめた。この曲は、他人のことを気にしてしまうが故に、彼女らしくいられないという葛藤について書かれた「Devil In Me」(2017,6)の曲から繋がっている。2017年5月のZach Sangのインタビューにおいて、彼女は以下のように語った。

『「私の中にいる悪魔(devil in me)」が目覚めたとき…人々は私の本来の性格を、私の悪い面の1つと捉えるでしょう。迷惑で、人の気に触る性格を。』

翌月、彼女はDazedとのインタビューで、「Devil In Me」について、さらに詳しく述べた

「過去を振り返って、自分自身の一面を再び見つける事、それは息が苦しくなる事でした。なぜなら、私の彼氏は私の性格ー迷惑で不快にさせる性格ーを嫌ったから。もしくは、公衆の前でクソみたいな人種差別主義者を正す事が、彼に恥ずかしい思いをさせるから。私には過去を振り返って、これらの断片を自分自身から引きずり出し、自分自身を恥じるのをやめる必要があった。」

さらに、手に負えない性格は、ホールジーの双極性障害ー個人の感情がしばしば不安定になる精神の病ーにも関係している。2015年5月のElleとのインタビューで、ホールジーは初めて彼女の診断について公にした。

Halsey - Devil In Me (Audio)


双極性障害だからこそ、自分自身の感情と向き合ってきた

自身の双極性障害について語った記事があったので、ご紹介。

バイレイシャル(いわゆるハーフ)・バイセクシャル(男性女性、両方に恋愛感情を抱く性的指向)・バイポーラー(双極性障害)だということを公にしたホールジーは、音楽によってそのバランスを保っているという。

双極性障害が故にのマイナス面として、ファンに感情移入しすぎてしまい、他人の視線を極端に気にしてしまうこと。もしくは、過度に言い過ぎてしまうことを挙げ、プラス面として、誰しもが経験したことのある痛みや感情を引き起こし、彼女の作る曲を理解しやすくしていることを挙げた。

人々に共感を呼び起こすことにより、「彼らの人生が間違っているわけじゃないし、いろいろな感情を持っていいんだということ」を感じて欲しいと語り、「感情」について述べた。

私自身バイポーラーだから、昔は大変だった。まるで感情を持つことを禁止されているような感じだった。パイポーラーのせいで、悲しんでいるだけで、『それは病気だから薬を飲め』って言われたりね。ただ悲しんでいるだけなのにって思っていた。"感情を持つとはどういうことなのか"、"バイポーラーという病を持つことはどういうことなのか"をずっと考えていたわ。だから音楽を書く時は、"感情を持っていいんだ"ということをみんなに伝えたい。悲しんだり、怒ったり、自信を持ったり、幸せを感じたり......、何でもいいのよ。私の曲には、私が感じて経験した全てが詰まっているの


今日はここまで。
この部分の感想は長くなりそうなのでまた日を改めて。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?