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レディファーストについて

2019年4月4日 投稿

最近ツイッター上でしばしば、レディファーストについて女性陣と男性陣との間で熱い議論が戦わされている場面を目にします。女性陣からの「日本の男性も欧米に習ってレディファーストを実践すべき」という声に対して、男性陣からは「日本には日本の文化がある。何でも欧米の真似をすれば良いというものではない」「日本は女性優遇社会だ。これ以上女性を優遇する必要はない」「一方的に女性を優遇するのは男女同権に反している」という反論があるようです。

いつものようにGoogle先生に教わりながら、レディファーストについて私の考えをまとめてみました。

驚くことにネットにはレディファーストの元々の起源は「女性を先に行かして盾として使うことで、男性が暗殺から逃れるための手段として生まれた習慣」なんて、どう見てもレディファーストを取り入れたくない日本男性が、どこかから探し出してきた都市伝説としか思えない話もあるようです。日常的に暗殺を心配するなんてどこの戦場の話でしょうか。戦場にわざわざ女性を連れて行って盾の代わりに使うなんて聞いたことがありません。100歩譲って街中で暗殺が日常的に行われていた世界があったとして、普通暗殺者はターゲットを後ろから狙うでしょうし、ターゲットになる人間は非力な女性よりも屈強な男をボディーガードに雇うでしょう。いずれにしても、いかにも都市伝説好きで軟弱なネトウヨ男が好みそうな話ではあります。

レディファーストの起源は、ヨーロッパの騎士道のようです。騎士として武勲を立てることや、忠節を尽くすこと、信仰を守ることなどに加えて、弱者を保護すること、貴婦人への献身が徳目とされました。騎士道は西欧の社交術にも影響を与え、レディーファーストとして広まり、時代が下って紳士としてのマナーになって行きました。
つまりレディファーストは、「おごらず高ぶらず、子供や女性、老人などの弱い者を助け、見返りを求めない。生理の苦痛に耐え母体を危険にさらして、子供を産んでくれる女性全員に敬意を示す」という個人としての男の生き様、男の誇りと美学の現れと言うことです。
一方日本の江戸時代の武士社会では、全体主義的な「男社会の上下関係を守り組織の秩序を守ることが最大の美徳(秩序遵守の精神 https://note.com/shig_matsuoka/n/n4dd410d3e30f 参照)」とされ、女性は男性に隷属するものとして扱われました。この思想と慣習は、現在でも高校野球やプロ野球の世界などに引き継がれている感じですね。

私の欧米系の友人たちの家庭を見ると、実によくレディファーストが実践されていて、男は皆甲斐甲斐しく女性に尽くします。中には専業主婦の奥さんの下僕ではないかと思わせる男も居て、どうしてそんなに奥さんに尽くすんだと聞いたら「彼女の幸せが自分の幸せだから(She's happy, so I'm happy.)」と言う答えが返って来ました。
こんな思想を持った欧米の男性が日本女性に人気があるのは、当然のことでありましょう。
元々九州男子で韓国籍という、男尊女卑の塊のようなバックボーンを持つ私ですが、仕事で海外に滞在することが多くなると、段々と彼らの考えに影響を受けるようになりました。女性と食事に出かけた際には、必ずテーブルの広い席を女性に譲るようにしています。できるだけ荷物は持たせない、道の車に近い方は自分が歩くなども実践しています。レストランなどで一人だけ広い席に座って踏ん反り返っている日本男児を見ると、文化程度が低いなあと密かな優越感を感じます。欧米系の人が彼らを見たら、スープをズルズル、ベチャベチャ音を立ててすする人間と同じように眉をひそめられることでしょう。

日本男性は海外では集団でしか行動できない、などと密かに後ろ指を指されることも多いようです。これ以上日本男児の国際社会での評判を落とさないよう、世の男性もせめて外に出たときくらいは、レディファーストを実践してもらいたいものです。

「男は強くなければ生きていけない、しかし優しくなければ生きていく資格はない」ー レイモンド・チャンドラー