半島を出よ 村上龍

ブックオフで買った村上龍3作品の最後に読んだ本。
北朝鮮からの侵略軍が福岡ドームを占拠し、そのまま福岡の日本からの独立を目指すと言う話。

毎回思うが、作品を読むたびに著者の知識や世界観の壮大さにびっくりする。
コインロッカーベイビーズはより狭い世界で描かれていたが、愛と幻想のファシズムに比べても、この半島を出よ、は格段にそれが表れていた。
特に、物語で大事な役目を果たす虫や銃火器などは、よく知らない人でもイメージを想像できるような表現や、説明をより丁寧に描かれてあり、この作品の中に入り込む感覚だった。

あとがきにも書いてあったが、これを侵略された日本人だけの目線ではなく、北朝鮮の侵略軍からの目線で書いてある章もあり、文化の違いから感じる違和感など勉強になったところも多数ある。

コインロッカーベイビーズ、愛と幻想のファシズムよりも長編の大作にもかかわらず、読んでいて飽きないくらい面白かったが、著者としてはこれでも書ききれなかった部分が多数あったのではないかと思う。
個人的にはもっと、序盤に出てきた登場人物の再登場や、各集団の作戦やその裏にある攻防などの細かい部分が欲しいと思った。
しかし、裏を返せば、それだけ前提となる条件や舞台などのテーマがしっかりしているから、1000ページを超える作品でも物足りないと感じたのだと思う。

あとは、限りなく透明に近いブルーを読んでみたいと思った。

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