特別定額給付金はこうして比較すればよかったんじゃ話

2020年コロナ禍での特別定額給付金支給が混乱してる。特に、効率化のためのはずの電子申請が実際には目視照合を強いてむしろ郵送申請のほうが効率的、という話になってる。

「電子化」が悪いんじゃない「間違った電子化」が悪いんだ

電子申請では申請者の入力フォームが完全なやっつけ仕事で、住民基本台帳にあるデータとの照合があまりに時間食うから、自治体が「電子申請はやめてくれ」と声明を出したり、高松市や八王子市のように電子申請自体を打ち切ったりした。

大金をかけて作ったマイナンバーの仕組みが、こういう場面で役に立たないばかりかかえって作業の足を引っ張ってることについて、このシステム構築に関わった人は自分の人生を恥じねばならない。まあ責任は感じてないと思うけど。

電子化は進めねばならないが、前回noteにもあるようにデータの食わせ順を間違うというデータ処理の基礎から間違えるような仕事でお金もらってる会社があるってことで、これは黙ってちゃいけないと思うよ。

じゃあどうすれば?

僕は住民基本台帳ネットワークの構造や制約は知らない。現場を知らないのにとやかく言うのはできるだけ避けたいんだけど、ただ確実に言える範囲っていうのもある。

前提条件としては、

1. 住民基本台帳ネットワークからのデジタルデータ取り出しはセキュリティ上厳重な制約がある
2. しかし郵送申請の用紙出力は住民基本台帳ネットワークのデータを使ってる
3. 申請データはデジタルで来るが、これも気安く取り出せては困る

ということ。

つまり前回noteで書いたような「先にマイナポータルに世帯情報を食わせてから電子申請受付スタート」はそのままでは難しい。

「ハッシュ化+QRコード」とかはやってないの?

こんな場合に、ディジタル技術においては「ハッシュ化」つまり復元できない不可逆な暗号化という手法がある。ここはちょっと用語定義などが微妙なのだが、単純化するために「ハッシュ化=不可逆な暗号化」ということにしといて。

ハッシュ化はパスワードの処理で使われるもので、元のデータはわからないけど合致してるかどうかはわかる、というもの。

住民基本台帳ネットワークにある世帯情報データをあるルールでハッシュ化し、申請データも(スペースなどのルールを揃えた後に)同じルールでハッシュ化する。その2つを比較すれば合致してるかどうかだけはわかる。

「ハッシュ化されてるとはいえ住民基本台帳ネットワークからデジタルデータ取り出すのはダメよ」という話はあるが、郵送時に印刷物として出すのは構わないわけなので、その際にハッシュ化したデータをQRコードにして印刷すればいい。

完全自動比較とはいかないけど、品川区でやってたような2人1組での読み合わせなんていう空しい作業は少なくとも不要になる。

郵送用アプリケーション作ったの誰?

住民基本台帳ネットワーク上で動作する郵送申請用アプリケーションは、今回の作業にあわせて各自治体に納品されてるという話を聞いた。ということは、このアプリにハッシュ化と比較のようなごくごく初歩的な機能が付与されてれば(そう、あくまで「初歩的な」ことだ)、もうちょっと作業はマシになったんじゃ。

郵送の申請用紙は通し番号のバーコードのほかはOCR処理だそうだが、同じ出力用紙を電子申請の照合にも使うということ。

ダブり申請つまり電子申請を何度もやったり、電子申請と郵送申請両方でやった人は一旦よけておいて、不正も疑われるわけだからずっと後回しにしていい。

現場の人はこの恨み忘れないでね

申請処理の現場で大変な苦労した人にはただただ頭が下がる思いだが、これ本来はしなくていい苦労。システム構築する人が無責任だから、2020年にもなっていい大人が目視確認なんていう「仕事ごっこ」を強いられてる。

現場の皆さん、この恨みは忘れないで!ちゃんと恨んで、そして正しい方向に改善してゆこう!

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