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【過去の社内メッセージより】人生の半分を過ごして。

2010年より、SHIFTの社内向けブログにさまざまなメッセージを書いてきました。そのメッセージをより多くの方たちに読んでいただきたいと思い、noteに転載したいと思います。

(SHIFTの社内向けブログ2013年11月27日)
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今年39歳になりました。男性の平均寿命が約79歳らしいです。なんで、僕もそろそろ人生の半分を過ごしました。

小学生の時に描いていた社長になるという夢も果たし、なんとかこうやって会社経営しています。会社はソフトバンクのように大きくないし、イーロンマスクのように世界を根本から揺るがす、人類の発展に貢献するような革命を興しているとは言えないです。

そして、会社の規模拡大に向けて邁進すべきか、高収益企業にして税金を納めるべきか、これまで培ったノウハウを後輩に教えるべきか、自分でまだまだ成長してもっと大きな業をなすべきか。

シフトは労働集約の固まりのようなソフトウェアテストという仕事をしており、どんどん人が増え、いまでは350名を超すような所帯になりました。僕はコンサルタントをしていた当時、少数精鋭で頭の良い人だけで、毎日頭の体操ばかりするのに嫌気がさし、規模拡大に大きく舵キリをしました。

会社の売上は、商品が売れた見返りで受ける感謝を表しており、お客様から喜ばれた量だと思っています。なので、売上が多いことは凄く良いことです。

よく我々のようなサービス業の会社の売上は、物販の売上の1/10といわれています。つまり物販で200億円の会社の規模と、サービス業で20億円の会社の社員数や難易度(規模)は等しいと。

サービス業の人は、売上が低く、物販の人の売上を単に傘がでかいだけと考えることもあると思いますが、それだけ多くの人に多くの幸せを分配していると思っています。

一方、物販で売上200億円の会社と、サービス業で売上20億円の会社の社員数は、たぶん100名〜150名くらいだと思います。社内では、会社は人口だって言っていますが、雇用の数でいうと同じです。

つまり、どれだけの購買力を創出したかだと思います。そして、先日の月次の社員総会で言いましたが、マズローの法則でいう社会的欲求を満たすために、人間は何かに所属したいという意識があり、その所属を提供する素晴らしいコミュニティだと思います。

なんで、会社というのは単なる生きるための購買力を手に入れる媒体で、かつ自分が同士と一緒に人生を楽しむ、もしくは人類に貢献する重要なコミュニティだということです。

なので、僕は多くの人の購買力を創出したいですし、多くの同士と人類に貢献したいと思っているので、会社は人口だといって、とにかく数は増やそうと思っています。

また、会社というコミュニティは、売上ー(仕入れ+人件費)=利益という事がいえて、特にサービス業で言えば、仕入れがほとんどないので、後は利益が残る。

ここで、少数精鋭で付加価値の高い企業を創りたいと思う人が多くいると思います。本来であれば、僕もそうしたいです。

ただ、それは単に人を増やしてメンドくさいことを減らして、コストを最小限にして倒産するリスクを避けたいと思っているだけだと思います。高収益企業だから世の中に貢献しているということは一概には言えない。

だって、利益は税金と株主に還元されるルールだから。

つまり、税金はその国の人々が暮らすために必要なマンションでいう管理費であり、すべての国民に行き渡らせるので、その効果は薄まります。そんなことよりも、利益があがるんだったら、思いっきりボーナスを増やして社員に還元した方がもしかしたら、多くの幸せを提供できるかもしれないですね。

僕の会社の存在意義として、優秀な才能をもって生まれた人は、人の50倍から100倍働いて、政治を通した富の再分配じゃなく、企業で勤めているのであれば、その会社のサービスを通して、世の中に知の再分配をして欲しいと思っています。

話は戻って、利益は税金、そして株主のもの。僕もシフトの大株主なので、何ともいえないですが、株主のためというのは、一部の資本がある人のための還元制度なので、いまの資本主義のルールにおける幸せの分配という形だと思います。

何を言いたいかといえば、売上だけが多くて利益を出していない会社が駄目かというと、多くの人に物やサービスという意味での幸せを届けているという意味があり、社員やスタッフが多く図体だけでかく、利益を出していない会社が駄目かというと、多くの購買力を創出しており、多くの仲間の夢を共有出来る箱を提供しているという意味であり、だから売上も低く社員数が少ないけど、高収益企業というだけが褒められるというのではなく、それは単に国民と株主を幸せにしているという媒体であるということだと思います。

会社の図体が大きくなると、そのコミュニティも大きくなり、本当に同じ夢を追えるのか、単に働かせているだけのブラック企業もあるじゃないかという議論はここでは辞めましょう。

僕もシフトで、「いちゃ部屋」という恥ずかしい名前で、社内Facebookなるものを開発して、日々の業務で「いいね」(シフトでは「よっ!!」)が貰えたり、ありがとうポイントで感謝を交換できたり、これからやりたいと思っているコミュニティ機能で、プロジェクトのコミュや運動部や文化部のコミュもつくって、もっともっと会社という媒体を利用して、交流を図ってほしいとも思っています。

つまり、会社が300名も超えると、社長が言っていることなんて、誰も聞いてないですし、こうやって僕がブログを書いても、すべての社員が読むわけでもない、ましてや日々の業務で、なぜ働く?なぜシフト?なぜ自分は存在する?という疑問に答えてくれる人は隣にはいないもんなんです。

だから、300名を超えると企業は伸び悩むもの。理由は簡単。社員に声が届かないから。それはシフトがいま挑戦していることであり、僕は「one message」とそれを増幅するコミュニティだと思っています。

