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簡単なメイキングと絵を描くときに考えていること

自分用のメモも兼ねて、絵を描く過程をまとめてみました。詳細なメイキングではないため、説明不足なところはご容赦ください。
今回はこちらの絵について書いていきます。

砂漠の冒険者_2

この絵を描き始めた理由

ある時描いた落書きがとても気に入ったのでちゃんと清書しようと思い立ったのが理由です。そのとき描いた落書きがこちらです。

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最近落書きをするときはグレーで塗りつぶしたレイヤーに黒やグレーでごりごり描いていくのにはまっていて、この落書きはその白黒の落書きにオーバーレイで色をつけて加工しました。所謂グリザイユですね。

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旅人っぽい感じにしたいと思ったので、旅人っぽいローブと大きいゴーグルをつけました。普段あまり描かないのですが、世紀末っぽい感じにしたかったのでお腹を出したクールなスタイルにしてみました。

キャラクターのデザインを固める

そのまま着手してもいいのですが、ちゃんとデザインを固めないと全体の雰囲気がかっこよくならない気がしたので、珍しくデザイン画を描いてみようと思いました。
とりあえずラフを元に全身を描き起こしてみます。

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最初は砂漠の旅人にしようと考えていたので、キャリーバッグとか持たせてました。(後からダサいと気付きました)
一旦これをベースに色々物を足したり削ったりしてみます。

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シルエットは気に入っていたので大きく変えず、どことなく寂しい下半身部分を試行錯誤していました。小物の形などは後から詰めるので、大まかなデザインや配色、小物の位置を考えながら描き出していきます。
最後はダサかったキャリーバッグはバイクに変えてみました。かっこいい。

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世界観を詰めてみます。旅人とすると廃工場のような固定の場所に縛るのが難しそうだったので、めちゃくちゃ大きい廃工場の近くの街に住んでる修理屋さんにしようと思いました。元になっているのがうちの子のシーフちゃんです。好奇心旺盛で仕事のない日は工場に行って珍しいものを探すのが趣味です。ちなみに妹のシーナちゃんも設定を考えていて、街の宿屋で働いてる設定にしてます。工場に行くお姉ちゃんをめちゃくちゃ心配してます。

ちなみにこの廃工場でもの漁りするという設定はゲームのEscape from Tarkovから着想しました。あのゲームはとても美しいグラフィックで荒廃した風景が再現されてて見ていて感動します。あのゲームを資料に廃墟の風景をこれから描いてみたいと思っています。いずれは資料を撮るために自分でプレイしたいなと考えてますが、時間が溶けるので今はとりあえず配信で我慢しています…。(お散歩モードが欲しい…)

もっと世界観の設定は考えているのですが、書き出すと長くなりそうなので資料でまとめて公開しようと思います。

絵に着手する

世界観の設定がよく出来てきたので世界観が伝わる絵を新しく描き起こそうかと思っていました。ただ、やっぱり気に入ったラフだったのでこのままこれを完成させて、次新しい絵を描くことにしました。これからこの設定でいくつか絵を描いてくので楽しみにしていてください。

ラフから線を起こす

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冒頭で紹介したラフの状態からだと塗り始めるのが難しいので、色と加工のレイヤーを非表示にした白黒の状態からどうするか考えます。

私は基本線画は描かず、ラフの上から直接色を塗って線を整えていく描き方をします。理由は線画を描いてラフのレイヤーを消すとラフの良さが失われてしまうこと、線よりも塗りで形を取る方が自分の感覚に合っていること、この描き方の方が線と塗りが馴染むことが挙げられます。
とはいってもこのラフはあまりにも雑なため、デザインに合わせて線を描き出します。線を起こすと言ってもしっかりした線画を描くわけではなく、ざっくりと物の構造が分かる程度に線を引いていきます。

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線を描き出しました。ここで意識しているのは形状などをうやむやにせずに細かいところまで書き出すことです。ゴーグルの形状やフードをまとめる紐部分など、ラフではうやむやにしていた部分をちゃんと描いていきます。ここで形状を決めておくことであとで迷わずに済みます。

ラフを整える

線を起こしたら色分けをしようかと考えたのですが、ラフの色味や勢いが消えてしまいそうだったので、ラフと線画を混ぜた状態から描き始めることにします。

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ラフと線画のレイヤーの濃度を調節してこんな感じにしてみました。めっちゃいい色ですね。この状態でレイヤーを結合して上から塗り始めます。

最初は全体を整えていきます。細部は後で描きこむので、スポイトで色を取りながらパーツの区切りを明確にしていきます。どこがどうなっているのかはっきりしてきましたね。
顔は一番印象を左右する部分なので、この段階からしっかり目に整えています。
胸のアクセサリーや紐などは後で描いたほうが効率がいいので、一旦塗りつぶしています。

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パーツごとに色を塗り込んでいく

パーツがはっきりしてきたので描き込んでいきます。普段は全体を見て気になったところを好きなように塗っていくのですが、そのやり方だといつまで経っても完成が分からず塗り終わらないという事態に陥るので、今回はちゃんとパーツごとに塗っていくやり方を試してみようと思いました。

まずいちばん後ろとなる肌から塗っていきます。基本塗りの順番は後ろから塗ると形が整えやすくておすすめです。

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肌を塗り終えました。あまり印象は変わらないですね。
これからどんどん塗っていきます。(あまり大きな変化がないので同じような画像が何枚か続きます)

