69 村上龍

恐らく著者自身の高校生の時の出来事を書いた作品。
まだ自分が生まれる前の東大の全共闘などの事件があった時代の話なので、今とかなり感覚は違うが、この時代は何をするにも信念やイデオロギーといったものを出していたんだなと思った。
逆に言えばそれが無い中での行動は、薄っぺらいと言われたのだと思う。

そして、この時代の人たちから見たら、今の若いもんは。。と言いたくなる気持ちが少しわかった気がする。

作品としては、とても面白く読めて、ふざけ倒してあった。
あとがきにとても楽しい小説だった、と著者自身が語っていたが、読んでいてもそれがわかる作品だった。

そして、何よりこの作品のあとがきに書いてあった言葉に心の底から共感したので、記しておく。

〜〜〜
楽しんで生きないのは、罪なことだ。わたしは、高校時代に私を傷つけた教師のことを今でも忘れていない。
彼らは人間を家畜へと変える仕事を飽きずに続ける「退屈」の象徴だった。
そんな状況は今でも変わっていないし、もっとひどくなっているはずだ。
だが、いつの時代にあっても、教師や刑事という権力の手先は手強いものだ。
彼らをただ殴っても結局こちらが損をすることになる。
唯一の復しゅうの方法は、彼らよりも楽しく生きることだと思う。
楽しく生きるためにはエネルギーがいる。
戦いである。
わたしはその戦いを今も続けている。
退屈な奴らに自分の笑い声を聞かせてやるための戦いは死ぬまで終わることがないだろう。

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