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働きながら司法書士を目指すための3年計画

はじめに

1日平均3時間の勉強時間

はじめまして。しほです。この記事では私がフルタイムの仕事、家事育児に追われ、週末は家族の時間も確保しながら約3年で司法書士試験に合格した方法をご紹介します。

生活の中での勉強時間は朝4:30~7:00の2時間半と在宅勤務の合間30分を合わせて3時間ほど。休日も同じく朝の時間がメインでした。といっても優先順位は育児>仕事>家事>勉強。他のことに追われて毎日の勉強時間はバラバラ。そのあたりのことも後述します。

どうして3年なのか?

勉強を始めたころ、予備校の「1発合格者多数輩出!」の宣伝文句を真に受けて、私もちょっと頑張れば1年で合格できると思っていました。しばらく勉強して、このペースでは到底1年で合格できないと気づき、計画変更することに、合格までに必要な勉強時間は3000時間と言われているので、単純計算で1日3時間だと3年かかる。と、3年後の2023年の合格を目標に設定しました。

1年目予備校の初級講座を受講する

予備校の選び方

ここは他人に何か言えるほど特別なことはしていません。ただ、自分が合格まで勉強を続けられるのか、司法書士試験の本当の難易度はわからないまま始めたので、最初からあまりコストをかけすぎないように、格安のものを選びました。web受講でも、わからないところは質問できる講座がいいと思います。2年目以降に比べて1年目はとにかく質問をたくさんしました。
値段や講座そのものに不満はありませんでしたが、唯一、2年目以降にテキストのみの購入ができたらよかったと思いました。勉強年数を重ねたとき、見慣れたテキストで法改正など新しい情報に更新されたものを入手できると違うテキストに変えるよりもかなり効率的です。

1年目の勉強はとにかく講座の受講

1年目は本試験までに講座を全部受講することで精いっぱいでした。
①暗記はしないけど、理解はする。(予備校への質問も活用した)
②講師が「以前の〇〇で話したように・・」がわからなければ、戻って理解してから進める
③講師が言ったことでテキストに書いてないことはすべてメモする
 ②は①のために必要で、不登法の抵当権や根抵当権のところで民法に戻ったり、記述の講座聞きながら論点理解のためにテキストに戻ったりしていました。③は本試験と同時に講座の閲覧期間が終了するからです。
講義で「講義を聞いたらその部分の過去問を解いてから次に進んでください」と言われましたが、そんな時間はなかったので、1年目はほとんど過去問を解いていません。
5月のゴールデンウィークから初めて、12月中に各科目の1周目を完了、本試験までの半年で記述の講座と2周目の動画視聴を完了しました。

記述に関しては、一応授業動画を視聴し、基本的な手順は理解したけど、ひな形も論点もボロボロなので、なかなか答えにたどり着かない状態。手順や論点解説の動画を見てから、同じように手を動かしてみる。を繰り返していました。

本試験(1回目)

受験前にすべての範囲の受講は終えていたので、なんとか食らいつく気持ちだけは一人前に臨んだ本試験。もちろん、基準点にも遠く及ばず。択一午前午後ともに15~20問程度の正解数。会場の雰囲気を味わうための実質お試し受験でした。

2年目 ゆるやかに過去問を回す

過去問がなかなか進まない

2年目、本試験形式の過去問(択一のみ)を購入し解き始めるも、知識が抜けていてなかなか進まない・・。講座でその場では理解したつもりでも、問題を解くとなると似たような論点との比較や、細かい場合分けを理解していないと解けないんだとわかりました。過去問の解説ではなくテキストに戻るを実践しながらテキストと過去問集を行ったり来たり、一つずつ目の前の問題と記憶を結びつける作業は苦しかったけど、霧が晴れる感覚は勉強の楽しさを感じました。12月までになんとか全範囲終わらせて、過去問1周目が完了しました。
年明けからは、記述の予備校講座を受講し、ひな形学習と過去問(択一)の2周目を並行。毎日、論点込みのひな形2つをノルマに、残りは過去問を解けるだけ解いていました。このあたりで、範囲が広すぎてつかみどころのない択一の勉強よりも、論点とひな形がある程度絞られている記述の方が好き&得意になり、知らず知らずの間に記述の勉強時間が長くなる傾向がありました。本来は択一の方が範囲も配点も多いのですが、この頃の勉強時間は択一と記述が半々くらいでした。結局、過去問3周以上するイメージでしたが、本試験までに2周目終わらずでした。

