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6月16日(日)14:00~16:00 柳亭信楽 快楽亭ブラック 立川吉笑 橘家文蔵「渋谷らくご」鬼才落語会

文:とも朕 Twitter https://twitter.com/sowaka2020 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。映画、海外ドラマ、落語、読書が大好き!映画などの感想レビューもポストしてます)

6月16日(日)14:00〜16:00
「渋谷らくご」

最近、朗読アプリ「オーディブル」に夢中になっております。
「本の内容を聴く」だけでなく、朗読の演劇的なところが大好きです。赤ちゃんからおばあさんにまでなれる、声優さん達の演技力に驚き!

そういえば、落語もそうですよね。一人の噺家さんが、可憐な少女からヤクザの親分さんまで何にでも変身できます。

プレビューによると、本日のトリ·文蔵師匠の魅力は「凄みと可愛げのマリアージュ」。以前、師匠の「転宅」を観た時、いかつい師匠がホントに色っぽいお妾さんに見えて来てしまったので、不思議な感じでした。凄い演技力。

他、本日は、期待の若手·信楽さん、芸歴50年超えのベテラン·ブラック師匠、そして真打昇進間近の吉笑さんと、楽しみすぎるラインナップ!楽しい日曜日の午後になりそうです。

柳亭信楽(りゅうてい しがらき)「腰痛」
快楽亭ブラック(かいらくてい ぶらっく)「転失気」
立川吉笑(たてかわ きっしょう)「くじ悲喜」
橘家文蔵(たちばなや ぶんぞう)「子別れ」

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柳亭信楽さん「腰痛」

創作らくご大賞受賞の信楽さん。綴方狂室で有名な四代目柳亭痴楽師匠の孫弟子さんなので、創作がお得意な一門なのでしょう。

今朝は池袋演芸場で古典を披露して来た、という信楽さん。渋谷でのお噺は、創作落語です。

冒頭で、登校時に衝突した男の子と女の子が入れ替わってしまう。「君の名は」的な展開か?と思ったら、なんと人が入れ替わってしまう上に、腰痛が伝染してしまう!ゾンビや怪獣まで出て来る、オドロキのストーリー。もう誰が誰だか分からない!こんがらかった人々の演じ分けも、笑いのポイントです。

憑依系のSFホラー。夏も近いからでしょうか?ジャンルとしては怪談でしょう。とっても独特ー。ユニークな世界観が楽しめました。

快楽亭ブラック師匠「転失気」

まくらでは、トンガの野球について。ラグビーで有名なトンガでは、野球も大人気。でも、WBCに出場できないのは、国王が間違ったルールを教えたため?プライドが高い国王は、野球を知らないことを恥じて正しいルールをきくことができなかったから、とのこと。ホントかな?(多分、ブラック師匠の冗談)

というわけで、今日はプライドが邪魔して物事がヘンな方向に行ってしまう、というお噺。

お医者様に言われた「転失気」が何か分からず、小坊主さんに探らせる和尚さん。小坊主さんは「転失気」とは「オナラ」のことだと知りますが、和尚さんにいっぱい食わしてやろうと、オドロキの行動に出ます。

ふだん威張っている人をからかってやりたい願望には、ちょっと共感できるような。。

ブラック師匠のイタズラっ子の表情が、いかにもワルそうで良かったです。

立川吉笑さん「くじ悲喜」

2025年春に真打昇進を控えた吉笑さん。

まくらなしで、突然パワー全開で始まったお噺は、創作落語「くじ悲喜」。

なんとクジを擬人化。自分に書かれているのが良い商品か、ひいた人が喜んでくれるか、思い悩んで一喜一憂。

「自分は何者か?」という問いが、ちょっと哲学的。。結末は何か可哀想ですが、「自分の中身を気にし過ぎたって、結局こんなもんさ」というアイロニーが効いて良かったです。知的なところが、吉笑さんの魅力ですね。

どんな真打になられるのでしょう?もう期待しかない!

橘家文蔵師匠「子別れ」

今日は父の日。というわけで、父子の絆を描いた古典落語「子別れ」です。師匠の、可愛い子供の演技が見れました!

仲が悪かった夫婦が、息子の亀ちゃんに救われます。「子は鎹」という言葉は、このお噺から来ているのでしょうね。

久しぶりに父親に会った時の、複雑で恥ずかしげな様子や、涙をこらえたふくれっ面の表情などがいじらしく、涙を誘います。

ところで、「子別れ」は、Xで「2024嫌いな落語」の第8位にランクイン。男性の行動が身勝手で、DV要素もあるせいでしょうか?

でも、文蔵師匠の「子別れ」では、放蕩により家庭を壊してしまった父親が、息子を前に本当に反省し悲しい顔をしていて、可哀想で同情してしまいます。やっぱり演技の力ですよね。

ストーリー的に「嫌い」なお噺でも、生の落語を聴いてみれば、印象は変わるかも?

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