ヤクザ連続減少というのは本当なのか?
「暴力団員、最少1万5600人=15年連続減-警察庁」という記事が発表された。これは、先月28日、警察庁のまとめで分かったものだ。
「同庁は『暴力団排除の取り組みに伴い、資金を得るのが難しくなっていることなどから、構成員らの離脱が進んでいる』とみている。
国内最大の山口組は約300人減の約4400人、同組から分裂した神戸山口組は約800人減の約1700人。昨年3月に指定暴力団となった任侠山口組は約400人だった。」(時事ドットコムニュース)
平成20年には、40,400人(準構成員含む82,600人)だったので、確かに大きく減少はしていると思う。表面的な数値としては。
しかし、そんな中で、嘗てなかったこの様な奇妙な事件も起きている。2016年に起きた、18億円がわずか数時間で全国のコンビニ等のATMから偽造カードを使って引き出された、不正引き出し事件だ。2018年逮捕された住吉会の組員の警察への供述で、南アフリカの銀行口座にあったものが、ハッカーによってハッキングされ、顧客データが山口組に渡りカードが偽造され、逮捕された住吉会の関係者を通じて、神戸山口組等複数の暴力団組織に渡ったと言うことだ。対立する暴力団にも個別のルートから、結果的にカードが渡り、だし子に振り分けられたらしい。その間に、組織を超えた協力があったことがわかっている。
伊藤竜也記者(取材班):「そもそも暴力団は、末端の組員が勝手なことをしないように、組織として統制されていたんですよね。しかし、この今回のATMの事件では、そのたがが外れて、末端の組員らが、個人的なつながりで資金を得ようとしたんです。その結果、警察によると、少なくとも6つの指定暴力団が1つの事件に関わる形になったという構図ですね。これまでの暴力団犯罪とは、異なる構図といえます。」(NHKクローズアップ現代)
暴対法や条例で追い込まれて資金が稼ぎづらくなった暴力団が、組織的な動きではなく金の情報を個々に手に入れ、結果、複数の組織の組員が連携するという結果になったらしい。
組織の構成員の数字が表面的に減ってきた事は事実だろう、組織は弱体化しても、地下にもぐったり、半ぐれになったり、半ぐれグループとつるんだり、一般市民の中に紛れ込んで何かあれば犯罪を起こしたり、とてもグレーな状況の複雑でつかみづらい新たな人的脅威を生む可能性を否定できない。
兎に角、食べられない為に、犯罪予備軍になっていくケースがあるという。この場合、ヤクザ組織には加盟していないので、暴対法、暴排条例では対応ができない。これに対する対応は簡単ではないだろう。
このところ、オレオレ詐欺が水際で取り締まられているために、過激化した一部の者が、アポ電強盗という荒っぽい手段に出て、殺人事件まで起こしている。こういったことが、水面下のヤクザを取り巻く環境の変化が背景にあるのではないか。
これを撲滅する為には、防犯カメラと顔認証等のシステムの拡大策は急務だと思う。併せて、警察組織の民主化、取り調べの可視化等、冤罪を生みづらい環境整備も必要なことは言うまでもない。
勿論、犯罪者を生まない遠因にもつながる最低賃金のUPで時給1,500円にすることや、落ちこぼれを作らない全人的でヒューマンをベースにした教育環境、成人するまでの愛情と優しさを持った厚生施設等の環境の整備等は重要で、子供時代の環境がヤクザや半ぐれといった人間を作り出すのだと思う。
京都産業大学の田村正博教授が次の様に述べている。
「暴力団組織がなくなっても、暴力団組織にいた人がいなくなるわけではない。そういう人たちによる犯罪の危険性は基本的にある。新しい組織犯罪、その可能性を常に念頭に置いて、対策をとっていく、そのことはとても大事だ。」(NHKクローズアップ現代)
このことは、現代の問題を象徴している。前にも述べたが、組を抜けた元ヤクザは、社会に受け入れられずに組に逆戻りしてしまうケースと、世界的なシンジケートや、国内の犯罪集団と組むケース、市民社会に潜り込むケースとあるが、実態がなかなかつかめずに、事件が起きると警察は周辺にいる「共生者」にまで範囲を広げざるを得ない状況になっているとの事。
とはいえ、暴力団は、まだまだ準構成員を入れれば数万単位のオーダーだし、周辺部を入れれば大きく変わっていないかもしれない。ただ、いわゆる構成員は高齢化が進んでいるようで、若くても40代になってきているということで、この高齢化の部分については更に追い込みをかければ暴力団組織を弱体化させられる可能性は強まるし、組織自体を壊滅に追い込むことも可能だとは思う。
後は、若年層を暴力団に入れない仕組みを作ることで供給源を立っていく必要がある。今は、面倒を見る資金も乏しく、若年層においても組員のなり手が減少しているという。
このまま、暴力団を減少、壊滅に追い込もう。
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