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「立つ鳥あとを濁さず」にするのも後見人の役目

Dさん 男性 鎌倉市在住
法定後見支援歴6か月  
享年85歳
 
鎌倉市高齢者いきいき課かからの相談  
アル中から発症した認知症の男性。ゴミ屋敷状態のアパートに独り暮し。歩行困難。まともに食事もせずヘルパーに無理矢理酒を買わせて飲んでいる。高齢者いきいき課職員の関わりも拒否したが、発熱で倒れ緊急入院。自宅アパートには戻れない。特別養護老人ホーム入所のためには後見人の選任が必要。
 
本人の状況
本人は認知症で病識もない。自宅にいるときは介護拒否が強かったが入院後は拒否する元気もない状態。
本人は独身で、親族は遠方の県に高齢の姉が一人いるだけ。経済的には余裕がなくどうにか特養の費用を支払える程度。
 
後見開始後の支援
・ 鎌倉市長申立でやすらぎが成年後見人に選任され、特別養護老人ホームと入所手続き。
・家財の処分、アパートの解約、未払い家賃、入院費の支払い等を行う。
・退院後の体調からそう長くは保たないだろうという予想はしていたが、半年経たずに亡くなる。最期は特養の看取りのための個室に移り、在宅時代のケアマネやヘルパー、高齢者いきいき課の担当職員に連絡すると、さんざん迷惑をかけられた方たちが三々五々見舞いにきてくださった。
・姉に「東京にあるお寺のD家のお墓に納骨してほしい」と言われたが、お布施を用意するのはかなり難しい状況。思い切ってお寺に事情を説明すると、住職が「お布施は要りません。私が火葬に立ち会ってお骨をお預かりします」とおっしゃってくださり、無事荼毘に付すことができた。
すべての支払いを済ませた後、アパートの近くの酒屋さんの酒代、灯油代で20万円の未払が判明。残った資金の中からどうにか支払うことができ、負債は全部整理した。
 
担当者の想い
アル中で周囲にさんざん迷惑をかけた方だったようだが、なぜか迷惑をかけられた方たちがDさんに優しかったことに心打たれた。
「あんなにお酒が好きだったのだから」と看取りのときにビールで口をすすいでくださった特養のスタッフ。アパートにいるとき頭から吐瀉物を浴びたのに、棺に入れてくれとお酒のパックを持って来てくれた高齢者いきいき課の担当職員。火葬に立会いていねいな読経をしてくださった東京のお寺の住職。
Dさんを支援する期間はわずかだったが、死後の身辺整理をしっかりして見送ることも後見人の大事な役目だと知った。