次はゴーグルとパンツです。ゴーグルのレンズ部分は別レイヤーで作成して透明にしています。パンツとベルトが結構いい感じに描けて嬉しい。

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次は髪を塗ります。フードのあたりが結構大変でした。フードの中もついでに塗りました。ラフの時点で好みの感じに塗れていたので、あまり大きな変化はないですね。

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次は中のタンクトップと腰のバッグです。ちょっとタンクトップが綺麗になりすぎた気がするので、後で汚れを描き足したいと思います。今やらない理由は、後で全体を見ながら調節した方が馴染んでいい感じにできるかなと思ったからです。
右下に寂しさを感じたのでバッグを見える位置に追加しました。本来はもう少し下にありますが、絵は少しくらい改変しても許されます。

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次は手袋と上着を描き込みます。上着にかろうじて残ってたペンダントも塗りつぶしました。だいぶ完成に近づいてきましたね。

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次は小物を追加します。
別レイヤーで大まかな位置と形を決めます。ペンダントの形を決めていなかったので資料を眺めながらこの段階で考えていました。

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上着を抑えるところは紐にしようと思ったのですが、寂しいので金具を追加しました。ペンダントは懐中時計にしようと思ったのですが、あまりかっこよくならなかったので、歯車型の方位磁石にしました。

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小物から落ちる影を描き込んで、いい感じに馴染んだかなと思います。

背景を描きこむ

背景を描き込んでいきます。
これまでずっとほぼ一枚のレイヤーで作業をしていたので人物も背景も分かれていなかったのですが、人物のマスクを作成することで比較的楽に作業ができました。

廃工場がモチーフなので工場のシルエットを描いていきます。ラフのときに描いたものも使って、レイヤーの濃度を変えて重ねることで情報量を足しています。後でぼかす予定なので、少し雑に描き込んでいます。

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(実はこの間に人物にも少し加筆をしていたりします)

加工と色調整をする

ほぼ仕上げです。
背景をぼかして遠近感を出します。また、全体の色味を少しオレンジよりにして太陽の温かい感じを出しました。(オーバーレイでオレンジを全体にかけると簡単にできます)
砂漠なので砂が飛んでいるのをイメージして、白いキラキラしたエフェクトを追加しました。
スクリーンで右上から少し白っぽく光が差している加工もしています。
コントラストやレベル補正なども色々やりましたが、いじりまくっていたこともあり細かく何をやったかはあまり覚えていません・・・。とりあえず色調整のレイヤーをたくさん使って自分好みの雰囲気に近づけるようにしています。

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仕上げ

最後に全体を見直して、違和感がないかなどを確認しながら加筆します。
光源に対して人物の明暗が馴染んでいないと感じたので、乗算で少し影を追加しました。(フードや左の二の腕の影を見てもらえると分かりやすいかと思います)
また、反対に加算レイヤで光の当たる部分を少し明るくしました。(髪の毛や左腕を見ていただけると分かりやすいかと)
最後に目のハイライトとペンダントのキラリとしたエフェクトを描き加えて完成です。

砂漠の冒険者_2

作業時間は合計して15時間くらいでした。設定画やデザイン画はカウントしていないので、そちらも含めるともう少し多いかなと思います。
作業時間を測ることはあまりしてこなかったのですが、個人的にはもっと早くなりたいなと思っています。でもこの塗り方にしてはいつもよりかは時間は短いほうだと感じます。やはりちゃんと工程を考えて作業すると効率がいいんですね。(いつもは終わりが分からなくなる・・・)

描き終えた感想

個人的にはめちゃくちゃ好みの雰囲気にできたので満足しています。また、以前よりも好きなイラストレーターさんの塗りに近づけた気がして成長を感じました。
課題としては、構図のせいかキャラクターのデザインのせいか、絵としてぱっとしない印象を受ける気がします。やはりどこか言いたいことが伝わらない感じがして寂しい。安っぽい。物を描く力はついてきた気がしますが、まだ表現力が足りていないですね。構図の勉強を頑張りたいと思います。

こちらのイラストをsessaにて添削をお願いしたので、課題が見つかるといいなと思う次第です。添削が返ってきたらまた記事を書こうかなと思っています。

終わりに

実はラフから清書しようと決めたときから、こうやってnoteに工程をまとめることを決めていました。
最近自分は伝えることが苦手という絵描きとして致命的な弱点があることに気がついたので、こうやって何かメディアを通して絵プラス何かで伝えることの練習をしていきたいと思い立ったのでこのように記事を書き始めました。実際、伝える前提で作業をするといつもよりも何倍も考えることが多くて、いかに自分が今まで頭空っぽで絵を描いていたのか思い知らされました。考えて描くことってこういうことなのかと思い知らされるシーンが何度もありました。
おかげで得るものもたくさんあったので、やってよかったなと思っています。

FANBOXでやろうか悩んだのですが、まだ練習段階にある状態から始めることに少し気が引けたので、もう少し記事を書いたりまとめたりすることに慣れてからFANBOXを始めようかなと思っています。

これからnoteで週一くらいを目処に何かしら記事を書いていこうと思いますので、気が向いたときに目を通してもらえると嬉しいです。

もしメイキングの中で聞きたいことがあれば気軽にコメントしてください。Twitterの方でリプやDMしていただいても構いません。

ではまた、次の記事でお会いしましょう。

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