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【Skebご依頼絵】イラストメイキングその2

メイキング第二弾です。
今回Skebでご依頼をいただいたのでせっかくなので制作過程をご紹介したいと思います!
ZeF様のオリジナルキャラクターのシズカちゃんです!とっても可愛くてかっこいい子です。

今回のご依頼、まさかのリピートでとっても嬉しかったです・・・。こちらのクライアント様からは以前も一度ご依頼をいただいていて、その時もオリジナルキャラクターを描かせていただきました。その時のイラストはこちらです。

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青い子がヒロコちゃん、赤い子がアイカちゃんです。うちの子にとてもビジュアルや性格が似ていたので描いててとても楽しかったです。

今回はその匕ロコちゃんの別人格のシズカちゃんを描かせていただきました。イラストはこちらです!!

シズカちゃん_サインあり

[Skeb作品ページ]
https://skeb.jp/@shifulu06/works/2

キャラデザがとてもよく描いていてとても楽しかったです…。
今回シチュエーションの指定がありまして、木の側に座って大剣を立てかけるか体に沿わせている。表情は笑っているか真剣な表情のどちらかというご指定でした。

それでは制作過程をご紹介させていただきます。

構図を考える

まずご依頼の文章から最適な構図を考えます。
木の側に座っているシチュエーションということですが、木の側ということは木陰のイメージが強く出てしまい、全体的に温かみのある穏やかな絵になってしまうなと考えました。
依頼文だけを考えるとそれでも問題なさそうなのですが、資料となる画像をまとめたURLが依頼文に添えてありまして、そちらを見たところ後述するイメージを強く感じました。

まずキャラクターについてですが、いただいたキャラクターの資料を見るに結構激しめの性格だなと思いました。また、依頼文でも獣のような瞳をしていると描かれていたので、鋭い目つきのキャラクターであることから、穏やかな雰囲気を合わせるのは難しいのではと感じました。

次に背景ですが、資料として木陰に座っているイメージ画像もいくつかいただいたのですが、穏やかというよりかは戦の後だったり戦いの準備をしている等のかっこいい感じのイメージを受けました。

これらを総合して考えた結果、木陰で座っている中にもどこかかっこよさを感じる構図というテーマで3つほどラフを起こしてみました。

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①はシズカちゃんの攻撃的なイメージを背景の赤色で表してみました。この構図は補色でシズカちゃんの水色の瞳が目立つのでかっこよくできるなと手応えがありました。
②は穏やかな雰囲気ですが、「木の下で休憩していたら草陰から物音が聴こえてきたので警戒して剣の柄に手をかけている」というイメージでした。一番シチュエーションが言葉にできている構図なのでこれもお気に入りでした。
③は木の下で雨宿りというテーマでラフを起こしてみました。暗めの画面にしっとりした雰囲気とシズカちゃんの水色の目を綺麗にギラつかせて描けるのではと思いなかなか好きな構図でした。

とても迷ったのでそれぞれのラフをキャンバスに広げてみたり、ラフをもっと詰めてみたりしたのですが、②にすることに決めました。理由は①は以前描いた絵とアングルや構図が被ることと画面に面白みが出しづらいなと感じました。②か③で悩んだのですが、③はラフをどれだけいじってもいい色合いやライティングにならずきれいな絵に仕上げられないかなと思いました。

ラフを詰めていく

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ラフが決まったのでキャンバスに広げてみました。最初はもっと引いた構図でしたがキャンバス全体を見たときにキャラをもっと目立たせたいなと思ったので少しトリミングをしました。
また、ラフのときはキャラクターや木が直立だったため、少し角度をつけて斜めのラインを作りました。真っ直ぐなラインは画面に安定感を生みますが、角度があるほうが画面に動きが出ると勉強したのでそれを試してみました。今思えば確かに煽りの構図でもあるので画面に対してまっすぐなラインは現実では作るのが難しいので、そういった意味でも角度をつけるのが正解でしたね。

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画面配置を考えた時に、キャラクターより下の空間が気になったので、空間を埋めるようにポージングを少し変更しました。大きな木の根の上に座っているイメージなので、この足のポーズも違和感はないですね。

