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最強の咳止め市販薬と2つの弱点:メジコンの解説


アラートが鳴る市販薬

令和5年4月より薬事法改正が施行され、「ある市販薬」をレジに持っていくとアラートが鳴り、薬剤師や登録販売者などの資格者から購入前に質問されるようになりました。いわゆる「濫用等のおそれのある医薬品」です。

濫用等のおそれのある医薬品の成分
・エフェドリン
・コデイン
・ジヒドロコデイン
・ブロムワレリル尿素
・プソイドエフェドリン
・メチルエフェドリン

購入前の確認事項
・購入者が若年者(中学生、高校生等)の場合は氏名年齢と、使用状況
・購入者が同じ医薬品を他店で購入していないか、既に所持していないか
・購入できるのは原則1人1包装。複数個の購入希望がある場合は理由や使用状況を確認し、問題ないと判断した場合に限り販売可能
・その他、適正使用を目的とする購入であることを確認するために必要な事項

濫用等のおそれのある医薬品は風邪薬や咳止め、鼻炎薬など市販薬の主力商品が多く、法改正が施行されて一年以上経った現在でも現場では混乱が続いているようです。

咳止め成分の一つである「コデイン」や「ジヒドロコデイン」は「麻薬性鎮咳薬」に分類されて強い咳止め効果がありますが、副作用のリスクが高いために12歳未満は禁止されています。

咳止め成分にはもう一つ「非麻薬性鎮咳薬」があり、麻薬性鎮咳薬と同等の強い咳止め効果を維持したまま副作用が低い最強の咳止め市販薬があります。それが「メジコン」です。


メジコンが最強の咳止め市販薬である3つの理由

1.メジコンは医療用と同成分、同量配合
ロキソニンが最強の痛み止め市販薬として有名なのは、病院で処方される薬と同成分、同量配合の単剤だからです。病院や薬局で長時間待たされることなく、薬剤師との面談だけで数分かからずに購入することができます。

メジコンも病院で処方される薬と同成分、同量配合の単剤です。しかも「第2類医薬品」なので薬剤師の面談なしで購入することができますが、店舗によっては濫用等のおそれのある医薬品の影響で確認をされる場合があります。

2.メジコンは麻薬性鎮咳薬と同等の効果があり、風邪の咳にも効く
メジコンは医療用医薬品と同成分、同量配合ですが医療用の添付文書によれば違う点が2つあります。

2-1.用法用量
市販薬メジコンは6錠中90mgですが、医療用メジコンは1回15~30mgを1日1~4回、つまり1日最大120mg摂取できます。

2-2.効能効果
市販薬メジコンの効能効果は「せき」のみですが、医療用メジコンは次のとおりになります。

「下記疾患に伴う次の咳嗽:感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺炎、肺結核、上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)」

2-3.医療用メジコンの臨床成績
市販薬メジコンは医療用と同成分、同量配合なので医療用と同様の効果が期待できます。

参考までに医療用メジコンの臨床成績を疾患名、有効例数/対象例数、有効率の順でおおまかな数値を添付文書より抜粋します。添付文書は誰でも閲覧できますので、興味のある方は各自でご確認ください。

・感冒:190/220/86%
・急性気管支炎:70/100/70%
・気管支炎:350/410/85%
・慢性気管支炎:30/40/70%
・肺炎:15/20/80%
・肺結核:290/360/80%
・咽頭炎:8/10/80%
・計:1050/1290/80%

私はこれまで臨床試験のデータを何度も見てきましたが、対象者が1300名近いものは記憶にありません。通常は数十名か多くても数百名程度です。統計の母数は多ければ多いほど信頼性が増すのでメジコンのデータは信頼性が高いデータといえます。

また、風邪の咳止め効果についてメジコン以外の非麻薬性鎮咳薬であるチペピジン、ノスカピン、クロペラスチンは効果が弱く、臨床成績も少ないなど信頼性にやや不安が残ります。メジコンは風邪の咳に対して220件中86%の有効性を臨床試験で示していて、風邪の咳止め薬としても第一選択肢になりえます。

3.メジコンの副作用
医薬品は効能効果がある反面、副作用が付きものですがメジコンにも残念ながら副作用はあります。添付文書には0.1から5%の頻度で次の副作用が記されています。

・精神神経系:眠気、頭痛、めまい
・消化器:悪心・嘔吐、便秘

メジコンの副作用で注意すべきは眠気です

眠気については市販薬の添付文書にも注意喚起されていて、メジコン服用後の車の運転や機械の操作は「してはいけないこと」とされています。

メジコンせき止め錠Proの成分その他詳細情報



メジコンせき止め錠Pro 20錠1452円(参考価格)
成分
15歳1日服用量6錠中、
・デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物90mg:咳を鎮めます

用法用量
次の量を水またはぬるま湯で服用してください。また、服用する間隔は4時間以上おいてください。
・15歳以上1回2錠1日3回

効能効果
せき

してはいけないこと

・本剤を服用している間は次の医薬品を使用しないでください。:他の鎮咳去痰薬、かぜ薬、鎮静薬、抗ヒスタミン剤(鼻炎用内服薬、乗り物酔い薬、アレルギー薬)
・服用後、乗り物または機械類の運転操作をしないでください。眠気があらわれることがあります

相談すること

・服用後、眠気があらわれることがあります。眠気の持続、増強がみられた場合は服用を中止して医師や薬剤師にご相談ください。
・6回程度服用しても症状がよくならない場合は服用を中止して、医師や薬剤師にご相談ください。

最強の咳止め薬メジコンの2つの弱点

のどの痛みに効く市販薬は錠剤、スプレー、トローチなどさまざまな剤形があり、配合される成分もさまざまでしたが、咳止め成分はメジコンの「デキストロメルファン」一択で十分だと思います。咳に伴うその他の症状はデキストロメトルファンを中心に考えていけばいいと思います。

ただし最強の咳止め市販薬メジコンにも残念ながら弱点が2つあります。

1.メジコンは眠くなることがある
メジコンは麻薬性鎮咳薬と同等の強力な咳止め効果を発揮しますが、残念ながら副作用があります。

メジコンの副作用の一つが眠気です


眠くなって何が問題かといえば、咳が止まらなくても外で服用できません。仕事中に服用すれば眠気によって集中力が散漫になり、その後の仕事に影響が出ることがあります。

眠気の副作用がある市販薬は行動を制限することもあるので注意が必要です。

2.メジコンは品切れになることがある
新型コロナ感染症の流行など諸般の事情で薬の供給が追いつかず、とりわけ「鎮咳薬」と「去痰薬」の供給が深刻だという報道がありました。

幸いにもメジコンは医療用と市販薬が同じ成分なので、医療用に在庫がなくても市販薬で代用できますが、それにも限度があります。

秋分の日が過ぎれば夏から秋へ、秋から冬へと気温が下がり、空気が乾燥していきます。冷えと空気はのどの天敵です。今からうがいと手洗いの感染予防を習慣にしておきましょう。

参考までに、現在私が考える「常備薬」の一覧を挙げておきます。自分が使わなくても家族や周囲の症状が出た人に分けてあげれば感謝されるかもしれません。

・発熱:カロナール
・痛み:ロキソニンやリングルアイビー(イブプロフェン)
・せき:メジコン
・のどの痛み:桔梗湯や龍角散ダイレクト


常備薬は防災グッズと同じで、使わなければそれに越したことはありません。その間は無事に平和に過ごせたのだから。

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