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「渋谷らくご」令和モダン落語会8月11日(日)14:00~16:00立川談吉 橘家圓太郎 玉川太福 古今亭文菊 #シブラク

文:とも朕 Twitter https://twitter.com/sowaka2020 (ともちん。シンガポール育ち、帰国子女。映画、海外ドラマ、落語、読書が大好き!映画などの感想レビューもポストしてます)


8月は終戦記念日。「ぼくの家族と祖国の戦争」というデンマーク映画を観ました。敵国ドイツからの難民を助ける家族の物語。ヒューマニズムは、敵の加害性を超えられるでしょうか?私だったら。。

誰もが自分のことばかり考えている今。とにかく、物語を通して少しでも「他人の人生を想像する」ことは大切だと思いました。

落語も、そうです。
面白可笑しいだけでなく、江戸時代なのに「自分だったら!?」と考えずにはいられないようなお噺が沢山あります。

今日は創作の方、古典の師匠、浪曲の先生もご出演。どんなお噺に出会えるのでしょうか?

立川談吉(たてかわ だんきち)「青菜」
橘家圓太郎(たちばなや えんたろう)「あくび指南」
玉川太福(たまがわ だいふく)「フジロック唸り道中」
古今亭文菊(ここんてい ぶんぎく)「船徳」

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立川談吉さん「青菜」


北海道出身の談吉さん。この酷暑に耐えられない!とのこと(暑さに慣れているはずの私だって耐えられない!シンガポールより暑いかも。。)。

談吉さんは昔、夏の暑い日、パンツ一丁の談志師匠にお稽古をつけてもらったことがあるとか。師匠の裸なんて、なんか気まずいですよね~。

暑さで体力が削られるので、あまりエネルギーを使わないお噺を、と始まったのは「青菜」。今日は創作ではなく、古典落語の夏の王道です。「優雅な人の真似をして失敗してしまう」という展開も、落語の王道。

とあるお屋敷の庭で働く植木屋さん。お屋敷のご主人と奥様の優雅な振る舞いに感心してマネしてみようと思いますが、なかなか上手くいきません。。

談吉さんの、上品だけどユーモラスなご主人と、元気が良いけどチョットぬけてる植木屋さんの演じ分けが上手。映画の様に映像が頭に浮かびます。

そして、お酒を美味しそうに呑む演技が、とても良かった!冷たいお酒が喉を伝う場面が想像できて、思わずゴクリとしてしまいます。

情景描写も素晴らしく、庭に水まきした後に吹く風が感じられるようでした。

橘家圓太郎師匠「あくび指南」

圓太郎師匠は、オリンピックを観てShigekix選手に共感してしまったそう。楽しい事に夢中になるのは、落語もブレイキンと同じですね。

今日は圓朝忌で、谷中の全生庵では奉納落語が行われたそうです。奉納する演者さんの姿に「落語が好きでたまらなくて、噺家になったのだな」と実感したそう。

さて、今日はヘンなお稽古事に没頭する様子が可笑しい、あくび指南。オツなあくびの仕方?を稽古するのですが、覚えが悪い八五郎が四苦八苦する所が爆笑ポイントです。

春のお噺として演じられることが多いのですが、こちらは夏バージョン。船遊びに飽きてあくびが出る、気怠い夏の午後が目に浮かびます。川面をわたる涼しい風が想像できて、心地良かったです。

玉川太福先生「フジロック唸り道中」

なんと!フジロックフェスティバルに出演してきたという太福先生。カッコいい!

私はフジロックは行ったことありませんが、グリーンステージの様子はプライムビデオの配信で観ました。凄い混雑で大盛況!

ご出演になった青空寄席は、ホワイトステージ近く。1万5000人規模のホワイトステージの爆音リハに負けず、やり遂げた後の拍手と指笛の嵐。ロックファンに浪曲は響く様ですね!

節にのせてテンポ良く語られるフェスの様子に、夏休み気分いっぱいになれました。(早速、太福先生に同行された曲師·玉川鈴さんのXポストも拝見しました。フェス飯、美味しそう!)

古今亭文菊師匠「船徳」

汗一つかかず、ツルンとクールな様子の文菊師匠。今日のお噺の舞台は隅田川です。

かつて江戸は「東洋のヴェネチア」という感じで、掘割を走る猪牙舟が重要な役割を果たしていたそうです。幕府のインフラ、恐るべし。

さて、道楽が過ぎて勘当され、船宿に居候中の若旦那。いなせな姿に憧れ、船頭になりたいと張り切ります。

そして、浅草観音の四万六千日(夏のお祭)。あまりの人手不足の中、とうとう若旦那が漕ぐ船が出動!乗客の運命はいかに。当然、酷い目にあいます!

たくましい船頭とは程遠い、甘やかされか弱い若旦那のナヨナヨした演技に笑いがこみ上げます。文菊師匠の表現が、なんかキモ可愛い〜。船宿の愉快な同僚達や、困惑する女将さんの表情も可笑しかったです。

笑い過ぎたせいか、だんだん若旦那のひっくり返りそうな舟に乗ってるような気分になり、船酔いしそうになりました。。




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