背景を描き込む

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レイヤーを、背景、もたれかかっている木、キャラクターの3つのグループに分けて、奥から順番に描いていくことにしました。ラフの背景は茂みの中のようなイメージでしたが、どことなく高い木の枝の上に座ってるようなイメージになってしまいそうだったので木を描き込みました。背景をしっかり描いた経験があまり多くないため、木の葉っぱをどのように表現したらいいか分からなかったためペンに頼ることにしました。クリスタのストアで探したところ、こちらのペンが見つかったので使ってみました。

【遠方の森ブラシ - CLIP STUDIO ASSETS】
https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1828475

このようなペンの難しいところは、どれだけ絵と馴染ませるかというところです。自分で描くのでは表現できないものや時間がかかるものを短縮してくれるツールではありますが、使い過ぎても自分の絵から浮いてしまいます。自分の絵に合うペンを選んでいきたいですね。

今回は光が差し込んでいる森なので、森の写真の資料を見ながら木を描き足していきました。遠くにある木は細く、そして空気と光の遠近法で薄くなります。手前にある木は太く、空気遠近の影響が少ないので濃くなります。こういった資料の中で気づいたところも自分の中で言葉にしながら描いていくことで自分の表現として落とし込むことができます。

また、気をつけなければいけないのは今描いているものが遠景ということです。カメラから離れた景色なので、ディテールよりもシルエットと色を意識しました。ディテールを詰めてしまうと背景の密度が高まってしまいキャラクターに目がいきづらくなります。今回はキャラクターがメインなので、キャラクターを目立たせるためにコントラストを抑え目にしました。

色は綺麗なグラデーションになっていますが、自分で色を選んで塗ったのではなくグラデーションマップを使っています。グラデーションマップを使うことで遠くの木の濃さや手前の暗さなどを調節できるためとてもよかったです。普段はあまり使わないのですが、もっと使いこなせるようになって表現の幅を広げたいです。

キャラクターの細部を決める

次はキャラクターがもたれかかっている木を塗るはずだったのですが、このときの私はすっかりその工程を忘れていてキャラクターに着手してしまいました…このせいであとで苦労することになります…。
キャラクターに着手するのですが、ラフのまま塗り始めると細部のパーツの形や境界線で混乱するので、新しく線を描いていきます。前回と同じですね。線画というほど綺麗な線ではなくてよく、物の形状がしっかり分かる線を引いていきます。特にアイテムをあやふやにすると後で塗るのに苦労したり角度やパースがおかしかったりするのでここできっちりと形をとっておきます。

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こちらが細部を描きこんだ状態です。脚のナイフや手をかけてる剣の形がしっかり取れていますね。資料を見ると剣の鞘に背負う用のベルトが付いていたのでそれも追加しました。

ライティングを調整する

細部が決まったので塗りに入る…と思いきや、画面の雰囲気が出来上がってきたので、ライティングを調整します。光の方向を考えながら、どこに影が落ちるか、どこが明るくなるかを考えながらレイヤーをたくさん追加して影やハイライト、リムライトを描いたり消したりを繰り返して1番いいと思える状態を探ります。実はここの作業が1番好きだったりします。
細部の線を描きこみましたが、やっぱりラフの勢いが消えてしまうのでラフの線は消さずに薄く表示して作業しました。
こちらがラフの最終段階になります。

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実は自分の中でこの段階のラフが完成絵と同じくらい好きだったりします。整っている絵も好きですが、厚塗りのペンでガサガサ描いたような、線も輪郭も整えてない絵はどこか特別な魅力がありますよね。
この段階だとシャツのハイライトからパーカーに差している光が特に好きです。肩のあたりのリムライトもいいですね(マニアック)

細部を塗り込む

キャラクターのレイヤーを線画ごと結合して一つにします。
ここからパーツごとに塗り込んでいきます。奥になるパーツから順番に塗り込みます。
まずは肌から。

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足が綺麗に塗れてめちゃくちゃ満足していました。塗り込んでいる段階で太ももの長さが気になったので調整しました。
顔もしっかり塗り込むので、これだけでかなり印象が違いますね。