直前期を意識する

来年(合格する年)のために直前期の練習もしておこうと思っていました。1年目から数えるとテキスト2周、過去問2周しているものの、周回のペースが遅すぎて半年ぶりの知識に触れてもほとんど覚えていないことが多く、そのことに危機感を持っていました。
予備校の出題予想の講座と模試を受講し、直前期は出題予想の範囲に絞って、Aランク知識の定着をはかりました。出題予想講座のテキストを何度も繰り返し、その範囲の過去問も繰り返しました。
このころになると家族にも私の本気度が伝わってきて、いろいろ配慮してくれていましたが、「今年は合格する年ではない」と言い続け、優先順位は家庭や仕事の方が上だと自分にも周りにも言っていました。

本試験(2回目)択一基準点突破が目標

正直、3年目で合格するには2年目では基準点突破していないと難しいだろうという考えがありました。しかし、直前期学習の成果で出題予想が当たったところは正解できたものの、午前午後ともに20問台半ばの正解数で午前基準点落ち。模試や本試験の結果から、どうやら民法が苦手らしいということに気づきました。正直落ち込み、そして焦りました。

3年目 答練と模試で得点につながる勉強

9月末までに1回まわす

2年目の基準点落ちからの焦りをエネルギーに、次は合格すると決めて、本試験後すぐに勉強を再開。答練が一番早いものでも10月からだったので、その前に1回全範囲の復習をする計画をたてました。
LECのS式講座という安価だけど、スマホ完結をコンセプトにした講座がとてもよく、講座と同時進行で過去問を解いて講座の復習をしていました。インプット講座は初年度のみで、受講してから1年以上経ってしまい、自分でも気づかない知識のムラをなくすために、軽めのインプット講座をとってよかったと思いました。
また、まとめ集と呼ばれる参考書と選択肢別の過去問を買い足しました。

覚える知識はこれだけ!と決める

3年目の勉強を始めたタイミングで、各予備校のYouTubeで合格体験記をたくさん見ました。合格者と自分の差、あと1年で足りないところを埋めるための勉強方法を探るためです。その結果、私が出した結論は、AAとAランク知識は絶対。Bランクは深追いしないことです。
AAランク:基礎中の基礎、記述で問われる論点
Aランク:S式講座、過去問、まとめ集
Bランク:答練の問題(過去問以外)
※ほかにも問題集や答練のランクも参考にしました

10月からは勉強時間の半分が答練

答練は毎週択一30~35問、記述各1問(計2問)だったので、とにかく時間がありませんでした。1週間のうち、2日間かけて問題を解き、1日は解説を聞いたり復習をしたら、残りは4日しかありません。答練を開始して、やっぱり択一より記述の得点がよく、残り4日は択一の勉強に当てました。
私は答練は予習型でしたので、4日間で次の答練の範囲のまとめ集を読み、過去問を解けるだけ解く。を毎週繰り返します。子どもが熱を出したりすると全く予習ができないまま答練を解くこともありましたが、年末年始などにその範囲を勉強して帳尻を合わせていました。
直前に範囲の学習をしているので、わかる選択肢とわからない選択肢がはっきりして、軸肢から検討する考え方が身に付きました。
答練の復習は選択肢別でわからなかったものだけ。Aランクは覚えることを意識して、目を閉じて暗唱したりしていました。解説の動画はわかっている内容を話したり、逆に自分が間違えたところでも解説してくれなかったりするので、自分の復習の後で倍速で内容をサラッと聞くだけにしました。
年末年始に苦手分野や予習が不十分だった分野の勉強と、記述のひな形を1周しました。

4月からの直前期 答練以外の時間は本試験と同じ配分で

4月からは答練が範囲指定なくなりましたので、答練以外の時間はすべての科目をまんべんなく勉強することを意識しました。まとめ集読み込み、選択肢別の過去問集、10~12月の答練(Aランク問題のみ)を、本試験と同じ配分で同時進行しました。具体的には、民法20ページ、不登法16ページ、会社法9ページ・・・というように本試験の問題数と同じページ数を消化したら違う科目に移っていきました。記述は配点が35点ずつなので12ページという換算で、ひな型集やこれまでの答練のミスの見直しをしました。過去問の量には科目ごとに差があったり、民訴系は難しくてどうしても時間をかけてしまいがちだったので、バランスをとるためにこの方法にしていました。
この方法でよかったのは、およそ2日に1回は全科目に触れることができ、どの科目も久しぶりという感覚にならなかったことです。
直前期は覚えていない論点に出会うたびに、今覚えることを強く意識して、暗唱したり文字に書いたりしていました。
そして、4月以降は「今年合格する」と周囲にも協力をお願いして勉強時間を確保しました。仕事が忙しい時期は実家から母を呼んで家事育児を手伝ってもらいました。私は努力を人に見せるのは苦手ですが、自分の退路を断つ意味でも、周囲に宣言してよかったと思います。

