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波のゆくさき~NTTジャパンラグビーリーグワン DIVISION3 第11節 九州電力キューデンヴォルテクス VS クリタウォーターガッシュ昭島 @ミクニワールドスタジアム北九州~観戦記

 18日は本当なら休日出勤だったんですよね……まあ、結局北九州まで観戦に行った訳ですが。
 そんな訳で休日出勤を昼で(半ば強引に)終わらせ、珍しく高速道路を走って太宰府から一時間やって来ましたミクニワールドスタジアム北九州。

この日周辺施設でもイベント開催中だったので人出は多め。
駐車場も満車でコロナ前の日常が戻って来た感じがした。

 ちなみにミクスタ来るのは今年二度目。通算では4度目(多分)
 ミクスタはピッチから距離は近いし、傾斜も良いし、なにより大好きな小倉駅のそばにある最高のスタジアムです。
 余談ですが、本野的には小倉は住みたい街ランキング堂々第一位の街です。本当に大好きなんですよ小倉が。特に小倉駅周辺が!ていうか小倉駅周辺だけが!(以下一年前の宗像サニックスブルースのミクスタでの試合の際の呟き)


 まあ、そんな感じで小倉に着いたんですが、この日はミクスタのお隣の西日本総合展示場では『西日本釣り博2023』が開催されており、周辺は大賑わいでした。
 小倉駅から歩いていると皆吸い込まれるように展示場&ミクスタに向かってたんで「今日はこんなに観客が!?」と驚いたもんですよ。まあ、釣り博に流れて行ってたけど()
 でも自分が着いた開始一時間前の時点でミクスタ周辺にも結構な数集まっていたので「お、これは観客数多そう」と思ったもんです。

九州KVからの賄賂(プレミアム会員の駐車場が無いお詫び)
中身は駐車場代の代わりのリアルマネー。この辺は企業スポーツ意識が強い。

 試合開始前には元日本代表で世界のトライ王大畑大介氏とFBSのアナウンサーのトークショーがピッチで行われたりしました。大畑氏コベルコ神戸スティーラーズのアンバサダーなのにここにいて良かったのか? 

めんたいワイド出演者によるトークショー。福岡県民以外には謎の組合せである。

 そもそもこれで初めて知ったんですけど大畑氏はFBSの『めんたいワイド』の出演者だったんだなぁ、と。大阪出身なのに一体どこでそんな縁がって話です。あの番組普段は見ないんで知らなかった。 
 で、試合の時はこの二人による実況解説がスタジアム内で流れていました。これ結構面白かったんでこれからもやって欲しいですね。

九州KVゼイン・ヒルトンHC。相変わらずチームで一番強そう。
九州KVの試合前練習。ミクスタは観客席低くてピッチを間近で観られるから好き。

 さて、前振りはそれぐらいにして試合結果です。

 九州KV 21 - 19 WG昭島

 まあ、色々言いたいことはあるんですけど勝てば全て良しというかとにかく熱く、痺れる試合でしたね。逆を言うと心臓が止まるかと思うような試合でもありました。
 個人的にはその数日後にあったWBC2023の決勝戦より白熱したかもしれません(WBC決勝だと2点リードで大勢が登板して無死一二塁を作った時は心臓止まるかと思ったわね)
 試合としてもスタジアムの雰囲気にしても盛り上がりとしては今シーズン一番のホストゲームだったかと。初観戦でこれを観たら沼に浸るなぁ。
 内容としては前半は一方的にやられて何も出来ぬまま折り返しながら後半に地元出身のスター選手が凱旋出場するとチームは息を吹き返して終盤に大逆転。そしてスター選手はPOMとか漫画みたいな展開ですね。

九州KV劇的勝利後の選手の場内一周。観客席は今季で一番沸きに湧いた。
この試合のPOMは山田章仁選手。忖度の気配もするが、同点のトライを演出するに至ったラインブレイクと場内の空気を一変させるスター性は流石としか。

