星と可燃物

「海開きしたら俺たちはどうなっちゃうの?」って2人乗りの高校生が笑ってた。ある晴れた夏の日のこと、世界で立った1つのUFOを爆破できるスイッチを君は押す。俺は遠くで鳴り響く轟音にかき消されないように声を張る。「錆びた釘握りしめてあいつらを殺しにいこうよ」「あいつらって誰さ?」「もうひとりの俺たち」走ってたら街の端がわからなくなった。「地球みたいにこの街も丸いんだろうか」って気づけば俺だけ迷子になっていた。カッコつけたトラップしたいし、泥臭いゴールも決めてみたい。連携の取れていない11人の俺がサッカーする姿は見れたもんじゃないから君は消えた。もし俺がメッシなら君は近くで見守ってくれていただろうし、俺がウサインボルトでも君はきっと付いてきてくれていたはずだ。花束みたいな恋もクロノスタシスも知らねえよ。望遠鏡を覗き込んだら透明なナイフが目に突き刺さって、ドブネズミの死体みたいに美しい君を拝むことはもうできないんだ。長いやり取りのあとにブロックが待ってるとしても君としかマッチしないマッチングアプリをダウンロードしたい。誰かの心から抜け出した悲しみがケルベロスを散歩して次の住まいを探している。複雑なままで生まれた疑似孤児は指をくわえて眺めている。生命のセンター試験で産声のリスニングテスト開始。自分の産声なんか知るかと学生たちは席を立ち、ひとり残された試験会場に制服を着た孤独が現れ、ポケットからタバコを取り出し俺に渡す「さあ、お前の空白を埋めるんだ」日常の空白を埋めるために俺はタバコを吸わされている。世の中のたばこを安く吸いたいという衝動はラキストのエキスパートカットで解決する。君の写真はスクショしかない、画面の中でしか繋がれなかった。インターネット、すべてに繋がっているようで、なんにも繋がっていないところだった。やっと星を見つけたのに触れるほどのジャンプ力はなかった。ほしいものすべて手に入れてこなかった人生に誰かピリオド打ってくれよ。ベタついたフローリング。壊れたシャワールーム。閉ざされたWi-Fiのない部屋で俺が君と同じ銘柄のタバコを吸っている、そんな夜を待ち望んでいるって、よく晴れた日に落ちるわけない雷を待ち続ける避雷針みたいな人生だ。都会的であること、丁寧な暮らしであること、なんの感情も動かない。クソみたいな街で転がってるゴミのように生きていたい。でもそのカスみたいなやつが毎日遠い星のことを想っていたらそれってとてもロマンチックで、叶うことのない願いに想いを馳せることはとても素敵なことに思える。だけど魔法はいつまでも続かなくて、現実逃避のなせるマジックは長針が12時を指して終わった。散らばったマッチ棒が全部同じ方向を向くような奇跡は1度も起こらなかった。夜空を突き進み1つ残らず星屑を回収するゴミ収集車、その中で、朝に回収されたゴミとあの一番星が出会えた午前3時のインターネットは、もうどこにもない。



小さい頃からお金をもらうことが好きでした