本試験 最後の1秒まで全力疾走

去年までとは全く違う緊張感で臨んだ本試験。午前中は調子よかったのですが、午後の開始直後、商登法記述の解答用紙を裏表反対に書いていたことに気づきます。(私は商登法記述→択一→不登法記述の順に回答します)今考えれば、5~10分くらいの時間のロスだと思うのですが、当日は「終わった・・」と、心が折れてあきらめそうになりました。しかし、協力してくれた家族の顔を思い出し、ここでやめるわけにはいかないと、そのあとは択一も不登法も時計を見る時間も惜しんで、猛スピードで解きました。不登法記述は最後まで解き終わらず、タイムアップ。
そのまま、合格発表まで不合格と思い、翌年の受験に向けた勉強をしていました。

勉強期間中、心掛けていたこと

第一優先は自分と家族の体調とメンタル

「朝4時に目覚ましが鳴った時、起きれる人が合格する」という合格者の言葉を胸に、毎朝頑張って起きていましたが、睡眠不足は免疫の低下につながりますので、自分の体調が悪いときは無理せず7時まで寝ていました。
また、家族(特にこども)が体調を崩すと一気に勉強計画は崩れます。通院や看病のタスクが増えるだけでなく、自分にもうつる可能性もあります。私の勉強期間中はコロナの時代でもあったので、発熱するととにかく大変でした。
また、勉強を優先しすぎると、子どもにとっては、仕事と同じように、勉強は自分から母親を奪うものだと認識されてしまいます。最後の最後、3年目の直前期はそれでもいいと腹を括りましたが、何度も使えない諸刃の剣だと思います。

勉強に使える時間の重要度

①机に向かえる時間 これは実質1日2時間ちょっとでした
②通勤電車の中
 テキストを開くのは厳しいですが、動画を集中して見たり、まとめ集の読み込みなら集中した時間が取れます
③家事をしながら耳だけ学習
 洗濯物や洗い物、掃除などをしている間、イヤホンで講義を聴きながら、意識はずっと講義に向けていられます
④公園での子供の見守りながら耳だけ学習
 賛否あると思いますが、片方だけイヤホンをして公園遊具で遊んでいる子どもを目で追いながら聞いていました。状況によってはほとんど内容が頭に入らないです
⑤在宅勤務をしながら
 これはほとんど流してるだけです。ルーティン業務であまり頭を使わない作業の時だけちょっとやってました。

ここまでに書いたメインの勉強は、①②の時間でやっていました。③は答練の解説や2回目以降の講義動画。④⑤では予備校のYouTubeで講師の方の今の時期の勉強法を聞いたり、合格者のインタビューなんかを聞いていました。これが結構、学習進捗の確認になったり、計画の修正につながりました。LECの根本先生の「根本の独り言」や辰巳の松本先生、TACの姫野先生のチャンネルをよく見ていました。

毎日勉強できる量が違う

勉強時間は子どもの体調や突発的な仕事に左右されるので、なるべく1日のノルマという考え方はせず、3か月単位くらいで余裕のある計画を立てていました。
今日、本試験で1点でも上がる勉強をしたか?を意識して、間違った問題や苦手な部分だけを勉強してどんどん先に進み、わかっている問題を解く、知っている知識を確認するなどの点数が上がらない勉強はなるべくしないようにしていました。そうしていても答練や新しい講座、問題集を解くときは全範囲見直すので、その時にわからないところを拾えば大丈夫でした。

わからないことが出てきたら、いちいち戻る

周回のペースが半年~3か月くらいなので、どんどん忘れていきます。少しでもそれを食い止めるために、知識に触れるチャンスがあれば、必ず正しい知識をインプットするようにしていました。民事訴訟法の学習でわからなければ民法に戻るというのは当たり前ですが、講師の方のYouTubeを見ているときに、例えとして「抵当権者が所有権を取得したときに、抵当権が消える場合と、消えない場合がありますよね。そういう場合分けを・・」と話がでれば、その場でどんな場合か思いつかなければ、動画を止めてテキストに戻って正しい知識を確認する。ということを毎回していました。

さいごに

司法書士の勉強をしていると言っても、それぞれ環境も知識もモチベーションも違います。合格した人の勉強法はとても参考になりますが、自分に合うものばかりではありません。私自身も3年のうちに子どもの成長、仕事の繁閑やコロナの状況など、生活は変化し続けていました。常にそういったものと向き合いながら、大切なものを見誤らないように気を付けていたつもりです。
私はもともと、子どもの将来のために司法書士という資格を目指しました。未来のために、今を犠牲にしては意味がない。ということを常に頭に置きながら、私が無理せず頑張れるのが3年だったのだと思います。
自分の人生の中でこんなに勉強したのは大学受験以来でした。

合格した今、試験は司法書士という世界の入口にある重い重い扉にすぎないと気づきました。やっとこれから世界に飛び出すんだとワクワクドキドキしています。これからもずっと学ぶことは続いて行くので、仕事をしながら学習するリズムは維持していきたいと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この文章が誰かの何かの役に立てていたら幸いです。

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