 前半一方的にやられて後半奇跡の大逆転ってパターンは前回ベススタでのWG昭島とのホストゲームでもありましたね。 
 正直勝ったから言えるんですけど前半の40分はずっとイライラしながら観てたというかもうひたすらフラストレーション溜まっててストレスがヤバかったですね。正直感情的になったことに関しては反省してません。スポーツ観戦は負荷の掛かるものです。
 ラグビー自体は今まで代表戦以外は割とフラッとに観るタイプなんですが、やっぱり贔屓のチームには熱が入る。この辺はリーグワンになってから芽生えた感覚ですね。
 前半は九州KVがホストゲームの観客を前に気合が空回りしてるからなのかプレーは固いし、ミスは多いし、それに付け入るWG昭島は10番アンドリュー・ディーガンのプレーに乗ってガンガン局地戦を仕掛けて来て九州KVは何もさせて貰えていなかったし、数少ない敵陣でのチャンスもRH大阪戦のような自滅でチャンスを逃していたので正直40分終わった時点で「こりゃ今日は駄目かもしれん」と思いました。なお後半己の認識の甘さを恥じる

 ところがぎっちょん(緑川ルリ子CV.浜辺美波)後半早々にボールを繋いで竹野内が反撃のトライを奪い、直後に地元凱旋を果たした山田章仁を投入した辺りから空気が変わりましたね。
 山田曰く埼玉WKの堀江に倣って『九州のラスボス』だそうですが、今シーズンの活躍見ていたら「本当それな」って納得してしまいます。
 九州KVは伝統的にディフェンス重視で規律を守るチームなんですが、反面それと比べるとオフェンスがやや弱く、ここ数年も良い試合をしながら最後の一線を超えきれずに取り零す試合が幾度となくありました。
 そういう弱い部分を補うって意味では山田選手の存在は本当に大きいですね。試合ではゲームチェンジャーとして役割が大きいですが、後半の厳しい時間帯でも攻めの意識を植え付けたのも大きいと思います。

 
 本当に今シーズンの九州KVは山田章仁、コルビー・ファインガア、サム・ヴァカ様々です。攻守の要とチームの雰囲気を変えるベテランの存在が確立されているのがどれだけチームにとって大きいことか。
 九州KV自体今は若手とベテランが融合しながら新しい時代を作っている若いチームなのでこういう選手達は本当に貴重ですね。
 
 さて、そんな「九州のラスボス」山田章仁を投入し、以降も逐次リザーブを投入して運動量を上げていく九州KVは徐々にペースを取り戻し、サム・ヴァカと磯田のトライで同点に追い付き、最後は萩原のキックで逆転。ラストプレーで自陣に追い込まれるも賢明に守り、最後は逃げ切っての大勝利! 
 前半の苦戦が嘘のような大逆転劇でした。
 後半はWG昭島に得点を許さなかったのも大きかったですね。
 危ない局面はあったんですが、九州KVの魂でもあるディフェンスでギリギリ最後の一線を割らせない姿には周りの観客と一緒になって声援を送っていました。
 特に後半中頃のゴールライン付近での攻防は手に汗握りました。あの場面で相手に得点を許さず、ラインを守り切るディフェンスこそ九州電力キューデンヴォルテクスのラグビーですよ。
 やっぱりラグビーは守りのスポーツです。
 見てください、Div.1でやってる今年昇格した2チームを。
 かたやDiv.2で圧倒的だったオフェンスは通用しない、ディフェンスはザルでフィットネスでも当たり負けしてズルズルと全敗街道まっしぐら。
 かたやズルズル連敗は重ねているものの序盤は粘り強いディフェンスを展開し、強豪を打ち破ったあのチームを。
 どっちも下位に沈んでいるんで厳しいことに変わりはないですが()

