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【過去の社内メッセージより】人類の最大の発明は貨幣である

2010年より、SHIFTの社内向けブログにさまざまなメッセージを書いてきました。そのメッセージをより多くの方たちに読んでいただきたいと、noteに転載したいと思います。

(SHIFTの社内向けブログ2012年10月4日)
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前職の時、毎日僕を悩ませていたことがある。

理系で育った僕にとって、質量保存の法則が当たり前だと思っていた時、社会に出て就職し経済に触れるようになると、お金に関して深く考えることが多くなった。

GDPって何?国力って何?なんで、GDPが毎年成長するの?

質量保存の法則が成り立つのであれば、GDPが伸びることは、あまり理解できない。

でも人口が増えているのだから、それを消費(若しくは生産)する行為が増えて、当たり前だという意見もある。

でもなんで??たぶん人口増えなくても、GDPは伸びるし、むしろ日本は人口減ってても若干だが伸びてる。

そして、何よりも、どこかの会社が儲かってどこかの会社が儲かってなくて、質量保存の法則が成立してれば、ゼロサムだよねって。

でも、基本GDPが成長しているので、ゼロサムじゃないんだよねって。

この難問には、自分の中で答えが整理されるまで数年かかった。あらゆる工程は短縮出来るという難問を解くのに2年。コミュニティには、2対6対2の法則があって、この6割に何をすれば発展するのかの問題を解くのに3年。

この問題には社会人を終えて、会社経営をするようになって初めて分かった。なんと6年ほどもかかっていた。

ここからは私的な見解なので、正しいかどうかは分かりません。

この問題を説明するのに、人類が創造された時代までさかのぼって考えました。

僕の中で、人類の発展で、もっとも大きな発明は、お金だと思っています。

火を興すこととか、蒸気機関の発明とか、IT革命とかありますが基本的には、お金の発明がもっとも偉大であり、人間だからこそ生まれた産物だと思っています。

お金って、汚いというイメージがあるかと思いますが、僕はそうは思っていません。

人類がまだ、貨幣制度がなく海で魚を獲り、家族を養っていた頃を想像してみて下さい。

当然、魚を保存出来る技術など無い当時は、魚は神の恵みであり今日食べる物しか獲る必要はなかったのです。

だって、腐るから。

でも、魚が獲れる日と獲れない日があります。毎日の食が安定せず天候にも左右されますし、何よりも魚を獲ることができる人が重宝がられていたと思います。

もし、自分が魚を獲る能力を持っていなかったら。木に登れず、ヤシの実を獲る能力が無かったら、どうするのか?

そうです。いつも家族で魚が獲れる人、若しくは集落で魚が獲れる人に恵んで貰っていたでしょう。

実は、その人が素晴らしく絵を描くことが得意でも、素晴らしく楽器を弾くことが得意でも、素晴らしく計算ができたとしても、評価はされないんです。魚を獲った者が、唯一報われる世界です。

ただ、ここで、魚を保存する技術が生まれました。

それがお金(貨幣)です。

そう、魚を貨幣に替えることで、多くの魚を獲ることができます。そして、天候が悪くて、魚が食べれない時に、山の恵み(バナナ、ぶどう、オレンジ、芋など)を魚の代わりに食糧にすることができるようになったのです。

そりゃ、良かった。でもGDPが増加するエントロピー増大の法則を説明しているわけじゃないよね?って思いますね。

僕が気づいたのは、ここからです。

魚をお金に替えることができるようになると、自分の技術が保存できるので効率を考えるようになりますね。今日は体調が悪いので、漁に出るのは辞めよう。そして、好きなものをたくさん食べることができますね。