次はシャツと髪を塗ります。

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髪のハイライトがとてつもなく気に入っています。これからも使っていきたい。

次はパーカーとパンツと手袋です。

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ついでに剣もちょっと色を付けています。
パンツの皺がお気に入りです。

残りの小物類を塗ります。

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キャラクターの角度に違和感があったのでこの段階で修正しました。結果左足が切れてしまったので次で修正します。

キャラクターの周囲を描きこむ

もたれかかってる木や座ってる木の根を描こうとしたのですが、このあたりを曖昧にしてしまっていたのでかなり苦労しました。そのポーズが自然になる木の根がうまく描けず、計画性のなさを嘆いていました…。
結果、石の上に座り木の根は奥に押しやりました。近景が欲しかったので草を生やしぼかしを加えました。

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やっと絵になってきた感じですね。切れた足も付け足しました。

仕上げをする

すべての箇所が塗り終わったので仕上げをします。
全体を見て気になったところをひたすら修正します。全体を塗って終わりかと思いきや、この作業はそこそこ時間がかかります…。

途中経過を取るのを忘れていたので、先に完成絵を貼らせていただきます。

シズカちゃん_サインあり

具体的に何をしたかを書き出しておきます。

・全体の色調調整
・左上あたりに木の葉を追加
・Tシャツと腕にシンボルマークを追加(入れるのを忘れていました)
・背景にオーブを追加
・キャラクターの明暗の幅を広げる
・剣の明暗をはっきりさせ、宝石の光を入れる
・木の間から差し込む光を追加

だいたい実施したのはこれくらいかと思います。
これで一晩寝かせ、違和感あるところがないか確認した後に納品しました。​

制作過程は以上となります。

今回の挑戦

実は今回のご依頼絵である挑戦をしたいと決めていました。前回のご依頼絵や個人的に人にプレゼントした絵に共通することなのですが、いつも私は人にお渡しする絵は今回のような厚塗りではなく、基本的にすべて線画を綺麗に描いてから塗った絵ばかりでした。厚塗りをした絵は最近それなりに増えてきましたが、実は個人制作のものばかりです。

それには理由があって、当たり前のことですがお金を払っていただく限りは対価として見合うものを提供しなければいけません。そのため商品感のある絵を提供しなければいけないのですが、自分のスキルでは厚塗りのイラストをお金をいただけるほどのものに仕上げられる自信がありませんでした。また、厚塗り絵は時間がかかってしまうということ、失敗したときに戻りづらいことなど、色々心配なことがありつい避けていました。

ですが最近線画を描くものよりも厚塗り絵を中心に練習をしていたため、今回のご依頼をいただいたときに厚塗りに挑戦しようと決めました。結果的に制作に時間がかかってしまい、お待たせする形にはなってしまったのですが、ありがたいとこに到底安いとは言えない額のブーストとお礼のメッセージをいただけてそれがとても自分の自信になりました。本当にご依頼していただけて嬉しかったし頑張ってよかったです。

私の今の目標は、ゲームのカードイラストのような見ごたえのある綺麗な一枚絵が描けるようになりたいと思っています。そのためには厚塗り絵をもっと極めたいので、これからももっと精進したいと思っています。

最後に

長くなりましたがここまで読んでいただきありがとうございました!質問等あればTwitterやコメントでいただければ対応します。
次はお世話になっている友人の誕生日イラストや、sessaでいただいた添削の見直しなどやること盛り沢山なのですが、めげずに頑張っていきたいと思います。

おまけ

今回ご依頼いただいたZeF様のキャラクターはとてもうちの子に似ていて、それがとてもお気に入りでつい落書きを描いてしまったのでここで供養させてください…。

お姉ちゃんとヒロコちゃん

←うちの子のシーフ
→ZeF様のヒロコちゃん

シーフにはヒロコちゃんのシンボルマークの狼のポーズを、ヒロコちゃんにはシーフのモチーフの薔薇を持たせてみました。

(雑になってしまいごめんなさい…)

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