 本当にディフェンスは大事ですね。結局いくら攻撃が強かろうが、簡単に取り返されるような守備じゃお話にならないですし、相手としても怖くないんですよ。「取り返せば良いだけの話じゃん」って。
 勿論守備特化で攻撃を疎かにしていたら元も子も無いのでその辺はバランスではあるんでしょうが、少なくとも自分は攻撃全振りで強かったチームをあまり知りません。
 ラグビー回なのに野球で例えて申し訳ないんですが、2004年の読売ジャイアンツは史上最強打線なんて呼ばれて当時セリーグの記録を塗り替えるような強打のチームでした。
 でも投手陣が崩壊し、守備も壊滅的だったので結局優勝出来ず3位止まり。翌年もズタボロのシーズンで当時小学生で野球少年だった自分は「は?ジャイアンツ弱すぎだろ」思いましたね。

2004年当時史上最強打線と呼ばれた我等が大正義巨人軍。しかし現実は残酷。
翌年も低迷し、2003~2006年は優勝を逃し続ける暗黒期を迎える。
堀内恒夫監督。2シーズン監督を務めるもチームは低迷。当時としては初の優勝経験の無い巨人軍監督となった。

 この打撃で優勝してないんですからね。一緒や打っても! 
 まあ、こういう風に「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」ってやつです。野村克也氏はよく言ったもんです。

野村克也は間違いなく日本野球史上最高の捕手である。また監督としても非常に優秀。
彼の著書は基本名作しかない(エピソードの再利用多め)ので一読の価値あり。

 しかしWG昭島は手ごわい相手ですね。
 結果だけ見ると今シーズンの戦績は3勝0敗ですけど両者にそこまでの力差は感じないんですよね。もしかしたら逆の結果も十分にあり得たと思います。
 特にビジターでの試合では15人対14人の圧倒的有利な状況でリードしながら最後に猛追されての逃げ切り勝利ですから油断ならない相手この上ないです。
 やっぱりどのディヴィジョンでも確固たる司令塔とフィニッシャーの存在は脅威ですし、WG昭島のようなフィジカルで当たり負けしない力強さという武器があるチームは厄介な相手です。
 昨シーズンはリーグ戦が2試合ともコロナ禍で流れ、順位決定戦で激突した際は九州KVの圧勝だったんですが、今年は昨シーズンと違ってチームが分厚くなった印象を受けます。
 10番を付けるアンドリュー・ディーガンはスーパーラグビーも経験している猛者なんですが、周辺視野の広さとボールの扱いや体捌き、キックの精度などどれも一流のそれですね。Div.3でNo.1のSOじゃないでしょうか?
 それと今日の試合トライこそ無かったもののWTBの濱副慧悟も良い選手ですね。これもDiv.3で一番のWTBと思います。スタッツもずば抜けています。良いリクルートしてますねWG昭島。
 他の選手も良いのが揃っていますし、数年後が楽しみなチームです。
 何より東京に根を下ろしながら他のチームのように『東京』とか『東京ベイ』みたいな安直で形だけの地域名を付けるような『酒屋』とか『おれんじあぁみぃ』その他のチームと違って『昭島』を冠し、地元に密着してチームを作っていく姿は応援したくなります。今はまだ観客動員数含めて苦戦が続いていますが、頑張って欲しいです。
 
 さて、スタジアムの雰囲気ですが、これまた良かったですね。個人的には 前回のホストゲームを上回る雰囲気の良さでした。前半はWG昭島に蹂躙されていたので静かなもんでしたけど。
 フォロワーさんにWG昭島のコールリーダーをされてる方がいるんですけどそれがまあ何とも見事というか手拍子が綺麗に揃っていて敵ながら脅威でしたね。