そうすると、お金をたくさん稼ぐことを重視するように人間はなりますね。そう、DNAにインプットされて生まれて来ているので。

今日の本題は、そこじゃありません。

例えば、今日獲れた魚(鯛でも、マグロでも良いです)をそのまま村の集落で、魚が獲るのが下手な人へ渡していたとしましょう。

そうすると、その魚は1匹100円(通過単位はどうでもよいので、例えやすく円にしました)に交換できました。

毎日毎日、魚を獲っては100円に替えてもらいます。その100円を芋に替えるのは、良いことです。しかし、それだけでは経済は発展しません。

今日、1匹獲れる所を、10匹獲るために、餌の種類を変えたり仕掛けを替えたり工夫しますね。これは単なる効率化だと思います。

でも、100円の魚を150円にして売れたら、こちらの方が良いですよね。

ある日、山に住んでいる人に「腐りやすいので、魚の内臓を取り出して置いてくれ」「そして帰ったらすぐに食べれるように、切り身にしてくれ」と言われました。

漁師は、これだと思いました。

そうです、ちょっと頑張って切り身にするだけで100円のモノが150円になって価値が増大するんです。

同じ魚です。質量保存の法則では、質量が内蔵の分だけ減っているので価値が低下して当たり前です。

でも価値が増大しています。さらに、原始時代のように石のお金で交換されていたとしたら、その効果が半減します。

なぜなら、100円の魚を買おうとしたら、とっても便利な150円の切り身があり、欲しいと思ったとしても150円分の石を持ってきてないんです。

残念です。これだと価値が半減どころか、評価されません。
なので、ここでクレジットカードの偉大さが登場するのです。

そう、皆さんが触れている金融商品です。
つまり、経済は、実体商品と金融商品とが融合しながら発展していくのです。

そのどちらかが全てではありません。
凄く明快に世の中の構造を表現してくれてます。

今日、僕が言いたいのは、この貨幣の発明によって、人類が幸せになったということです。

何回も繰り返しですが、お金持ちになるかどうかではありません。この貨幣が生まれたことにより、魚を獲る人、魚を加工する人、魚を運搬する人、山の幸を獲る人など、分業化されていきます。

もっというと、食物を獲らなくても、絵を描く人、楽器を弾く人、計算をする人という、多くの分業化を生むことができるんです。

そもそも、シフトがソフトウェアテストという仕事をしていることすら、ソフトウェア開発の中で、そこまで分業化するかという一つの最終形なんです。

言いたかったのは、貨幣が生まれる事で、分業化が生まれ、そして人間本来が持っている才能を世間の人がその価値を認めてくれる公平な世の中になったということです。

僕は、この世の中がとても好きです。これは、草や木、サルにはできない概念です。

今の日本では、たった人口の3%の人が米をつくっており、25%くらいの人がモノをつくっており、あとの70%強はサービスをつくっています。

僕には、草と木みたいに養分や水だけで人間が生きられるなら、この3%だけが実であり、残りの97%は虚だと思っています。生きる上では必要無いですから。

周りに見えるものほとんど全てが虚(仮想現実、人間が創りだしだ偶像)
であるのです。

ゆえに、人間の良さは創造できることであり、技術を生み出す能力であり、最終的にはGDPを生みだすのは、人間がいれば勝手にエントロピー増大の法則に従い、増え続けるものであり、不景気など無いということです。

こういった人間社会に生存するものとして、この原理原則を知っていることで、多くの経済合理性を説明出来るし、この法則に従って僕は会社経営をしています。

人間は個性があって当たり前だし、その個性を正当に評価出来るDNAをもともと持っています。なのでシフトはキャラクター採用とよく言います。

営業が得意な人は営業、プログラミングが得意な人はプログラミング、デザインを得意な人はデザイン、ひたすらドキュメント整理が得意な人は、それが仕事です。

そして、その一番得意な分野で価値貢献しないと、評価されないんですね。

よく社内では言いますが、会社はチームなので、チームで勝てばいいんです。

僕は、たまたま面白いことを言ったり、オヤジを口説くのが得意なだけです。マネージメントは得意じゃありません。

会社の社長も単なる組織の機能です。上下じゃなく、並列です。

そして、僕は会社の指揮者です。

みんなが良い音を奏でられるために、どのタイミングでバイオリンを弾いたらいいのか、ピアノを弾いたらいいのかを僕が調整します。

ただそれだけです。

チームで偏差値70が取れれば良いんです。

経済の原理原則から、会社経営まで応用できますね!
物事の事象が解決できて、再現できる方程式に落とせることが、僕にとっての興味・対象なのかもしれませんね。


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