残席わずか!!建物×シブヤ×映画を語るプレイベントゲストキュレーター・ライゾマティクス齋藤✕シブ大映画祭部員のミーティング現場に潜入!-シブヤガワ映画祭 5/29プレイベント直前特別インタビュー[後編]
5月29日(日)についにプレイベントを迎えるシブヤガワ映画祭。
記念すべき初回の特別ゲストは、コマーシャルとアートを絶妙なバランスで両立させ常に注目をあつめるクリエイター集団、ライゾマティクスの代表取締役社長である齋藤精一さんに決定!!
「指輪から飛行機まで」ジャンルにこだわらない、インタラクティブな広告プロジェクトや先進的なメディアアート作品が特徴のライゾマティクス。「六本木アートナイト2014」や「MEDIA AMBITION TOKYO」などの東京を代表するアートプロジェクトから、「FULL CONTROL TOKYO」やヒカリエの空間演出など渋谷の街づくりにも広く関わってきた齋藤さんに、シブヤガワ映画祭運営メンバーがインタビューをさせていただきました!
2回目の今回のお題は、当日のトークテーマについて。齋藤さんならではの、新しい視点での映画や建築の楽しみ方は必見です!
<今回の作品選定のうらがわ>
シブヤ大学映画祭部部長笠原(以下、笠原):今回のプレイベントは、齋藤さんからまず5作品挙げて頂いてその中の1つを上映するという構成にしているのですが、すべて都市に関わる作品ですよね?今回選んでいただいた作品に共通する背景やテーマ、プレの場でどんなお話をされる予定なのか、というあたりをお伺いさせていただきたいと思います!
ライゾマティクス齋藤精一さん(以下、齋藤):いまの東京ほどめまぐるしく変わっている都市ってあんまりないと思うんですよね。たとえばアフリカの都市とかはバンバン新しい建築物を作っていますが、東京ってどちらかというともうフェーズ3、フェーズ4というか、スクラップ・アンド・ビルドのもう少し先の「最適化フェーズ」に入っていると思うんです。まず2020年にオリンピックがありますよね?渋谷の再開発も2025年くらいが完成予定ですし、東京全体だとなんだかんだ2040年以降までこの「最適化フェーズ」がずっと続くと思うんですよ。
そう考えたときに、もう一度、自分たちが住んでいるところは何なのかということを考えてみると良いのかなと思っていて。そういうことが考えられる映画を選びました。
笠原:なるほどなるほど。
齋藤:今回お伺いした感じだと、映画が好きな人やなんとなく面白そうって来てくれる人やいろんなモチベーションの方が来られますよね?そう考えると、できるだけ分かりやすいように、一番最初に僕はこの映画をこういう風に捉えて、こういう風に気づいたとか、ここが面白かったとか、冒頭でそういったことを話してから、少しみんなでディスカッションみたいなこともできたら良いかなと。
シブヤ大学映画祭部プロデューサー松田(以下、松田):そうですね。「映画の選び方のヒント」といいますか、接点を作るっていうことはそういうことだと思っています。私が若い人にヒアリングすると、CMでやっているから観ますとか、ミニシアター系は観ないです、普通の映画しか観ないです、って言われることが多いのですが、たとえば斎藤さんはどうやって映画を選んでいるかとか、映画によって何を知ったかとか、そういうところを話してもらえるとすごく嬉しいかも。
齋藤:実はアメリカの大学院の時の卒論がデビット・リンチの「ロスト・ハイウェイ」だったんですよ。ドッペルゲンガーの研究をしていて、人の二面性って何だとか、建築で言うドッペルゲンガーってなんだろうとか・・・ちょっとこれね、話すと長くなります(笑)。まあいずれにせよ、大学院の時にすごくいろんな映画を観ましたね。小津安二郎をみんなで観たりとか。 1日1本くらいのペースで観ていました。ハリウッド映画も、単館上映系も、ニッチなヤツも。先生がリコメンドしてくれたんですよ。
シブヤ大学映画祭部ファンディングリーダー石林(以下、石林):それこそ今回の企画のキーワードは「〇〇さんのリコメンド」ということなので、ドンピシャですね。
<土地の声に耳を傾ける/社会を切り取る視点としての映画という存在>
シブヤ大学映画祭部PRリーダー宮(以下、宮):建築は展開に果てしない時間がかかるので、スピードが早い広告やデザインの仕事に転向したという記事を拝見しましたが、シブヤガワ映画祭の舞台である渋谷はものすごいスピードで変化している街だと思うんです。そういう渋谷の変化の仕方と、「都市×映画」の面白さは繋げられるものなのでしょうか?
齋藤:繋げられると思います。特に今回映画祭に「シブヤガワ」って名前が付いてるじゃないですか?
