シブヤライブハウス散歩Vol.1 渋谷から世界に飛び立て!アーティストの登竜門、渋谷TAKE OFF 7(前編)
DREAMS COME TRUE、とんねるず、Official髭男dism…… 名だたるアーティストが日々実力を磨き、広い世界へ羽ばたくための最初期の一歩を刻んでいたライブハウスがあります。 ライブハウスの名は「SHIBUYA TAKE OFF 7(テイクオフセブン)」。 渋谷から若者文化を発信し続けてきたTAKE OFF 7の歴史を、運営会社の株式会社ケイオーエックスラジオ代表取締役 後藤正晴さんに教えていただきました。
えっ、あの人も?TAKE OFF 7から飛び立ったアーティストたち
渋谷駅ハチ公口から宇田川町方面へ徒歩6分。クラブクアトロやよしもと♾️ホールなどが立ち並び、若者の姿が多く見られるエリアにライブハウスTAKE OFF 7があります。 地下へ続く階段を降り、ドアを開ければそこは別世界。通りの賑やかさとはまったく異なる、音の洪水に満たされます。 ロックを中心に、ヒップホップ、アイドルなど、若者たちの多様な音楽表現を支え続けているTAKE OFF 7。 過去の出演者リストには、BOOWY、DREAMS COME TRUE、プリンセスプリンセス、リンドバーグ、所ジョージ、とんねるず、森山直太朗などなど、有名アーティストの名がずらりと並びます。さすが渋谷のど真ん中にあるライブハウスですね。
さびれた「区役所通り」が最先端のストリートへ
TAKE OFF 7のオープンは1980年。きっかけとなったのは、渋谷PARCOをつくった実業家の増田通二さんによる、「渋谷の街を劇場に」というビジョンだった、と後藤さんは語ります。 「増田さんは、『渋谷の街を劇場に、PARCOをそこに来る人たちのステージに』という大きなビジョンをもっていました。渋谷を、お洒落をしてやってくる若者の表現の場として捉えたんですね。」 と後藤さん。とはいえ、当時の渋谷は商用で訪れるサラリーマンや百貨店を訪れる主婦が主な客層の「大人の街」。いまPARCOのある公園通りも当時は「区役所通り」と呼ばれる閑散とした通りだったと言います。 「駅から500メートルもあって、普通ならとても商売に向かないと言われてしまう場所なんですが、増田さんは『それがいいんだ』と。というのも、坂道は段差があるからすれ違う人が美しく見える、というんです。あとは、その坂道に若者が集まりたくなるような楽しい場所をつくればいい。そこから『渋谷のエンタテイメントのステップアップシーンをつくる』というもうひとつのビジョンが生まれました」 街を歩く人たちの姿から流行や文化を感じ取ったり、刺激を受けて自分自身も変化したり……そんな相互作用が働くことを早くから見越していたのでしょうか。
坂道を上がるようにステップアップしていく姿を見守る
渋谷のエンタテイメントのステップアップシーン。それは、まず小規模のライブハウスからスタートして、そこを卒業したらPARCO劇場へ、さらに渋谷公会堂、代々木体育館へ、とステップアップしていけるようなカルチャーのシーンをつくっていくというもの。まさに渋谷の坂道を上がっていくような、街全体を巻き込んだ大きな構想でした。そのいちばん最初のステップとして作られたライブハウスがTAKE OFF7だったのです。 「TAKE OFF7という店名は、『(オープン当初のスタジオがあった)7階から飛び立て!』という意味でつけられたんですよ」と後藤さん。その名の通り、数多くのアーティストが全国から集まってきてTAKE OFF7の扉を叩き、また、飛び立っていくことになりました。 いまではドームツアーを行うような有名バンドも、TAKE OFF7時代にはまだ全国的には無名の新人。駆け出し時代のいろいろなエピソードもあるようです。とある有名アーティストのエピソードを教えていただきました。 「最初はみんなお金もないので、ろくに食事にも行けないんですよね。それが『今日はマネージャーさんがいるのでご飯に行けるんです』と嬉しそうに話してくれていましたね。帰ってきて『何食べたの?』と聞いたら嬉しそうに『つけ麺食べてきました』って。ここではじめてやってくれた頃にはお客さんも十数人という感じだったのが、人気に火がついてからはすごかったですね。そういう成長を間近で見られるのはうれしいですね」 infomation ライブハウスSHIBUYA TAKE OFF 7 〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町32-12 アソルティ渋谷B1F https://www.kox-radio.jp/takeoff7/
八田吏(はった・つかさ)
ライター。産前産後の家庭と産前産後の家庭とサポートのプロをつなぐマッチングサイトMotherRingディレクター。。自宅から一番近い繁華街が渋谷なので、映画に行くのも友達とのお茶も、本や洋服などの買い物も、だいたい渋谷区内で完結しています。
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