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4月13日(土)14:00-16:00「渋谷らくご」

文:とも朕Twitter https://twitter.com/sowaka2020 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。映画、海外ドラマ、落語、読書が大好き!映画などの感想レビューもポストしてます)

柳家小ふね-鮑のし
古今亭文菊-岸柳島
快楽亭ブラック-五人廻し
三遊亭青森-髪結新三

一気に暖かく(暑く?)なり、桜は散ってしまいましたね。
地球温暖化のせいか現実の気候はあやふやですが、落語の中には季節があります。
春のお噺を聴いて暖かい気持ちになったり、夏のお噺で爽やかな気分になったりするとき、落語って本当に良いな、心に効くな!と感じます。さて、どんなお噺が飛び出すでしょう?
今日は「鬼才」が集う会。確かに個性的な方々ばかりで、「天才」より凄そう。楽しみです。

柳家小ふねさん 「鮑のし」

福島県出身で元介護士の小ふねさん。前職場だった施設での落語会が決まっているとか。当時の退職理由が「公務員になるため」だったというから、入居者の皆さんはさぞ驚かれるでしょう!
さて、今日のお噺は「鮑のし」。婚礼の贈り物に縁起が悪いとされる鮑を持って行ってしまったことで起こる騒動です。
愚かな男が得をしようとして失敗してしまう、というコメディの王道ですが、小ふねさんの突き抜けたおバカ演技がとにかく凄かった!挨拶や口上が上手く言えず、白目を剥いて過呼吸になる所など、本当に大丈夫?と心配になってしまったぐらい。観ている方も笑いと驚きで呼吸が苦しくなってきます。笑いは健康に良い、とよく言われますが、これはもう身体に悪い?レベル。落語会が催される高齢者施設の方々が心配になってしまいます。。

古今亭文菊師匠「岸柳島」

若葉のような羽織にクリーム色のお着物で登場した、優雅な文菊師匠。「今日は悪意を感じる顔付け」で、毒と狂気(凶器?)に囲まれた子羊のような気分、とのこと。確かに出演者の皆さん、強烈に個性的な方々ばかりです。負けないでー。
お噺は「岸柳島」、隅田川の渡し舟で起きた事件を描きます。若侍と老武家が船上であわや決闘?という、時代劇を観る様なワクワクする展開!
血気盛んな若侍と落ち着いて渋いお武家様の演じ分けが素敵で、情景がハッキリと眼に浮かぶよう。船上に乗り合わせた他の乗客の動揺や興奮も、声色や仕草などで見事に表現。こういうクラシック映画のような作品、文菊師匠にお似合いだと思いました。

快楽亭ブラック師匠「五人廻し」

まくらでは選挙について。ブラック師匠は、政治家の裏金問題に相当ご立腹のようです。指定暴力団の要件が「犯罪歴保有者が構成員の5%以上」なら、自◯党もそうなのでは?と発言。売◯奴!などという言葉も飛び出して、ああー、今日は配信がなくて良かったー。
さて、大谷選手の元通訳·水原氏のギャンブル問題に言及し、男性の楽しみは「飲む(お酒)·打つ(ギャンブル)·買う(女性)」だという師匠。江戸時代の廓では、その全てがオールインワンだったと。すなわち、登楼しても花魁にフラれて逢えず一人で過ごす羽目になるかもしれないギャンブルだった、とのこと。
今日のお噺には、花魁にフラれて待ちぼうける男性達が登場します。怒り狂う者、平静を保っているように見せかけてガッカリしている者、あげくの果には、女性がダメなら若衆に相手してくれ、と言い出す者まで!花魁と客との板ばさみになる若衆が可哀想になってしまいました。
夜更けの廓の雰囲気を艶めかしく表現するブラック師匠の演技が印象的でした。

三遊亭青森さん「髪結新三」

昨晩も「ふたりらくご」にご出演だったという青森さん。なんと、今日は昨晩のお噺の続き!そうきたか。。でも、まくらで前半のダイジェストがあったので安心しました。
歌舞伎や講談バージョンもある明治時代に書かれた作品「髪結新三」、確かにドラマチックな展開です。
商家の娘の駆け落ち事件を発端に、後半では拐かされた娘を取り戻すイザコザから悲鳴を上げるような結末に至る、熱量の持って行き方がとても良かったです。
クライマックスの場面は、なんと鳴り物入りで歌舞伎みたいな演出。立ち廻りや見得もカッコいい!
演者さん一人で展開できる世界の広さや可能性に驚きました。そして、青森さんは毎回万華鏡の様に違う世界を見せて下さるので目が離せませんね!今後も楽しみです。。

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