渋谷はもともと川だったところが谷になっているという成り立ちがあって、そこにはもう「気」の流れができてるんですよね。それに対するリスペクトをどう保持していくのかといったように、“変わらないために変えていくもの”っていうのがあると思うんです。そういうものが渋谷にはすごくいっぱいある。昔をリスペクトするための一つのわかりやすい羅針盤として渋谷川が存在しているような気がしています。
齋藤:先ほどの話とも関連しますが、今までの建物の在り方とか都市開発の在り方が変わってきてるんですね。経済合理性だけではない、もっとオーガニックなものへの変化が起きていて、もう少し精神的な話になってきている。昔から建物は生きているみたいに言われてきましたが、それがどういう風に我々と関わってきたのか、というのをいろんな人に感じてもらいたいですね。そういう目線で見ると、たとえば建築家には“建てない”という選択肢も生まれてくるかもしれない。
笠原:都市と映画、一見接点がなさそうに見える両者が高度で考えると繋がる、みたいなところをテーマにするのは面白いなと。「映画から見る都市論」といった感じでしょうか。来る方は「都市×映画」がなぜ面白いのか全然その謎が解けていないので、その謎解きが見えてくるとさらに良いですね。
齋藤:東京の再開発について最近いろんなところで毒を吐いているんですが(笑)、 個人的にはそれと今回の企画がシンクロするんじゃないかと思っているんですよ。 建物は建てて終わりじゃなくて、ソフトウェアとして成長してこそ意味があります。 そのためには、建物や土地がアクティブに成長していくようなプログラムを作らなきゃいけない。 ディベロッパーも関与するのはディベロップするところまでで、タウンマネジメントは外注しちゃったりするじゃないですか? そこにちょっと疑問を感じていて。計画から運営まで一貫性がないと、建物の良さが充分に発揮されないと思うんです。Culture(カルチャー)という言葉が本来持つCultivate(耕作する)部分がおざなりになると、建物と場所が一緒に成長できない。最近そういう現象が増えています。
だから、土地自体がしゃべれたら面白いと思うんですよ。 人が何か建物を作ろうとして、「いやいやオレはこんなのいらないよ」と(笑)。そういう、その土地の声に耳を傾けないと、東京の街はどれも経済合理性だけが追求されたCADの産物になってしまう。 そういうふうにはしたくないんですよね。
宮:その土地の声というのは住民の声、ということですか?
齋藤:いやいや、土地とか建物の声そのものです。 たとえばですが、(手元のペットボトルを見ながら)このペットボトルができるまでを考えると、材質を溶かして圧力かけて成形して、まあ正味1時間くらいでできると思うんですね。そこが建築だと平気で10年とかかかっちゃうわけです。 でも、もし建物の声が聞けて、すぐにその声に反応できたなら10年を1秒にできるかもしれない。 そういう視点でものを見たらどうなるか、というのも今回のイベントで是非お話ししたいと思っています。
笠原:シブヤガワ映画祭の企画としては、そんなふうに斎藤さんがどのタイミング、どの視点、どの哲学で どう影響を受けたか、「映画の存在の立場」がその都度顔を出すと良いのかなと。 そことのリンクが今回の「ナイショの渋谷」という企画の鍵だと思ってます。
齋藤:広義の意味での「映画という存在の意味」ということですね。
笠原:そうです。いま文学も音楽もある種の哲学が生まれにくくなってきていると思うんですよ。社会を切り取るときの一つの武器というか手段としての哲学ですね。今回の企画を通して、そういうものの一役を映画も担っているということが伝わればいいなと思います。
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【ゲストプロフィール】
齋藤 精一 / Seiichi Saito | Rhizomatiks
Creative Director / Technical Director : Rhizomatiks
1975年神奈川生まれ。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からNYで活動を開始。その後ArnellGroupにてクリエティブとして活動し、2003年の越後妻有トリエンナーレでアーティストに選出されたのをきっかけに帰国。その後フリーランスのクリエイティブとして活躍後、2006年にライゾマティクスを設立。建築で培ったロジカルな思考を基に、アート・コマーシャルの領域で立体・インタラクティブの作品を多数作り続けている。2009年−2014年国内外の広告賞にて多数受賞。現在、株式会社ライゾマティクス代表取締役、東京理科大学理工学部建築学科非常勤講師、京都精華大学デザイン学科非常勤講師。2013,2015年D&AD Digital Design部門審査員、2014年カンヌ国際広告賞Branded Content and Entertainment部門審査員。2015年ミラノエキスポ日本館シアターコンテンツディレクター、六本木アートナイト2015にてメディアアートディレクター。グッドデザイン賞2015審査員。建築で培ったロジカルな思考をもとに、テクノロジーの力を駆使し、Webサイトから、市民が参加できるリアルな空間作りまで既存の枠組みを越えたクリエイションによって人々に新しい体験を提供している。
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