 スタジアムは正直9割9分は九州KVの応援だったと思うので圧倒的にビジターの中ながらそれを感じさせない存在感は凄かったですね。 
 特に前半は九州KVの応援が静かだっただけになおのこと目立ちました。
 一緒に昇格して来年はDiv.2でバチバチにやり合いたいですね。
 前半はそんな感じでWG昭島の応援が印象的でしたが、後半九州KVが追い上げてくると場内は一気に九州KVを後押しするような雰囲気に変わり、最早九州KVのホストゲームでは最早恒例と化したジュニアラグビーのキッズたちの大声での「キューデン!」「ヴォルテクス!」コールをするとそれに引っ張られるように大人たちもコールやハリセンを叩いてチームを応援し、最終的に九州KVの逆転勝利。筋書きの無い良いドラマでした。
 やっぱり九州KVのホストゲームは観客席の雰囲気が良いですね。
 普段はぼっち観戦なんで割と感情抑えめにして「ほら、私分かってますのよ」って感のある玄人っぽい感じで観戦してるんですけどこんな試合見せられたらねぇ……そら声張り上げて応援するよ。

玄人っぽい観戦の模範的な例。
ぼざろは山田(クズ状態)が一番好き。

 ちなみに観客動員数は今シーズンホストゲーム最多の『3222人』です。祝!初の3000人突破!
 北九州市民3000人無料招待&みれい菓70人招待があったのでそれを込みで考えたらもう少し伸びて4000人~5000人は行っても良かったのかなと思いますが、九州KVの主催試合が北九州市初開催だったことを考えれば健闘したと思います。
 今日市民招待で入った観客の10%でも今後のホストゲームに観戦に来るようになれば嬉しいですし、ミクスタで開催した甲斐があったと思います。

九州KV側のゴール裏。
日本ラグビー界の未来を担うキッズが一杯。
バックスタンドA席は横幅一杯の観客が。
埋まったスタンドの見栄えはかなり良い。

 ベススタがホームのアビスパ福岡とミクスタがホームのギラヴァンツ北九州のJリーグ所属の2チーム共に今季は観客動員数の伸び悩みが見て取れるのでそこ行くと九州KVは元々の絶対値と分母が圧倒的に異なるとはいえ、前年の観客数と比較して今季の伸びは大きいので九州KVは地道にファン拡大が出来ていると思います。 
 プレシーズンマッチの時に今季の目標は2000人とか言っていた気がするんですが、ここ数試合は達成してますね。 
 勿論招待客を考慮したら有料入場者数は2000人行かないですし、メインスタンドが空席だらけなのは来年以降の課題になると思いますけどそれでも今シーズンの九州KVは頑張ってると思いますよ。
 これまでどこか一線を引いていたように感じていた九州電力がようやく本気を出したと私は思っています。 
 観客数増は一朝一夕で出来るものでは無いですし、地道にコツコツ認知度を上げていくこととチームが勝って注目を浴びることの両輪でやっていくしか無いですね。 
 そう簡単な話ではないですが、必ずやってくれると私は信じています。 

 あ、そうそうこれは完全に余談なんですが自分が座っていた席の後ろが丁度九州KVのノンメンバーの席だったんですが、4月入団予定の大卒選手が勢揃いでした。今年のリクルートはかなり本気なんで4月以降の試合が楽しみです。
 順位確定で迎える可能性のあるリーグ最終戦でのデビューする選手がいるかもしれませんね。
 それと観戦してるメンバー達の雰囲気が凄い楽しそうで良かったですね。

 さて、そんな九州KVのホストゲームも残すところあと1試合。4月23日(日)のスカイアクティブズ広島戦@グローバルアリーナです。 
 では皆さんグローバルアリーナで会いましょう。さようなり~

 
 
 おまけです。
 今回の試合みれい菓招待で観戦したので試合後に山田選手との記念撮影がありました。初めて行きましたミクスタのVIPラウンジ。
 良い体験になりました。みれい菓様本当にありがとうございました。今度社員旅行で北海道に行った時はお土産に買って帰ります。

ミクスタVIPラウンジからの景色。
いつかここで試合を観るぞ。
色々トラブルがあったけど山田選手を囲んでの写真撮影。
この中のどこかにいます。


 
 

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