なんで、なぜ働く?なぜシフト?なぜ自分は存在する?がわかる「one message」を僕は創ろうと思っています。

話は、企業の存在意義に戻って、どんな形態であれ、存在意義はあると思いますし、売上、社員数、利益にはそんな意味があるということを理解したうえで、自分のフォーカスすべきスタイルという物を決めて、人類の発展に貢献できればと思っています。

じゃあ、お前のスタイルは何かって問われたら、僕は近くの人を幸せにし、人類にない体験を発掘し、提供したいということだと思います。

もっと具体的に言うと、多くの仲間を雇用し購買力を創出し、その仲間に夢や毎日の小さな幸せを提供し、株主という身近なステークホルダーには利益で還元。

つまり、

・社員やアルバイトの数は、とにかく増やす。
・シフトと個人の夢を可視化し、日々の中で体感させる。
・利益をあげて、シフトを応援してくれた株主に還元する。
 (国民のためではない)

そして、国民や人類には、日本人の得意が分野というソフトウェアテストと小型化技術を通して、世界で通用する会社として夢を提供する。決して税金という形ではなく。

なんで近くの人を幸せにかというと、僕の痛い経験がそうさせました。

4年ほど前、シフトは倒産するほどではなかったですが、やる事業すべてが失敗の連続。社員からの信頼は薄れ、ピカピカの会社を辞めて来てくれた創業メンバーに何も恩返しができてなかった。

当時の僕は、博愛主義。全ての人が幸せになってほしいと思っていた。例えば、泳ぐことができない社員がいるんですが、彼と僕の奥さんが溺れていたら、どちらを助けるかと問われたら、泳げない社員だと当時は思っていた。なぜなら奥さんは泳げるから。

でも、僕はマザーテレサじゃないんです。僕がどれだけみんなのことを思っていても、相手からすると、丹下さんって半年に一度話す人ですよねって。正直、愛なんて薄まるんです。

だから、みんなを幸せにしようとしたら、まずは近くの人を幸せにして、その人が幸せであれば、またその周りの人を幸せにしてくれる。だから遠心力が働いて僕が一人でできないことができるようになると。

なんで、言い方はキツいですが、愛情は優先順位だと思っています。なので、近くの人を幸せにするというのが僕のスタイルです。

そして、40歳を前にした39歳として、これから何をすべきなのか。会社の経営スタイルはこれで確立して来たのですが、個人として、これまで培ったノウハウを後輩に教えるべきか、自分でまだまだ成長してもっと大きな業をなすべきか。

昨年は、ビジネスアスリート塾と称して、僕が年間2億円コンサルタントとして稼いできたノウハウや、夢に向かって走るためのセルフプロデュースの仕方や、ビジネスモデルの創り方を教えてきました。

毎週水曜日にやっていたので、30回くらいは講座をしました。それはある程度の人に良い刺激を与えれたと思っていますし、特に新卒や内定者の子たちには、直接価値提供できたと思います。

ただ、6月で辞めました。理由は、自分の得たものを放出して、また自分を鍛えたくなったから。僕だけ教えて、学びが得られないというのが、対等じゃないと思ったから。

だからトライアスロンにチャレンジし、自らを鍛え、英語は中途半端だけど、規模拡大の会社経営にチャレンジし、まだまだ自分を鍛えたいと思っています。

大変可愛がってもらっている某IT企業の社長には、「俺はお前に奢ってやるけど、お前は後輩に必ず奢ってあげろよ。後輩にチャンスを与え、育てろ」って言われ、それを実践している。本当に素晴らしい経営者だと思う。

だから、少ないながらも若い後輩には費用を出して、時間を提供し、チャンスを与えたいと思った。そして、ご飯を食べるときは、必ず奢る。割り勘って、ほぼしたことがない。

でも、アスリート塾は辞めた。何か対等じゃないと思ったから。もっと違う形で、後輩に残したいと。もしかしたら、アスリート塾で得たノウハウを彼らのさらに後輩に伝えてくれたりとか、その動画や教材(全部とってある)をもう少しまとめて、整理してくれたりとか、もっと僕と一緒に議論するコンテンツにしてくれたら、対等だと思うのかもしれない。

砂漠に水を与えるって、いつも思っているけど、それだけだと救われないから。

だって、その社長でも、もし僕が後輩に奢らなかったら、がっかりするだろうし、もう丹下に奢ろうなんて、思いもしないと思う。だって意味がないから。

昨日、品川区で10人くらいの前で講演してきた。いつものスタートアップの若いイキの良い若者じゃなく、町工場で鉄拳のパラパラ漫画に出て来そうな、おじさんとおばさんが聞きにきてくれた。

こんな若者を話を。たくさん質問してくれて、たくさん会話して、たくさん納得してもらって、目がキラキラしていた。僕は勇気を貰った。あの鉄工所で働いていそうなパンチパーマのおじさんと、Jelly fishのような頭をしたおばさんは、家に帰って、テレビを見ながら、日本酒を飲んで、今日の講演の話を自分たちの生活、仕事にどう活かしたら良いか、真剣に話していると思う。

正直、生きてる実感がした。

人生の折り返し地点。若い人だけじゃなく、僕よりももっともっと人生の先輩も含めて、どういう形かわからないけど、会社じゃない媒体で貢献したいと思った。

そして、5歳の息子は、土日はいつも会社の話になる。息子は自分の会社の名前を「マックス」にしたいらしい。

最近は戦隊ものにハマっているので、パパの会社とくっつけて「シフト ガイヤ」にするとも言っている。

彼には何を残せるのだろう。お金や一般的な学歴とか教育とか、正直どうでもいいし、起業家として根っこになる何かを残してあげたい。

40歳を迎える頃には、見つけていると思う。


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